2024年8月3日&4日 劇団四季『ゴースト&レディ』




ゴースト&レディ
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ゆうき
ゆうき

今週も岡村美南さん充してきました!

日時:2024年8月3日ソワレ公演、4日マチネ公演
場所:四季劇場[秋]




はじめに

月曜日のキャス変で今週も岡村さんだ!と思いつつ緩めにチケパトしていたのですが、水曜日に突然のキャス変で宮田さんに変わり、どうしたんだろう…と動向を見守っていたら木曜日には岡村さんに戻るという謎キャス変があった今週でした。

すぐに戻られたということは大きなケガや体調不良とかではないのかな…。実際にいつも通りエネルギッシュにお芝居されていたので安心しましたが、岡村さんがこんな急なキャス変の当事者となるのはかなり久しぶりな気もするので、本当にヒヤヒヤしました…。

特にグレイとデオンは殺陣の激しいアクションもあるので、危険と常に隣り合わせですし、千穐楽まで無事に駆け抜けられることを祈るばかりです。

そして岡村さんが戻ってこられたので、私も観劇してきました!ぜひ最後までご覧ください~!

総評

改めてこの作品の持つ力や素晴らしさについて再認識できた観劇になりました。そして作品の魅力をさらに深めてくれるのが俳優さんの演技で、しかも俳優さんによってそれぞれお芝居の解釈というかアプローチが異なるから、色んな可能性や広がりを見せてくれるのが素敵だな~と思いました。

今週はそれぞれの俳優さんの表情に注目するなかでいろんな発見があって、やっぱり表情から読み取れる情報って凄いんですよ。喜怒哀楽が伝わるし、そこからなぜその人はこの表情になるに至ったんだろう…という部分まで自分なりに考察しながら楽しめるし。

たとえば、「走る雲を追いかけて」で看護婦たちが三角形に整列してクリミアへどんどん歩みを進めていくときの表情とか、一人ひとり違うわけですよ。志音ちゃんフローやゆきみさん、大岡さんは覚悟を決めたようなキリッとした表情、奏絵ちゃんエイミーは看護への憧れを胸に希望を抱いているようなキラキラした表情、そして黒柳さんや育恵さん、持田さんは不安や恐怖でいっぱいの顔をしていました。口元がぷるぷると震えていた方もいらっしゃって、看護婦それぞれがクリミア行きに対してさまざまな感情を抱いているんだな~というのが伝わりました。

特に奏絵ちゃんエイミーのキラキラした表情は観ていて切なかったですね。本当に憧れだけで戦地に足を踏み入れようとしているんだ…というのが伝わってきて。戦場で看護をすることがどれだけつらくて苦しくて厳しいものなのかをまったく知らなそうなところが、この先のエイミーの振る舞いにしっかり繋がっていくので、とても説得力があって良かったです。

その一方で、エイミーと同じように最初は抵抗を感じながら看護にあたっていた黒柳さん看護婦が、2幕終盤の「走る雲を追いかけて(リプライズ)」ではキリッとした表情に変わっていたのがとても印象的でした。3年間?フローの元で働き、看護とはどういうものかをしっかり学び、未熟だった最初の頃とは違ってちゃんと一人前の看護婦に成長したんだな~というのが伝わってきて、こちらも凄く良かったです。

看護婦一人ひとりの働きを観ていても、マザー・ムーアのように看護についての知識がしっかりある人もいればそうでない人もいて、その辺も各キャラクターの性格なども含めてちゃんと描かれているのも好きです。それぞれの看護婦たちの生き方や考え方、バックグラウンドが感じられる作品でもあるな~と思ったので、設定づくりが細かくて凄く感心しました。本当に凄いですよ、この作品…。

でね、表情でいうと、グレイの過去回想シーンでの志音ちゃんフローの表情も凄く印象的でした。「ジャック」という名前に対して「親からもらった唯一のものだ」と答えたグレイに、志音ちゃんフローがハッとしたような表情をしていたんです。

