兄ファントム見納めに来ました!
はじめに
こんな短いスパンでまさか来るとは自分でも思いませんでしたけど、きっとお兄ちゃんが抜けちゃうんじゃないかと思って、居ても立っても居られず急遽来てしまいました。
案の定、10時のキャス変をチェックしてみたら洋輔さんが9日で抜けるということだったので読みは当たり。前回観てとても感銘を受けた洋輔さん×紗衣さん×迪さんの激アツトライアングルをまた観られるのはもしかしたら今回が最後かも…という気持ちもあったので、無事に来れて良かったです。
ここ最近は観劇後に「また観たい…」という気持ちでいっぱいになりがちなので、何かとチケットを取ってしまおうという衝動に駆られてしまうんですが、完全に沼ですよね。妹にも「岡村さんが帰ってきたときのために貯金しなくていいの?」と鋭いところを突かれて、何も言い返せませんでした。
でも今は今しか観られない貴重な観劇ができるからいいの!私はいつでも未来投資ではなく現在投資の人間なんです…!だから悔いはありません!贔屓が来たらそのときは考えます…!
そんなわけで、今回も自分なりに色んなことを考えたり観察してみたりしながら観劇できましたので、それらも踏まえてレポしていきます。ぜひ最後までご覧くださいませ!
総評
全体の感想です。
8月7日に観たときとキャストも座席もまったく同じでしたが、前回とは全然印象が違った公演でした。前回は、前々回の観劇を引きずっていたから色んな場面で比較しながら観ていたところがあったんですよ。でも今回は頭をリセットして、今自分が観て感じた洋輔さんファントム×紗衣さんクリスの関係性を大切にしようと思えました。そのおかげか、本当に2日前とはまったく違う印象を抱いたし、純粋にめちゃくちゃ楽しめた自分がいました。
あとは本当にスパンが短いおかげで「あ、ここって日によって違うんだ…」と気付けたポイントが多かったのも面白かったです。台本に書かれていないディテール部分は俳優さんに委ねられている部分があるというのはどの作品でもよくある話ですが、まさかこの作品にもそういう部分があるとは…と気付けたのは大きな収穫でした。
第2回のオフステを見る限りだと冒頭のカルロッタとアンドレの掛け合いも毎回違うみたいですし、実際に今回観てみたらTOMで辻さんカーラが北澤さんアンドレにアピールをするときに指差しをして指先をくるんくるん回しながら北澤さんアンドレに近づいていって、そんな辻さんカーラに北澤さんアンドレがデレデレしていて…というやりとりをしていました。以前どんなことしていたかは覚えてなかったですけど、でも初めて観た仕草だったので「あ~、こういうことだったのか」と新発見でした。
それに、俳優さんのお芝居の変化も回数を重ねることで気付けるようになってくるポイントだと思います。今回は連投ラストの洋輔さんファントムを中心に観ていましたけど、前回とは比べものにならないくらい熱いお芝居を繰り広げていたのが印象的でした。最終日だからなのか、2幕ラストはもはや「歌う」ではなく「叫ぶ」に近いような激しいお芝居をしていて、そのせいもあってか歌の厚みと迫力が凄くてファントムの感情の揺れ動きがダイレクトに伝わってきました。
2幕の洋輔さんファントムと紗衣さんクリスの掛け合いは本当に熱くて、思わず息をのむほどでした。紗衣さんクリスがひたすらに憎悪をファントムに向け、その感情を受ける洋輔さんファントムも焦りつつ怒りつつ自棄になっていて、愛と憎しみが紙一重であることを再認識させられるくらいドロドロしていて凄かったです。
紗衣さんクリスが本当に強くて逞しくて、最後の最後でファントムとクリスティーヌが形勢逆転する様の説得力も凄まじく、ファントムが気圧されて弱々しく見えてしまうのも切なすぎてひたすら涙が止まりませんでした。紗衣さんクリスに恋い焦がれあの手この手を使って彼女を手に入れようとした洋輔さんファントムが、最後は彼女の愛の強さと逞しさに屈してしまうということも切なくて、余計に孤独感が強調されてしんどすぎました。
でも、紗衣さんクリスは迷いも凄く感じられたんですよ。キッと睨んでいたし憎悪を向けてはいたんだけど、でも彼がラウルを殺さずに自分たちを逃がそうとした瞬間にこれまでの憎悪がすぱっと消え去って戸惑いが生じて…。
どうしてという疑問と、彼を1人にしてしまって良いのかという迷いと、彼を裏切ってしまうことに対する罪悪感と…。色んな感情でいっぱいになって動けなくなってしまった紗衣さんクリスの表情と佇まいが最高でした。そしてそんな彼女に、泣き叫ぶように「行ってくれ!お願いだ!」と訴えて追い払う洋輔さんファントムの切なさよ…。慈悲などいらない、とにかく早く去ってほしい。1人にしてほしい。頭が混乱して、本当は彼女を失いたくなんかないはずなのに行かせてしまうという心とは裏腹の言葉たち。
