2019年7月2日ソワレ 劇団四季『エビータ』




エビータ
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ゆうき
ゆうき

今回は念願の1階最前列観劇!

日時:2019年7月2日ソワレ公演
場所:自由劇場
座席:1階S席2列12番




はじめに

もしかしたら岡村さんが帰ってくるかもしれないと思って取っていた午後休。
残念ながら彼女はノートルダムの鐘京都公演のお稽古中とのことで、会えませんでした。

というわけで、今回は平日ソワレにエビータ2回目を観劇!
ちょっとキャス変で飯田兄を期待していたんですけど、プリンシパルは変わりませんでした。
とはいっても、これだけの豪華キャストを観れるなんて貴重なのでとても嬉しかったです。

今回もざっくりとした感想ですが、ぜひ最後までご覧くださいー!

総評

全体の感想です。

キャスト:★★★★★
座席:★★★★★
全体:★★★★★

いやもう誰1人として文句なしの素晴らしいキャスティングでした。
今回は鈴木涼太さんが抜けてしまったので、せっかくの涼太さんアンサンブルをじっくりと堪能することはできませんでしたが…。
それでもやっぱり谷原志音ちゃんのエネルギーだけで観る価値を感じられます。
本当に白熱していて、凄いキャストだなと改めて感じました。

前回は2階の最前で全体を見渡す感じでしたが、今回は最前でがっつり表情や迫力を堪能。
やや下手寄りでしたけど、凄く観やすかったですし、やっぱり最前列って楽しいです。
芝さんが相変わらず喋りながら盛大にツバを飛ばすので、何回かツバを浴びた気がします(笑)
でもそれくらいの近さで観るエビータは迫力が全然違いました。

今回も大きなミスはないですし、全体的に素晴らしい出来だったと思います。
2回目ということもあって少し余裕を持ちながら観劇できたことも大きかった気がします。
前回観たときに、この作品結構好きかも…って思いましたが、それがより大きくなりました。
素晴らしいキャストと素晴らしい席、これだけでもう満足度はけた違いです。
本当にいい作品を観劇できたなと思いました。

キャストの感想

気になったキャストの感想を書いていきます。

エビータ:谷原志音

今回も志音ちゃんエバの迫力に圧倒されました。
多分かなり失礼だと思うけど、志音ちゃんこういう悪女が凄く似合うんですよ。
ちょっと悪い女の顔をしているので、エバが凄くしっくりくるというか…。
それでいて、2幕になったら野村玲子さんに見える瞬間があってとても不思議でした。
全然顔の系統もパーツも違うのに、野村さんを彷彿とさせるような佇まいで。
なんかその姿を観たときに、この役はやっぱり志音ちゃんのはまり役だなと思ったんです。
そんなところも含めて、改めて志音ちゃんの歌の迫力には驚かされました。
自由自在に歌声を操れるような音域の広さ、声量、歌唱力。
どのシーンでも歌においてエバの魅力が爆発するので、説得力がありすぎて誰もがエバの虜になってしまうことが凄く納得できました。
『ブエノスアイレス』での力強さとフレッシュさは本当に素晴らしいし、志音ちゃんだからこそのエネルギッシュさに溢れているなと思いましたね。
エバの若々しさにも説得力があるし、童顔なのも相まって少女感が出ていて良かったと思います。
それでいて男をたぶらかす色っぽさも持っているから、本当にずるいです。
今回も『ニューアルゼンチーナ』は圧巻でしたし、あそこまで音域が広がるのも凄すぎて全身鳥肌でした。
そんなエネルギーとパワーに満ち溢れた1幕から一転、2幕では大人になった美しいエビータの姿になって。
所作も表情も歌声もすべてが美しくて、まさに志音ちゃんの独壇場です。
演説のシーンでは、遠くばかりではなく最前列のほうにもしっかり目を向けてくれて、このときエビータは全国民を見て演説をしていたんだなって、まるで国民になった気分で演説を聞くことができました。
そして、晩年のエバのシーンなんですけど、よく観てみると血色が悪くなっているのも目の下にクマを入れたり全体的にそういうメイクをしているんだと知りました。
あまりにも1幕や2幕冒頭の若さと美しさで溢れていたエバとは全然違っていて、そもそも志音ちゃんなのかも疑わしいくらいに老けて…。
その表現力も素晴らしかったですし、本当に衰弱して今にも息が途絶えそうなのにそれでも執念に駆られて、野心の炎を燃やし続ける恐ろしさにゾクゾクしました。
志音ちゃんの目力が本当に凄くて、どこまでも欲深い女だ…ってなったんですよ。
それなのに、倒れて走馬灯のようにあらゆる出来事を思い出した彼女が起き上がった瞬間、両目から涙が流れていて。
なんかその姿を観た瞬間に、凄く衝撃を受けてしまったんです。
あんなに自分の野心に従って男を手玉にしてファーストレディーの座を手に入れて、上流階級の人たちからお金を巻き上げて…散々なことをしてきた彼女が、「死」に対して恐怖や寂しさを抱いていることに。
エビータがたくさんの人たちから聖女だとかサンタだとか精神的リーダーだとか、色んな崇められ方をしてきたけど、最後は人間臭く病気で死んでしまう。
志音ちゃんエバでさえ、この人生だけは変えることができなかった…そのギャップに、なんかとてつもない衝撃を受けてしまったわけですよ。
涙を流していた、たったそれだけのことなんですけど、エビータという女性だからこそその涙に凄く意味があった気がしました。
改めて、志音ちゃんの凄さに気付きましたし、彼女の演技力の高さに脱帽しました。
こうしてまた志音ちゃんのエビータを観ることができて、とても幸せです。

