2021年11月3日ソワレ 大人計画『パ・ラパパンパン』初日




演劇全般
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ゆうき
ゆうき

松たか子さんに会いに来ました!

日時:2021年11月3日ソワレ公演(初日)
場所:シアターコクーン
座席:S席1階G列21番




はじめに

どうも!相変わらず冬コミの原稿に追われて観劇どころではないゆうきです。今回はマチネに劇団四季の『ユタと不思議な仲間たち』を持っていたのですが、あまりにも原稿がヤバすぎるので観劇してくださる方にお譲りいたしまして…。

でもこれだけは何が何でも行きたい…!ということで原稿で死にそうでしたけど息抜きにやってきました。私にとって2020年8月の『イヌビト』以来の松たか子さんです!会いたかったよ大豆田とわ子~~~!

もうこの2ヶ月、劇団四季観てないですよ。もはや自分は何のオタクなんだ…と分からなくなってきています。一応近況をお伝えすると最近は『ドクターX』にハマりました。米倉涼子さん演じる大門未知子と内田有紀さん演じる城之内博美の「ひろみちこ」に悶えております。

…と早速話が脱線しましたが、『パ・ラパパンパン』初日をしっかりと見届けてきましたので、レポ頑張ります。気になる方はぜひ最後までご覧くださいませ!

※以下ネタバレ含みますので、ネタバレ嫌な方は回れ右でお願いします!

総評

全体の感想です!

キャスト:★★★★★
座席:★★★★★
全体:★★★★★

大人計画の舞台を観るのは去年の『フリムンシスターズ』以来2度目です。前回のフリムンは座席もあまり良くなく作品自体もうーん…という感じだったので、正直不安でいっぱいでした。松たか子さんが出ているとはいえ、自分に合う作品かなとドキドキしていたんですよ。

でも、その不安は見事に拭い去られ、良い意味で期待を裏切られました…。正直めちゃくちゃ面白かったしめちゃくちゃ良かったです!多分今年イチ腹がよじれるくらい笑ったんじゃないかなってくらい笑いました。観劇していて酸欠になりそうになったのって今回が初めてなんじゃないかしら。普段はクスッと笑うくらいなんですけど、今回はマジで声出して何度も笑いました。お笑いライブ並みに笑いましたわ…。

まずは簡単にあらすじ紹介から…。

鳴かず飛ばずのティーン向け小説家(松たか子)は困っていた。つい雰囲気に流されて、書き方も分からない「本格ミステリーを書く!」と宣言してしまったのだ。
担当編集者(神木隆之介)は呆れながらも構想を尋ねると、どれも見事にアガサ・クリスティーの超有名なミステリーのパクリや犯人が一瞬で分かる設定。あれこれ修正すると作家は逆ギレする始末。
仕方なく編集者は構想を手伝うことにする。作家は壮大なイメージだけは描いており、世間はクリスマスシーズンという思い付きから「クリスマス・キャロル」の世界を舞台にし、そこに登場する極悪非道の貸金業者・スクルージ(小日向文世)が殺されるというミステリーを考え始める。 やっと書き終えたと安心して寝ようとした瞬間、「彼は犯人じゃない!!!」と気づいてしまう。書き直しをしようと慌てて編集者に連絡を取ろうとしたその時、現実でも事件が起きる――。

ということで、ミステリー小説を題材に物語は進んでいきます。たいていミステリーものってダークでシリアスなイメージですが、大人計画の手にかかればミステリーもコメディになってしまう(笑)

とにかく色んなネタをぶっこんでくるので不意打ちで笑うし、大の大人たちがこんなにも真面目にふざけるとこんなにも面白いのか~というのをひしひしと感じました。劇団☆新感線みたいな開き直り感はあったかもな。清々しいほどにふざけまくっていたので1幕は本当にあっという間でした。

なんなら開演前の松尾スズキさんのアナウンスから笑わせに来ていて、タイトルの「ラパパンパン」が上手く言えず「ラパパンパパパパパン祭り……」と松たか子さんネタをぶっこんで来ました。抜かりないですよ、マジで…。

ちなみに上演時間は1幕が1時間20分、2幕が1時間30分です。

特に1幕は体感5分です。ひたすら笑っていたらもう1幕終わっちゃった…っていう感じだったので、2幕もきっとあっという間なんだろうなぁと思いましたよ。それくらい笑いどころが多くて、客席も常に大爆笑でした。

突然松たか子さんと小日向文世さんが一緒に側転し出したり、東京03ネタをぶっこんできたり、有名BGMを使ってコミカルさを出したり…とにかく大胆に色んなことを堂々とやるので、マジで腹がよじれるほど笑うと思います。ミステリーって何だっけって感じです、1幕はね。

2幕になると1幕とは雰囲気が変わって、物語の核に迫っていきます。コメディだなんだ言いましたがミステリーものなので、事件の「犯人」が存在するわけです。その犯人が誰なのかを追及していく流れに突入していきます。途中途中でおふざけを挟みますが、かなりシリアスなテイストに突入。でもギャグは時々挟む…。ギャグを挟まないと死んじゃう病にかかっているのかもしれません。

だけど、この犯人追及の流れとトリックは「そういうことか~」と思わず納得してしまうほど、しっかりとこれまでの物語に散りばめられた伏線を回収するものでした。あれだけおふざけしていたのに演出が抜かりない…!

