キャストの感想
気になったキャストの感想を書いていきます。
ドナ・シェリダン:岡村美南
最高のコンディションで、絶好調のお芝居をされていました。というか、福岡楽から3週間しか経ってないのに結構お芝居の雰囲気とか細かい部分が変わっててビックリしました。凄く細部まで詰められていて、めっちゃ面白いし魅力たっぷりになってます!本当にビックリ!え、どこまであなた進化し続けていくつもりなの???ってくらいどんどん進化していくの、ファンながら怖いんですけど(笑)
それくらい凄くブラッシュアップされていて、感情がどんどん表に出ていくようになったし、台詞を台本通りにただ言うだけじゃなくて、しっかりドナの心情を通して喋っているのが感じられて、とても良かったです。かなりお芝居がナチュラルになってきました。それこそ私が7年前からずっと観続けてきた、本来の岡村美南さんらしいお芝居になっています。ドナを演じるのやっぱり相当苦労されていたからちょっと演技くさい部分も結構あったんですけど、それも岡村さんの中に染み込んでいて、かなり自然になっていたように感じます。
たとえば「あいつらには台無しにされたくない!今更ノコノコ現れる権利なんてないわよ!」って感情を剥き出しにする台詞の言い方とかね。前はちょっと台本をなぞってんなーっていう感じがあって、岡村さんの丁寧なお芝居が逆にアダとなっちゃってた印象がありました。でも今回お芝居が良い意味で粗くなって、ドナの怒りが岡村さんを通して発せられていて、とてもナチュラルになっていました。ここの台詞の言い方はめっちゃ驚いたポイントの1つです。
あとはお芝居に遊びを利かせるようになったのも大きな変化でした。台本には書かれていない感嘆詞?を発していたりしていて、台本では伝えきれないドナの感情が岡村さんを通して伝わってきました。たとえばダディーズと再会したときに「ハリー!……うへぇ…」って言っていたり、サムに部屋がないなら僕の部屋に泊まればいいと言われて「んなッ、そうはいかないわ!」って言ったり。感嘆詞とはちょっと違うかもですけど、より細かくドナの感情を意識して言葉を発しているのが伝わってきてとてもリアリティが増したような気がします。割と岡村さんって台本の通りに台詞を発せられる方なので、この変化はかなり新鮮でした。
また、オフマイクも1ヶ所面白いところがありまして…。元カレが3人現れたことに不満を爆発させたドナがターニャとロージーに窘められるシーンで、ロージーに「大丈夫よ今夜は!ソフィのパーティーは男抜きなんだから!」と言われた際に「あ、そうなの?」とオフマイクで言っていました。こんなあからさまなオフマイクは初めて聞いたんですけど、これを言うときの岡村さんのすっとぼけたような表情がじわじわ来て不意打ちをくらって思わず吹きました(笑)
いや、なんか岡村さんドナって人の話を聞いてないようなテキトーな感じがあるので、このオフマイクが凄く納得できてしまったんですよね。今夜のパーティーのことドナが知らないなんてことはないでしょうし、きっと事前に打ち合わせもしてただろうけどテキトーに聞き流してたんだろうなってなんとなく思いました(笑)こゆとこ、岡村さんドナらしくて大好きです。
こんな感じでオフマイクも言えばちょっとした言葉も発するようになっていて、かなり余裕が出てきた印象がありました。本当にイキイキしていて、お芝居がここまで自然になっていたのには驚きです。あとは相変わらず1幕は子供っぽい瞬間がたくさんあって、「まぁ、自業自得だけど!」っていう台詞を言うときに最後のほうが泣きべそかいてるみたいな言い方になっていてキュンとしました。そのあとターニャに「やだ。今のあなたのお母さんみたいな言い方だったわよ」と言われますけど、むしろお母さんというより子供だよって思いました(笑)ドナというキャラクターは岡村美南さんのあらゆるお芝居を引き出してくれるのでたまらんですね。
そういう変化も凄く素敵だったんですけど、今回自分にとって一番の収穫だったのはSlippingでソフィと向き合いながら歌っているときの表情や「誇りに思ってるわ、ママを」と言われたときの表情を正面から観られたことでした。ここの表情ってセンターから観ていると若干斜め向きだったり横顔を観たり…ということが多かったんですけど、がっつりと下手サイドに座ったので初めてしっかりと正面からここの表情を堪能できました。ちょうどオペラグラスも使って観ていたので、より鮮明に観ることができて嬉しかったです。
で、岡村さんドナが「バージンロードのエスコート、ママがしてくれる?」「誇りに思ってるわ、ママを」と言われたときに凄く良い表情をしているのは分かっていたつもりだったんですけど、いざ正面から観てみたら全然印象が違いました。なんか、思った以上にめっちゃくちゃ素敵な表情をしていたんです…。これね、正直言葉で説明するの無理です。凄く良い表情していたけど、あの表情を説明できる言葉が思い浮かびません…。でも一言で表すなら、慈愛?母性…?
