2022年6月25日ソワレ 劇団四季『ノートルダムの鐘』@横浜




ノートルダムの鐘
この記事は約7分で読めます。
ゆうき
ゆうき

今週見納め観劇です!

日時:2022年6月25日ソワレ公演
場所:KAAT神奈川芸術劇場
座席:S席1階6列15番




はじめに

24日の公演の余韻が冷めやらないまま、今回の観劇です。心優しいフォロワーさんにお声がけをいただき、素敵なお席をお譲りいただきました!本当にありがとうございます…!!

もうそろそろ抜けるやろ…を毎週繰り返しているのだけど、今度こそ見納めか…?という気持ちを抱きながら今回も観劇してきました。

そして今回は行きの電車が約40分も遅延するという非常事態…。もしかしたら間に合わないんじゃないか…って不安だったんですけど、無事に間に合った良かったです。ほんと観劇前の電車遅延は勘弁してほしいですな!!

KAATまでの道のり、強風でキャップが飛ばされるわ、信号全部赤になるわ、しまいには劇場内でイヤリングを片方失くすわで散々でした。失くしものは四季のスタッフさんがご親切に対応してくださったので、今後見つかることがあればご連絡してくださるそうです…。いつもいつもご親切な対応ありがとうございます…。涙

そんな波瀾万丈(?)な往路でしたが、観劇はしっかりと楽しんできましたよ!レポしていくので最後までご覧くださいまし!

総評

全体の感想です。

キャスト:★★★★★
座席:★★★★★
全体:★★★★★

今回はわりと冷静になって観ることができたと思います。前回みたいに情緒がぐちゃぐちゃになって涙で前が見えない…ということもなかったので、結構集中的にエスメの表情をオペラグラスを使いながら堪能していました。

6列センター、めっちゃ近いので正直オペラグラス使う必要ないんですけど、なんかもうクセですよね。私、コンタクト入れてるけどそんな視力良くないので、クリアに観たいときはどんな席であろうとオペラグラス使います。今回の席はTOTWもSomedayもエスメが目の前で堪能しまくりだったので、とにかく目が幸せでした。鐘は下手側しか勝たん…。やっぱり近くで観る贔屓は顔がイイな…。本当にただただ眼福な観劇でした。

今回は全体をフラットに観るというよりも前回観て気になったところを確認するように観たり、エスメの言動を受けての周りの人たちの反応や表情の変化などを中心に観たりしていました。エスメを中心にこの作品の登場人物たちの人生が変わっていくので、エスメとの出会いが彼らに何をもたらすのか…を凄く知りたくなったんです。

何だかんだでエスメラルダが多くの人の人生をめちゃくちゃにしてしまったという事実は否めませんでした。悪魔などでは決してないんだけど、確かに多くの人の心を惑わしてしまったなぁ…と。そしてそのことにエスメ自身が気付いていないということも皮肉的で、自分で自分の魅力や危険性について自覚をしていないがために、エスメは「こうしなくちゃいけない」という生き方ではなく「こうしたいからする」という自分の軸を持った生き方をしています。

我が道を進むエスメが、実際のところ周りの人たちを巻き込むような面倒ごとを何度も起こしてしまっていることは真実です。そのうえで彼女を守ってくれる人がいて、愛を捧げてくれる人がいて、見捨てなかった人がいる。それは彼女が慈悲に溢れた女性であり、自分と同じように迫害を受けている人たちを救いたいと願う気持ちがあるから。地位とか名誉とかそんなの関係なしに、人に対して平等に接するから。エスメは自分の生きたいように生きるけど、その根底には「人はみな平等であるべき」という考えを持っています。

そしてそんな人の平等を願った彼女の死と引き換えに、人々が変わり始めようとするのがフィナーレです。彼女が旅立っていくと共に、周りの人たちが顔を汚していき、カジモドは顔の汚れを取って普通の人間に戻る。ここ、エスメがどんな気持ちで天国へ旅立っていったのか…を知りたくてオペラグラスを使いながら観ていたんですけど、微笑んでいるというよりはボーッとしたような感情が読み取れない表情でカジモドを振り返っていました。

この表情ってどういう感情なんだろう…?と思いながらも、正直未だに答えが出ていません。バスティーユでSomedayのイントロが流れ出したときに「あなたたちが信じる天国ってものが本当にあるのなら、そこから一緒に世界を眺められるかもしれないわね」とエスメは言いますけど、フィナーレでのあの振り返りはエスメが天国から世界を眺めていることを表しているのかな?

