2023年4月28日~4月30日 劇団四季『クレイジー・フォー・ユー』レポまとめ




クレイジー・フォー・ユー
この記事は約14分で読めます。

キャストの感想

キャストの感想です!

ボビー・チャイルド:萩原隆匡

萩原さんボビーの何が素敵って、私は表情が好きなんです。もちろん全身から「ダンスが好き!」「ポリーが好き!」っていう感情が大爆発しているのは伝わってくるんですけど、それに伴う表情の細かさが好きだなぁ…と観ながら感じていました。

一番好きなのが、Embresable Youで「あなたのほうがずっとダンスが上手」とポリーに言われた直後に、本当の自分ではない自分を好きになられてしまったことへの悔しさや打ち明けられないもどかしさ、それでもポリーと踊れることの幸せなどあらゆる感情がない交ぜになったような葛藤の表情です。あぁぁぁ…って眉を下げて現状を悔いつつも、それがだんだん愉悦の表情に変わってくる絶妙なこの表情のお芝居が毎度毎度観ていて素敵!ってなっていました。

萩原さんボビーはマジでかっこいいんだけど、ただかっこいいだけじゃなくて、優しさに溢れていてチャーミングなところも好きです。自分のかっこよさを自覚しながらも、好きな女の子のためなら自分が汚れようが醜くなろうが構わない。ところどころキザにかっこよさをアピールしてきますが、それすらも可愛いと思わせてくれる表情多彩なボビーです。力強いダンスも素敵。

チャイルドという名前だけに、子供っぽい一面もたくさんあってキュートで可愛くて素敵でした。萩原さんってワイルドだけどキュートなんですよね。だからボビーにピッタリ。声の高低を上手く利用しながら、可愛い一面とかっこいい一面とを交互に出してくるお芝居は萩原さんボビーならではで凄く良かったです。

個人的に、Nice Work If You Canの終盤で「ポリー!」って叫ぶところはめちゃくちゃ好きになりました。2015年時、ここの叫び方があまりしっくり来なかったんですけど、今の萩原さんボビーはすっごくこの「ポリー!」という叫びにポリーへの愛が溢れまくっていて、聞くたびに胸がキュッと締め付けられるような感覚になります。感情のままに信託物件証書を破る姿も、ポリーへの想いの強さが感じられました。

2015年の頃にやっていた仕草を今期ではやっていなかったり、逆に2015年の頃にやっていなかったことを今やっていたり、色々と変化はありますが、やはり萩原さんのバイタリティーの高さには驚かされます。歌えて踊れてお芝居もできるって改めて凄いなと。進化した萩原さんボビーを観られて嬉しかったです。ここからもっともっとボビーらしく、たくさんお芝居で遊んでほしいな!

ポリー・ベーカー:町真理子

まちまりさんポリー、公演重ねていくたびに化けていくのを感じます。もともと素質はありましたが、どんどん魅力を発揮されていって、ポリーの内面がどんどん深掘りされているような気がしました。オフマイクもちょっとずつ増えてきて、柔軟にポリーを演じられていて観るのが楽しいです。

お芝居はもちろんのこと、私はまちまりさんポリーの歌に惹かれています。力強くて芯があって、ボビーをからかってみたり挑発してみたり拒んでみたり…まちまりさんポリーの歌声から色んな感情が読み取れるというか、感情がそのまま歌に乗るってこういうことなんだなと実感しました。

Someone To Watch Over MeやBut Not For Meなど、ポリーの心情が溢れるナンバーは圧巻ですねぇ。特にBut Not For Meは29日のマチネやソワレ、30日マチネの公演では特に好きだなと感じました。

このときのポリーって舞台のお芝居になぞらえるように自分の恋心を自覚して苦しさにもがいているわけですが、苦しい悔しい寂しいっていう色んな感情がまちまりさんポリーの歌声から伝わってきました。表情も凄く素敵でね、声をかけてきたザングラーさんには気丈に振る舞っているんだけど、一生懸命泣くのをこらえている姿にもグッと来てしまいます。

岡村さんもポリーを演じていたときは、時々涙をボロボロに流しながらこのナンバーを歌っていました。恋がこんなにも苦しいものなんだって知らなかったものね。歌唱力と相まって歌の表現力が本当に素晴らしくて、私はまちまりさんポリーが大好きになりました。

あと、背が小さいのが可愛いね…。小動物みたいで本当に可愛い。岡村さんアイリーンとの言い合いは「お墓に入るときにお借りするわ!」ってだんだんイライラしてくるのが声色からも表情からも伝わってきて良かったです。小さいながらも負けん気の強いポリーだから、岡村さんアイリーンに全然劣らずで素敵。まちまりさんポリーの逞しい部分は観ていて頼もしかったです。

まだまだここから先伸びしろがありそうなので、さらに進化していくと思うと楽しみで仕方ありません。とても素敵な開幕週のお芝居でした!期待以上で素晴らしかったです!

