2019年6月23日マチネ 劇団四季『エビータ』




エビータ
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ゆうき
ゆうき

初めてのエビータ観劇

日時:2019年6月23日マチネ公演
場所:自由劇場
座席:2階S席1列11番




はじめに

キャストが発表されてめちゃくちゃ行きたくて仕方がなかったエビータ。
チケットも東京公演は完売で全然取れず諦めていたんですけど、ご縁があって急遽行けることになりました。

昔の自分は割と食わず嫌いなところがあったので、エビータは敬遠していたんですよね…なぜか。
でも、なんでもっと早く観なかったんだろう…って後悔したくらいに今日の観劇でエビータの魅力を思い知りました。

7年ぶりの再演だそうで。
本当にこのタイミングで再演してくれてありがとう!

初めての観劇なもんで、当たり障りのない感想しか書けませんがぜひご覧くださいー。

総評

全体の感想です。

キャスト:★★★★★
座席:★★★★
全体:★★★★★

皆さん超絶お久しぶりな方々でめちゃくちゃ素敵でした!
あとで書きますけど、とにかくタイトルロールの谷原̪志音ちゃんが素晴らしすぎて…。
そして以前から作品に出られている芝さんや佐野さんといった安定のメンバーがいて。
アンサンブルも目が足りないくらいに豪華で…。
もうエネルギーが凄すぎて、キャストにおいてはもう9,720円じゃ正直安いレベルでした。

自由劇場の2階席って他の劇場に比べてステージとの距離が凄く近いんですよね。
しかも2階とはいえ最前列なので遮るものは何もなくて、凄く観やすかったです!
ただ視力が低いもんで、メガネかけても表情がぼやけちゃったのが悔しかったなって。
そういう意味での星4でしたが、全体的に観ることができたので初回の観劇としては大満足です!

キャストや座席はもちろんですが、何よりストーリーや演出が凄くて鳥肌が立ちました。
李香蘭やジーザスみたいにチェという狂言回しが登場して、ある1人の人物の人生を描いていく物語。
やっぱりこういうので取り上げられる人物って凄く波乱な人生を歩んでいるわけですけど。
改めて、エビータという女性がどんな人生を歩んできたのか、そしてそれを観た私たちはどのように作品を受け入れていくのか…色々と考えさせられることばかりでした。
とにかく終始迫力が凄くて、これはぜひ一度は観るべき作品だと思います。
本当に本当に素晴らしい公演でした!

