2021年11月23日ソワレ 大人計画『パ・ラパパンパン』




演劇全般
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キャストの感想

キャストの感想です!

来栖てまり:松たか子

いつ観てもお芝居が安定していてさすがです。今回もミス1つなく、最後まで完璧に演じ切っていたのが凄すぎて、思わず「松たか子は失敗しないので」なんて大門未知子みたいなことを言いたくなりました。

松さんの完璧さと凄さって上手く言葉で表現できるものではなくて、どちらかというとフィーリングで伝わってくるものだなぁ…というのをとにかく感じました。「失敗しない」「お芝居が上手い」「歌が上手い」など言葉で表現できるものはあれど、それだけじゃなくて…。なんかもっとあるんですよ、きっと的確に表現できる何かが。でもそれを表現するには言葉では難しくて、実際に松さんのお芝居を観てすぅっと体に染み込んでくるものなんだと思います。それくらい不思議な魅力がありました。

自然体だからこそリアリティがあって、流れに身を任せながらお芝居しているからその場に溶け込むのが凄く上手。「松たか子」とう役者としてオーラはあるはずなのに、「来栖てまり」という人物になった瞬間にそのオーラがいい意味で消えてしまう。松さんなのに松さんじゃない感じっていうんですかね。松さんのお芝居を観るたびにいつもそんなことを思いますが、今回は特にそれを強く感じました。

ナチュラルなお芝居で「お芝居している」感がほとんどなく、本当に来栖てまりという人物が生きているかのようなリアルさがありました。この作品の構成として、現代を生きるてまりと浅見は実在する人物で19世紀のフランスがテーマとなった小説の中の登場人物たちはフィクションという区別があります。なので、てまりはリアリティのある人物であればあるほど説得力があるというのを今回改めて感じました。配役として、松たか子さんと神木隆之介くんを持ってきたのはさすがとしか言いようがないです。

いい年した大人のはずなのにどこか幼稚で子供っぽくて無邪気でどうしようもなくて、何だかんだで愛しさが募る女性。でも芯はしっかり持っていて、いいところでちゃんと決めてくれるかっこいい女性。松さんの魅力が存分に反映されたてまりからはやっぱり目が離せなかったです。表情もコロコロ変わって本当にキュートでした。近くで観る松さんはとにかく可愛いし肌も綺麗でしたし最高でした。目の前で浴びる破壊力抜群な歌声も素晴らしかったです。

あと、2幕終盤で浅見の名前を「きょうたる…」と間違えるセリフは噛んだんじゃなくてちゃんと台本にあるっぽいですね。初日に観たときは噛んだのかと思うくらい自然な噛み方に思えましたが…(笑)いや本当に松さんお芝居が上手かったです。

これだけの熱演をしつつもカテコは意外とあっさりさっぱりしているのも好きです。お客さんに媚びたりすることなく自分の道を貫いている感じとかも松さんらしいなぁ…って思いました。とにかく松さんの素晴らしさを100%体感できた観劇でした。「松たか子は最高だぜ!」と声に出して言いたいくらい最高でした!たっぷり松さんのお芝居を堪能できて嬉しかったです。

浅見鏡太郎:神木隆之介

初日よりもかなりお芝居が柔らかくなっていてリアルさもあって凄く良くなっていました。難しいセリフも多いのでちょこちょこ噛んでしまいましたけど、それでも浅見の理屈っぽさとか真面目さとかが全面に出たお芝居はとても神木くんらしくて良かったです。

神木くんの作る間がとても面白くて、ツッコミの加減とか言い方とかが笑いを誘っていました。自由奔放なてまりに思わず振り回されてしまうちょっと情けない一面も凄く似合っていました(笑)浅見という人間が神木くんにとても近いのかなーとも思います。それくらいお芝居に違和感がないし、終始ナチュラルでした。

神木くんは私と同い年なんですけど、同い年とは思えないくらい落ち着いた風貌で凄く大人びているからスーツ姿も似合うしスマートでかっこいい…。ビシッと決めた見た目も、松さん演じるてまりとは真逆で2人の対比は観ていて凄く面白さを感じました。松さんのところでも書きましたけど、現代を演じる松さんと神木くんが凄くナチュラルなお芝居をしているだけに、フィクション(小説内)とノンフィクション(現代)の対比が色濃くなっていて、個人的にめちゃくちゃ好きなポイントでした。

そういう意味でも松さんと神木くんの配役はベストだったと思います。神木くんのお芝居の上手さと自然さは松さんとも渡り合えるくらいだし、凄く見応えもあって面白かったです!

