2015年7月22日マチネ 『かがみのかなたはたなかのなかに』

演劇全般
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ゆうき
ゆうき

松たか子さん出産後初舞台!

日時:2015年7月22日マチネ公演
場所:新国立劇場小劇場
座席:Z席RB列22番

はじめに

これ、デスノートか何か観た時にチラシが入ってて凄く観たいなぁって思ってたんです。
HERO見て色々と熱が戻ってきたし、雨宮役の松たか子も出てるし…行くしかないと思い、行きました。
10時から当日券が先着10名で販売されるんですけど、9時30分に着いて9番目でした…。
あと1分遅かったら買えなかったです(;´∀`)

とりあえず、あらすじ書きますね。

【あらすじ】
夏。兵隊さんのタナカと、鏡のむこうのカナタは、おたがいの孤独に同情し、さみしさをなぐさめあう。
ある日タナカは、鏡の向こうのケイコにひとめぼれ。つられてカナタもケイコに恋をする。
向こうでカナタがケイコに近づくと、タナカはこちらでコイケに近づいてしまう。
コイケは鏡にうつったケイコ。コイケはケイコとは比べものにならない。
ケイコを取りあうふたり。それがだんだんうれしくなるケイコ。
鏡をはさんで、タナカとカナタ、ケイコとコイケは行ったり来たり・・・・・・。
はたして4人はどうなってしまうのでしょう?

なんとなくあらすじを見れば分かるかと思いますが、「鏡」をモチーフにした作品です。
タナカとカナタ、コイケとケイコ。
この2組が鏡を通してそれぞれの自我を発揮し、物語が展開していきます。
子供向けの作品なので、ちょっと甘く見ていた部分がありました。
しかし…これは最後、背筋が凍る結末が用意されていました。

開演前にロビーにいると、なんか…変な人が歩いてきました。
海軍の服を着て無表情で歩いてるこの人は…と思って見てみたら、首藤さん。
この作品、開演前にキャストが海軍服を着てロビーを歩いてます(笑)
あまりの異様な光景に、ロビーにいた誰もがびっくりしていました。
私がちょうど立っていた場所に、キャストが立ち止まって方向転換したりするので結構がっつり見れました。
松たか子さんもロビーを歩いてきました。
さすがに松さんは子供にも知られているようなので、松さんを見た子供たちがキャーキャーと騒いでました。
ちょうど私の目の前に立ち止まりましたが、いやぁ…38歳とは思えないくらい肌綺麗なんですけど。
身長は私よりやや高いかな。
子供たちの前に立ち止まると、その子をじっと見て敬礼してました。
長塚さんもちょうど私の前で立ち止まりましたが、生で見るとかっこいいです…。
睫毛がとても長くてびっくりでした。
そんな感じで、開演前にも面白いロビパフォがあったり…。
こんな間近で松さんを見れるなんてこと一生ないでしょうから、とても貴重な経験が出来ました。

キャストの感想

気になったキャストの感想を書いています。

タナカ 首藤康之

喋り方も色々と落ち着いていたように感じます。
ダンサーさんだけあって、凄く動きにはキレもあって良かったです。
体を使って表現する部分が多いので、その点でもダンサーさんの身体が活かされたと思います。
芝居面では、とても静かな感じを受けるというか。
全体的に落ち着いていて、それが終盤でタナカの狂気をより一層感じさせるのに効果的でした。
カナタとは対照的に真面目で落ち着いた雰囲気のある、かっこいい一面がありました。

カナタ 近藤良平

コンドルズでも振付家として活躍されている近藤さん。
首藤さんと同じく、やはりダンサーとしての身体表現は素晴らしかったです。
喋り出すと、結構独特だなぁとは思いました。
ケイコに対してだけだったかな…?
ちょっと甘さを含んだ、キザな喋り方が面白いなぁと思って観ていました。
タナカと対照的にあまり体力もないようで、結構怠ける一面があるカナタ。
笑いを取るのも上手で、タナカ役の首藤さんとの息もぴったりでした。

