2021年9月18日マチネ 劇団四季『アナと雪の女王』




アナと雪の女王
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キャストの感想

キャストの感想を書いていきます!

エルサ:岡本瑞恵

約1ヶ月ぶりの岡本さんエルサです。先週観た三井さんエルサも個人的にはめちゃくちゃ好きなのですが、改めて岡本さんエルサを観るとお芝居の安定感だったりアナを大切に想う姉としての包容力や優しさだったりが感じられて、やっぱり岡本さんって凄いなというのを感じました。さすが場数をたくさん踏んできているだけあって、表現力という部分では岡本さんが群を抜いてる印象がありました。

さすが戻ってきたばかりなのもあってか喉のコンディションも相当良かったと思いますし、レリゴーやMonsterといったパワフルなナンバーも安定していて迫力もあって良かったです。本当に歌唱力上がったなぁ…凄いです、ここ最近の岡本さんの歌唱力の上達っぷり。しかもただ歌うだけじゃなくて感情を乗せるのがとても上手。

感情の乗せ方としては自分自身と向き合うナンバーよりも、アナを相手に歌うナンバーのほうが凄くナチュラルに感情が入っていたように感じます。前のブログにも書いたと思うのですが、岡本さんエルサはアナと向き合うことで強くなれる人という印象です。自分のことよりも相手のことを常に考えているような人。それが表情からも歌声からも強く感じられました。

とにかく繊細で、アナのことが大切な優しい優しいお姉ちゃんってイメージです。あまりにも他人のことを考えすぎて自分のことを蔑ろにしすぎというか、アナに触れたいという前向きな気持ちはあるけど触れるのが怖いという後ろ向きな気持ちも強くて、両極端な感情に常に苛まれていました。でも三井さんのほうが負の感情は強そう。岡本さんエルサのほうがまだ救いがあって、笑おうと思えば笑うこともできるから、自制心をある程度コントロールできる印象がありました。

レリゴーも少し歌い方が以前と変わった部分があって、三井さんみたいに真っ直ぐ歌う瞬間が多くなった気がします。そのほうが歌声が綺麗に伸びていて、エルサがイキイキしているのがより伝わってきました。岡本さんエルサはまるで最初から自分の魔法の可能性を知っていたかのように、魔法を発動し始めてからすでに笑顔で楽しそうにしていたのが印象的でした。こういう自分の魔法との向き合い方も三井さんエルサとは全然違くて面白かったです。

そんな中で今回一番印象的だったのが、「過去」というワードに対する岡本さんエルサの感情の向き合い方です。I Can’t Lose Youの直前で「もう捨てたの~過去は」と歌う1フレーズがありますが、このときの「過去」という言葉を発するときに凄く声が力んでいて険しい表情をしていました。そんな岡本さんエルサの様子に、あぁ、エルサは過去の事件が未だにトラウマで怖くて忘れたくて仕方ないんだ…と感じました。凄くつらそうで苦しそうで、必死に忘れたい忌々しい記憶とでもいうような佇まいでした。

でもそんな岡本さんエルサがフィナーレでは「戻りはしない過去には二度と~」と歌うときに、濁りも曇りも一切ない満面の笑みを浮かべていたのがすっごくグッと来たんです。忘れたのでも捨てたのでもなく、乗り越えた。そんな笑顔でした。スッキリとしていて、「過去」という言葉を笑顔で吹き飛ばしてしまうくらいに太陽のように明るかったです。1幕冒頭の「太陽よ~輝いて~」というフレーズが頭をよぎりますね。太陽なのはアナだけではなく、エルサもそうなんだよって言ってくれているみたいでした。

だから、エルサがトラウマや恐怖を克服して自分自身と向き合えるようになって前進できるようになるということが今回の岡本さんのお芝居や表情や歌い方からすっごく伝わってきました。もうこの岡本さんエルサのお芝居だけでも泣きそうでしたよね…。エルサにとっての「過去」がどういうものなのか、なんとなく流れるように見てしまっていたところを今一度「ここ大事だからね」と教えてもらったような気がします。

岡本さんエルサの成長も著しいですが、やはりこういった1つ1つの事象に対して丁寧に向き合って表現するところが改めて素敵だなと思いました。久しぶりに岡本さんエルサを観て発見できたポイントもたくさんあったので、戻ってきてくれて嬉しかったです!今回もとても素晴らしいエルサでした!

