2015年4月19日マチネ 『オンディーヌ』




浅利慶太プロデュース
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ゆうき
ゆうき

浅利慶太事務所の門出!

日時:2015年4月19日マチネ公演
場所:自由劇場
座席:1階S席3列13番




はじめに

浅利慶太事務所が設立されてから初の公演開幕となった昨日。
その門出を祝うために劇場に赴きました。
入口には浅利さんがいて、たくさんの方とご挨拶していました。
また、浅利さんの人脈は凄いと実感しましたが、他にも結構見かけた元四季の俳優さんなども数名。
これが四季の公演ではないんだなぁ…と少し寂しく思ってしまったり。

この作品はもちろんストプレ。
劇中ちょっと歌のシーンなどもあったのですが、基本的にお芝居がほぼ全体を占めています。
四季のストプレって観たことがなくて。
四季以外のストプレならいくつか観てきてはいるのですが、やっぱり四季のストプレって難しいなぁと。
扱ってる作品が古典的なものばかりだから、観てる時に頭使うんですよね。
私あんまり頭いい方ではないので、結構理解するのに時間がかかり(笑)
CFYとかみたいに単純明快なストーリーではないし、ただ観てるだけで理解出来る作品じゃなくて。
観たことを自分の中で咀嚼して解釈していかないと結構難しいんじゃないかな、理解するの。
あとはもう少しちゃんと予習してくれば良かったかなって思いました。

舞台構成は全部で3幕。
1幕40分。
休憩を15分挟んで2幕50分。
休憩を15分挟んで3幕45分でした。
個人的に一番観やすかったのは2幕かなぁ。
コメディチックな演出も多くて、凄く面白かったです。

キャストの感想

気になったキャストの感想を書いています。

オンディーヌ:野村玲子

やっぱりストプレに野村さんは欠かせないですね。
本当にお芝居が上手だし、華があります。
安定感抜群だし、そしてお綺麗でした。
しかし、オンディーヌが「あと1ヶ月で15歳」らしく、そこはね…ちょっと無理あったかな?
李香蘭の年齢設定のやつも色々と無理が生じてはいたけれども。
でも、やはり野村さんのオンディーヌはそういうのを除いても凄く美しかったです。
1幕の時に、舞台の段差でちょっと躓いてしまっていてドキッとしました。
それ以外は全然ミスもありませんでしたし、長ゼリフも見事に披露していました。
彼女をもう四季の舞台で観ることが出来ないんだなぁと思うと寂しくもありますね。
これからは浅利さんの舞台で看板女優として活躍していくでしょうし、とても楽しみです。

ハンス:中村伝

四季からの客演は中村さんだけなのかしら。
悪くはなかったかなぁ。
やはり周りがあまりにもお芝居上手い人たちだから、少し劣ってしまう感じはありましたが。
でも全然観ていて違和感もありませんでしたし、とても良かったと思います。
多少何度か噛んだりしてしまいましたが、仕方ない仕方ない。
なんだか時々顔が李涛くんに見えてしまったんだけどきっと気のせいです。
オンディーヌを観るのは今回が初なので、これまでがどんな感じなのか分からないのですが。
3幕最後でハンスが死にそうになるところ。
もうちょっと表現力が磨かれるといいなぁ、と思ってしまったかな。
体がじわじわと侵されて死ぬ苦しみがあまり伝わってこなかったように感じました。
いや、元々ああいう演出なのかもしれないけどね。
気丈に振舞ってるだけなのかもしれないんだけども。
苦しむ表現とかって結構難しいものだなぁ、と感じました。

水界の王:広瀬彰勇

まさか広瀬さんのお芝居を観れるとは思わなかったのでとても嬉しいです。
やや老けたなぁと思いましたが、凄く威厳のあるお芝居が素敵でした。
やっぱり広瀬さんかっこいいです。
存在感もありますし、広瀬さんがそこにいるだけで空気が引き締まるというか。
それくらい威厳を放っていたお芝居で、王らしさも上手く表現されていたように思います。

ベルタ:坂本里咲

里咲さんも本当に綺麗だったなぁ。
年齢設定に関してはやはり少し無理あるところがあるけれども。
最前列で観ていても、肌も綺麗だし凄く美しかったです。
ベルタはちょっと意地悪というかずる賢いというか、そんな感じの女性なのかな?
オンディーヌと火花を散らすシーンは色々と面白かったです(笑)
やはり里咲さんもお芝居上手くて素敵でした。
カテコの時、里咲さんが凄く笑顔だったんですよね。
それ観ていて凄くグッと来ました。
彼女もまた、四季を離れ新たな一歩を踏み出した1人。
色々と思うところはあるんでしょうね。
ぜひ、これから浅利さん演出の舞台でまた拝見したいと思います。

ユージェニー:斉藤昭子&オーギュスト:山口嘉三

まさかここで斉藤さんを再び拝見出来るとは思わなかった。
随分おばあちゃんになっていましたが、やはり素敵でした。
山口さんも本当に素敵でした。
オーギュストと裁判官の役をやっていましたが、どちらも違った良さがありましたね。
オーギュストでは優しいおじいちゃん、裁判官はとても威厳のある。
ユージェニーとオーギュストのやりとりは観ていてなんだか微笑ましかったです(笑)

王妃イゾルデ:田野聖子&王:斉藤譲

キャスト表見てなくて全然気付かなかったけど、王が斉藤譲さんだったとは。
カテコで注目してみたら確かに譲さんでした。
あの特徴的な輪郭とかがね(笑)
イゾルデ役の田野さん、オンディーヌと2人で話すシーンでのお芝居がとても素敵でした。
オンディーヌを優しく包み込んでくれるかのような包容力を感じさせるお芝居でした。

