2020年11月7日マチネ 劇団四季『オペラ座の怪人』

オペラ座の怪人
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ゆうき
ゆうき

早くも2回目観劇です!

日時:2020年11月7日マチネ公演
場所:四季劇場秋
座席:1階S席11列26番

はじめに

今週も岡村美南さんが来ないのをいいことに東京でマチソワしてしまおうと決めてしまいました。ご縁があってオペラ座2回目観劇を決めて劇場へ。

前回観たときに衝撃を受けすぎて「これは月1ペースじゃないと観れない」と思っていたのに、普通に1週間後観に来ているのも困りものです。でも2回目で記憶もまだ薄れていない段階だったので今回は余裕を持って観ることができたと思います。

まだ感想を細かく書くには知識も語彙力も足りないのであまり期待はしないでほしいですが、とりあえずレポしていきますのでぜひ最後までお付き合いくださいませ。

総評

全体の感想です。

キャスト:★★★★★
座席:★★★★★
全体:★★★★★

前回とキャストも座席位置もほぼ変わらなく、安定した公演を観劇できました。開幕キャストの完成度の高さは今回もヒシヒシと感じましたが、やはり中でもファントム役の佐野正幸さんが素晴らしすぎました。重厚で切ない物語に俳優さんたちの白熱したお芝居や歌声が重なって、唯一無二の舞台になっていました。本当に素晴らしかったです。

そして今回の大きなポイントとしては客席の間隔が空いていない点!両隣に人がいることに対する窮屈さよりも、全席埋まっていることへの感動のほうが大きかったです。拍手の大きさに、つい涙が出そうになりました。

特に大きなハプニングやミスもなく、客席の環境も凄く良かったので純粋に楽しむことができました。2回目だったともあって前回よりも心が締め付けられて苦しすぎる…ということも少なかったですし、いい感じでしんどくなりすぎずに観ていけたらいいなと思います。

キャストの感想

気になるキャストの感想を書いていきます。

オペラ座の怪人:佐野正幸

佐野さんファントムの感情の揺れ動きが本当に凄まじくて今回も胸を打たれました。力強さだけでなく不意に見せる切なさも寂しさも弱さも含んだ歌声と表情は、普段とのギャップを感じてより胸をギュッと掴まれる感覚でした。非常に表現としては分かりやすくて、私みたいな初心者や分かりやすい表現が大好きな人には凄く優しいと思います。

どういうファントムが正解なのかは私も分からないですけど、少なくとも佐野さんファントムの心の揺れ動きはダイレクトに心に響いてきました。そんな人間らしいファントムだからこそ観ていて感情移入しやすくなるし、愛が憎しみに変わる表現も「怪人らしさ」より「人間らしさ」ゆえの恐ろしさをヒシヒシと感じさせました。決して特異な存在なんかではなくて、誰しもがファントムになり得るという恐ろしさを抱かせたような気がします。

個人的には、佐野さんファントムはクリスティーヌを想って静かに泣くお芝居が大好きです。1幕の天使の像のところで寂しくクリスティーヌの名を呼ぶ声も、2幕ラストも。そこからのクレッシェンドするような怒号の歌声は迫力がより一層強くて、歌というよりお芝居に近い歌い方でファントムの心情を丁寧に演じていらっしゃっている印象がありました。本当に素敵だし切ない。今回も佐野さんのお芝居に泣かされたし、観るたびに深みと厚みのあるお芝居と歌声に心を掴まれてしまいます。佐野さんだからこそできるファントムの優しさが滲み出ていて、凄く好きな配役となりました。

クリスティーヌ・ダーエ:山本紗衣

紗衣さん本当に歌が上手で歌声も滑らかで美しくてクセがないなぁ、と改めて感じました。濁りが一切なくて穢れなき純情な乙女っぽさが全開で、すっごく心が浄化される気持ちになります。ソプラノの美しさはもちろんなんだけど、ただ歌うのではなくてクリスティーヌの苦悩が表情に表れて、そして歌声に乗って少し感情が高ぶるような瞬間も凄く好きでした。

Think of Meの歌い出しとかも自信なさげな歌い方が凄く上手ですし、そこから這い上がるようにして高らかに歌う変化も絶妙でした。制限された中から解き放たれて伸び伸びと歌う紗衣さんクリスティーヌの心の変化と喜びがしっかり歌声で表現されていて、本当に圧巻。美しかったです。

あとは墓場で歌うWishing You Were Somehow Here Againも美しくて聴き惚れました。何がどう美しいかというのを上手く言葉では表現できないのですが、とにかく劇場全体に響いて残るような歌声が本当に綺麗で、天国のパパへ祈るように歌うその音色がとても優しくて温かい印象があったように感じます。自分がまだまだクリスティーヌへの理解が足りていないのもあって、なかなか上手く説明ができません…。とにかく美しいって思わせられる紗衣さんの歌声が凄く胸に響きました。