アナ:三平果歩

先週に引き続き、安定のぺーちゃんアナです。お芝居面に関しては何も言うことない…と言いますか、とにかく安定しまくりだし何をやっても何を言ってもちゃんとアナになるのが凄いと改めて思いました。本当に元気で可愛い。

LIAODのときもハンスにグイグイ近寄っていくし、相手に対して臆することなく距離を詰められる度胸の強さもアナだわ~~~って感じです。一切の遠慮がないので、マジでゼロ距離。なんならこっちが防御しようとしてもぐいっと扉を開けて入ってきてしまうような…。でも決して不快感がなく受け入れられるというのが、三平果歩ちゃんアナの魅力だと思っています。むしろ相手を笑顔にしちゃうのが凄いです。

エルサはあまりにもガードが堅いのでなかなか入り込むことはできなかったですけど、それでも無理やりにでもエルサの心をこじ開けようとする積極性はナチュラルに演じられていたし、ただ強引なだけだったり無神経なだけだったりせず、ちゃんとそこに寂しさを含ませられるからこそ、こちらとしても心が揺さぶられてしまうのかもしれません。人との距離の詰め方は多少強引ですけど(マンマのときを思い出しながら…)、でも簡単に人の懐に入ってこれちゃう不思議な魅力を持った女の子です。そんなところが本当にアナそっくりでした。

お芝居面に関しては本当に何1つ言うことないのですが、やはりFor The First Time in Foreverはちょっと苦手っぽいのかなぁ。毎回歌うのつらそうで、一気にキーが上がるところとか裏声を使うところとかが少しブレるし声が掠れるんですよね。むしろぺーちゃんは地声でそのキーを歌ったほうがきっと歌える人なんですよね、おそらく。音域はめちゃくちゃ広いけど、あまり裏声が得意じゃないのかな?その点ではやはり町島さんアナの歌声の安定感がずば抜けていたなぁ…とも思いました。

でもFTFIF以外はしっかり歌えていたしブレも掠れもなかったので、単純にこのナンバーが苦手っぽいですね~。なんとか克服できるようになるといいなぁ。

また、ICLYでは寂しさを滲ませた表情がとても秀逸で良かったのですが、やっぱりこのナンバーにおける声の相性的にはぺーちゃんアナの場合は三井さんエルサが凄く合っている気がします。声質が似ているからね、2人とも。でも岡本さんエルサとのデュエットも凄く綺麗で、それぞれの声が粒立っているからちゃんとお互いの存在が主張されていて良かったです。ぺーちゃんアナの妹属性的な可愛さと愛嬌、そしてエルサを守りたいと思う強い気持ちがしっかりと表現されていて素敵でした。

とにかくぺーちゃんアナはひたすら真っ直ぐなところがとても可愛らしいし、その真っ直ぐさがエルサを、そして自分自身を救うっていうことに対する説得力も凄かったです。本当に正義のヒーローみたいなかっこよさがありました。そろそろ町島さんアナもまた観たい頃ですが、こうして開幕キャストが戻ってきたときに合わせてぺーちゃんアナもまた観られて嬉しかったです!

クリストフ:神永東吾

約1ヶ月半ぶりくらいの神永さんストフです。以前から結構お芝居の雰囲気が変わったような気がして、神永さんのクセが抜けていました。わりと神永さんって言葉を発するときに吐き捨てるようなぶっきらぼうな言い方をするのが特徴的な俳優さんでしたが、しっとりした落ち着いたお芝居をするのも凄く上手で、後者のようなお芝居をクリストフの中に取り入れていくように変わっていったなぁ…というのが今回の印象です。

もしかしたらクリストフWキャストの北村優さんのお芝居を参考にして取り入れたのかもしれないですが、この1ヶ月半のブランクで神永さんがご自身が演じるクリストフの見直しをしたのは確かだろうなぁ…と思いました。挑発を食らったら真っ向からぶつかっていくような荒々しいクリストフから、ちょっと冷静に考えて行動できるクリストフになっていました。だから、今回の神永さんストフがとても良い男に見えました(※神永さんはとても良い男です)。

