2019年6月1日マチネ 劇団四季『ジーザス・クライスト=スーパースター(エルサレム)』




JCS(エルサレム)
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ゆうき
ゆうき

4年ぶりのジーザスMy初日&My楽!

日時:2019年6月1日マチネ公演
場所:自由劇場
座席:1階S席3列18番




はじめに

気付いたら4年前のジーザス東京公演千秋楽以来でした!
あまりにも人気が凄すぎて、チケットを取っていなかった私はもはや諦めの境地だったのですが…。
なんとこんな良席を譲っていただいたので、せっかくだから行ってきました!

稽古写真出たときに、阿久津さんのヘロデ王に凄く魅力を感じまして…。
併せていざ開幕すると、佐久間さんのユダが凄く評判いいのでそれも気になって…。
キャストに関してはもう魅力しかなくて、めちゃくちゃ楽しみでした。

いつぶりの自由劇場だろう…。
周りが工事している関係で、真っ白なシートが張られていて。
春秋劇場、なくなっちゃったんだなって今更しんみりとしたりもしました。

劇場前には看板も。

キリストの話とか全然詳しくないので、ちゃんと予習しておこうと思ったのにできなかった…。
とはいえ、しっかり楽しんできたのでぜひ最後までご覧いただければと思います…!

総評

全体の感想です。

キャスト:★★★★★
座席:★★★★★
全体:★★★★★

安定の神永さんをはじめ、歌唱力に定評のあるキャストが揃っていました。
もう名前だけでもかなり豪華でしたが、それに加えそれぞれ実力がいかんなく発揮されていて。
これで9720円って正直安すぎではって思うくらいの重厚感。
どこを観ても豪華すぎて、とにかくキャストに関しては一切文句なし。
もうめちゃくちゃ素晴らしかったです!

前回の…といっても4年前の千秋楽では下手寄りの最前でした。
が、今回は上手寄りの最前列センターということでユダ堪能席!
佐久間さんを結構がっつりと拝めるような席だったのもあって、個人的には嬉しかったです。
加えて、ジーザスって最前列とステージとの距離がめちゃくちゃ近いんですよ。
だからより緊迫感とか臨場感とかそういうのが伝わってきました。
迫力満載でしたし、凄く贅沢な思いができたなって思いました。

もうすべてにおいて素晴らしいとしか言いようがなくて、なんか久しぶりに重厚感のある舞台を観たなっていう感じでした。
幕間がないため1時間45分ぶっ通しでの公演となりますが、その疾走感が良くて。
ジーザスならではの、曲ごとに拍手が起こらないっていうのも客席でしっかり空気感を大切にしている感じで素敵でしたね。
色々とキリスト教とかその辺の知識を事前に入れておかないと結構難しい話ではありますが、改めて当時の政治の在り方だったり群衆の心境の変化だったりが見事に描かれているなって思いました。
観ていてただ凄い!とか綺麗!とかそんなんでは収まらない…不思議な感覚。
ゾッとしてしまうシーンも多く、結構精神的に来るものはあるんですけど。
なんか本当に人気が出る作品なのも分かるし、熱狂的なファンが多い作品なんだってことも理解できるし。
とにかく満足度の高い1時間45分を過ごすことができました。

キャストの感想

気になったキャストの感想を書いていきます。

ジーザス・クライスト:神永東吾

前回も神永さんのジーザスを拝見しましたが、何度観ても「神」の一言に尽きます。
今後この人以上にジーザスがしっくり来る人はいないんじゃないでしょうか。
決して「無」ではなく、「静」としてそこに佇む姿だったり表情だったり。
前回はそれを「人間味がない」と揶揄してしまいましたが、今回はそれを美しいとさえ思ってしまいました。
彼がいかに冷静でありながら、いかに苦悩しているかをしっかり表情や仕草や歌声で表現しているし。
無限の可能性を感じそうなその佇まいの中に寂しさや苦しさがあって。
マリアのように手を伸ばしたくなってしまう、そんな儚さが至るところに見えたような気がしました。
そして何より、神永さんの美しい歌声は聴いていて気持ちが良いし、素晴らしすぎます。
高音も決して無理に出している感じはないし、至ってナチュラルに出てくるそのハイトーンが心地よかったです。
そんな偉大で圧倒的な存在感を放ちながら、鞭打ちの刑に処されるシーンや上半身裸になって十字架の刑にかけられるシーンでの脆さには衝撃を受けました。
あばら骨が浮き出て、いかにも「乾いている」感じが身体そのものから感じられて。
観ているのも息苦しくなりそうだし、本当に死んでしまうのではないかっていうような焦燥感に駆られました。
そして最後、息絶えた瞬間からの神永さんの死の演技。
これにはもう言葉を失ったし、まったく「生」を感じさせない佇まいで…。
さっきまであれだけお腹が動いてたのに、どうして全然動かないの…って。
なんかもう、本当に終始神永さんのジーザスは「生」の美しさを全体で表現されていて、凄いとしか言いようがありませんでした。
凄すぎてこれ以上の語彙力が発揮できないです…。

