2016年12月11日マチネ 劇団四季『ノートルダムの鐘』日本公演初日

ノートルダムの鐘
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ゆうき
ゆうき

ついに開幕した新作ミュージカル『ノートルダムの鐘』を観劇してきました!

日時:2016年12月11日マチネ公演
場所:四季劇場[秋]
座席:2階S席1列20番

はじめに

岡村美南さんにとって初のディズニー作品。
そして初の日本公演オリジナルキャスト。
エスメラルダ役にて、いよいよデビューです。

この日は風がやや強かったですが無事快晴でした。

そして、劇場に入ると真っ赤な花に囲まれた看板が。
とても美しいです。

この作品は映画版を知っていて、舞台版は結末が違うことも知っていました。
映画のようにハッピーエンドでないことも。
ディズニー作品とは言っても、アイーダのようなダークでシリアスな作品。
とは言ってもやはり凄く音楽も綺麗で美しいのでとても楽しみでした。

それに何より、岡村美南さんが出るんですからね。
本当にそれがずっと楽しみでした。

では、ネタバレ全開でいきますが細かい感想とか色々と正直なことを書いていきたいと思います。

↓↓↓

まず、これは完全なメタシアター。
これから始まるのはフィクションのお芝居です、というようなやりとりがありました。
ただの好青年であるカジモド…というより海宝直人くんが舞台上を歩いてきます。
そんな彼が顔を手でなぞると黒いインクのようなものが頬や目元につきました。
そしてクロパンやアンサンブルたちにカジモドになるための衣装等を手渡されます。
それをその場で身に付けるといよいよ海宝直人くんがカジモドになるんです。
冒頭でこのやりとりをあえて観客に見せつける。
これによって、観客にはこれから始まる物語があくまで劇中劇なのだという認識が生まれます。

メタシアター的要素はそれだけでなく、アンサンブルたちが観客にいちいち説明をしていったりすることも。
物凄く、演劇的でリアリズムさもなくて…ディズニー作品には珍しいなぁ…とも思いました。

だからどちらかというとミュージカルというよりストプレに近い部分もあったりします。

また、舞台転換がほとんど行われないというのも特徴だと思います。
舞台の周りを大聖堂で囲んだような造りで、これらはずっと捌けずに存在したまま。
舞台の中心だけで小道具等を使って転換をしていく感じでした。
もちろん周りを囲む大聖堂もカジモドたちは使うんだけど、ほぼクワイヤやアンサンブルたちが座っています。
彼らが小道具を動かしたりもするため、黒子的役割も担っています。
そういった裏方も務める彼らがずっと舞台上に存在していてカジモドたちを見つめているんです。
それも凄くメタシアター的だなぁ…と思いました。

劇団四季には凄く珍しい作品ですよ、本当に。
こういうところがなんとなくベガーズオペラとかそういう作品にも似ていたりする気がする。
久しぶりにこういう演劇的な作品を観たのでとても面白さを感じました。

そういう限られた舞台上であらゆる舞台転換を行うから時間演出や空間演出がなかなかざっくりしていて。
制限されたものの中であんな壮大的なストーリーを展開していくから凄いんです。
アラジンとかリトルマーメイドのような豪華絢爛な舞台セットとか衣装は全然登場しないです。
はっきり言って地味かもしれない。
だけど、その分照明とか舞台美術が凄く美しくて、その点もアイーダっぽかったです。
本当にこの作品はアイーダ的要素をたくさん詰め込んでいます。
正直、好き嫌いがはっきり別れるとは思いますが本当に美しくも儚く哀しい作品です。