ランク・ホーキンス:渡久山慶

何度観ても渡久山さんランクがあまりにもかっこよすぎる。若いしイケメンだし背も高いし、まあ性格は難アリですけどめちゃくちゃ良い男ですよね…。あまりにも目の保養でした(笑)

渡久山さんって芯から悪い人というより、でかい図体してちょっと小心者なところが可愛かったりもします。2幕であれこれオーダーをつけるフォーダー夫妻に対して「明日の朝あいつらが死体で見つかったら、俺が疑われるだろうなぁ…」のセリフは「俺が疑われるだろうなぁ…」が弱気な感じの言い方をしていて、私にとってはかなり新鮮でした。

志村さんランクもおバカな感じはあったけど渡久山さんランクもおバカっぽい雰囲気があってとても可愛くて好きです。個人的に好きなのが、1幕ラストでフォーダー夫妻がランクのホテルを求めてやってきたことが分かったときにやる変なダンス(笑)「暗雲は晴れ、正義は勝利するってことだ!ワハハハハ!ワハハハ!」ってザングラーに扮したボビーに対して、それから町の人たちに向かって大笑いを浴びせるんですけど、町の人たちに向かって笑うときに変な動きをするんですよね(笑)

それがもうあまりにもおバカで憎めないほど可愛くて凄く好きなんです。渡久山さんランクのオリジナルダンス(笑)

あと、アイリーンと結ばれてからのトゲが一切抜けた渡久山さんランクがまあピュアで可愛くて仕方ありませんでした(笑)サプライズで自分の店をリニューアルしてもらって「わぁ!!!」って驚いている姿とかがもう子供みたいでキュンとしっぱなし。岡村さんアイリーンとの相性も凄く良いですし、傍から見てもお似合いのカップルなので、今期のランク&アイリーンカップルはたまらなく好きです。ここからもっともっと魅力的なランクになっていくと思うので、進化を楽しみにしたいと思います!

アイリーン・ロス:岡村美南

さすがの貫禄というか、アイリーン今回がデビューでしたっけ…?と思うくらいの安定感で素晴らしいです。完成度が非常に高く、それでいて岡村さんならではの魅力がたっぷり詰まったお芝居で、唯一無二のアイリーンになっていてとても素敵でした。

5月号のアルプでも岡村美南さんはアイリーンを悪い役として演じたくない(意訳)とおっしゃっていて、本当にその通りで、歴代のアイリーンに比べてかなりマイルドな雰囲気を纏っているアイリーンだなと感じました。初日のレポで、岡村さんアイリーンは礼儀正しく常識人だと書いたんですけど、それは結局「アイリーンは悪い人ではない」という部分につながってくるのかなと思います。誰に対しても不愛想なわけではなく、人として礼儀はしっかりわきまえているし、でもボビーには自分に振り向いてほしいからちょっと強引になっちゃうだけで…。愛されたい女性なんだなと思うと、愛しさが込み上げました。

アイリーンは強引で高圧的な印象があるけど、言葉遣いはすっごく綺麗よね。良いとこ育ちの感じがしっかり出ていて。その一方で素の一面を見せるのってボビーに対してだけなのも可愛い…。「ボビー、開けてよ!ばかばかばか!」ってワガママな彼女みたいなこと言うのもすっごく可愛いじゃないですか…。そもそも「ばかばかばか!」の岡村さんアイリーンの声色が可愛すぎるのでたまらないし、CFYを観た岡村さんファンがこぞってこの「ばかばかばか!」にノックアウトされていたのでほっこりしました(笑)

その直後の、ドアに鼻をぶつけて鼻痛そうに押さえる表情も可愛くて好きです。岡村さんアイリーンは可愛さが詰まっているから、なんかもう人として可愛いし憎めないんです。嫌な人っていう印象が全然なくて、観れば観るほどそのチャーミングさに気付いてしまいました。

ランクに恋をするまでの岡村さんアイリーンは、ボビーのことが本当に好きなんだなっていうのが伝わってくるから好きです。どういう経緯で2人が婚約したにせよ、アイリーンはボビーのことが好きっていうのが岡村さんアイリーンの表情から凄く伝わってくるの。ふとしたときに見せる寂しそうな表情とか、セリフの言い方・声色とか、とてもリアルで…。

それこそ2幕でボビーに「アイリーンごめん!でも僕はポリーを愛してる!」って言われた直後に言う「ボビー…」の言い方がすっごくね、置いていかれた子犬のような鳴き声みたいにね、くぅぅん…って感じの寂しさを漂わせて言うのよ。それがすっごく好き。寂しくてショックで仕方ないんだな…って痛いほど伝わってくるし、そのときの岡村さんアイリーンの子犬のような表情も秀逸です。