セリフの遊ばせ方は北村さんよりも神永さんのほうが上手いです。「俺ならそっちは行かないな~♪」とかちょこちょこセリフに遊びを加えてアレンジしながら喋っていて、ストフの気まぐれさとお調子者感が出ていて個人的には結構好きなポイントでした。ちょこちょこした部分でも神永さんの良さが出ているしオリジナリティがあるので、ここは今後も貫いていってほしいです。

北村さんストフはとにかく真面目で優しい、神永さんストフはコミカルでぶっきらぼう。だけど良いやつというところは共通していて、アナに何かあったときに必死になって守ってくれたり心配してくれたりする姿はとても素敵でした。神永さんストフはアナに対して声をかけるとき以前は結構強めに当たっていたのですが、今回は結構落ち着いて声をかけるようになっていました。だからシリアスなシーンもちゃんとシリアスになって、セリフが浮かなくなったのが良かったです。良い方向にブラッシュアップされていてホッとしました。

また、相変わらず歌も上手いしダンスは鈍くさいしで俺たちの神永さんストフが帰ってきた!って感じです(笑)お芝居の印象が結構変わっていたので、久々に観ることができて嬉しかったです。そして今後のお芝居の進化が楽しみになりました!

ハンス:杉浦洸

同じく約1ヶ月ぶりの杉浦さんハンスです。Wキャストの塚田拓也さんが映画のハンスまんまのような再現度の高いハンスを演じていたので、このあとに観る杉浦さんハンスはどうなるかな~ってドキドキしていたんですが、予想を良い意味で裏切られました。神永さん同様、杉浦さんも以前に比べてかなりお芝居がブラッシュアップされていました!

以前の杉浦さんハンスは表の顔も裏の顔も地続きな感じで、ガラッとお芝居が変わるというよりもニコニコと爽やかな雰囲気でそのままダークモード突入…という感じでした。だからダークモードに入ったことに気付かない人もいるのでは…?と思うくらい、抑揚や緩急がない変貌の遂げ方だったんですね。その点では塚田さんハンスがダークモードに入った瞬間にガラッと声色も喋り方も表情も変わって、一気に恐ろしいハンスになっていたので悪役らしさという部分における塚田さんハンスの表現力が凄まじく感じました。

表情を変えずにニコニコしながら人を欺くような悪役も世の中にいることはいますが、ハンスに求められているのはきっとそうではない…。そういったモヤモヤを抱えてはいましたが、今回久々に戻ってきた杉浦さんハンスはダークモードに突入する際のお芝居が以前よりかなりコントラストを利かせるようになっていたんです…!

1幕はとにかく明るくて爽やかでちょっとコミカル。時々お調子者みたいに合いの手を入れてきたりとテンション高めなハンスでした。特にLIAODでは杉浦さんハンスがやりたい放題で「アチョー!」なんて言っていたくらいです(笑)また、このテンションの高さがぺーちゃんアナと波長合うんですよ…。おかげで久々にこの2人のバカップルっぷりを拝めて最高でした。

からの2幕。「あぁ、アナ。君を愛してくれる人がいればいいんだが…」みたいなセリフはわりと地続きで声色の変化は特になく。しかし、そこからハンスが本性をさらけ出していくときに声色がどんどん低くなり、喋り方はゆったりで緩急がついて、人を見下すような嘲るような欺くようなトーンになっていきました。以前のような「あれ、いつのまにダークモードに入ったの…?」という置いてきぼり感は完全になくなって、ハンスが本性を表したことが伝わってくるようなお芝居になっていたんです。

さすがに表情までは大きく変化することはなかったですが、喋りの演技でここまで大きく変化をつけてきたことに驚きながらも感動しまくりでした。もしかして塚田さんハンスの影響を受けたのか、それともフィードバックをもらってお芝居が変わったのか…。以前とはお芝居の系統が変わっていたので、凄くハンスらしいハンスになってきて良かったです。

とはいえ、人を虫けらにしか思っていないような塚田さんハンスの恐ろしさに比べると可愛いものだとは思うので、今後も演じていく中でさらにブラッシュアップされていくといいなぁ…と期待が持てました。杉浦さんは表情でのお芝居がそこまで色濃いわけではないので、パッと見の変化とか感情って伝わりにくい俳優さんだと思います。そこを他の部分でカバーできるようになってきたのはかなり良い傾向ですし、今後がさらに楽しみになりました。急成長した杉浦さんハンスを観られて嬉しかったです!

