キャストの感想
キャストの感想です。
オペラ座の怪人:佐野正幸
激アツの佐野さんファントムを久しぶりに観ることができて楽しかったです。歌声の伸びも凄まじいし声量もあって迫力あるし、感情豊かで切なさも増し増しでした。人間臭さのあるファントムなので感情移入もしやすいし、胸がギュッと締め付けられそうになることも多かったです。
そしてお芝居が本当に自然で、作品に携わっている期間が長いのもあってか体に染み込んでいるんだろうなぁ…と思うくらい、表情も仕草もファントムの心情とリンクしていました。演じているというより、そのものって感じ。臨場感溢れるお芝居にはとにかく圧倒されました。
タイトルナンバーではクリスティーヌの歌声に愉悦しているような表情をしつつ、「先生」として厳しい目を時々向けていて、クリスティーヌにとっての自分の存在意義を意識しながら彼女と向き合っているのも素晴らしかったです。一瞬たりとも気を抜かず隙を見せない姿勢もさすがでした。
そして私が佐野さんファントムで1番好きなポイントは、ファントムが傷心するときの悲痛なお芝居なんですね。たとえばクリスに仮面を取られたところとか、1幕ラストの天使像のシーンとか。佐野さんってこういう「哀」の感情表現が秀逸だなと思っています。あまりにも弱々しくて、観ていると聴いていると心が抉られそうになるくらい切なくなります。凄く人間味あって、ファントムって別に怪物なんかじゃないんだな心はあるんだなって気付かされるんです。
私、こういう人間味溢れるお芝居する人って大好きなので、佐野さんファントムめっちゃ好きだなぁ…と再認識できた観劇になりました。
2幕ラスト、クリスティーヌに指輪を返されるときに優しい笑顔で優しい声で「I love you」と言う佐野さんファントムを観ていると、本当の意味で愛することを知ったんだなぁ…って切ないけど救われた気持ちにもなりました。
佐野さんファントムって、1幕で仮面を取られたときに叫ぶ「呪われろ」もなんとなく自分自身に言い聞かせているようにも聞こえるんですよね。天使像でクリスティーヌの名を呼ぶときも囁くような声量で、全部自分の中に吸収してしまうのかな…とも思いました。一旦自分の中に感情をすべて取り込んで、それから外に向けて爆発させていく。生きづらい人間あるあるな特徴です(笑)
だから佐野さんファントムは、誰しも人間がなりうる怪物像だなと思いました。親近感を覚えるのも感情移入しやすいのも、私たちに凄く近しい存在だからだなぁ…というのが今回の私の佐野さんファントムへの解釈です。こうして観劇重ねていったことで少しずつ自分なりにオペラ座を楽しめるようになって、そのタイミングでまた佐野さんファントムを観られて良かったです!
クリスティーヌ・ダーエ:久保佳那子
今回のお目当て・久保さんクリス!お名前は存じていたしクリスを演じていたことも知っていたけど実際に観たことなくて、久保さんが戻ってきたときにTwitterのフォロワーさんが皆さんめっちゃ喜んでいらっしゃって、実際に観た方々が口を揃えて大絶賛していて…。そりゃもう期待度爆上がりですよね。
そんな期待を込めながら注目して観ていましたが、期待以上に素晴らしいクリスティーヌだったので衝撃受けました。10年くらい前の観劇を除いて私が観たクリスは紗衣さんだけなので、どうしても紗衣さんクリスの印象が強かったのですが、似ているようで全然タイプが違くて、それもまた観ていて面白かったです。
冒頭でも書きましたけど、とにかく久保さんクリスは等身大の普通の女の子。良い意味で、メグや他の女の子たちと変わらないなって思いました。というのも、前回の観劇レポで私が紗衣さんに抱いている印象を気持ち悪く書きまして、紗衣さんは凄く神聖な方っていうイメージがあるんですね。だから、紗衣さんクリスはとても神聖で掴みどころがなくてまさに聖母・マリアのような存在だなって感じていました。
紗衣さんクリスにそういう印象を抱いているのもあって、久保さんクリスは聖母っていう感じではなくて至ってどこにでもいるような「何かを夢見ている」女性なんだなという印象を受けました。喜怒哀楽もはっきりしていて感情豊かだったのもそう感じた理由の1つです。
たとえばファントムに地下室に連れていかれて、ファントムに身も心も委ねているときに法悦な表情をしていたり、ファントムの仮面を取って素顔を見たときに悲鳴を上げていたり…他にも色々ありましたがとにかく感情が表に出て分かりやすいなぁ…って。それがまた等身大の女の子らしくて、凄く良かったです。とても庇護欲を掻き立てられる感じ。