表情で言うともう1つ秀逸な瞬間があって、1幕のSlap That Bassのあとのシーンで「明日の朝一番で発ちます」って言うときの表情が凄く好きでした。ランクに言うセリフではあるんですが視線はボビーを捉えていて、「ニューヨークに一緒に帰るからね?」というように有無を言わさず目で訴えてくるような圧のある表情をしているんです。この表情を観ていると、アイリーンが言わんとすることが凄く伝わってきて…。目で語るってこういうことなんだなぁ…って説得力を持って実感しました。やっぱり岡村美南さんって表情のお芝居が素晴らしいということを再認識できて嬉しかったです。

あと、ポリーに対する態度も落ち着き払ってはいるものの、イライラが伝わってくるような、頭にカチンと来ているのが分かるような憎たらしい言い方になっているのが好きでした(笑)「お年の割にですってぇ…?」とか「古着になったらあげてもいいのよ」とかのセリフは、一生懸命怒りを抑えているのが伝わる声色で、これがまた絶妙でお芝居上手くて良かったです。岡村さんアイリーンが背高くてまちまりさんポリーが背低いから、まちまりさんポリーの小娘感が強調されるのも凄く好き。

その後の1幕終盤の楽屋のシーンでは、ランクに「ボビーを見かけなかった?」と聞いて「ボビーって?」とランクに聞かれるので「ザングラーよ」と答えるのですが、3公演目からかな?口元に手をやってひそひそと喋るような仕草で「ザングラーよ」って言うようになりました。ボビーがザングラーだということをランクに打ち明けてはいるものの、ちゃんとひそひそと言って周りに聞こえないように配慮しているのがアイリーンの愛を感じて好きでした。

そしてNaughty Babyは毎度圧巻でした。岡村美南さん、歌上手いのは知っていたけどこんなに上手かったっけ!?って本気で毎度驚くし、歌が上手すぎてもはや笑ってしまいそうになるレベルの歌の上手さでした。「楽しくなれるわそうでしょ」の「しょ」は、公演によって強めに歌ったり吐息をまじえて歌ったりと変化をつけてきて、その気まぐれな感じがまたアイリーンらしく弄んでくるなぁ…って思ってドキドキしました。妖艶な歌声と歌い方、そして可愛らしい笑顔と楽しそうに歌う姿がとっても愛しくてたまらなかったです。見せ場がここだけなのがもったいないなぁ。

あと、Naughty Babyを歌う直前にランクにキスをするところ、2回目のキスを終えたらカバンを投げるんですけど、カバン投げるの下手っぴで可愛かったです(笑)普通はカバンが遠くまでポーンと飛ぶんですが、2公演目~4公演目は全部すぐ近くの壁にドンッてぶつかっていました(笑)

相変わらず小道具には遊ばれるし小道具扱うの下手っぴで、不器用なところが岡村さんらしくて好きでした。本当に可愛いね…。すっごく好き。

2幕終盤のランクと夫婦になったあとのバカップルっぷりも面白くてじわじわ来てしまいましたわぁ…。ポリーがいないってザングラーたちが騒ぎ始めたところで、アイリーンが下手から上手に向かって小走りするシーンがあるんですけど、このとき乙女のような走り方をするのがツボです。1幕の頃の高圧的なアイリーンだったら絶対こんな走り方していなかっただろうから、本当の恋をしたことで彼女自身も変わったんだなぁ…というのが伝わってきて良かったです。

あと、ボビーママとぶつかるシーンがあるんですが、このときアイリーンは砂袋のようなものを引きずりながら上手から登場してくるんですね。持ち上げられないくらい重いんだろうなって思ったんですけど、ビリーやランクは片手で軽々と持ち上げていたから、アイリーンって女性とはいえかなり非力なんだろうなと思いました。

ニューヨークにいたときは、ゴージャスな服で着飾っていたし普段から重いものなんて持っていなかっただろうし、だから腕力なんて皆無なんだろうなって。そういうところまで妄想するのが楽しいからオタクってやめられないですね(笑)

これまでアイリーンについて色々考察なんてしたことなかったから、岡村さんアイリーンの仕草やセリフなどから色々とアイリーンのバックボーンや心情を考えるのが楽しくて仕方ないです。アイリーンというキャラクターに厚みを持たせてくれる素敵なお芝居をしてくれるおかげです。とってもアイリーンという役が似合っているなと感じられた4公演でした。

岡村さん、ポリーを演じていたときは笑いを取ろうとガツガツしていた印象がありましたが、アイリーンは役柄も相まってかなりナチュラルにお芝居されていて、それでいて笑いを取っているので凄いです。ご本人も手応えを感じているんじゃないかな。今後、どういうふうにお芝居が変化していくのかを見届けていけるのも楽しみです。

カテコでタップを楽しそうに踊っている姿を観ると、再びポリーでも観たかったなぁ…という気持ちが芽生えるんですが、でもどんな役であれこの作品に戻ってきてくれてありがとうの気持ちです。たっぷり見届けます。素晴らしいお芝居をありがとうございました!