イスカリオテのユダ:佐久間仁

評判が良かったのでかなーり楽しみにしていた佐久間さんのユダ。
結果として、あまりのかっこよさに思わず失神しそうになるくらい、めちゃくちゃ良かったです!
とにかく歌声の力強さと音域の広さが抜群に発揮され、ユダの歌による訴求力というか、伝えようとする熱意がバンバン伝わってくるわけですよ。
ユダが何かに雁字搦めになって、苦悩しているのも表情や身体でしっかり表現していて。
音楽と共に身体を脈打ちながら、苦しそうに顔を歪める佐久間さん。
もうそれだけでも鳥肌が立ちましたし、とにかく全体的にパワフルでエネルギーが凄いんですよね。
裏切るシーンで金から目を背けつつ、顔を歪めつつ、でも苦悩の末欲に負けてしまう、そういう葛藤の姿も含め、1つ1つの仕草や表情がとても丁寧。
ダイナミックなのにすべてが細かくて、その相反する感じも魅力に溢れていて素晴らしかったです。
「やったぞユダ~」って幻聴?が聞こえてきて、嬉しそうに笑う佐久間さんユダがかなり印象に残りました。
あとは自殺のシーンですね…。
あそこの佐久間さんも本当に精神的に来るものがあって、観ていてしんどかったです。
何が正しいのか分からなくなってきて、もうおかしくなっていって。
幻聴が聞こえ始めて、もがき苦しんで、最後にはその渦に飲み込まれてしまう…。
ここまでユダの心情が顕著に表現されるっていうのがただただ凄くて、思わず息をのみました。
そして、最後は「スーパースター」の圧巻の歌唱力。
これまでの苦悩を抱えた姿とは一転、ひたすらかっこいい佐久間仁さんを拝めました。
歌に合わせて右足でリズムを取って、腰を振って大胆に色気を醸し出す佐久間さんにやられました。
ソウルガールズに向ける視線も流し目でかっこよくて、とにかく色気が凄い。
男の色気ってこんなにも凄いものなのか…と目の前でそれを盛大に浴びた私は無事死亡…。
なんか、芝さんのユダが印象深かっただけに、まったく別の新鮮なユダを観た感じです。
こんなにも佐久間さんの魅力を最大限に発揮できる役があるんだってなりました。
本当に素晴らしいユダでした!

マグダラのマリア:山本紗衣

紗衣さんのマリア、めちゃくちゃ可愛くて綺麗で美しかったです。
童顔なだけに可愛らしさが強調されてるなぁっていうのはありましたけど、やっぱり綺麗。
とにかくソプラノが美しくて、歌い方にも感情がこもっていて。
マリアがいかにジーザスを愛しているのかも伝わってきたし、神聖な雰囲気も感じられました。
紗衣さん観るの多分WSS全国公演以来なので、久しぶりに拝見できて良かったです。
WSSもマリアだったもんねぇ、神永さんとの並びを観てるとWSSだなぁ…ってふと思ってしまいました(笑)

カヤパ(大司教):高井治

安定の美声カヤパ様です。
前回観たときは歌声がこもっているような印象を受けて、歌詞が聞き取りにくいなって思ったのですが。
今回は事前にCD何度も聴いたのもあって、結構鮮明だったし、やっぱあの重厚感のある歌声が素敵だと思いました。
カヤパ様の役柄的にダークな部分が多いですが、ふとしたときに見せる笑顔にちょっとキュンとなったりもして…。
あと、カヤパ様の被り物がなんか役柄とアンマッチするような可愛さで(笑)
そこにキュンキュンしてしまったのは秘密です。

アンナス(カヤパの義父):吉賀陶馬ワイス

安定のワイスさんアンナス、本当に歌が上手!
ただただ歌が上手!
高音も伸び伸びと出るし、ワイスさんの無駄遣いってくらいですね。
高音を出すときにちょっと身体を屈めつつ、そこから上に這いあがるように歌うその体勢がいつも気になるところですけど(笑)
やっぱりワイスさんは歌が上手すぎて、もうそれ以外の感情が出てきません…。

シモン(使徒):本城裕二

本城さんのシモンもアレンジがかっこいいし、素敵でしたね…。
前回は佐久間さんがシモンやられてましたけど、本城さんのシモンもめっちゃかっこいい。
歌が上手い…上手い…。

ペテロ(使徒):五十嵐春

前回は飯田達郎さんのペテロだったんですよね…豪華でしたね。
今回の五十嵐さんって私存じ上げない方でしたが、やっぱり歌が上手い…。
歌が上手い…上手い…。

ピラト(ローマの総督):村俊英

下手したら9年ぶりくらいかもしれない村さん…!
高井さんと村さんが並んでいるだけで恐ろしいくらいの存在感と豪華さですね。
村さんの歌声の厚みも素晴らしいですし、少しでもジーザスを助けたいっていう善の気持ちが歌からも読み取れて、余計にピラトの立場が切ないなって思いました。
本当に村さんも歌が上手い…。