フレッド:大東駿介

大東さんの優しくて少し頭の抜けたフレッドがとても好きだったのですが、今回も頭のネジが外れまくりで大暴走していて凄く面白かったです。一見好青年なんだけどちょっと道を踏み外すと暴走が止まらなくて誰も止められなくなるっていうお芝居の緩急が最高でした。

途中で藤原竜也のモノマネをするのですが、あまりにもクオリティが高いし大東さんもノリノリで暴走が止まらないので周りの俳優さんたちも笑いをこらえられなくて後ろ向いちゃったりしていてカオスな状態でした(笑)初日のときよりもアドリブのかまし方もド派手になっていたので私の腹筋も死にかけましたよね…。

とにかくコミカルなお芝居の印象が強すぎたのですが、もちろん真面目なお芝居も最高でした。流れるようにお芝居をするのがとても上手で、説明をしながら当時の状況を再現するようなシーンでのナチュラルなお芝居の変化球は観ているこっちも違和感を抱かないくらい良かったです。存在感も抜群でしたし、爽やかなんだけどかなりの変わり者で良いスパイスを利かせていた俳優さんでした。

エベニーザ・スクルージ:小日向文世

小日向さんのスクルージもクセになるほど憎めないキャラクターで、卑屈な感じが喋り方から駄々洩れなのになんか見捨てられない儚さを秘めていました。こひさんの人柄の良さも滲み出ているのか、孤独で冷たいのにどこか温かい…そんな不思議な魅力も再認識。

こひさんはお芝居を大きく変えてきてはおらず、初日と変わらず安定感のあるお芝居をされていました。演技の幅広さも凄まじく、卑屈な冷酷なお芝居から頭のネジが外れたコミカルなお芝居まで本当に引き出しが多い…。急に爆弾を投下してくるような突発性も持ち合わせていて、何度も不意打ちを食らいました。側転も決めてるし、こひさんのバイタリティーが凄すぎてひたすら魅せられてしまいました。

終始ずっと卑屈そうな暗いスクルージを演じていただけに、物語終盤でてまりが編集長に道連れにされそうになるピンチのシーンで「作家」を助けた「お助けキャラ」としてのスクルージのお芝居は圧巻でした。多分いつものこひさん。心優しい温和な雰囲気のこひさん。スクルージとして殻に閉じこもったお芝居をずっとしていただけに本来の優しくて温かいこひさんが出てきた瞬間に凄く包まれたような気持ちになりました。

てまりの頭をぽんぽんと撫でて「ファン(妹)似のお嬢さん」と優しい眼差しを向けたこひさんが、その瞬間だけは妹想いの優しいお兄ちゃんなんだな…ということを裏付けるくらいの笑顔を見せていたのが印象的でした。さすがの松さんも、そんなこひさんのお芝居に胸打たれてか、その後上手側に向かってちょっと後ろを向きながら涙を拭っていました。なんか役者って凄いなぁ…と思わされた瞬間です。

観れば観るほどこひさんスクルージには心を絆されていくし心を掴まれていくしで、本当に不思議な魅力に溢れた人だなぁ…と思いました。この役を小日向文世さんが演じることに凄く意味があったんだなぁということも感じましたし、最高のキャスティングでした!最後にもう一度会えて良かったです!

まとめ

チケ難で全然チケット確保できない状況でしたけど、タイミングよくお譲りいただけたので本当に良かったです。もうさすがに観に行くことはできないからこれが見納めとなりますが、とても素敵な作品に出会えて幸せでした。

普段は四季ばかり観ているからなかなか他の舞台って観る機会がないのですが、実はこんなにも素敵な作品って世にたくさんあるんだろうなーとも思いました、私が知らないだけで。ミステリーものだけど決して重厚ではなく、腹を抱えて笑いながら観ることのできるエンターテインメントでもあるので、私としてもリフレッシュができて楽しかったです。

そして何より松たか子さんをこんなにも近くで観られてお芝居もたっぷり堪能できて、幸せじゃないわけがないです。やっぱりこの人のお芝居が好きだなぁ…と強く実感できた観劇になりました。妹もかなり楽しんでくれたみたいなので連れて行って良かったです。

四季ちゃんの舞台はもうしばらく観る機会がないのですが、次は行ければ『マイ・フェア・レディ』観劇です。それまでにある程度原稿が落ち着いていることを願いたい…。心置きなく観劇を楽しめるかは未来の自分次第なので、引き続き頑張ります。

ということで駄文でしたが最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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