では、また作品自体の感想は後にしてキャストの感想を書いていきます。

キャストの感想

気になったキャストの感想を書いています。

カジモド:海宝直人

凄いとしか言いようがないです…本当に凄かった。
何が凄いって、カジモドは見た目が凄く醜いため背も凄く丸めていて片目も潰れていて口も曲がっていて。
それらすべて特殊メイクを一切使わずに表情とか姿勢で自分自身で表現するんです。
それで喋って歌って動くんだから凄いです。
また、言葉も上手く発せないから声も掠れ気味というか…。
その台詞の発し方が、普段の海宝くんとは思えないほど不細工というか…かっこよくない。
しわがれたおじいさんのような、決して声だけ聴くとかっこよくない印象。
こういう身体的に障害?のある役を演じるってかなり体力的にも精神的にも難しいと思います。
それを演じきった海宝くんは本当に素晴らしい。
歌唱力もあるために、Out There(「陽ざしの中へ」)も凄くカジモドの希望がいっぱい詰まっていたようでした。
歌で表現することが出来るから、いかにカジモドが希望に満ちているのか。
いかにカジモドが絶望に打ちひしがれているのかがじわじわと伝わってきました。
怯える芝居も上手で、アラジンで観た時に感じたキラキラしたものは全然なくて。
凄く小心者な感じを全身全霊で表現していて、だけど実はかなり力強いっていうことのギャップもあって。
エスメラルダを軽々と持ち上げる感じとか、おぉ…って思いました。
上手くは言えないけど、カジモドそのものでした…映画で見たカジモドと一緒だった。
思わず手を差し伸べてあげたくなるような愛しさを兼ね備えた、怪物のような小心者なカジモドでした。
本当に素晴らしかった…熱演でした。

フロロー:芝清道

カジモドより演じるのが難しいのが、このフロローという役だと思います。
なぜ難しいかっていうと、彼の心理描写がとても浅く描かれているから。
だから彼がエスメラルダと出会うことで変わってしまうという心理や人間的な過程を演じるのが凄く難しいと思いました。
映画版のフロローは「童貞」と視聴者にからかわれるくらい初々しいというか、本当童貞さ全開なんですね(笑)
エスメラルダに恋をして内から溢れる欲を抑えきれない、男としての葛藤の部分が描かれていたりするし。
芝さんのフロローは確かに凄く真面目に生きてきたはずなのに、エスメ相手にすると凄くたどたどしくて。
慌てたり焦ったりする姿が凄く映画版フロローみたいで良かったです。
厳しさもありつつカジモドを抱き締める腕は優しくて、父親らしさもあって素敵でした。
ただ、やはりもっと彼の心の葛藤を深く掘り下げなければ心情の変化を表現するのが難しいと思います。
手のひらを返すようにぱっとフロローが態度を変えるようなシーンがいくつかあって。
なんかそれが淡々としすぎていたような気がして。
芝さんの表現力の問題ではなく、演出面の物足りなさなんだと思います。
どうして彼は急に態度を変えてしまったのか、そういう絶妙な変化を読み取りにくかったのは正直ありました。
そういう意味でもフロローという役を演じるのは凄く難しいです。
彼がいかにエスメに執着しているかなり気持ち悪いおじさんであるかというのはひしひし伝わってきます(笑)
芝さんがここまでストーカーじみた役を見事に演じていて、それにも衝撃を受けました。
まぁ…ファントムも演じていましたもんね。
狂気じみた男性であり、でも決して彼は悪人ではないということの哀しさがカジモドを通して描かれていて。
芝さんも凄く聖人っぽいフロローで良かったけど、野中さんも気になるところでした。

