2015年5月30日マチネ 劇団四季『ジーザス・クライスト=スーパースター(エルサレム)』初日




JCS(エルサレム)
この記事は約8分で読めます。
ゆうき
ゆうき

初日そして私の初JCS観劇でした!

日時:2015年5月30日マチネ
場所:自由劇場
座席:2階A席5列15番




はじめに

まだまだアラジンが開幕してアラジンムードではありますが…。
自由劇場ではジーザス・クライスト=スーパースターが本日開幕しました。
これまで観劇してこなかったから、この機会に観ようと思って。

正直、キリストとかそういう話苦手だったので。
絶対この作品も私には合わないだろうって思っていて。
ずっと食わず嫌いしていたんです。
でも、四季に再燃してからは食わず嫌いするのはなるべくやめようと思いまして。
せっかくなので観てみようと思い、初日取りました。

とりあえず一言言うとすれば、ハマった(笑)
あまりの衝撃にもう震えがとまらず、凄く胸打たれました。
CFYとかマンマみたいな観ていて楽しくて幸せになれる作品が結構好きなのですが。
これは、人間の嫌な部分がストレートに描かれていて。
とにかく人間の心の奥底に潜んでいる邪悪な感情とかが凄く表現されているなぁと思いました。

キャストの感想

気になったキャストの感想を書いています。

ジーザス・クライスト:神永東吾

とても良かったです。
歌も凄く上手でしたし、裏声も凄く綺麗でハイトーンも素晴らしかった。
ジーザスが神として崇められ、しかし苦悩していく姿が凄くヒステリックでした。
常に毅然とした表情で群衆の前に立ち、自身も神になろうとしている姿もどこかちっぽけで。
ふとした時に見せる切ない表情とか、寂しそうな表情が絶妙。
ジーザスという男の強さも弱さも美しさも醜さも、しっかり伝わってきました。
何より、鞭打ちの刑を受けるシーンの演技は息を呑むほど。
痛みに顔をしかめ引きずられそれでも抵抗もせずにひたすら痛みに耐える姿。
演出自体も恐ろしいものがありましたが、彼の表情や仕草がそれを物語っていました。
服を剥がされ十字架に掛けられ、死ぬ直前の表情も凄かったなぁ…。
ジーザスがいかに普通の人間に過ぎないかという人間くささが見え隠れする。
そういう意味でも、神永ジーザスはとても美しくて素敵でした。

イスカリオテのユダ:芝清道

芝ユダが観れたのは本当に嬉しかったです…!
芝さんのスーパースターはフェスでもMフェアでも聴いていますが。
本家で聴いたことはなかったので、聴けたのがとても嬉しかった。
やはり長年やられているだけあって貫禄もあるし、立ち姿そのものがユダでした(褒めてる)。
ユダもやっぱり人間くささがあって、俯瞰的に物事を見る力もありつつ、でも欲にも勝てず。
カヤバに金を出されて、その欲に勝てずにジーザスを引き渡してしまう姿。
そんなものはいらないと言いつつも体は勝手に動いてしまい。
こういうところも人間のどうすることも出来ない憎い部分でもありますね。
しかし、結局自分の罪に苦悩して自殺してしまう。
なんとなくレミゼのジャベールっぽい部分もあるかなぁ…と思いました。
やっぱり芝さんのそういうシーンでの仕草も表情もおぞましいものがあって良かったです。
そしてスーパースターでの圧巻の歌声。
凄くかっこよかったです、芝さんのパワフルな歌声に痺れました。

マグダラのマリア:観月さら

とても美しかったです。
ソプラノも綺麗でしたし、立ち居振る舞いがとても優雅というか。
指の先まで凄くしなやかで、ジーザスがキスさせるのも分かるような聖母感。
「私はイエスがわからない」って曲かな。
マリアのソロ曲ですが、ジーザスを可愛く思い好きであることを実感する歌詞。
温かさも感じられるマリアの優しい歌声が凄く心に響きました。
山本紗衣さんもキャスティングされているので、ぜひ山本マリアも観たいものです。

カヤパ:高井治

やっぱり高井さんの歌声は凄いなぁ…。
なんだろうあの厚みのある素敵な歌声は。
やや歌詞が聞き取りにくいようなこもった感じがあるのは否めませんが。
しかしやはり高井さんの歌声は凄いとしか言えないです。
舞台の構造がかなり急斜面であるため、上から歩いてくる時自然と歩き方が後ろのめり?になるけど。
高井さんの歩き方がかなり慎重で、より威厳があるようにも見えましたけど少しかっこ悪かったかな。
でも、高井カヤパのジーザスを恐れる感じが歌声や表情からは読み取れなかったけど。
そんな威厳の中に感じられる不安が、上手に出せていたように思えました。

アンナス:吉賀陶馬ワイス

ワイスさんの歌声本当凄い…!
あの高音も見事に出せていたし、鳥肌が立ちました。
しかし、ワイスさん声が本当に若い。
カヤパと比べて少しは動揺する表情とかが分かりやすかったかな。
とても歌声にインパクトのある、いい脇役だったと思います。

シモン:佐久間仁

最初、この歌上手い人誰だろーって思いつつ、キャスト表見たらまさかの佐久間さん。
CFYでたくさん観たところで作品変わっちゃうと全然分からないや…。
いやぁ、とても歌が上手だし狂信者シモンっていうのがぴったりなくらい狂う姿がおぞましい。
やっぱり佐久間さんかっこ良かったです。