一方でドンファンのシーンでの変装している役?の演じ方もすっごく可愛くて大好きです。カルロッタが出てくる前にベッドに座りながら足をぶらぶらさせてるのも可愛いし、仕切り直す際に帽子被ってないの気付いて不安げにフリだけするのも可愛かったです。こういう子供っぽい紗衣さんのお芝居が大好きなので、ちょっとでも観ることができて幸せでした。

ラウル・シャニュイ子爵:加藤迪

前回と変わらず迪さんラウルの安定感が半端ないです。めっちゃかっこよかったですし、エスコートの仕方とかが凄く自然で紳士的なラウルでした。こういう振る舞いが自然に行えて違和感が一切ないのが迪さんの育ちの良さと人柄を表しているようにも思えます。

さすがマンカストラップやアンリといったお兄ちゃんキャラを演じることも多いだけに、ラウルでも年の離れたお兄ちゃんのような印象があって凄く頼れる感じがしました。大人びていて落ち着きもあって、凄くスマート。歌もうめえ。

特に「マスカレード」はあの衣装が凄く似合うし、背が高くて足が長いからマジでスタイル良くて王子様みたいでした。時々歩いているときとかの動きがキャッツっぽくなるときもあるんですけど、やっぱりダンスは凄くしなやかでダイナミックだし思わず目を引いてしまいます。とりわけ華やかというわけでもないんですけど、そこにいてくれることで安心感が生まれるような存在感があって、そういう主張しすぎない佇まいも凄く迪さんらしくて好きでした。

カテコでは相変わらず紗衣さんの手を取って甲にキスをしていたのがかっこよかったんですけど、お辞儀をする際にちょっと不器用な微笑み方をしているのが凄く迪さんっぽくて笑ってしまいました(笑)器用なんだけどちょっと不器用なところも憎めなくて凄く可愛かったです。

カルロッタ・ジュディチェルリ:河村彩

河村さんカーラが凄いというのは前回しっかりと実感しましたが、改めて河村さんの歌声のみならずお芝居もユーモアも凄いというのを強く感じることができました。平良さんフィルマンに「よくあることですから」と言われて、それを繰り返すように「よくあることよ」って言うときの言い方も凄くユーモアに溢れていて面白いですし、どこか憎めないチャーミングさがあってお芝居上手いなと思いました。

あとはファントムから手紙が来て「侮辱されたひどーいわ」ってぷんぷんしてたのに、支配人ズに煽てられて気を良くしてニッコニコになっちゃうちょろい河村さんカーラも凄く可愛かったです。でも考えてみたら凄く主張する役柄なのにちゃんと引き立て役になっていて、主役を食わずに脇役としての存在感があるのがさすがだなと思いました。その佇まいって意識したとしてもなかなかできるものではないと思いますし、本当に凄く上手なんだと思います。河村さん天才…。

ムッシュー・アンドレ:増田守人/ムッシュー・フィルマン:平良交一

支配人のおじさまたちがとても可愛くてほっこりしました。増田さんと迪さんと石橋さんがいる舞台を観るとどうしても『パリのアメリカ人』を思い出してしまいますが、増田さんは今回はちょっとユーモアのあるおじさんで凄く可愛かったです。平良さんも最近だと『ノートルダムの鐘』の印象が強かったので、カルロッタをよいしょしまくる陽気なおじさんを演じているのがとても新鮮でした。

個人的に、カルロッタの声がカエルになってしまったことで急遽バレエを行うことになったシーンでの増田さんアンドレのお芝居が凄く好きでした。ちょっとどもっちゃう感じとか緊張している感じとか、その緊迫感と焦りが伝わってくるリアルなお芝居が観ていて面白かったです。さすがお2人ともベテランなだけあってお芝居も自然だし上手だなぁ…って思います。あとはもうカルロッタのご機嫌取りに必死になるおじさんたちの図が最高に可愛くて癒やされました。

観劇の感想・考察

気になるポイントについて書いています。

今回も可愛い高井治さん1枠

ついつい観てしまう高井治さん。あんなにニッコニコで楽しそうな高井さんを観られるのってもうこのオペラ座くらいなのではっていうくらいレアですよね。凄く可愛くてつい目で追ってしまいますし、もっと観ていたいです(笑)

そんな可愛い高井さん1枠ですが、2幕のドンファンのシーンで山口さんドンファンが投げたグラスが勢い良すぎて顔面周辺に飛んできて高井さんパッサリーノがキャッチできずに落としてしまいました。目をギュッて閉じて回避していましたけど、そのあと普通にお芝居を続行していたので大事には至らなかったみたいですね。ちょっとヒヤッとしました。