皮肉にも、彼女の言った通りになりました。Somedayの歌詞にもあるように「きっと夜は明けるわ私が旅立つときに」がまさに現実になり、この「夜明け」は「正義の夜明け」を指します。彼女の旅立ちと共に正義の夜明けが訪れて、人々は変わっていきました。エスメは、自分の命と引き換えにいつか来ると願った平等な世界がすぐそこに来ていることに安堵しているのか。はたまた、自分が現世に存在していたことが逆に平等な世界を遠ざけていたのかと落胆しているのか。真意は分からないんだけど、喜びとも悲しみとも怒りとも取れない、凄く不思議な表情をしていました。

まあね、彼女の死をきっかけにカジモドがフロローを亡き者にし、フィーバスが人々に呼びかけたこともあって結果的に正義の夜明けが訪れたんですけども。彼女の死は決して無駄ではなかったというわけです。凄く皮肉だなって思いました。穿った捉え方をするけど、エスメラルダは劇中であからさまに罪を犯したというわけではないんだけど、もしかしたら存在そのものが罪だったのかもしれない…と考えてしまいましたよね。

ずっと彼女は聖母か女神のように思えていたんだけど、実は「神」と呼ばれる存在とは対極的な場所にいる人だったのかもしれません。ジプシーっていう低い身分だからということではなく。

あの世に行ったことで、本当の意味で彼女も聖母または女神のような存在になったのかな。いやもしかしたら、彼女は聖母マリアの生まれ変わりか何かで、現世にいる間は天から人々を見守ることができなかったから世の中は無秩序になりつつあって、ようやく本来あるべき場所=天国に帰っていったから平等な世界が戻ってきたのかも。

そういう意味では、彼女がこの世に存在していること自体が罪といえるかもしれないなぁ…と思いました。本当にすっごく穿った見方をしますけども!

なので、エスメのことを「天使」と呼ぶのも「悪魔」と呼ぶのもなんか変に納得できたような気がしました。エスメ自身は自分が聖母のような存在であることにはまったく気付いていないし、自分の人生をまっとうに生きているだけの少女なんですけども。だから凄く皮肉なんですよね。誰もそのことに気付かない。彼女が天に召されたときに初めて分かることだった…ということかな。

フロローも聖母マリアの化身のようなエスメラルダに心惹かれてしまうのは致し方ないわけですよ。彼女に対して処女性を求めているのも彼が聖職者であるからこそ。なんか色々と考えてみると、色んな部分がようやく腑に落ちたような気がしています。ジプシーのエスメラルダと聖母マリア、この対極的な存在を線で繋げてみたときにすべてが繋がったような気がしました。

だから、このことを踏まえてもう一度観劇したいです。なんでこんなにもエスメラルダって魅力的なんだろう…と考えていたけど、そりゃ贔屓が演じているわけだから魅力的に決まっているでしょーが!!と信じて疑わなかった煩悩な過去の私を殴りたい(笑)いや、贔屓が演じているんだから魅力的なのは間違っていませんけど!!!

その日その日感じたことが次回も同じように感じられるとは限らないし、今回のエスメラルダは聖母の生まれ変わり説はもしかしたら次回観たときにはそうじゃないと感じるかもしれません。だけど、今この瞬間は確かにそうであるかのような気がしていて、自分の中にストンと落ちたので、エスメラルダという女性の存在とこの作品における存在意義についてしっかりと咀嚼しながら確認していきたいなと思いました。

前回の公演のこともあったから、今回は岡村さんがどうエスメを演じるんだろう…って注目していましたけど、変えるところは意図的に変えていたし、意識せずに変わっていた部分もあったし、本当にその日その日のエスメを生きているんだなっていうのが伝わってきました。今回も素晴らしかったです。

そして今回の公演はアンサンブルさんのオフマイクがやけに音量でかいなぁ…と思いました。トプシーでカジモドが飛び入り参加して醜い顔を晒すシーンで、民衆たちが驚きの声をあげます。そこで「フロローの秘密のお友達!」というセリフのあとに、おそらく平田曜子さんだと思うのですが「気持ち悪!」と罵ったのがマイクを通して劇場に響いていました。なんかそれ聞いてウッ…となっちゃって、胸が苦しかったです。

カジモドはフロローからずっと「醜い」「気持ち悪い」と教わってきたから、その言葉をそのまま他の人から向けられるのがエグいと思いました。容赦ない罵詈雑言がダイレクトに伝わってくる公演だったので、結構メンタル削られましたよね。本当に人間って醜いわ…。

でも今回も色んなことを感じながら観劇できて、凄く充実した時間が過ごせました。カテコはちょうど目の前の人が頭より上に手をあげて拍手したり手を振っていたりしたので、虚無でしたが…。その気持ちは分かるけど、頭より上に手をあげられると後ろの人の邪魔になるってことを理解してね…。

ひとまずは今回で今週見納めなので、とても良い観劇ができて大満足です。プリンシパルがあまりにも私好みの人たちが揃っていて、本当に毎週楽しく観劇していました。こんなにも好きなキャストが揃う公演ってなかなか出逢えるものではないし、噛み締めて観劇できたと思います。しっかりとエスメも堪能できて幸せでした。素敵な公演をありがとうございました!

NEXT>>キャストの感想です!

3

コメント

タイトルとURLをコピーしました