2024年5月19日マチネ 劇団四季『ゴースト&レディ』




ゴースト&レディ
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ゆうき
ゆうき

セカンドキャストデビュー週!

日時:2024年5月19日マチネ公演
場所:四季劇場[秋]
座席:S席1階11列センター




はじめに

開幕週の翌月曜日、キャスト情報を確認したら全員「未定」なもんですから驚きました。でも火曜日になってセカンドキャストが一斉デビューだったので、めでたいな~!となりながら行く機会をうかがっていたのですが…。突然のキャス変によって泰潤さんグレイから萩原さんグレイに。

でも仲良しのフォロワーさんたちが日曜日に集まるというので、私も前予チャレンジしてみたら無事に11列センターを確保できたので行くことを決めました。ちなみにこの日は招待客がいて、その方々で9列センターなどの関係者席は埋まっていました。ある意味11列センターが前予スタート列になったのかな…?

ひとまず確保できたので、楽しみにしていたセカンドキャスト with 萩原さんグレイをしっかり観劇してきましたよ~!今回はどちらかというとファーストキャストとの違いやキャストの印象などがメインになると思います!

総評

キャストも変われば作品の印象もガラッと変わるのが舞台の面白いところ。前回観た『ゴースト&レディ』とは色んな面で違う印象を受ける観劇となり、凄く楽しめました。今回は岡村さんも出演されていないのでかなりフラットに観劇できたと思います。

次回観劇のまえに原作を読んでおこうと思って購入したんですけど、未だに読めていません。なので、今回も原作未読状態にて…。逆にそのほうが先入観とかもなく、純粋に劇団四季の『ゴースト&レディ』として楽しめるのとキャストのお芝居を純粋に観られるので、結果的に良かったかな。

あと、開演の爆音はちょっと仕様が変わったみたいです。開幕週は客電が落ちると同時にドンッという大きな音が響く仕様でしたが、今週からなのか客電が落ちてから開演するようになったので、ある意味では心の準備がしやすくなっていました。それでもざわざわしてましたけど(笑)

ロビーの注意書きを見ていない人も多いでしょうし、心臓に疾患がある人とかにとって心臓に負担のかかる演出はリスクを伴うかもしれないし、確かに客電落ちてからのほうが安全性は確保できますよね。あれも演出の一つとして楽しめる要素ではありましたが、結果的にこれでいいのかなとも思います。

では、キャストの感想について。

まずフロー。志音ちゃんと真瀬さんとでは全然アプローチが違うので印象がガラッと変わりました。志音ちゃんフローは揺るぎない芯の強さだったり圧倒的な眩い光だったりがあることでみんなを明るく照らしてくれる存在ゆえの「希望」という印象があったのですが、真瀬さんフローは良い意味で凄く親しみやすい存在だったからこそみんなにとっての心の拠り所となる「希望」でした。なんというか、等身大?志音ちゃんフローのように絶対に手が届かない存在であり唯一無二の奇跡的な存在などではなく、誰にでも親しみを込めて寄り添っているお姉さんのような存在だったのがとても印象深かったです。

史実のナイチンゲールが人柄的な部分でどのような人物だったのかはまったく知りませんが、看護を行うという意味で誰にでも平等に優しい眼差しで同じ目線に立ちながら接する真瀬さんフローの姿勢は間違いなくナイチンゲールそのものでした。傷病兵たちが「天使」と崇めるのも頷けるほどの慈愛の精神を感じられました。あと、もんのすごい美人。真瀬さんの美しさは以前から知ってはいましたけども、フローを演じているときの真瀬さんも本当にお綺麗でまさに目の保養でした。

そして表情豊かでお芝居がとても細かくて、気遣い・気配りのできる人だな~という印象も受けました。非常に人間味あふれていて、その気さくさゆえに裕福な家庭に生まれた人ということを一瞬忘れてしまうような親近感があるからこそ、私たちと変わらない普通の人だ…ともなり。だからこそ、落ち込みやすくなることにも絶望を感じてしまうことにも違和感がなかったんですね。私たちと同じ「人」であるからこそ。

逆に志音ちゃんフローはみなぎる精神力ゆえに絶望する姿がどこか信じられないような…ナイチンゲール様が本当に…?という気持ちすら抱きますが、その分希望のエネルギーが本当に強いので、2幕ラストのジョン・ホールを打ち負かすほどの眩い希望の光を放つ瞬間のエネルギーは凄まじいものでした。

そういう意味で、「希望」が似合う太陽のような志音ちゃんフローと「絶望」が似合う月のような真瀬さんフローという違いを感じたのはとても大きかったです。好みはあると思いますが、私的にはお芝居は凄く真瀬さんフローが好きで、歌は志音ちゃんフローが好きでした。どちらも違ってどちらも良い。凄く良いキャスティングだったと思います。