もう涙が溢れて今にも泣き出しそうなのを一生懸命こらえるようにグッと唇を噛み締めながら微笑んでいて、凄く優しい表情をしていました。なんか、私の知らない間にすっごくお母さんになっていました。あんな岡村美南さんの表情、他のどんな作品でも観たことがありません。ドナだからこそ引き出せた表情だと思います。単純に綺麗とか美しいとか優しいとか…そんな簡単な言葉では表現しきれないくらい、お母さんらしい表情をしていました。それがあまりにも感慨深くて、嬉しくなっちゃいました…。
デビューのときには絶対にあんな表情できなかっただろうし、こうして横浜、福岡と公演を重ねていってドナと向き合いながらお芝居をしてきたからこそあんな表情ができるようになったんだろうなって思います。この表情を観ることができただけでも、京都に来た甲斐がありました。この席に座ることができてマジで良かったです。
他にも凄く素敵な瞬間はたくさんあったんですけど、もうすべてこの表情に持っていかれました。あー、やっぱり岡村美南さんって表情のお芝居素敵だなぁ…って再認識できた観劇になりました。岡村美南さんの魅力を最大限に感じられた公演で、本当に大満足です。まさかこんなにお母さんらしさが増した贔屓のドナを観られるなんて思わなかったので感動でした。でも逆に数年後にはさらにお母さんらしさが板についたドナになってしまうだろうから、未熟な若ママの岡村さんドナを観られるのは今だけかもしれない…と思うと寂しくもあります。だからこそ、今だけしか観られないであろう成長中の岡村さんドナをもっと見届けていきたいなって思いました。
ちなみに、岡村美南さんが自分でヘアスタイルもセッティングしていると思うんですけど、今回のドナの髪のハネ具合がエグすぎて笑いました。特に右側のサイドの毛がめっちゃハネてて、時々顔にかかっちゃってて、それが気になって気になって仕方なかったです。簡単にですがイメージこんな感じ。
伝わりますでしょうか。赤く矢印を入れた箇所みたいに、くるっと上を向いちゃっていました。初日だからって気合い入れすぎだよ(笑)そういうところも逆にドナのズボラさが際立って良かったですけどね。不器用なところも岡村さんらしくて大好きだなと感じられたポイントでした。
そんな感じで、初日のコンディションは抜群。変化もたくさん感じられたし、かなりブラッシュアップされていて良かったです。これから京都でも公演を重ねていけばさらに良くなっていくんだろうなと期待できました。何はともあれ、元気そうなお姿を観られただけでも感無量です。やっぱり岡村美南さんは世界一最高の舞台女優さんだなぁ…って実感できた観劇になりました!
ソフィ・シェリダン:若奈まりえ
まりえちゃんソフィ、なんだか開幕初日だからなのか知らないですけどすっごく天真爛漫なソフィになっていました。福岡で急遽戻ってきたときの凄く落ち着いた感じのソフィとは同一人物とは思えないくらい、かなり弾けていた気がします。でもそれが凄く岡村さんドナの子供っぽさもあって良かったですし、やっぱり2幕のまりえちゃんソフィの佇まいは色々と考えさせられるものがあるなぁ…って思いました。
今回はThank You For The Music直後の「今すぐ部屋に案内するわ!」の台詞をちょっと噛んじゃったミスがありましたけど、他の部分では歌もしっかり声出ていたしお芝居も魅力的でしたし、凄く良かったです。まりえちゃん、福岡楽もそうでしたけど、節目の公演になると凄く絶好調になるのが可愛いなって思いました(笑)
そして宇都宮さんスカイと組むのは初めてだったと思うんですけど、まりえちゃんのほうが場数を踏んでいるのもあって宇都宮さんをフォローしている感じはちょっと見受けられたかも。レイオールでは宇都宮さんスカイに弓矢で撃ち抜かれて、それを引っこ抜いて宇都宮さんスカイに撃ち返して、倒れた宇都宮さんスカイの上に跨って胸を射抜いた弓矢をまりえちゃんソフィが引っこ抜いていました。ここのソフィとスカイのやりとりも、まりえちゃんが福岡で慈夢さんスカイと組んだことでかなり遊ぶようになったので、それがそのまま京都でも継承されていた感じです。
天真爛漫なまりえちゃんソフィと真面目でお堅めの宇都宮さんスカイのカップルもとても可愛らしくて、宇都宮さんスカイがしっかり包んで支えてくれそうなくらい精神的に大人びているので、よりまりえちゃんソフィが子供っぽく映るのかも…とも思いました。
一方で、岡村さんドナとのバランスも絶妙で良かったです。岡村さんドナがどんどん子供っぽくなっていくから、岡村さんドナといるときのまりえちゃんソフィがどんどん大人っぽく見えてくるし、この逆転したような感じも尊かったです。ちなみに今回のスパトゥルは何やってたのかよく分からなかったので割愛(笑)なんか一生懸命美南ママに訴えていたんですけど、何喋ってたのか全然聞き取れなかったです。