キャストの感想

気になったキャストの感想を書いていきます。

エビータ:谷原志音

観た人たちがこぞって絶賛しているのでちょっとは期待していたんですけど、その期待値を想像以上に超えていきました。
これまで観てきた谷原志音ちゃんとはまったく別人かと思うような、まさに新境地だと思います。
これまでの志音ちゃんって可愛い女の子っていうイメージだったんですけど、そのイメージを見事に覆してきました。
女性の可愛さはもちろん、強さ、しなやかさ、美しさ、醜さ、たくましさ、華やかさ…すべてが感じられる役でした。
エバが初登場するのは15歳で、若さが溢れた少女なんですけど、その若々しさや可愛らしさ、そしてその頃からあったたくましさが表現されていました。
逆に志音ちゃんって年齢よりも若く見えるので、まあ少女時代は大丈夫だろうなとは思っていましたけど、ちょっと背伸びして色気を身に纏い始めた女性らしさがあって15歳にしてはとても色っぽいエバで凄く良かったです。
そして「ブエノスアイレス」で迫力と力強さのある歌声を披露していて、これまでの役では聴けなかった志音ちゃんの声色を聴くことができました。
めちゃくちゃかっこよくて、最初の「こんちは!」から勢いがあって、その若々しさやワクワク感が伝わってきて凄く素敵でした。
とにかくエビータでは志音ちゃんのかっこよすぎる圧倒的な歌声を聴けるので、めちゃくちゃ興奮するわけです。
何より圧巻だったのは「ニュー・アルゼンチーナ」。
どこまで歌えるのってくらいの音域の広さと力強さで、めちゃくちゃかっこよかったです。
演説の説得力もあって、誰もがエバに注目してしまう、まさに谷原志音ちゃんの独壇場でした。
あんなにかっこいい志音ちゃんは観たことなかったですし、もう鳥肌が止まりませんでした。
いやもう歌に関してはただただ凄い…としか言えなくて、志音ちゃんが歌唱力高いのは知っていたけど、まさかここまで歌えるなんて思っていなかったので本当に驚いたんです。
男をとっかえひっかえする悪女なところも、顔面偏差値高いので凄く説得力あるし、男を手玉に取ってそうな感じ凄くしますもんね(失礼)
あと個人的にミストレスに言う「お嬢ちゃん」の言い方が凄く色っぽくてドキドキしました。
そんなわけでエバがだんだんと成り上がっていくんですけど。
ファーストレディーとなったエバがドレスを身に纏うんですけど、その姿がとても美しくて。
つい数十分前にあんな若々しい少女を演じていたのに、この変化は何!?って感じで。
見た目の成長はもちろん、精神的にも成長しているのが表現されていて、本当に志音ちゃんには驚かされてばかりでした。
そして本当に凄かったのは2幕ラストの晩年のエバの演技。
33歳という若さで亡くなっているので、おばあちゃんを演じるわけではなくて、ある意味今の志音ちゃんと同じくらい?の年齢の女性なんですけど。
先述したように志音ちゃんは年齢より若く見えるので、いくら同い年ぐらいの女性を演じるにしても見た目が若すぎるんじゃないかなって思ったんですけど…!
見事に、これまでの力強さとたくましさを持った圧倒的存在感のエバとは違って、弱々しくて今にも死に絶えてしまいそうな弱さや儚さを表現していました。
人ってたった2時間でこんなに変化できるものなの…って本気で驚いてしまいました…。
病に侵されているのにそれでも野心が絶えることはなくて、どこまでも図太い女なんだろう…ってなるのに、でもやっぱり病には抗えなくて。
そのどうすることもできないもどかしさとか弱さが、本当に観ていて切なかったです。
1人では立てなくなるほど弱体して何度も倒れて、それでも這い上がって「私を副大統領に」ってペロンに懇願するところとか、切なすぎて。
最後までエビータはエビータだったんだなって思わされる晩年でした。
死後、天井から花びらが散る演出も憎いなぁ…ってなりましたよ。
本当にあんな力強さ全開の志音ちゃんエバが、最後あんな弱体してあっさりと死んでしまうんですもん。
たった2時間の中で、こんなに儚いエビータの人生を見事に演じ切って、とにかく凄かったです。
なんかもうもっと細かく書いていこうとすれば全然書けるんですけど、キリがなくて…。
とにかく本当に谷原志音ちゃんの新境地を観た気がします。
まさかここまでエビータという女性を演じ切るなんて思わなかったですし、ひたすらかっこよくて興奮しかしませんでした。
期待をはるかに超えてきて、圧倒的な存在感とオーラと歌唱力と説得力で、観劇した人たちの心を掴むエビータでした。
志音ちゃん、エビータを演じるために生まれてきたんじゃないかって思います。
それくらいのハマり役で、本当に素敵でした!
昨日私は北村優さんのアラジンの女になって帰ってきましたけど、今日は谷原志音ちゃんの女になりました。
オールマイティーで今四季を支えるトップ女優の1人だと改めて実感しました、素晴らしかったです!