オーケン:阿部よしつぐ

1ヶ月ぶりくらいのよしつぐさんオーケン!よしつぐさんはこういうイロモノのキャラクターを演じるのマジで上手いな…と思いました。なんだろう、顔かな?雰囲気かな?普通にしてても胡散臭さがあって、本当にオーケンぴったりでした(笑)

2幕冒頭のヒュッゲはちょうど私の席の前あたりに立って客席いじりをするのでガッツリと拝めたのですが、ニヤニヤしたり声色をちょっと高めにしたりする様子が、もはや詐欺師(笑)清潔そうな竹内くんオーケンとは違って小汚さもあるので、余計に胡散臭くて気持ち悪いオヤジでした。一応全部褒めてます。

そして前回もそうでしたが、よしつぐさんオーケンは何かあれば指ハートをするのが癖みたいですね。キュンですっていちいちやるあたり令和のオーケンでめちゃくちゃじわじわ来ました。普段とのギャップがある竹内くんオーケンのほうが危険人物らしさはありますが、よしつぐさんオーケンも充分ヤバいやつでした。ヒュッゲのラストのほうで神永さんストフに抱きついてほっぺにキスするのも気持ち悪かったですもんなぁ(笑)神永さんストフが嫌そうな表情していたのが最高でした。

さて、今回の客席いじりはトイレからよく戻ってきてくれたという休憩ネタと、天候が悪い中来てくれてありがとうというような天候ネタを盛り込んでいました。竹内くんも含め、だんだんネタ切れにはなってきてるのかな(笑)今回はチケットをお譲りしたフォロワーさんがよしつぐさんオーケンに目線でいじりが飛んできたらしく、私もいつかよしつぐさんオーケンから目線が飛んできたら指ハートしてやろう!と決意しました。そんな日は来るのかしら(笑)

客席いじりの尺も日に日に短くなってきていますが、でも相変わらずヒュッゲは大盛り上がりで楽しかったです。よしつぐさんオーケンの歌も緩急の付け方とか息の抜き方とか凄く好きなので、とても心地よく観られました。回数としては圧倒的に竹内くんオーケンを観ているので、久々によしつぐさんオーケンを観られて嬉しかったです。久々に観たのもあってよしつぐさんオーケンのお芝居が新鮮で凄く楽しませてもらいました!

まとめ

ということで、とっても素敵な観劇ができました。本当に凄く楽しくて解像度も高くて、まだまだ気付けなかったポイントがたくさんあったことを実感できた観劇でした。久々に戻ってきたキャストさんたちのブラッシュアップされたお芝居には心を打たれましたし、より『アナと雪の女王』の世界観を忠実に再現できるようになってきたんじゃないかなと思います。

今回開幕キャストを観ながら、「この人たちが揃うアナ雪を観られるのっていつまでなんだろうなぁ…」とふと考えていました。劇団四季の特性上、明確にいつまで出演すると決まってはいないし、なんなら同時に全国各地で公演を行っているので急遽別の作品に出演することになる場合もあるし、今後新作ミュージカルが上演されるならそっちに行ってしまう人もいるし…。

それこそ2015年の開幕から今年2月まで『アラジン』でジャスミンを演じてきた岡本瑞恵さんも、アナ雪が始まってからはこっちにずっと出演しているので、今後ジャスミンを演じることが果たしてあるのか分かりません。多分エルサを演じる俳優さんが増えれば、別作品に出演する余裕も生まれると思うので、いずれ可能性はあると思います。要は、そんな感じでいつまでもこのキャストが観られるとは限らない、ということです。

アナ雪はまだ開幕して数ヶ月ですし、大型ロングランミュージカルなので恐らく1~2年は開幕キャストを観られると思いますが、徐々に離れていっちゃう俳優さんもいることでしょう。だから、このキャストで観られるのは本当に今のうちだと思っています。観られるうちに観る。これ本当に大事!

もうそろそろアナ雪の観劇回数も2桁に突入しそうになってくるので、キャストにこだわりも出始めた頃ではありますが、改めて今しか観られないということを肝に銘じて、1回1回の観劇を大切にしようと思いました。なので、今回のバースデー直前観劇を最高のキャストで最高の席で最高の環境で観ることができて嬉しかったです!最高の観劇ができました!

さて次は10月2日です。何事もなければ母を連れて観劇します…!長くなってしまいましたが、最後までご覧いただきまして、ありがとうございました!

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