コイケ 長塚圭史

長塚さんのこと、ずっと観てみたいと思ってたのがようやく念願叶いました。
とりあえず…長塚さんのコイケは反則です(笑)
鏡に映るケイコの姿が、長塚さん演じるコイケなわけで…。
そうなると、コイケも女性…ということで女装して登場した長塚さん。
ピンクのひらひらのスカートを履いて、ロングヘア…。
ピザの配達人として舞台上に登場するのですが、その帽子と服を取った瞬間に現れる女装の長塚さん。
もう、衝撃的でした。
隣に並ぶ松さんが華奢なだけあって、そのガタイの良さとか長身があまりに奇妙でした。
見た目のインパクトもかなり強いのですが、喋り方も女性らしさがあって…なんか気持ち悪いんです。
鏡に映るケイコが自分自身の姿だと思っているから、自分は可愛いと凄く自信を持って言っていて。
その自信の高さはどこから来るんだよって思うくらい、傲慢というか強引というか…。
タナカやカナタに積極的に迫る姿がまたおかしくて面白いです。
やはり女装しているだけあって、その一挙一動がどれも面白くて客席からも笑いが起こっていました。
いや、衝撃的なんですよ…うおって思っちゃうんですよ。
でもなんか、いつの間にかコイケが可愛く見えてきちゃうんです…なんか悔しい!笑
仕草とか、女性らしくしているつもりでもやっぱりどこかガサツで男が出ていて、いかにも女装なのに。
なんかいつしか可愛く見えてきちゃう不思議。
これは反則ですわぁ…長塚さんのお芝居も魅力があったからこそコイケが生きたのは言うまでもなく。
しかし、強烈な印象がありつつも、ラストでの無言でありながらゾッとさせるような佇まいには息を呑みました。
さすが舞台人、演出もそうですが、お芝居の見せ方もとても面白くて素敵でした。

ケイコ 松たか子

松さんを舞台で観るのは実に9年ぶりでした。
出産後初の舞台出演ということで、出産してからまだ4ヶ月なのにもう復帰されてるとは…。
相変わらず松さんのお芝居はエネルギーを感じられて、とても好きです。
今回は芯の強い女性の役ではなかったけど、やっぱり力強さがあって松さんのお芝居好きだな。
鏡に映るコイケの姿を見て、自分が「可愛くない」と自信をなくすケイコ。
そんなネガティブな感じが弱々しい演技から感じられて、それがより一層ケイコの魅力を引き出していました。
作中でもケイコがタナカとカナタから好かれるように、本来の姿はとても可愛らしいのにそれに気付いてない。
自分の魅力に無自覚な一面が凄くキュートで、ネガティブなのに華があるという不思議な魅力を放っていました。
実際、紅一点なのもありより可愛らしさが協調されますが、華奢なのに男性陣に負けず劣らずな演技の力強さです。
そういえば劇中、紙テープを客席に投げるという演出がありましたが…。
コイケはちゃんと客席に向かって投げられたのに、ケイコはそれどころか後ろに投げてしまいました。
これは演出?それとも松さんのミス?
でも、コイケは前向き思考、ケイコは後ろ向き思考なキャラクターなので、それすらも演出かもしれないですね。
と、登場してからしばらくはネガティブなケイコですが、タナカとカナタが取り合いを始めて行くとだんだん嬉しそうに。
自分が男の人から好かれていて取り合ってくれることが嬉しいのかな?
そして、だんだんとケイコの行動が以前のコイケのような大胆なものになっていくんですね。
ここの演出は上手いなぁと感じました。
鏡に映るもうひとりの自分(コイケ)は自我を持って別の人間として動きます。
最初こそ見た目も性格も正反対のコイケとケイコなのに、次第にケイコがコイケのようになっていく(行動面で)。
やっぱり、結局は鏡に映る姿というのは自分自身なんだなということを感じさせられました。
しかし、こんな可愛らしいケイコに待っているのは恐ろしい結末。
ラストのケイコのシーンは、松さんらしい力強い演技を観ることが出来ましたがそれがより一層ゾッとしました。
たどたどしい歩き方と必死に何かを叫んでいるのにそれが上手く観客に伝わらない寂しさ。
ここの松さんのお芝居、表情、佇まいはとても恐ろしさを感じました。
久しぶりの松さん、とっても素敵なお芝居をされていて改めて好きだなと思いました。
彼女の歌声がとても好きなのでいつかミュージカルの方にも復帰していただけたら嬉しいです。

まとめ

何度も書いてますが、この作品のモチーフは「鏡」。
鏡に映し出される自分というのは、本当の自分なのか、虚の自分なのか。
そういったことを考えさせられる作品でもありました。
実際に自分が鏡を見た時に、そこに映し出される鏡の向こうの自分が自我を持って動き出したとする。
そうしたら、私と同じ動きをするのか、それともまったく違う動きをするのか。
タナカとカナタのように、似たような動きをするのか。
コイケとケイコのように、まったく違った姿として性格として動き出すのか。
この対照的な2組の姿を観ていて、色々と考えさせられました。