エスメラルダ:岡村美南

岡村さんのエスメなんて正直凄く想像付いたし絶対似合うと思っていました。
が、やはりどんぴしゃだしジーニー役=瀧山さんってくらい、はまり役だと思います。
作中でもカジモド、フィーバス、そしてフロローが惚れてしまうくらいの美女。
私から見ると岡村さんって凄くサバサバしているので、どちらかというと女性ウケのいい女性ってイメージ。
だけど、やはりいざ舞台の中心に立って歌って踊る彼女は凄く美しくて。
そのルックスも麗しく凛々しく、その歌声も力強くかつ優しく、そのダンスも魅惑的で大胆。
まさにエスメラルダそのものでした。
女性像としては凄くアニタに通じるところがあって、だから余計にはまり役でもあるのだけど。
ジプシーとして差別を受けていて、それでもくじけずに強く生きようとする姿もアニタに通ずるし。
カジモドを受け入れて優しく接しようとする姿もアニタに通ずる…。
包容力の塊のような存在ですから、本当に凄く優しさに溢れた声や表情が垣間見えて。
あぁ…これは確かにカジモドが好きになるのも分かるなぁって。
それだけでなくかっこよく勇敢で男顔負けなところに、彼女自身のサバサバした感じが活かされていて。
そういうところにフィーバスが惚れるのも分かるなぁ…と。
そして何より歌でダンスで表情で相手を誘惑…というか惹き付けることが出来る。
あのフロローが夢中になってしまうのも分かる…。
タイプの違う3人の男が彼女に夢中になってしまうのが分かる…それくらいマジではまり役。
一番やはり凄いと感じたのは歌唱力ですね。
歌に関して、心配したことって一度もないんです。
彼女自身あまり喉が強くないと言っていますが、そんなこと微塵も感じられないくらい素晴らしいです。
Rhythm of the Tambourine(「タンバリンのリズム」)やGod Help the Outcasts(「神よ 弱き者を救いたまえ」)。
とことん高音を苦しさも感じさせずに地声で軽々と歌いこなしてしまう。
無理に地声で、というのではなくその中でしっかりとエスメの心情を表現することの出来る余裕もあって。
もうこれは本当に生で実際に聴いてもらうしか伝えようがないです。
中でも個人的にはTop of the World(「世界の頂上で」)が素晴らしいです…。
カジモドと心を通わせるような優しく明るい曲。
エスメの心の寛容さ、そして岡村さん自身の包容力がひとつに重なった瞬間。
カジモドに向ける視線も凄く優しくて、かける声も凄く優しい。
そして最後はカジモドと両手を広げて空を仰ぐように歌うんです。
この時の岡村さんの歌声が凄く美しく響いていて、今でも凄く鮮明に覚えています。
2幕で歌うSomedayも凄く哀しくて良いけど、本当にどれを取っても凄く良いけど…。
本当にエスメが心を開放するようにカジモドと向き合った時のあの気持ち良い歌声は聴き応え抜群です。
あとは殺陣が下手だったりそういうのは相変わらず不器用で可愛いですし(笑)
なんか、いつの間にこんな色っぽくなったんだろう…って思いました。
男勝りでほら、前にも言ったけど岡村さんって凄く健全な女性っていうイメージあるから。
色っぽさとかあまり似合わないというか感じられない、とか色々言ってきたけど。
今回は色気というものを感じたし、凄く本当に心から美しく妖艶だと思いました。
贔屓目抜きにしても岡村美南さんのエスメラルダは見応えあります。
こんな素敵に仕上げてくるとは思いませんでした…さすがですよ姐さん。
改めて岡村美南さんという女優さんの力を感じたし、鳥肌がとまりませんでした。
ずるすぎる…反則です。

フィーバス:清水大星

開幕は佐久間さんだと思っていたので清水さんだったことにびっくりしました。
清水さんといえばシェフルイのイメージしかなかったので、どんな面白いフィーバスになるんだろう…って(笑)
と思ったけどただただかっこよかったフィーバスでした。
でももっと女たらしな感じがあるといいかなぁ、もっとチャラさがあっていいかと。
男としての色気というものをもっと見せてほしいなぁ…とは思いました。
そしてもっと強引でいい、あのエスメが惚れてしまうのだから。
そういう意味での男らしさというのはやや物足りなさありましたが、逆に優しさが感じられてそこが良かったです。
歌も上手ですし、エスメを大切に思う気持ちが手の指先まで感じられました。
なので、これからもっとチャラく強引さを持ったフィーバスになっていくといいなぁ…なんて期待もしています。

クロパン:阿部よしつぐ

クロパンは凄くぴったり合っていたと思います。
もっとおどけた感じでもいいけど、軽い感じがクロパンっぽさあって良かったです。
トプシー・ダーヴィーのよしつぐさんは最高でした。
ただね、クロパンってそんな呑気で軽いだけの男ではないですから。
彼にも暗い影が潜んでいて、乞食のような貧しく卑しい男であることも同時に表現しなくてはいけなくて。
常に明るいわけではないので、そこのギャップの演じ方が良かったです。
だからこそもっともっとおどけていいので、もっと楽しそうに笑顔見せてほしいかな。

まとめ

この作品はとにかく音楽が美しい。
クワイヤ隊を入れることでより壮大に美しい音楽を奏でる。
まるでオペラを観ているようでもあり、でもミュージカルを観ている…。
なんだか凄く不思議な感覚になる作品です。