クリスティーヌからのキスで、自分が望んでいたものはこんなことではないと気付かされたからなのか、涙を流しながら声が枯れそうになるほど強く叫ぶ洋輔さんファントムが本当に切なすぎてしんどくて涙止まらなかったです。からの、振り返って寂しそうに放心状態のような佇まいで猿のオルゴールに歩み寄って微笑みながら歌うマスカレードの歌声の弱々しさにも涙腺崩壊。
そしてラスト、指輪を返しに来た紗衣さんクリスにI love youを告げる洋輔さんファントム。最初は迷いの生じるような表情をしていた紗衣さんクリスが、洋輔さんファントムからの愛の告白を聴いて一気に目にブワッと涙を溢れさせていたのがグッと来ました。この紗衣さんクリスの表情を観て、前回抱いた紗衣さんクリスの印象がさらにアップデートされたんですよね。あー、そっかこの2人も結びつきが強かったんだなって。
洋輔さんファントムの独りよがりというだけじゃなくて、紗衣さんクリスも洋輔さんファントムを凄く信頼していたんだな…と。お互いの求めていたものが違っただけで、ファントムが道を踏み外さなければきっとずっと続いていった関係性なんだなと思いました。紗衣さんクリスは「音楽の天使」としてファントムを崇拝していて、彼を心から尊敬しているのが伝わってきました。
「心酔」という言葉を使うには海沼さんクリスや久保さんクリスのお芝居がピッタリなんですけど、紗衣さんクリスは「敬愛」がしっくり来るかな。だから前者2人とは全然違うファンクリの関係性を見出せて、別物の作品に感じられるんだと思います。
そういう意味でも、心酔するほど身も心も捧げた相手に失望と憎しみをぶつける前者のクリスティーヌのほうがファントムへの気持ちの落差は大きいんですよね。だけど紗衣さんクリスは落差が少ない分、迷いも大きい。だからその迷いの部分に、わずかな可能性を見出してしまって余計に切なくなりました。あ、もしかしたらこのまま逃がさなければクリスティーヌと関係を続けられるんじゃないかな…って。それもあって、洋輔さんファントムが泣き叫びながら追い出す言葉が深く突き刺さりました。
前回は「うん、仕方ないよな…」と思いながら観てしまったラストのファントムとクリスティーヌの掛け合いも、今回は本当に胸が苦しくなるほど切なく感じてしんどかったです。洋輔さんファントムの熱量が本当に凄まじく、そして紗衣さんクリスがそれを受け止められるだけの器を持っていて、攻防戦が熱すぎて最高でした。洋輔さんファントム×紗衣さんクリスはじわじわと来ますわ…。沼。
もちろんラストシーンだけじゃ語れないものもたくさんありますが、私的には今回の観劇で凄く腑に落ちたものがあったし、この組み合わせもめちゃくちゃ良いなと思えました。紗衣さんクリスのキスの仕方も最高に美しくて好きなので、余計にファンクリが切なすぎて好きぃぃぃ!ってなりました(笑)
ファントムとクリスティーヌの関係性を考えるだけでも1記事書けちゃいそうですわね…。
他の部分も色々と気付くポイントはあったのですが、改めて感じたこととしては同じ曲が繰り返し使われているなということと同じ動き・仕草を繰り返ししているなということでした。これがすっごく面白くて、同じものなのに全然違う印象を受けるっていうのがたまらないです。マスカレードもMOTNもAIAOYも、何度も何度も繰り返し使われているナンバーなのにどの場面で観てもどれ1つとして同じ印象を受けないっていうのが、アンドリュー・ロイド=ウェバーの楽曲の素晴らしさと演出の凄さを証明していますね。
それこそラストなんて、マスカレード、AIAOY、MOTNの音楽で幕を閉じますからね…。みんなと違って表に出ることができず仮面に隠れて生きてきたファントムが歌うマスカレード、クリスティーヌの愛を手に入れられなかったファントムが歌うAIAOY、そして自ら彼女への愛の終わりを告げるMOTN。どれもしっかり意味があって、構成が凄すぎる…と思いました。音楽がひたすらに美しすぎた…!
他にも色々と「あ、ここってこういうことなのか」と実感したポイントはたくさんあるんだけど、それらってそのシーンだけで終わりなんじゃなくて全部に繋がっているんですよね。本当に構成が緻密すぎて、だから観ていけば観ていくほど点と点が線で繋がったような面白さを感じられるんだと思いました。ようやく、通な楽しみ方ができるようになってきた気がします…(笑)
とにかくこの作品は面白さを知ってしまうとヤバい…。特に今回は大好きな洋輔さんファントムの見納めということもあったので、ファントム目線で物語を観ることもできて楽しかったです。熱量の高いお芝居に胸を打たれ、久々にこんな泣きました。マジで観に行って良かったです!
>>次のページからはキャストの感想!
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