しかし、最初こそ見た目も性格も真逆なコイケとケイコ。
タナカとカナタがケイコに恋をして、邪魔なコイケを消そうとする。
3人で計画を実行し、コイケを消してしまいます。
邪魔者がいなくなり、どちらがケイコをものにするか争い出すタナカとカナタ。
これまでずっと自信がなく自分の魅力に無自覚だったケイコが、取り合いをされていくうちに大胆になる。
先ほども書きましたが、その大胆さが以前のコイケとまったく同じような動きを取り出す。
結局、自分という存在は鏡の中で違った動きをしていても自分の真の姿なんだなと気付かされます。
もちろん現実には鏡を見たところで、自分と違う動きをするなんてことはありません。
でも、たとえ違った動きをしても、それは自分の真の姿なんでしょうね。
「鏡」という自分自身を映し出すものをモチーフにすることは、自分の存在を再認識するのに成功していたと思います。

ただ、子供たちに考えてほしい部分として「邪魔だから消してしまおう」というタナカとカナタの言葉。
現代のいじめの問題とかにも繋がる考え方だと思います。
この作品では、邪魔なコイケを消したことでケイコという存在が1人になりました。
こちらの世界と鏡の向こうの世界。
そのどちらかにしか彼女は存在しなくなった。
鏡を見ても、その鏡には誰も映し出されなくなるということです。
そんな彼女を、どちらがものにするか争い争って、結果勝敗をつけられなかったタナカとカナタ。
それはお互いが自分自身だから。
どちらかを消そうとしても、消すことが出来なかった。
勝敗をつけるのをやめた。
それなら、2人でケイコを半分にしてしまおう。
そう言って斧?包丁?を持ち出し、ケイコの元へ向かっていく2人。
この時、鏡の向こうにいたはずのカナタがこちらの世界に来てタナカと一緒にケイコを襲うんですね。
下手の奥に捌けていたケイコの悲鳴が聞こえると、舞台は静寂に包まれます。
すると、たどたどしい歩き方をしたケイコがやってきます。
その顔と体の真ん中に線が入っていました。
タナカとカナタによって体を半分にされたケイコは、こちらの世界と向こうの世界の境界線に立ちます。
そして、その境界線から出られなくなり、必死に「助けて」と叫ぼうとします。
しかし、こちらの世界と向こうの世界の両方にたった1つの体が半分となって存在しているケイコ。
「たすけすた」と、回文のように叫ぶことしか出来ないのです。
これについては、こちらの世界でタナカが「もしもし」というと、向こうの世界でカナタが「しもしも」という。
鏡の向こうの世界なので、話す言葉も逆読みになるのです。
それがこちらの世界と向こうの世界のどちらにも存在することになったケイコは、回文のようにしか話せなくなりました。
子供たちには何を叫んでいるのか分からなかったかもしれないですね。
でも、これ…凄く恐ろしくてゾッとしたんです。
色々と考えさせられました。
子供向け作品のくせに容赦ない…!と思いました。

いやぁ…なかなか衝撃的なラストで、呆然としてしまいました。
前半がシンメトリーな動きをしたり違った動きをすることで面白さもあって笑いも起こっていたので。
それだけにラストの、シンメトリーな動きをするタナカとカナタに背筋が凍りましたし。
なんとも恐ろしい作品だったと思います。

子供のうちから、こういう作品を観れるなんて羨ましいなぁと思いました。
舞台という芸術に触れると、感受性もより豊かになると思いますし。
この作品を観たことで、自分という存在だったり、色々と考えてくれたらいいですね。

そしてたった4人でありながら凄く濃い内容のお芝居を観せてくれたキャストの皆さんに感謝をしたいです。
とても素敵な作品でした。
今週千秋楽なので、もう観に行くのは難しいけど…出来たらもう一度行きたいな。

こんな感じで劇場内も、『かがみのかなたはたなかのなかに』仕様になっていました。

あとは、キャストのメッセージ動画なんかもこちらで紹介します。

ぜひ、ミュージカルとかしか普段観ないという方にはぜひこういう作品にも触れていただきたいです。
とっても面白くて深い作品でした。

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