やはりウィキッドやアイーダを彷彿とさせるシーンや演出が多かった気がします。
エスメラルダがカジモドに向けて言う「怖がらないで」とか。
エスメラルダを魔女に仕立て、魔女狩りという名のエスメ捜索が始まったり。
Top of the Worldで空を仰ぐようにカジモドとエスメが歌うって先程も言いましたが。
その演出もウィキッドでのAs Long As Your Mineだっけ、を彷彿とさせました。
この曲も、フィエロがエルファバを「綺麗だ」と受け入れ心を通わせた内容だからね。
エスメがカジモドを受け入れ心を通わせている、という意味でもかなり似た部分はあるかも。
そして何よりアイーダですよ。
2幕で牢獄に閉じ込められたエスメとフィーバス。
死刑という残酷な結末を直前に、フィーバスがエスメを後ろから抱きしめながら歌うSomeday。
もうこれアイーダの「星のさだめ」じゃないか!とすぐにピンと来ました。
即視感半端なかったよ…。
構図がね、歌詞というか照明とかの演出とかは「迷いながら(リプライズ)」っぽさもあるけど。
凄く、アイーダに通ずる何かがありました。
途中からエスメがアイーダに見えてきて訳わからなくなりましたし。
あぁ、岡村さん絶対にアイーダ出来るわ…と思ったし。

最後は、エスメが死んでしまう…。
ここが映画版とまったく違う結末ですね。
このね、死んだエスメをフィーバスが持ち上げようとするんだけど持ち上がらないんですよ。
彼も怪我を負っているから。
だけど、その後にカジモドが彼女を軽々と持ち上げて連れて行くんです。
ここの演出は凄くカジモドの力強さを上手く表現したなぁと思いました。

あとね、カジモドがフロローを殺すシーン。
実は1幕の始めの方で「僕は強いからご主人様を守れます」みたいなことを言ってるんです。
その時はフロローも本気にしていなかったのだけど。
フロローを追い詰めた時に、「言ったでしょ。僕は強いって」とカジモドが言うんですよ。
これ聞いて凄く鳥肌が経ちました。
フロローがいかに弱い人間であったのか、醜い人間であったのか。
それをカジモドの言葉で強調的に表現していて。
本当に…凄いと思いました。

そして、エスメは天に召されていきます。
ガーゴイル役も担っていたアンサンブルたちが、次々と手に黒の泥?を塗り始めて体を歪めていきます。
まるでカジモドのように。
そして、逆にカジモドは観客に背中を向けていて振り返った時には顔についていた黒の汚れは取れていて。
それと同時に身にまとっていた背中につけた重りを取り外すんです。
それによって、カジモドから海宝直人へと戻っていく。
1幕最初であったやりとりの逆が行われ、長い長い劇中劇がようやく終了したことを告げました。
役者へと戻った海宝くんが話すのは、その後の結末…。
その後、2つの白骨化した遺体が見つかりました。
1つは女性のもの、そしてもう1つはその女性を抱いていた背中の曲がった男のもの。
カジモドは、最後までエスメを抱いたまま死んでいったということです。
なんて儚く切なく哀しい話なんだろう…と胸が痛みました。

アイーダのように、転生してまた再会出来る描写があれば救われたのに…。
本当に誰も救われない、凄く哀しいお話でした。
そして最後の最後では、エスメやフロロー、フィーバスたちが顔を汚して登場してきました。
凄くね、この演出にどんな意味があるのだろう…て考えてる。
カジモドただひとりが顔が綺麗なんです。
これまで逆だったのに、どうして最後はカジモド以外のみんなが顔を汚しているのだろう…って。
それは多分、また観ていくうちに分かるんだろうな。

なんかね、何も上手く言葉が出てこない…。
どう伝えたらいいのか分からない。
だけど凄く胸に響いていて、切なくて苦しくて…。
そんな何とも言えない感情が凄く心を支配してしまう。
好き嫌いは絶対に別れる作品。
だけど私は、とても好みな作品でした。
アイーダ大好きマンだからそりゃ気に入るわけなんだけど。

こんな壮大な悲劇を岡村美南さんが演じてくださったことに感謝。
本当に美しいとか素晴らしいとかそんなんで伝えきれないくらい…。
もう、日本初演オリジナルキャストとして相応しすぎる女優さんです。
ずっと目が離せませんでした。
改めて、エスメラルダ役でのご出演…おめでとうございます。
心から大好きです。

そして、ノートルダムの鐘の日本公演初日という特別な公演に連れて行ってくれた方に感謝。
私にとって2016年12月11日という、この日は一生忘れることがない特別な日となりました。
岡村美南さんの記念すべきディズニー作品初出演。
岡村美南さんの記念すべき日本公演オリジナルキャスト初出演。
そして、岡村美南さんの記念すべきエスメラルダ役デビュー。
こんな素敵な公演を観ることが出来て、私は本当に心から幸せです。

今日も明日もこれからも、岡村美南さんを応援していきたいと思いました。

日本公演初日おめでとうございました!

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