ベルトラム:高草量平

2幕と3幕でベルトラムの感じがちょっと変わって、3幕は少し怖かったかな。
2幕が優しい感じとかも出ていたので、その対比がなかなか恐ろしく感じました。

侍従:下村尊則

存在感ありすぎでしょ下村さん(笑)
1幕が随分と真面目な…というかストプレらしい固い感じで話が進んでいったので。
2幕で侍従が登場してからのあのコメディ感がとても面白く感じました(笑)
やっぱり下村さんのお芝居って独特だけど凄く魅力がありますね。
かなり笑いが起こっていました。
テンポよく話も進んでいったため、2幕が凄く観やすかったな。
下村侍従がオンディーヌをそわそわしながら見つめるところとか最高でした(笑)

皿洗いの娘:山本貴永

もう…山本さんも恐ろしすぎてゾワゾワしました(笑)
1幕だったかな、2幕だったか忘れたけど最初は水の精で登場して。
まさかの歌声披露していました。
山本さんはネッサで観たのが最後だったから彼女の歌声聴くのかなり久しぶりだな。
凄く顔立ちが特徴的な方じゃないですか。
3幕最後の方で、大きな鎌を持って登場するんです。
ハンスの命を奪いに来た死神みたいな感じかな、恐らく。
もうね…登場した時、あの白いお面被ったの誰よって思ったんです。
そしたら顔を白く塗った山本さん本人のお顔でした。
大変失礼いたしましたm(_ _)m
いやぁ、あの鎌持った山本さん恐ろしかったな本当に…。

水の精:笠松はる

要はアンサンブルですかね。
はるちゃんの無駄遣いって思っちゃうくらい、ちょっとしか出てこなかったなぁ。
でも山本さんと同じく美しいソプラノを響かせていて素敵でした。
やっぱりはるちゃんの歌声って好きだなぁと実感しました。
凄く可愛いし、むしろはるちゃんがいつかオンディーヌやってもいいんじゃないかな。
それにしても、はるちゃんまで退団してしまったのは寂しいです。
ぜひこれから、野村さん里咲さんに続いて、浅利さん舞台の看板女優になってほしいです。

まとめ

とにかくキャストがとても豪華。
元四季の方たちがたくさんいるし、皆さんやはりお芝居がとても上手。
ストプレだからお芝居で勝負するものなので、その安定感は絶対的でした。
初日ということもあってか、少しミスとかもあったりはしたけども。
でも全体的にやはり、芝居を観たなっていう印象が強かったなぁ。

映像を用いたり、いくつか新しい演出方法もありました。
ぜひ浅利さんの新しい挑戦は期待していきたいと思います。

一応内容にも触れておくと、オンディーヌが人間に恋をしてしまったこと。
またその人間も同じくオンディーヌに恋をしてしまったこと。
オンディーヌが人間に裏切られたら、その人間は死んでしまうという契約を立てたこと。
こういった話って結構色んなところにあるとは思うけど。
3幕でオンディーヌがハンスを守るために、自らハンスを裏切ったと言うシーン。
「裏切ったわ、ベルトラム!」と何度も叫ぶんです。
非常にここら辺は哲学的に難しいなぁと思うところでもあり。
人間の情って凄く儚いものだなぁと感じました。
熱しやすく冷めやすいものだなぁと。
オンディーヌも、魔法というか契約によってかな。
3回、水の精たちに名前を呼ばれるとこれまでの記憶が全部なくなってしまうらしく。
3回目に名前を呼ばれる直前でハンスが死に、ハンスの亡骸に泣きついていたのに。
その直後で3回目の名前が呼ばれ、ハンスのこともこれまでのこともすべて記憶が消され。
顔をあげた時に「綺麗な人」とハンスを見るんです。
この「綺麗な人」は、1幕でオンディーヌがハンスに出会った時に初めて言う台詞で。
なんというか伏線とかではないんだけど、見事に重なる部分があって凄くゾッとしました。

また、その亡骸を見て
「惜しいわ。生きていたらきっと好きになっていたでしょうに」と言うんです。
ついさっきまで愛していた男のことを忘れ、まったくの別人としてそんなことを言う。
そしてハンスの亡骸を見つめながら、舞台奥に捌けていき幕が閉じるんです。
もう、このなんというか…人間の情とか愛って凄く儚いしあっさりしてるものだなぁと。
この終わり方がとても怖くて、結構鳥肌が立ちました。

なんか色々と考えさせられる舞台でした。
これまで本当に単純なラブコメとかそういうのばかり観ていたから。
人間の本質的な部分とかを問う作品ってあまり観ないし。
自分自身にも当てはめて考えてみたら、実は結構重なる部分とかあるんだろうなぁと。
人間っていう生き物が、凄く綺麗な部分ばかり持っているわけじゃないんだ、と思いました。
でも、こんな儚いからこそ、その間だけでも一生懸命に生きようとしているのかな…とも。
うん、色々と考えたらキリがないかもしれない。

凄く難しい作品だったけど、とてもいい作品でもありました。
これから浅利さんの舞台はこうやって少しずつでも観ていけたらいいなぁ。
見方や考え方が変わりますもんね。

とても素敵な門出になったのではないでしょうか。
浅利さんや野村さんたちの新たな活躍を期待していきたいです。

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