逆にダズユアカテコのときには岡村さんにぎゅーってくっつきながらドンドンと体当たりするみたいに引っ付いてて、それがめっちゃ甘えたがりな子供みたいで、あまりのみなまりの尊さに昇天しました。まりえちゃんも何だかんだで素のときは岡村さんに甘えてくれるのが可愛すぎて、それがカテコで伝わってくるのでいつもニヤニヤしてしまいます…。今回の最高の可愛さをありがとうございました。とりあえず元気そうなまりえちゃんをまた観られて良かったです!多分京都はぺーちゃんも三代川さんもほぼ出られないだろうからまりえちゃんがメインで出てくることになると思うんですけど、体調だけは気をつけながらぜひ駆け抜けてほしいなって思います。
ハリー・ブライト:飯村和也
横浜公演以来の飯村さんハリー!本当に飯村さんハリーってザ・ハリーっていう雰囲気のハリーなので、こうしてまた観ることができて嬉しかったです。凄く優しそうで堅実そうで、ドナが惚れちゃうのもなんか分かるっていう説得力満載のハリーでした。声も落ち着いていて綺麗だし、知的な感じもするし、もう最高です…。あとは福岡後半は堀米さんのハリーをずっと観続けていたのもあって、若いなって思いました(笑)岡村さんドナが若々しいから、飯村さんハリーが相手だと凄くお似合いだしハリーとドナの過去が想像しやすいしで、凄く相性が良いです。
そんな飯村さんですけど、ギターの腕前はまあまあかな。ちょっとぎこちない感じがまた不器用さもあって愛しさを感じさせました。そしてお芝居に一切無駄がないのが観ていて気持ち良くて、わざとらしさとかがないので胡散臭さもなくて、心から信頼できるし安心できました。多分これは当時ドナも相当惚れこんでいたと思います。
そして飯村さんハリーと言えば、やっぱり岡村さんドナとのOur Last Summerです。横浜公演で観たときに、あまりの甘い雰囲気に衝撃を受けてしまったんですけど、今回もその雰囲気は健在でした。『ウィキッド』でエルファバとフィエロっていう恋人同士の役を演じていた2人っていうのもあるし、年齢や見た目的なお似合い感もあるからなのか、本当に雰囲気が甘ったるく感じるんですよね…。これはこれまで岡村美南さんドナと組んだ堀米さんハリーでも有賀さんハリーでも感じられなかった点です。飯村さんハリーでしか感じられないこの甘ったるい雰囲気…。ほんのりピンクがかった照明も相まって、元恋人っていう設定ながら今からでもゴールインできそうな雰囲気が漂っていました。
飯村さんハリーが結構堅い感じなので、ドナに対してちょっと冗談を言ってみたり優しく笑っていたりするのを観ているだけでギャップでやられそうです。堀米さんハリーのように優しく包み込む感じでもなければ、有賀さんハリーのようにたくさん冗談言って笑わせている感じでもなくて、ただ隣にいて一緒に喋って過ごしているだけでなんか落ち着ける感じのハリーだなぁ…って改めて思いました。やんちゃだったであろう当時の岡村さんドナにはピッタリだったと思います。本当に凄く素敵でしたし、岡村さんドナとの組み合わせで観ることができて嬉しかったです!
スカイ:宇都宮千織
横浜公演以来の宇都宮さんスカイ!相変わらず堅くて真面目なスカイでした。それこそ竹内くんスカイや慈夢さんスカイを観続けてきたからこそ、久しぶりに宇都宮さんスカイを観るとめっちゃ真面目すぎて、もっと肩の力抜いていいのに~って思っちゃいます(笑)でもそれが宇都宮さんスカイの良さだったりもするので、多分宇都宮さんスカイは将来良いパパになるだろうなぁ…っていうのが容易に想像できました。
一方でちょっと気になった点としては間の取り方かなぁ。凄くゆっくりでしっかり間を取って1つ1つ台詞を大事そうに話していたんですけど、ちょっと間を取りすぎていて少し間延びしちゃっている感じは否めなかったかもしれません。それが逆にソフィをしっかり諭している感じも醸し出していて、だけどスカイの感情としてはもっと昂っている部分があるだろうから勢いづきながら喋ってもいいのになぁ…とも思いました。そういうところが落ち着いた真面目なスカイらしさをより強調させているのかも。将来子供ができてパパになったときに、子供に対してもこういう叱り方しそう~って思いました(笑)
でも凄く素敵でしたしデビューしたての頃よりは結構余裕も出てきたと思うし、これからもっと公演重ねていけばどんどん柔軟になっていくような予感はします。まりえちゃんソフィと組むのも確か今回が初めてだと思うし、一緒にお芝居していきながらまりえちゃんソフィに絆されていってほしいなと思いました。宇都宮さんスカイの今後に期待したいです!
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