チェ:芝清道

今回の芝さんはなかなかに絶好調でしたし、キヨミチ感に溢れていてとても素敵でした!
やっぱり最前列で観る芝さんって強烈ですね、インパクトがあります…。
ツバがぽんぽん飛んできましたけどそれも最前列の洗礼だと思っています。
歌に関しては申し分ありませんし、迫力もあるし、躍動感もなかなか凄いです。
歌詞で煽るんだけど煽るというよりは丁寧に癪に障る感じ?
チェって本当に不思議な存在だなって思って、エビータの味方なのかそうでないのか。
そういうどちらでもないような中立性も、芝さんの歌声には感じられました。
感情を込めるんだけど、その感情の込め方はあくまで客席に向けて訴えるものであって。
決してエビータに向けて情がこもらない、一線を画したような、そんな歌声。
なんだか上手く言えないですけど、まさに狂言回しとしての佇まいと歌声だなと思いました。
あとは、「虹の歴訪」でサンボの歌声を聴きながら首を左右に揺らしてリズム取っていた芝さんが個人的に可愛かったです(笑)
チェの立ち位置が未だによく分からないままですが、やっぱり誰に対しても情が入っちゃいけない役なんだろうなって観ていて思いました。
私がチェの存在をよく分かっていないのもあるし、エビータと実際にどういう関係があった人物なのかも全然分からないってのもあるんですけど。
作品の中では同じ場所にいながら違う時間を歩んでいる人間であって、もし誰かに感情移入するようなことがあればそれは狂言回しではなくただの観客になってしまう気がして。
そういうところも含めて、芝さんは演じるの本当に上手だなぁ…って思いました。
カテコでは手も振っていただけましたし、改めて芝さんのチェを観ることができてとても嬉しかったです。

ペロン:佐野正幸

私佐野さんをこんな近くで拝見したの初めてでしたが、とても優しそうなお顔をされていますね。
まあそれはさておき、佐野さんペロンを観ていて一番印象に残ったのが1幕冒頭のシーンです。
エビータの棺が運ばれてきて、中で眠っているエバの顔を見て、優しそうに微笑んだんですよ。
ずっと厳格な表情をしていたのに、エバを見たときだけそんな優しそうな表情をしていて、なんか一気に心を掴まれてしまいました。
ペロンにとってやっぱりエバはとても大切な存在だったのかしら…って思いました。
それから、「エリートのゲーム」での佐野さんは本当に可愛い(笑)
あのちょことんとした座り方ときょとんとした表情はなかなかずるいと思います。
そういえば、私なんの事前情報も入れないまま1回目を観劇したので、志音ちゃんと佐野さんではちょっと年齢が…って正直思ったんですよ。
でもペロンって50歳くらいの年齢?だそうで、あ、それなら問題ないかってことで納得しました。
そんなわけで、かっこいい姿を見せつつ、「自信がないんだ」と歌う弱気なペロンにもギャップやられますね。
あれだけ偉大な存在を見せつけておきながら、本当は小心者である…そういう一面に凄く惹かれますし、エバの強気な部分に引っ張られて立ち上がるペロンの人間臭さと自分を奮い立たせるかっこよさにとても感動しました。
そしてエバの晩年、やっぱりエバに向けられる佐野さんペロンの表情も声も優しさに満ちていて、やっぱり少なからずエバのことを愛していたんだろうなって。
エバを抱き寄せる腕も優しいですし、だからこそエバが最後まで野心に駆られてしまう姿に絶望してしまうときの表情がとても切なく見えました。
自業自得、その言葉がピッタリとでもいうようなペロンのエバを見る眼差し。
その残酷さにゾクッとしましたし、佐野さんのお芝居って本当に素敵だなぁ…って。
むしろ佐野さんの歌声もっと聴きたいレベルなので、もっと聴かせてくれって感じでした。
本当に、佐野さんのペロン素敵すぎて紳士すぎてとてもかっこよかったです。