グレイがまさか捨て子だったとは思っていなかったでしょうし、孤児院で育ったことにも驚きだったでしょうし、そのことに対するリアクションだったのかなとは思うのですが。でもそもそもフローはグレイと出会ったときに自分の家族が障害になっていることをグレイに必死に伝え、でもグレイには「お嬢ちゃんが親に反抗して、負けたから死にてえってのか」と言われ、そしたらフローは「あなたには分からない」と返すんですよね。

自分の家族がどれだけひどいのかを必死に訴えるのは、一般的に誰もが家族と良好な関係を築いていることを前提としているからであって。グレイにはそもそも家族と呼べる存在がいなかったことすら当時は考えてもいなかったでしょうし、グレイの過去を聞いてそのことに対する後悔の念も生まれたのかな~なんて思いました。もちろんこれは全部私の妄想ですけどね。思い返せばグレイのことをまだ何も知らなかった頃のフローは、自分のことで相当必死だったんだな~と。そこから互いのことを理解して、信頼関係を築いていって、ようやく打ち明けられたグレイの過去。自分が思うよりはるかに深い絶望を味わっていたグレイに、もっと寄り添いたいという思いが強まった瞬間でもあったのかなと思いました。

こうした「家族」という存在の伏線があったからこそ、ラストの別れのシーンでフローが「グレイ……ジャック」とわざわざ名前を言い直すことに凄く意味があるなと感じます。志音ちゃんフローは「ジャック」と呼ぶときに、凄くしっかりと力を込めるように言うのが印象的で。ジャックとしての人生は裏切りばかりで、生みの母親に捨てられ、若様に裏切られ、シャーロットに裏切られ…誰からも大切にされなかったそんな彼を、フローは54年経ってからも忘れずにいてくれて。ジャックとしてのグレイも、そしてジャックという親から唯一もらった名前をも大切にして、丸ごと愛してくれるフローの絶大な愛を感じました。

裏切りで終わったはずのジャックの人生は、フローからの愛を受けて、愛された人生へと更生できたのかな…とも思います。「ジャック」と呼ばれたときの萩原さんグレイの優しくて愛しさに溢れた笑顔も本当にたまらなくて、凄く嬉しかったんだろうな…というのが伝わってきました。いやもうさ、グレフロどこまでも尊いわよ…。良すぎです。

そんな志音ちゃんフローと萩原さんグレイ、どちらも不器用なところが似ていて可愛いなと思いました。全然タイプ違うのになんか凄く似てるんだよな~、同じ雰囲気を感じるんだよな~ってずっと思ってて。あ、多分2人とも不器用なんだな…っていうのが分かってとてもすっきりしました。

志音ちゃんフローってあまり感情を表に出さないというか感情を爆発させることが少なくて、だからこそ爆発させたときの威力が強い人だと思うんですよ。羅針盤もそうだしさ。個人的にはグレイに言う「二度と離れないで…」の破壊力が凄くて、これって普段志音ちゃんフローが不器用で自分の想いを伝えるのがあまり上手くないというか、隠すのが上手いからこそ、ポロッとこぼれた本音が凄まじいほど心にスゥ…と染み込んでくるんだな~と感じました。

真瀬さんフローは自分の想いをとことん伝えるタイプな印象があるので、この点は志音ちゃんフローと真逆だなと感じます。志音ちゃんフローの人との距離感を掴むのが少し苦手そうな感じの不器用さ、本当に可愛くてキュンとなります。だからフローには慕ってくれる人はたくさんいても、親友のような存在が誰もいないという点も納得できて。ハーバート戦時大臣は友人だったみたいな話もありますけど、そういうことではなくてね…。もっとこう、プライベート的なものでの話。

だからこそ、そんなフローに寄り添ってくれるのがグレイだけということにも説得力を感じられました。志音ちゃんフローと萩原さんグレイがこんなにも運命的な2人に見えるのは、そういった部分も大きいのかなと思います。言葉では説明しきれない、精神的な部分の繋がりが非常に大きいのが谷原×萩原のグレフロ。改めて沼だなと感じました。たっぷり観られて嬉しかったです!