チェ:芝清道

まさか芝さんのチェを観れるなんて思わなかったので凄く嬉しかったです。
狂言回しとしてエビータの人生を冷静に見つつ批判する感じとか、めっちゃ既視感あってユダだなってなりました(笑)
だからこそなのか、やっぱり安心して観れるわけですよね。
一生懸命批判的に訴えかけたり、実はこの先の未来を知っているからこそ注意喚起をしてみたり。
そういう心の声や叫びが歌声にしっかり乗って、凄く心に訴えかけてくるんです。
芝さんの歌声凄く好きだし、「飛躍に向かって」とかも踊りながら歌うわけで、めちゃテンション上がりました。
ここ最近の芝さんはユダとかフロローとかトリトンとかでしか観てなかったので、あそこまで踊ってるの久々に観れて嬉しかったです。
ちょっと一箇所声が裏返ってしまったところもあったんですけど、それでも力強さは変わらずでしたし、個人的にはそこまで疲れている感じではなかった?ようにも見えるので、とにかく凄く曲の音程とか難しいんだろうなって思いました。
正直、狂言回しの立ち位置って演じるの凄く難しいなって思うんですよ。
でも芝さんって自然にそこに溶け込むのが上手で、多分その場に本当はチェって存在していないわけで。
だけど当然のようにいて、んー、なんていうか分からないんですけど…。
芝清道さんって正直かなりインパクトがある俳優さんだと思っているんですけど、見事に芝清道っていう存在を消している感じです。
語彙力がアレなんですけど、佇まいとか色々本当に凄くチェだなって思いました。
何はともあれ、芝さんのチェはとにかくかっこよかったです。

ペロン:佐野正幸

佐野さん観るのもかなりお久しぶりですね…。
一度観ただけではペロンという男性像を深くは理解できなかったのですが…。
なんか、大統領?でありながら割と小心者な感じというか、臆病なイメージがありましたね。
エバが野心家なだけあって、その対比がより濃く描かれていたように感じます。
でも佐野さんのピシッとした佇まいはもちろん、深みと厚みのある歌声は聴いていて凄くうっとりします。
あと、「エリートのゲーム」で最後ちょこんと座っちゃう佐野さんペロンめちゃくちゃ可愛かったのと、あまりに卑怯ながらも面白くて笑っちゃいました(笑)
彼は彼なりにエバを支えようとしたし国民に応えようとしたけど、最後はエバを見放してしまう…。
その切なさや彼女に対する失望というか悲しさとか、そういうのも声のトーンや歌声からしっかり感じられて、表現力の高さを改めて実感しました。
本当は凄く弱さを持った男性だけど、奮起して大きく成長していった佐野さんペロンがなんか切なくて、もっとペロンのこと自体を知りたいと思いました。
それにしてもさすが以前から出演しているだけあって、安定感が半端ないですね。
こうして7年ぶりの再演でも佐野さんのペロンを拝見することができてとても幸せでした。

マガルディ:髙橋基史

相変わらずの美声で、髙橋さんマガルディ凄く素敵でした。
声もそうだしご本人自体が凄くダンディーで色気があるので、歌声少ししか聴けなかったの勿体ないくらいです。
ちょっとセンチメンタルになるような深みのある歌声は本当に何度聴いても美しいです。
志音ちゃんとはリトマで共演していたこともあり、おいおい娘だろ!手出していいのか!みたいに一瞬リトマ脳になってしまいました…(笑)
が、あんな可愛い女の子に誘惑されたら勝てるはずがありませんね。
短い出演時間でありながら、なかなかのインパクトがあってとても良かったです。

ミストレス:藤原加奈子

ミストレスって1シーンしか登場しない女の子でしたが、凄く歌声綺麗でした。
志音ちゃんが迫力のある力強い歌声なのに対して、包み込むような優しい歌声でそのギャップも相まって良かったのかもしれません。
か弱さ全開で弱肉強食の世界でなら一瞬で食べられてしまうような、そんな弱さを感じさせました。
ちょっとミストレスは可哀想ですね…幸せになってほしいです。

観劇の感想・考察

気になった箇所の感想などを書いていきます。

豪華すぎるアンサンブル

プリンシパルの豪華さはもちろんなんですけど、アンサンブルが凄すぎて…。
だって鈴木涼太さんがアンサンブルにいるんですよ、ヤバいでしょ…(笑)
やっぱりサンボでも存在感ありましたし、むしろペロンで観たかったですわ。
他にも平田愛咲さんとか平田曜子さんとかいらっしゃって、凄すぎる…。
坂本すみれさんや高田直美さんといったCFYカンパニーの人たちもいて、見つけるたびに懐かしさと嬉しさが込み上げました。
いやもう本当にアンサンブルが豪華すぎたんですよ…目が足りない。