あとはNo Point of No Returnでドン・ファンがファントムだと気付いてから歌う「も~はや引け~ない~」は、驚きと恐怖に怯えているのが歌声からも伝わってくるくらいに震えていて、リズムにも乗り遅れるようにして歌っていて、それ聴いた瞬間に久保さんクリス凄い!と思いました。感情表現が本当に細かい。表情にしても仕草にしても歌い方にしてもクリスティーヌの感情をしっかり丁寧に演じていて、凄く引きこまれました。
紗衣さんクリスの歌声は聴いていると浄化されそうになるんですけど、久保さんクリスの歌声は心を揺さぶられますね。どっちも大好き。でも久保さんクリスの心に訴えかけてくるような歌い方めっちゃ好きです。皆さんが久保さんクリスを大絶賛する理由がとても分かりました。
あとはラスト、ファントムに指輪を返しに戻ってくるシーンも印象的でした。指輪をファントムに返したときに、ファントムが「I love you」と優しく愛の告白をするも、久保さんクリスは「あなたの愛には応えられない」とでも言うように悲しそうな顔をしながらゆっくりと首を横に振っていたんです。それが余計に切なくて、胸がキュッとなりました。
なので、紗衣さんクリスとは全然お芝居のアプローチも演じ方も違って、その違いが凄く観ていて面白かったです。クリスティーヌという女性の解釈が大きく変わりましたし、もっとオペラ座の魅力に浸れた気がします。このタイミングで久保さんクリスを観れて良かったなーって思いました。本当に素敵なクリスティーヌが戻ってきたってことなんですね!私も大好きなクリスティーヌになりました!また観たいです!
ラウル・シャニュイ子爵:加藤迪
久々の迪さんラウル!相変わらず歌が上手い。スタイルが良い。そして紳士。佐野さんファントムと対照的で凄く聡明で落ち着いていて、だからこそこの三角関係がより色濃く浮かび上がって面白さが倍増するなと思いました。
紗衣さんクリスとの組み合わせも良かったですが、久保さんクリスとの組み合わせだと等身大の恋愛って感じで凄く甘酸っぱさがあって良かったです。迪さんラウルはとても頼りになるお兄さんなので、兄妹みたいに見えちゃわないかなぁ…とも思いましたけど杞憂でした。でも凄く大人な恋愛観ているみたいでドキドキも止まらなかったです。
そして脚が長すぎて多分5mくらいあるんじゃないかと思うんですけど、何やっても決まっていてかっこいいのもずるいですね。墓場のシーンでファントムを挑発するところも足を踏み出す瞬間のスマートさと大胆さがえげつないし、いつもショボい火力が今回は迪さんラウルの足元にまで飛んでくるくらいファントムを昂らせていました。
あと、これはもう個人的な話ですけどマダム・ジリーを呼び止めるところでの木村智秋さんとのやりとりは「あぁ…パリアメ…」となってしまいましたよね。アンリとオルガはそんなに絡みなかったですけども(笑)でもアンリもそうでしたけど、迪さんって凄く真面目な性格がお芝居にしっかり出るしキャラクターにも反映されるから、ラウルでもそれが凄く感じられます。器用だけど、あまり上手に笑えないところとかは凄く不器用で可愛らしかったです。
そしてカテコでのクリスティーヌの手の甲へのキスも凄くスマートでかっこよくて素敵でした。まだまだ自分の中でラウルというキャラクターへの解釈がいまいち掴めておらず、深いところまでの観察とかは今回もできなかったんですけど、とりあえず迪さんが素敵だということは凄く伝わってきました。今期がデビューとは思えない安定感。素晴らしかったです!
カルロッタ・ジュディチェルリ:辻奈々
初めましての辻さんカルロッタ!ずっと河村彩さんでしか観ていなかったので、河村さんじゃないカルロッタってとても新鮮で楽しかったです。なんかすっごく陽キャなカルロッタって感じで、凄く若々しいお嬢様タイプだなぁ…なんて思いました。
河村さんカーラはその場にいるだけで華があって周りが自然とついていきたくなるようなカリスマ性があった印象なんですけど、辻さんカーラは「かまってかまって」と自らをアピールして注目を浴びたくて仕方がない感じというのかなぁ。
だからプリマドンナでもずっとほっぺを膨らませてぷくってしていたのに、支配人ズにもてはやされてだんだん嬉しそうに笑顔を見せちゃうのがとても可愛かったです。自分に注目が集まっていないとすっごくぷくってしちゃうのが、なんかとても若々しかったですねぇ。
河村さんカーラみたいに成るべくしてその地位にいるわけじゃなくて、とにかく愛嬌を振りまいて周りに持ち上げられてこの地位にたどり着いたカーラっていう感じなので、クリスティーヌが出てきたことで余計に焦りが感じられました。実際に自分が努力をして築いた居場所を乗っ取られてしまうんじゃないかっていうことへの恐れと嫌悪感?