泰潤さんグレイが観れなかったので今回も萩原さんグレイでしたが、萩原さんグレイは圧巻すぎます。身のこなし方や自由気ままな性格も含めてゴースト感満載。明るく振る舞っているけど心に深い傷を負っているからこそ強靭な殻で自分の心を守っている感じがひしひしと伝わってきて、とても切なくて泣けます。萩原さんグレイはお芝居も歌もダンスもすべてが上手くて、人の感情を揺さぶるのがとても上手いので、グレイのそばにいたくなるフローの気持ちも凄く分かりました。

萩原さんグレイは観ているだけで泣ける…。これまで色んな萩原さんの役を拝見してきましたけど、正直グレイが一番好きかもしれません。それくらいグレイがドンピシャにハマっていて、観れば観るほど沼です。本当にかっこよすぎてたまりません。最後、上手側通路を歩いていくときは目に涙を浮かべている姿があまりにも美しくて、とても素敵でした。今回も萩原さんグレイを観られて良かったです。泰潤さんグレイもね、いつかリベンジしたいです!

ジョン・ホールは野中万寿夫さん。悪役を演じさせたら右に出る者はいないでしょう…。瀧山さんとはやっぱりタイプが全然違って、かなりの極悪人な印象がありました。極悪人というか気難しそう。瀧山さんジョン・ホールもかなり気難しそうなんですけど、万寿夫さんジョン・ホールとはまた別の気難しさがあるんです。上手く言語化できないのですが。万寿夫さんジョン・ホールはフロローに近い冷酷さがありますね。容赦がないし、何もかも虫けらと思ってそう。

瀧山さんジョン・ホールはプライドが高そうで、万寿夫さんジョン・ホールは人を見下してそう。ざっくりこういう性格の違いを感じました。どちらも根性ねじ曲がっていることには間違いないですが、万寿夫さんジョン・ホールのほうが年配なイメージがあるので、はるか年下のフローを阻害しようとする老害っぷりもエグくて救いようがないな…となりました(笑)

悪役としてしっくり来るのは万寿夫さんジョン・ホールなんですけど、ジョン・ホールへの愛しさが募るのは瀧山さんのほうなので、これも好みですかね。全然タイプが違うので、どちらで観ても印象が大きく変わってとても楽しかったです。

そして宮田愛さんデオン。岡村美南さんが男性的なデオンだとすれば、宮田さんは女性的なデオン。デオンは生前は男性として生き、ゴーストになってからは女性として本来の姿で生きることになったので、男装の騎士だったという史実を踏まえると岡村さんの男役のようなかっこいいデオンがとてもしっくり来る印象はありましたが、凄腕の騎士だったという設定を踏まえるとしなやかな殺陣と身のこなし方を披露した宮田さんデオンのほうがとても説得力ありました。それぞれにデオンの特徴を捉えたアプローチで、どちらも素敵です。

岡村さんデオンのように声を低めにした感じではなく、宮田さんの持つ女性的な柔らかさを兼ね備えた声で生前のデオンも演じられていましたが、その分とにかく動きが鋭くて…。鋭いかっこよさというんですかね、俊敏さや軽やかさ、しなやかさ、そういった動き一つひとつに魅了されてしまいました。殺陣もアクションもダンスもかっこいいのなんの…。まさにゴーストのような身のこなし方、さすが宮田さんです。

誰目線だよ…って感じですけど、宮田さん本当に歌が凄く上手になったな~と思って。歌の岡村さん、ダンスの宮田さんというそれぞれの得意分野があって色々と比較されてきた2人ではありますが、宮田さんも凄く音域が広くなってデオンの難しいナンバーも歌い上げていたのでさすがだ…となっていました。

でね、デオンに関してはタンゴを踊るナンバーがあるんですけど、なぜデオンがタンゴを踊るのかが分からなくて。時代的にも合わないそうで、でもタンゴを踊るからにはきっと何か意味があるんだろうなとは思うんですけど、まったく分かりません(笑)

このナンバーの中でデオンが自分の顔に張り付いた何かを剥がすように両手で顔をなびき、その両手を見るという振りがあるんです。仮面を剥がすということなら、男として生きてきた自分の仮面が剥がれていてどんなにもがいても女でしかないという今の現状に絶望しているということなのかもしれません。でも分からん。誰かこのナンバーの意味や振りを解説してくれ~~~と切に願っています。

あと、アレックスも五十嵐春さんと今回の寺元健一郎さんとで全然タイプが違いました。春さんアレックスはセリフが抑揚あまりないのもあるからか結構語気が強いように感じてしまうので、凄くストレートな印象を感じてしまうんですね。たとえば、フローに結婚を断られて部屋を出て行くときも凄く怒ったように出て行くのが印象的でした。でも寺元さんアレックスは落ち込んだように部屋を出て行っていて、フローに対する想いがちゃんとあったことが感じらたのでとても切なかったです。