そういう意味でも完成度めちゃくちゃ高いなと思いました。初見だけでは見落としている点もたくさんあると思うので、「そういやあれってどうなったんだっけ?」ということがもしかしたらあるかもしれないのですが…。それでも最後はしっかりミステリーとしても締めつつ作品そのものとしても締まる終わり方だったので、とっても大満足でした。

特に小日向文世さん演じるスクルージを殺そうとした真犯人が、「絵」だったという展開は「おお~」となりました。観てない方はこれだけ読んでも「?」ですよね。ちゃんと説得力のあるトリックになっているので、実際に観て真相を知っていただけると納得できると思います。

最初はスクルージが誤って自殺…?というミスリードに引っかかって「それは安直すぎるよ…」と編集長、浅見と同様に心の中でツッコミましたけど(笑)あらゆるミスリードをしつつも、ちゃんと真犯人は別にいた…いたというか、あったという流れはとても面白かったし興味深かったです。ミステリー作家として駄作を書き続けてきた松さん演じるてまりが、急成長を遂げる瞬間はとても痛快でした。

そして小説の中で起こったことが現実ともリンクする…という終盤の流れも良かったです。そもそもこの作品は、現代と19世紀をリンクさせながら展開していく演出が多用されていました。今を生きる、松さん演じるてまりと神木くん演じる浅見。本作においてこの2人は言わばストーリーテラーの役割を果たしています。1幕も2幕もほぼ出ずっぱり状態でした。

彼らが下手寄りのほうでパソコンと向き合いながらどんどん物語を執筆していく。それと同時に舞台上ではその小説の物語が展開されていく。そのため、てまりや浅見の書く展開によって小説内の登場人物たちが自由自在に動いていく。これらを舞台上で同時展開することによって、現代と19世紀とかリンクしていくんです。

作中でもたびたび出てくるのですが、当時の19世紀にはなかった言葉や音楽が小説内で使われるたびに「これは19世紀には誕生していませんから!」と浅見のツッコミが入りました。てまりが「19世紀のことなんて分からないもん」と無知な発言をして、当時の世界観は丸無視に現代の要素を取り入れながら小説の執筆を続けていきます。このてまりと浅見の掛け合いといい、ハチャメチャなことをしていく19世紀の登場人物たちといい、とにかく面白かったです(笑)

1幕はそんな風にして小説の外側で物語を動かしていくてまりと浅見ですが、2幕になると何が起きたのか彼らが物語の中に入り込んでしまいます。凄く唐突な感じもありますが、実際に登場人物たちと交流していくことで見えてくるものがあって、現代ともリンクしていって…とどんどん物語が大きく動いていきます。1幕と2幕とで、てまりと浅見の作品における立ち位置が大きく変わるので最後まで飽きずに観られたというのが私の感想でした。

構成を変えることでマンネリ化もしないし、作家本人が小説の中に入って物語をかき乱していくっていうのは凄く観ていて面白かったです。登場人物たちのことをすべて知っている生みの親・てまりと、てまりのことを何も知らない登場人物たちの掛け合いも微妙にズレが起こっていて、それが笑いに繋がっているのも最高でした。もう、とにかく面白かったとしか言えません(笑)

コメディとシリアスとミステリーとのバランスも絶妙だったし、3時間超えの作品なのに本当にあっという間でした。すっごく面白かったです。ちょこちょこ歌もあるから単なるストプレってわけでもなくて、ミステリーだけど全然ずっしりした重めの話でもないので、ガッツリとシリアス寄りなミステリー作品を期待して観に来た人は期待外れかもしれませんが、良い意味で期待を裏切られるのは確かだと思います。

ちゃんとしっかり最後も締まるから後味も悪くないですし、本当にスッキリ爽快と楽しめる作品でした。もちろん俳優の皆さんもお芝居が上手いからこそ観続けられたっていうのもあるし、質が良かったです。時期的にもクリスマスがもうそろそろ近づいていますし、扱う題材的にも季節感があってよりワクワクと楽しめました。

ただ初日なのもあってか、緊張してなのか、噛む人がめちゃくちゃ多かったかな~。まあ仕方ないっちゃ仕方ないんですけど、あまりにも多かったのでひええ~って感じでした。特に笑いをかっさらうようなセリフのところで噛んじゃダメよね(笑)こういったミスは初日ならではなのかもしれませんし、今後は減ることを期待したいです…。

でも本当にお芝居は皆さんめちゃくちゃ上手かったんですよ。すっごく面白かったです。作品自体もかなり気に入ったので、またチケット取れたら観に行こうと思っています。本当に皆さんにも騙されたと思って一度観てみてもらいたいです。

ちなみに今回はG列の一番端っこだったんですけど、それでもほぼ見切れなく観ることができました。前回のフリムンはコクーンシートで観たのですが、コクーンシートは見切れしかないと言っても過言ではないくらい最悪の席でしたが、1階S席ならどこでも問題なさそう!それもあって観劇に集中できて良かったです。

初日の挨拶とかは特にありませんでしたが、カテコでは小日向文世さんの肩を組みながら歩く男前な松さんを観られました。『HERO』などで共演されている2人ですから仲良いんですねぇ。そんなほっこりした瞬間も見届けられて嬉しかったです。

そんなわけで事前情報なしで観劇しましたがすっごく楽しめたので、観に行って大正解でした。そして松たか子さんはやっぱりいいな~というのを再認識できた観劇でした。せっかく近場の渋谷で上演されているんだから何度でも観に行きたいです。マジでまた観に行きます…!

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