そして、先日ゴスレの特集が組まれた読売新聞の夕刊を購入しましてね。演出家のスコットさんがインタビューのなかで、「フローとデオンはコインの表と裏」とおっしゃっていたのがとても印象深かったんです。そうか、この2人って表裏一体の存在なのかぁ…と。

確かに言われてみれば、この2人って色んな部分で共通点があって。たとえば、「女であること」ゆえにフローは家族から貴族と結婚するように迫られるし、デオンは父親から世間に見下されないように息子で生きるように命じられる。フローは家族の反対を押し切って我が道を突き進むけど、デオンは命じられたままに男として生きるようになります。女であることの制裁を受けながらも、自分で道を切り開いていったフローとデオンはまさにコインの表と裏だな~と感じました。

それならもっと本編でフローとデオンの絡みを観たかったな!?という気持ちも正直なくはないんですけど、でも自分が気付いていないだけできっともっと色んな意味が込められた演出や対比の構図などがあるんだろうなと思います。こちらはこれから観劇していくなかで、発見してさらに理解を深めたいです。

でも今回も色んなことに気付けて、この作品の魅力をさらに知れて理解を深められた観劇にもなりました。本当に観るの楽しい…。今週も谷原×萩原のグレフロ、そして岡村美南さんデオンのお芝居をたっぷり堪能できて幸せでした!

8月3日(土)ソワレ公演

1階最前列上手サイドでの観劇でした。本作はこれまでずっとセンターで観劇していたので、サイドでの観劇は初めてでした。どんな見え方なんだろうな~というのはずっと気になっていたし、いつも観ながらデオンが「君がクリミアの天使か!」というとき上手座ったら自分が言われているような感覚になれるのかな~とか思ったりもしていたので(笑)念願の上手サイドです!

サイドから観る本作はセンターとは全然見え方が違って、正直没入感が凄かったです。というのも、この作品って上手側で重要なシーンのお芝居を繰り広げられることが多いので、作品の世界観に入り込んだような気分を味わえるんだな~と感じた瞬間が多かったからでした。

たとえば、羅針盤でフローがパワフルに歌い上げる瞬間。フローは上手側で歌うので、上手サイドから観ると若干背中寄りの横顔が見えるという角度なので表情を堪能するのはやや難しかったです。でも、そんなフローに対して舞台奥から上手側に向かって照明が差すんですよね。上手サイドはその照明を受ける形でフローを観ることになるので、まさにフローに後光が差しているような状態でした。あまりにも神秘的だった。だからより一層、今回の志音ちゃんフローの羅針盤は心に響きました。フローの圧倒的な希望の光、強さ、眩しさ。すべてが詰め込まれたあの姿は、上手サイドならではの見え方だな~と思って、めちゃくちゃ鳥肌立ちましたね。

そして個人的に一番グッと来たのが、天国へと旅立つフローを見送るグレイの構図を、背中越しに観られたことです。グレイは上手側に立ってフローを見送るんですけど、センターでの観劇では上手側にいるグレイを正面から観るような構図でした。でも上手サイドは、グレイの背中越しに旅立っていくフローが見えたんです。もうね、漫画のような構図でした。あえてグレイの表情は見せない、そんな1コマ。でも、萩原さんグレイの背中からはフローへの愛しさや無事に見送れたことへの安心感、そして寂しさ、色んな感情が伝わってきました。このときも、舞台奥からグレイに向かって照明が差すので、とても神秘的なシーンに見えましたね…。

フローを見送ったグレイがこちらを振り返って「これにて、我が処女作・ゴースト&レディ、終演」と告げる瞬間のね、舞台セットが切り替わってあの世から現代へと戻っていく様子も上手サイドから観るとめちゃくちゃ没入感があってヤバかったです。しかも最後にはグレイが上手通路を通って去っていくから、萩原さんグレイの美しいお姿を間近で堪能しながら見届けられてね…。萩原さんグレイが歩いていく影が、ちょうど舞台と客席とを繋ぐ階段部分に映ってゆらゆらと揺れていて、同時に舞台上にはフローが登場して…というように、グレイとフローの両方の存在を感じながら観られる席でもありました。マジで最高でした。