そんな場面もありながら、やっぱり「マスカレード」で踊っている高井さんを観れるのは凄く貴重で楽しかったです。高井さんって踊れるんだ…っていう発見もあったりして、本当に観ていて飽きませんでした。むしろ1枠さんの存在感がえぐいためにプリンシパルを観ることができないです(笑)

対比の演出について

『オペラ座の怪人』で何が好きかって、誰かが言ったことを別の誰かが言うっていう演出です。たとえば、ファントムがクリスティーヌを地下室へ連れ去ったときに仮面を剥がされて、這いずりながら「顔は醜いけど心は清らかだ」みたいなことを言うんですよね。でも2幕、ラウルの首を絞めた状況でクリスティーヌに迫るファントムに、クリスティーヌが「醜いのは顔じゃなくて心よ」みたいなことを言うのが凄く皮肉だなと思いました。

愛する人にそんなことを言われてしまうなんて凄く傷つくでしょうけど、ファントムは実際に愛が憎しみに変わったことで人を殺しました。そしてクリスティーヌからも大切な人を奪おうとして、すべて自分の思うままに彼女を操ろうとした、まさにそうやって心が蝕まれたことで本当の怪人になってしまった。自分では醜いのは顔だと思っていたけど、それ以上に心が醜くなってしまって、結果どちらも醜くなってしまったわけです。ファントムからクリスティーヌへ、そしてクリスティーヌからファントムへ。このセリフの関係性が聴いていてなんか凄く心にずっしりと重くのしかかりました。

そして、All I Ask Of Youのあとにラウルがクリスティーヌに「クリスティーヌ、I love you」と言いますが、2幕では指輪を返しに来たクリスティーヌにファントムが「クリスティーヌ、I love you」と愛の告白をします。これも切ないな…と思いました。愛し愛されるI love youと与えるだけのI love you、その対比が凄くグッと来ました。見返りを求めた結果たくさんの人を恐怖に追いやり、クリスティーヌまでもを失ったファントムが、最後の最後で無償の愛を捧げたっていうことが本当に切なくて美しかったです。ラウルが言った言葉とまったく同じ意味を、ファントムの言葉から感じることができました。純粋なクリスティーヌへの愛。佐野さんファントムの歌声も相まって、凄く切なくて苦しかったです。

まとめ

まだまだ自分の中で『オペラ座の怪人』という作品を理解しきれていないなと思った今回の観劇でしたが、純粋に作品として楽しむこともできて楽しかったです。もちろんあそこはどういう意味なんだろうとか、色々と考える余地はあったし、これからも観続けていくことで理解できるであろう点はたくさんあると思います。

でもこの不完全燃焼さが逆に不気味でこの作品の良さでもあるのかもしれないです。考えても考えても答えが見つからないような、そんな考察をついつい始めてしまいそうになります。人の恋愛感情って絶対的な答えがあるわけじゃないし、ファントムはどうしたら報われたんだろう…って絶対にそんなの分かるわけないのに色々と考えては切なくなってしまいました。

もっと観たいです。色々と作品をより理解できるくらい観て、ファントムやクリスティーヌのバックボーンも含めて自分なりに考察できるくらい、作品への理解を深めたいなと思いました。

次はいつ来るか分からないけど、またそのうち観に行きたいと思います!

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コメント

  1. 山本純 より:

    こんにちは。今回も興味深く拝読しました。
    実は今回、厳密に言うと前回の横浜公演あたりから、今まで「劇団四季のオペラ座」、言い換えれば「浅利慶太さんのフィルターを通した」オペラ座という作品に対して、RUG側からグローバルスタイルに合わせるように演出が変わってきているんです。
    詳しくはPlaybill誌の記事を参考にして頂きたいんですが、要は「よりエモーションを前面に」ということなのかなと思います。
    それによって「劇団四季のオペラ座」が好きだった層からはかなりの賛否両論が出ています。

    例えば、佐野ファントムの1幕ラスト。自分が最後に観た時は「クリスティーヌ…」と絞り出す様に低く蠢いていましたが、今回からは明確に泣いているんですね。
    日本初演キャストの1人でもある佐野さん。ハロルド・プリンスの教えを知る数少ない人です。ここに来て新スタイルに適応してらっしゃるのは本当に凄い事だと思います。
    恐らく、今回の東京公演を通じて、岩城さんや飯田さんの世代にバトンを渡すつもりなのかなと想像しています。

    何て、まだ今公演を観てないのに偉そうな事を書いちゃいましてすみません。
    逆に、ゆうきさんのレポを読んだら益々観に行きたくなっちゃいましたwもうしばらくは動けないのに…

    とにかく、今回もありがとうございました!

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