ザングラー:荒川務

荒川さんザングラーの説得力たるや…。かつてボビーを演じていたからなのか、以前は表方としてスポットライトを浴びていたんじゃないかと思わせるようなキャリアチェンジしたプロデューサー感がありました。ちゃんとショービジネスのことを理解していて、酸いも甘いも経験していたんじゃないかなと感じさせる佇まいに、毎度ハッとさせられます。

特にBut Not For Meの間奏部分で、ポリーに声をかけるときの「じゃあ他をあたろう。そういうものだ、ショービジネスの世界じゃ……すぐ、次が出てくる」というセリフの言い方が好きなんです。なんか、このセリフの言い方にとっても説得力のあるザングラーさんなんですよね。もしかしたら、自分自身も「次」に居場所を奪われた経験があるんじゃないかとさえ思えてくるほど、軽く言ってはいるものの言葉に重みが感じられました。

さすが荒川さんザングラーだなって思いました。もちろん、大物プロデューサーらしからぬだらしない一面も素敵ですけど、このBut Not For Meのお芝居は一番好きです。

あと、荒川さんザングラーの間の取り方も好きです。ガツガツ行く感じじゃなくてマイペースながら絶妙な間なので、その抜けた感じに笑いが込み上げてしまいました。改めて、めちゃくちゃ凄い人がザングラーさんデビューしたんだな…と実感しています。こんな奇跡的な公演に立ち会えたこと、とても幸せでした。

テス:宮田愛

気付いたら宮田さんテスの虜になっていました。あまりにもハマり役でかっこよくて凜としていて素敵な女性だな…って。宮田さんテス単体としてももちろん素敵なんですけど、濱さんパッツィとの絡みが本当に可愛くてたまらないんです。濱さんパッツィが一緒だと、宮田さんテスのお姉さん感が増してすっごく素敵。厳しさの中に愛情もあって、程よくサバサバしていて、女性としてかっこいいです。

あとオフマイクがうるさいのも面白くて好きでした。先述したように日替わりポイントもあるみたいだし、宮田さんテスが今回はどんなことするんだろうとワクワクしながら観られるのも楽しかったです。

お芝居の面白さはもちろんのこと、ダンスのしなやかさと力強さも思わず目を引いてしまいました。ダンスディレクターという役職にめっちゃ説得力があって、やっぱり宮田さんのダンスには目を惹かれるものがあります。美しくて逞しくて、ずっと観ていたいなと思わせてくれる。こんな感覚になるのは久しぶりなので、とても心が躍りました。

Nevadaもだし、Slap That Bassもだし、IGRもだし…。ガッツリ踊るナンバーは思わず目で追ってしまいましたよね。華奢だけど体のすべてが筋肉でできているかのような綺麗な筋肉の付き方していて、もうそれすらもかっこよくて美しいなって。宮田さんのポリーも素敵でしたけど、今の宮田さんにはテスがあまりにも上品で凜としていて女性としてかっこよくて似合っていました。本当にこんな素敵なテスが誕生してくれて嬉しかったです。

宮田さんテスは沼ですわ…。めちゃくちゃ素敵だしずっと観ていたい。まだデビュー初週とは思えないほどの完成度と柔軟さ、ここからさらに化けていくのかと思うと怖すぎます。でも宮田さんテス本当に素晴らしかったので、たっぷり堪能できて幸せでした!

まとめ

5月1日のキャス変で開幕キャストが全員交代となったので、開幕週全通して良かったです…。そして次いつ戻ってくるのかもまだ分かりませんが、岡村美南さんにまた劇場でお会いできる日を楽しみにしたいです。Wキャストの方々も楽しみですし!

あと、5月8日以降お手紙や差し入れが再開されるから、ようやく3年越しに感想を直接お伝えできるんですよね。嬉しい~!この間にドナ、エイミー、アイリーンと3役もデビューされていて、感想を伝えられていなかったから、もう想いが溢れています。便箋何枚あったら足りるかしらね…(笑)

こうして日常が戻ってきていることが本当に嬉しいです。贔屓の大好きな舞台の世界が、またコロナ禍以前のように華やかであり続けられることを祈りながら、また贔屓に会える日を楽しみに待ちたいと思います!

改めて、素晴らしいデビュー初週でした。楽しそうに演じられているお姿を拝見できて嬉しかったです。1週間お疲れ様でした!

4

コメント

タイトルとURLをコピーしました