ヘロデ王:阿久津陽一郎

めちゃくちゃ楽しみだった阿久津さんのヘロデ王!!!
思った以上に阿久津さんが全面に出てきている感じではなくて意外でした。
前回観たのが北澤裕輔さんのヘロデだったんですけど、ざーさんヘロデはとにかく美形。
一方の阿久津さんヘロデは顔の圧が凄い(笑)
元々阿久津さん自体が顔濃い方ですし、ヘロデのメイクはそうなって当然だよなって感じですけど(笑)
女性らしいヘロデというよりは、完全にごつい男性が女装大好きっていうような感じでした。
でも阿久津さんも歌が上手いから、とにかく男らしいヘロデで新鮮でしたね。
ニコニコ笑ってるけど多分誰よりも残酷さは一番かもしれないくらい。
怒らせたらいけない人だなっていうのが雰囲気で伝わってくるヘロデでした。
Twitterで色んな人が言ってましたが、笑いながら「死んで」って言ってきそうな感じの怖さ。
つまらないと思ったらすぐ切り捨てる感じ…怖いですね。
いやぁ、本当にヘロデの出番って少ないので勿体なさすぎて、もっと観たいって思いました。
阿久津さんのヘロデ個人的に結構好きだったので、またいつか会えたらいいなぁって思います。

観劇の感想・考察

気になった箇所の感想などを書いていきます。

【個人メモ】鞭打ち39回の理由

鞭打ちがなぜ39回なのかっていうの以前観劇したときに気になって。
事前に調べなかったので、疑問が残ったままだったんですけど、今回は事前にちゃんと確認した上での観劇だったので、すんなり受け入れられました。
回数の間違いが起こらないように40回以下、というのがどこかに記されているようで…。
だから39回というのは最も重い回数だそうですね…(?)
もうこの鞭打ちの刑、初めて観たときも衝撃凄く受けたんですけど、今日もショックが大きくて。
背中が出血で真っ赤になっているジーザスを観ていると息が詰まりそうになりました。
思わず涙が溢れてしまって、観ているのがつらかったです。

群衆心理の変化の恐怖

ジーザスで一番ゾッとするのって何かというと、群衆たちなんですよね。
彼らは常に何かに縋っていないと生きていけなくて、簡単に人を欺けて…。
あんなに崇めていたはずのジーザスを「殺せ」と迫れる、その人間の弱さと怖さにゾッとなりました。
この世で一番怖いのは人間だっていうのを私自身思っていて、まさにそれがこの作品でも描かれているなって思います。
私もそうですけど、やっぱり弱いからこそ自分を守りたくなってしまうんですよね。
善と悪が分かっていても、集団心理で合わせてしまう…なんてことはよくあることで。
ペテロがジーザスを欺くときも、「嘘をつかないと捕らえられる」って歌いますし。
自分より弱い敵を作らないと自分を守れない…そんな時代だったのかもしれないですね。
どちらにしても、宗教って怖いなって思いました。
人を信じすぎるあまりに、期待しすぎるあまりに、自分の思い通りにならないとすぐに裏切りだと決めつけてしまう…。
うん、やっぱり人間がこの世で一番怖いです。

冷静でありつつほっこりするカテコ

これだけ残虐な描かれ方をしている本編ですが、カテコはちょっとほっこり。
最初こそ真面目な顔で皆さん登場されるんですけど、回数重ねていくごとに笑顔が増えて。
手も振ってくれたりするから、なんだか少しだけ救われたような気持ちになりました。
ちなみに、カテコはちょうど佐久間さんが目の前で。
ガッツリこちらを見て手を振っていただけて、ちょっと嬉しかったです。
最後は神永さん1人での登場だったんですけど、やっぱり独特の雰囲気を持っていらっしゃる方だなぁ…って。
本当に素晴らしい公演だったこともあって、カテコの回数がかなり多かったですね。
舞台上も客席も熱量の高い公演でした。

まとめ

前回、あまりの衝撃に若干トラウマになりかけたジーザス。
でもこうして大人になって色々経験して再び観てみると、やっぱり衝撃は大きいんですけど、なんか凄い洗練された作品なんだなっていうのが伝わってきました。

キャスト全員のエネルギーが集結されて、とにかく客席にそのパワーが来るんですよ。
もう常に全力で、息をのむ暇もなくて。
最近ずっとパリアメばかり観ていましたし、久しぶりに凄い重厚なミュージカルを観たなって思いました。

劇場のロビーには浅利慶太さんの写真が…。
やっぱり浅利先生って偉大だったんだなって思いました。

私は今回この1公演のみでしたが、行って良かったと思っています。
また数年後、色々とたくさんの経験を積んで、また観劇したいなって。

人間の醜くも儚い姿をありのままに描いたこの作品は、ぜひ今後も上演され続けてほしいです。
久しぶりのジーザス、本当に楽しかったです!!

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