印象的な照明

2階席ということでステージの床とかもしっかり見えたんですけど、凄く色使いが綺麗だなって思いました。
床に設置されたサークル状の照明が色んな色に変わるんですけど、国旗の色を表現していたり道を表していたりと色んな役割を果たしていて。
凄くカラフルで、エビータの栄光とか国の明るさとか色んなものも感じられたような気がします。
照明だけでなく舞台セットもシンプルなのにそれが逆にエビータの作品の良さを出している感じがしました。
どうも上手く表現はできないけど、舞台美術も本当に綺麗で美しいなって思いました。

エビータを観て学んだこと

こういう実録系の作品を観ると色々と自分の人生を振り返ってしまうものなんですけど…。
この作品では15歳から33歳までのエバの人生が描かれていて。
最初は田舎娘として立場が低いながらも野心だけは人一倍で、そんな彼女が男を渡り歩いて成り上がり、最後にはファーストレディーの座を射止めるわけで。
その野心とか追求心が凄いなっていうのと、彼女がもっと長く生きていたらもっと違う結末があったんだろうなって色々と考えてしまったんです。
そんな中で晩年のエバが「もし100年あったら何でも出来るわ」って歌うフレーズがあって。
これを聴いたときに、凄くハッとしました。
たった10年で玉の輿に乗ったエバだからこそ、この言葉には凄く説得力があって。
彼女がもし100年元気に生きていたら、もっと色んなことをしていたんだと思います。
でも残念ながら病に倒れて、33歳という若さで亡くなってしまいます。
人生は短いからこそ儚いとは言いますけど、エビータはこの短い人生で彼女のやりたいことに真っ直ぐに突き進んでいき、野望を次々と実現していきました。
私みたいに何気なく毎日をただダラダラと過ごしている自分とは大違いで。
彼女はまだまだやりたいことがあったにも関わらず、人生の幕を下ろしてしまいました。
なんていうか、上手く言えないんですけど、自分の気持ちとか希望とかに正直になることって大切だなって。
もちろん野心を強く持つだけでは実現できないし、行動を起こしたからこそエバはここまで上り詰めることができたわけで。
それって誰でもできることじゃないから、エバが凄いんですけど、でも彼女はまだまだ生きたくて、多分悔いはあったと思うんです。
あれだけやりたいことを実現しても悔いが残るって、相当凄いなって思いました。
人生は一度きりだからこそ、悔いのないように生きなきゃなって強く実感しました。
自分が33歳になる頃には何してるかなんて全く想像つかないですけど、いつ何が起こるかなんて分からないですし、悔いのないように生きても悔いなく死ねるとは限らないですけど。
それでも、自分の気持ちとか希望を強く抱いて、しっかり行動を起こそうと思いました。
あれだけ力強さを発揮して威厳を見せていたエバも死ぬときはあっさりで、本当に人間の人生って儚いなって今一度実感させられました。
だからこそ、自分も最後は儚くたって今を楽しく生きられたらそれでいいやって。
本当に観劇って色んなことを学ばせてくれるなって思って、改めて観劇の楽しさを実感できました。

まとめ

そんなわけで衝撃を受けまくったエビータ初観劇。
志音ちゃんのエビータで初めてを飾ることができて、とても幸せでした。
そしてこんなに面白い作品だと思っていなかったので、凄く楽しめました。

次はもっと近くの席で表情を楽しみたいし、色んなキャストで観てみたいって思いました。
食わず嫌いしていちゃいけませんね、もっと色んなことに興味持とう!
でも本当に今日行くことができて良かったです。

やっぱり浅利慶太さんは偉大だなって強く感じました。
またいつかご縁があれば観劇したいです!

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