寺元さんアレックスのほうが感情豊かで、凄くフローを大切に想っているのが伝わってきます。エイミーのことも幸せにしてくれそうだし、アレックスが決して嫌な男じゃなかったのが良かったです。春さん、どうしてもセリフが棒読みな感じになってしまうのが気になっちゃうし、『ロボット・イン・ザ・ガーデン』のときはそんなに気にならなかったんですけど、やっぱり役や作品との相性もあるのかもしれないなぁ…。今回の寺元さんアレックス、私はとても好きでした。

そして町島智子さんエイミーも素敵!町島さんもっと色んな役を掴んでほしいなと密かに応援していたので、エイミーとして舞台に立たれている姿を観られて嬉しかったです。凄く張り切っているけどすべてが空回りしてしまう様が凄く切なくて、町島さんが泣きそうな顔しながら笑っているのを観て余計に切なくなりました。

エイミー、クリミア行きを志願しながらもフローの眩しすぎる姿に羨望と諦めの気持ちが募って、結局辞退してしまう展開を迎えますが、凄く共感できるんですよね…。フローのようにたくましい看護婦ばかりではなく、震える体を奮い立たせていざ戦場に赴くも、自身の実力の低さや決して自分では届かない眩しすぎる存在に築いてしまうことで、諦めたくなる気持ち。新天地で頑張ろうとしたけど自分の不甲斐なさが悔しくてすぐに職場を離れてしまった新卒時代を思い出しました…(笑)

必死に葛藤してもがくエイミーを町島さんが全力で演じられていたのが凄く印象的で良かったです。不器用さを演じるのがとても上手。アナを演じていたときより落ち着いてお芝居もされるようになって、歌に関してはとにかく上手いの一言に尽きるし、町島さんに合った役で嬉しかったです。

それはそうと、原作に登場しないオリジナルキャラクターのアレックスとエイミーがくっつくという展開は私的には凄く急にも感じましたけど、まあでも原作の展開を邪魔しないからいいのか…?ともなってちょっとモヤモヤしてはいます(笑)

あと、今回のキャストでは鳥原ゆきみさんがめちゃくちゃインパクトあって最高でした。フローママも素敵でしたけど、個人的にはヴィクトリア女王のゆきみさんがめちゃくちゃ美しくて目を奪われましたね。ああいう煌びやかなドレス姿がサマになるのもドレス捌きが美しいのも、元宝塚娘役ならではなのでしょうか…。非常に華のあるヴィクトリア女王だったので、まさに女王様!という貫禄が感じられて凄く印象的でした。最初はゆきみさんがアンサンブルと知って贅沢だ~なんて思っていましたが、しっかり見せ場のある役どころで嬉しかったです。コメディも上手だしね。

そしてゆきみさんと同じく元宝塚の真瀬さんも、宝塚時代に何度も大階段を降りていらっしゃるからか、グレイとのデュエットナンバーで階段を降りる際に足元を一切見なくてさすがだ…となりました。真瀬さんとゆきみさんが共演しているのも非常に贅沢というか、ステージが非常に華やかなんですよね。この2人と岡村さんが共演する回を早く観たいです。

アンサンブルとして役付きではありますが、飯村和也さんや松山育恵さんなどもいらっしゃって本当に贅沢。それを言ったら開幕週のメンバーも非常に豪華ですし、この作品は出る人出る人めっちゃ凄くて、贅沢な時間を過ごせました。

そして3回目となればさらに色んな面で理解も深まり、音楽に関してもだいぶ慣れてきました。やっぱり初見って何もかもが初めてだからどうしても耳に馴染まなくて、それで違和感があるんだろうな~というのもあって。改めて聴いてみると素敵な楽曲もあって、個人的には結構好きなものも多いな~と手のひら返しをしています(笑)

原作を読むときっとまた違った見え方ができるだろうし、次回までには必ず……。ひとまず今回のキャストも一通り観られて良かったです!

まとめ

キャストがグレイを除いてすべて変わったことで作品どうこう物語どうこうよりキャストの違いなどを楽しむ側面が強い観劇となってしまいましたが、どちらのキャストも凄く良かったのでキャスティングについては大満足です。もちろんそのうえで好みなどはありますけど、この先色んな組み合わせで観れるでしょうし、楽しみがさらに広がりました。

キャスト表も一応置いておきます。

3回目の今回もボロ泣きだったから、ヤバいですね。『ロボット・イン・ザ・ガーデン』みたいな沼感があります。

また次回、より物語を深く理解できるように色々と知識を蓄えておきたいと思います。ということで最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

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