観劇の感想・考察

気になった箇所の感想などを書いていきます。

相変わらずアンサンブルが豪華すぎる

鈴木涼太さんが抜けてしまったー、と嘆いていた私ですが、それでもサンボが豪華すぎる(笑)
涼太さんが抜けた代わりに岸佳宏さんが入りましたし、久居史子さんも入りました。
元からいる平田愛咲さんや小林由希子さんといった面々もいて、とにかくサンボが豪華すぎる。
平田愛咲さんはやっぱり指先や手先、表情も使った表現力に長けているなって観ていて思いました。
むしろエビータで観たいくらいです。
久居さんは相変わらずの声量で、坂本すみれさんや高田直美さんといったCFYカンパニーの面々のダンスはやっぱり美しいですし。
正直サンボを観るためにチケット追加したいくらい、目が足りないです。
逆に男性サンボが全然分からなかったので勉強不足でした…。
いやもう本当に凄いキャストが集結しているなっていうので、余計に満足度が高かったです。

後味の悪い不気味な不完全燃焼感

私がエビータの何に凄く魅力を感じたかっていうと、後味の悪い締め方なんですよね。
エビータがせっかく綺麗に歌い上げて、自ら舞台奥へと消えていって、その瞬間に天井からは花びらが散っていって。
まるでそれがエビータの命を表しているようで、最後のひとひらが落ちた瞬間、彼女の命も途絶えたんだなっていうのが分かる表現で。
そこで終われば、凄く綺麗で美しい壮大なエビータの物語として締めることができたはずなのに。
最後にチェが出てきて、「台が作られただけで、17年間彼女の遺骨は行方知らずだった」みたいなことを言って幕が閉じるわけですよ。
そこ凄く重要じゃない!?ってなるし、たったその一言を発しただけでチェはまたいなくなってしまうし。
しかも内容が内容なだけに、どうして遺骨が行方知らずなの!?ってなんか不気味に思えてしまうし。
事件性があったのか、何か別の企みでもあったのか…なんかとにかくゾクゾクってするわけです。
このなんかモヤモヤする不完全燃焼感がたまらなく私にとっては魅力に感じられました。
だって2時間にわたってエビータの美しくて儚い人生を描いてきたのに、最後がこんなにあっさりなんですよ。
そのアンバランスさと、わざわざその一言を入れる必要があったのかっていう、その不気味さがなんかたまらなくて。
美しいだけじゃ終わらない、やっぱりエビータの人生は恐ろしいというか、面白いというか。
ノートルダムの鐘も最後はカジモドが二体の白骨化した遺体の話をしますけど、あれとはまた違う感じですよね。
もっとこっちのほうが救いようがなくて、なんかあんな偉大な力を持っていたエバも最後はこんなにあっけなくて不気味に散っていったんだっていう…。
多分この一言があるとないとでは全然面白みが違うんだと思います。
いやぁ、もっとその17年間行方不明だった遺骨のことに触れて欲しいわけですよぉ…。
2時間ピッタリで終わるんだからもう少し伸ばせただろうに…。
この不完全燃焼さね、たまらないです…ああまた観たい。

まとめ

そういうわけで、2回目の観劇はとても素敵な席での観劇。
俳優さんたちのエネルギーやパワーを存分に浴びてきましたし、作品の魅力に憑りつかれてきました。

改めてこんな素敵な作品に出会えて良かったと思います。
志音ちゃんをはじめ、素晴らしいキャストの皆さんが演じ切った「エビータ」。
私にとってはこれがmy楽となりますが、とてもいい観劇締めになった気がします。

なんとなく観ながら、岡村美南さんがエビータを演じたら全然違っただろうなって想像して。
凄くしっくり来ると思っていたんですけど、逆にしっくり来ないなって(笑)
いや、もちろん観てみたいですけどね!
谷原志音ちゃんが素晴らしかったからこそ、他のキャスティングされている二人でも全然想像がつかないです。

そんな感じで、今回もとても有意義な観劇となりました。
次いつ観劇できるか分かりませんけど、また素敵なキャストで観劇したいと思います!

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