ペテロ:飯田達郎

達郎さんが稽古写真にいることが結構話題になっていましたね。
その時ペテロとかヘロデ王とか色々予想が飛び交っていましたが。
私にはそのキャラクターたちの名前すら分からずって感じでしたが…。
パンフ見たら、どちらにもキャスティングされていました。
ペテロも最初の方は普通にアンサンブルさんたちと一緒にジーザスを崇める信者の1人。
まぁ、遠目からでも達郎さんは見つけれましたが…。
やはり達郎さんも歌が本当に上手だし、歌声好きだなぁ。
ジーザスを裏切る時の怯えた表情とかも人間くささがあって良かったです。

ピラト:青井緑平

青井さんの歌声も凄い…!
安定の圧巻の歌声でした、鳥肌がとまらなかった。
ジーザスを責め始めた群衆たちを見て動揺する姿とかも良かった。
しかしそのあと、鞭打ちにする時の毅然とした表情も恐ろしさを感じましたし。

ヘロデ王:北澤裕輔

このキャラクターってあれしか出てこないんですね…。
その割にかなりインパクトの強い役でした。
ヘロデ王って純粋な女好きでいいんだよね?
ところどころ動作に女性らしさが垣間見えたんだけど、そっち系?
周りに女侍らせてたし、ノーマルですよね多分。
しかし、北澤さんのヘロデ王…なんというかこれは合っているのかな?
他の人のを観てないしどういうのが正解とか分からないですが。
なんだか少し違和を感じたのは、どうしてだろうか。
でもやっぱり北澤さんかっこいいし歌も上手いし素敵です。
ただやはりダンスは苦手なんでしょうかね(笑)

まとめ

初見の感想なので、多分、ん?って思うところたくさんあるかと思います。
とりあえず皆さん歌が凄く上手いし、ただ上手いだけじゃなくて音域もかなり広くて。
ハイトーンが凄く生きる曲がたくさんあるのもあってか余計にそれを感じました。

曲も凄く衝撃的なものもありますし、アンドリュー・ロイド=ウェバーやっぱり凄いってなりました。
ロックオペラなので他の演目にはあまりないギターの音色とかも生かされていて。
オペラ座にも通じるようなおぞましさが音楽から感じられたりもして。
この作品の世界観が、キリストという神話?を扱っているのにやや音楽で軽くなって。
内容自体はかなり重めなんだけど曲がロックだから、少しそれが緩和される。

これによく似た作品があって、劇団✩新感線の『SHIROH』っていう作品です。
天草四郎と益田四郎時貞という2人のシロウの話なんですが。
これもやはりキリストを扱っていて、なおかつロックミュージカル。
狂信者たちのどこかおぞましい姿が描写されていて。
凄く似ているなぁって思いました。
気になった方はぜひ観てみてくださいね、DVD出てるので(笑)

そしてこの作品で描かれるそれぞれの人間くさい部分。
人の移ろいやすい心が、至るところで描かれている。
そのシーンを観るたびに凄く胸に突き刺さるような感覚に襲われました。
結局人間は、自分のいいように相手を利用するのだな…と。
もちろんすべての人間がそうではないけど。
ユダもジーザスを愛するが故の裏切りではあるのでしょうけども。
ペテロも自分を守るために彼を裏切り。
信者たちも手のひらを返すようにあっさりと彼を裏切り。
裏切るつもりはないのだろうけど、いざとなった時に自分を犠牲にしてでも誰かを守りたいと思えなくて。
自分を守るために誰かを犠牲にしてしまう、という人間の弱い心。
ストレートに描かれたそういう人間の憎き部分に、恐ろしいほどの衝撃を受けました。

衝撃を受けるという意味ではそれだけでなく、この作品自体のおぞましさも。
「怖い」という恐怖の感情が私を支配するかのように、その光景から目が離せなくなりました。
狂ったように神と崇める人間に救いを求める群衆たちの姿。
ことごとく他人を裏切って自分を守ろうとする人物たち。
ジーザスの鞭打ちの刑。
もう、これらすべてが怖くて、金縛りにあったかのように動けなくなってしまいました。
怖かったのに、それにどんどんのめり込んでいくような不思議な感覚。
この作品には熱狂的なファンが付いていますが、その気持ちが凄く分かりました。

本当に観て良かったです。
それにしても初日だからなのか、盛り上がりの欠けようが…。
曲が終わっても拍手は起きないし。
拍手が起きたとしても凄くまばらで…。
いつもこんなもんなんですかね。
でも、カテコではスタンディングオベーションで何度もキャストが登場していて。
うーん…どんな感じに盛り上がっていいのかよく分からん(笑)

とりあえず千秋楽にチケットは取っていますが、もう1度観たいかな。
A席学生料金で3000円だし。

あ、初日ということもあり劇場には吉田社長と浅利さんが。
お二人が並んでいることにとてもドキドキしました。
また、終演後の出口には味方さんも一緒に並んでおり。
なかなか緊張感のある初日でした。

とにかくとてもいい作品に出会えました!
また行きます~。

0

コメント

タイトルとURLをコピーしました