もう今回はラストのこの萩原さんグレイにやられたし、志音ちゃんフローの表情にもやられました。すっごく良かった…。

そしてデオン好きにもたまらない席でした(笑)1幕ラストにデオンが言う「君がクリミアの天使か!」は目線はもう少し上手寄りでしたけど、顔がこちらを向くのでめちゃくちゃドキドキしました。2幕冒頭も「ようやく会えた~僕の天使に~」の部分はこちらを見ているような感覚で見つめ合えるので、ドキドキが止まらなかったです。クリミアの天使疑似体験席でしたよ…。これだけでももう最高。夢が叶いました(笑)

デオン関連でいうと、生前のデオンは上手から登場して上手側の椅子に寄り掛かったりもするので、正面から爆イケデオン様を観られて眼福でした。それと、上手からだとグレイとデオンの決闘シーンでも、2人の構えを正面から眺められるので凄く良かったです。

この作品は下手側前方、そして上手側後方で2人の人物が対峙するというシーンがとても多くて。グレイとデオンの決闘もそうだし、羅針盤のフローとホールもそうだし。なので、そういうシーンの見やすさでいうと上手のほうがやっぱりバランスはいいな~と感じました。

あと、メンジーズたちがフローたちに食べ物を持って「助けて~」って迫られるときに上手側ギリギリまでやってくるので、とても迫力があって面白かったです(笑)

8月4日(日)マチネ公演

1階最前列センターでの観劇でした。この日は若干志音ちゃんがお疲れ気味だったのか、全体的にちょっと滑舌が怪しいな~と思う瞬間が多々ありました。噛む回数も多かったし、少しヒヤヒヤ。でも、これだけハードな役を毎日演じられているので本当に凄いなと思います。

そしてこの日の志音ちゃんフローの羅針盤は、いつもの強気モードではなく泣きそうになりながら死を受け入れる弱気モード。「すべてを捧げて私が信じたこの道を」の部分も泣きそうな顔をしていて、「さあ!撃てばいい!」も強気な眼差しではなく泣きそうな顔で、ホールに撃たれることを覚悟するかのように目を閉じて死を受け入れようとしていたのがとても印象的でした。「もう何もかもすべて私が背負うから、どうかこの戦争が終わって…」と切に願うような表情。凄く胸がキュッとなりました。

志音ちゃんフローの羅針盤はその日その日で全然印象が変わるので、羅針盤にはその日の志音ちゃんフローの生きざまがすべて現れるな~と思います。毎日、その日その日のフローの人生をしっかり生きていて、本当に凄いです。志音ちゃんフローの偉大さを改めて実感した観劇にもなりました。

そして死後、フローと再会したグレイが「あっぱれな主演女優だった!」と言うときに、萩原さんグレイはいつも両手を広げて言うのですが、今回は右手はいつも通り広げて左手は胸元に沿えながら言っていて、萩原さんグレイらしく芝居がかった仕草になっていたのが凄く良かったです。フローへの最大の称賛。キザなところも萩原さんグレイらしくて良いなと思った瞬間でした。

カテコのグレフロハグでは、志音ちゃんが萩原さんに勢いよく抱き着いたからか、志音ちゃんの体が持ち上がっていたのが可愛かったです。それとも萩原さんが持ち上げたのかな~。凄く可愛くてキュンとなりました。ちょうど翌週のキャス変で萩原さんが抜けられてしまったので、谷原×萩原のラストを見届けられて幸せでした!

まとめ

観劇回数が増やせないよ~~~!体力の限界(笑)

もっと観劇したい気持ちはあるんですけど、この作品って観劇後の余韻をしっかり味わいたくなるの。この作品から得られる余韻はもちろん、感動や観劇に感じるさまざまな感情を当たり前にしたくないなと思いました。これからも1回1回大切に観劇していきたいです。

さて!ちょっと今回は更新が遅くなっちゃったので、目まぐるしいキャス変を見届けてからの執筆となりました。次はやっと谷原×泰潤×岡村の組み合わせ!志音ちゃんフロー×泰潤さんグレイも初めてだし、泰潤さんグレイ×岡村さんデオンも初めてなので、しっかり目に焼き付けてきます!

今回はあっさりめのレポでしたが、最後まで読んでくださり、ありがとございました!

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