とても等身大なカーラだったので、ただただ嫌味っぽいとか傲慢とかそんなだけじゃなくて、ひねくれた可愛さもあって良かったです。声量もあったし、ついこの前までずっとアンサンブルとして出演していたのが勿体ないなと思うくらいでした。辻さんのカルロッタも観れて良かったです!
マダム・ジリー:木村智秋
木村さんマダム相変わらずミステリアスで感情的でとても美しかったです。喋り方的にもちょっとキツめで切り捨てるような言い方で冷酷な印象を受けるんですけど、しっかり生徒?のことを見ているし守っているし、マダムのそういうところ良いですよね…。
クリスティーヌに対して、にっこりとは笑わないけど口角を上げて優しい声色で褒めるのもたまらないです。久保さんクリスとも、ドン・ファンのリハシーンでアイコンタクトを取って「大丈夫」というように頷いていたのが印象的でしたし、久保さんクリスもそれに不安そうではあるものの笑顔で頷き返していて、凄く良かったです。マダムとクリスティーヌの関係性が至るところで感じられて、エモすぎて吐きそうでした…。
あと、これはもう個人的な感想ですが木村さんマダムは義母感ありますよね。戸田さんマダムは実母。戸田さんマダムは冷たいっていうより厳しい感じだから木村さんマダムと結構タイプ違う気がするんですけど、どっちも好きです。とりあえずカテコでガッツリ笑っている木村さんマダムを観られると安心感があるので、今回もギャップにやられました。木村さんマダム最高です…。
メグ・ジリー:五所真理子
今回も五所さんメグとっても可愛くてキュンキュンしまくりでした。五所さんって落ち着いていて上品な印象がある俳優さんなんですが、メグは上品なだけじゃなくてお茶目さもあって可愛さ満点。ちょこちょこしてるのが凄く可愛くて大好きです。
オフマイクも結構多かったし(聞き取れるものは少なかったけど)、どこだったか忘れたけど多分Think of Meのところでクリスティーヌに「頑張って、大丈夫!」みたいにオフマイクで凄く一生面系声かけていて、あぁ五所さんメグめっちゃ優しいねぇぇぇ…ってなっちゃいました。ドン・ファンのリハもちゃんとばっちりクリメグでお手て繋ぐの観ましたし、常にクリスのこと気にかけているのが愛らしいです。
あとはThink of Meを歌い終えて客席から拍手喝采を受けるクリスを、自分のことのように嬉しそうに見ながら今か今かと待ちきれないみたいに閉じていく幕の後ろにぴたっとくっついてちょこちょこ歩いていたのが究極に可愛すぎて萌え禿げそうでした。そして完全に幕が閉まりきったら、すぐにクリスのもとに駆け寄っていったのが可愛すぎました。五所さんメグ、やることがいちいち可愛すぎます…小動物みたい。
あとあと、マスカレードで着ているメグの衣装めっちゃ可愛くて好きでした。ちょっとボーイッシュ?な感じで、でもやることはとてもキュート。階段のところでポーズを決めるときに、右手を開いた状態で口元にやって右脚は内股になってポーズをしていた五所さんメグがめっちゃ可愛かったです。全部可愛い。好き。
もちろん可愛いだけじゃなくて歌も上手だし、観れば観るほど好きなポイント増えちゃいますね。五所さんメグあと100回くらい観たいです。
まとめ
今回も激アツなキャストでの観劇ができて凄く充実していました。久しぶりの佐野さんファントムや迪さんラウル、前回からの木村さんマダムや五所さん、そして初めましての久保さんクリス…バランスも良かったですし、キャストごとにキャラクターの解釈が違うことも理解できましたし、得たものも多かったです。
まだまだ分からないことだらけですが、観ていけば観ていくほどどんどん作品への理解が深まっていって、どんどん自分の中にすんなりと馴染んでいく感覚もありました。もう、沼です…(笑)
個人的に久保佳那子さんのクリスティーヌがめちゃくちゃ好みだったので、また久保さんクリスがいるときに観に行きたいなと思います。そして色んなキャストの組み合わせで観てみたいです。来年1月が千穐楽なのでね…、後悔のないように。
ちなみに、劇団四季が日本語吹き替えをしている映画版の『オペラ座の怪人』Blu-rayも購入してしまいました。
舞台版と一部演出が変わっていて、舞台では深く描かれなかったシーンとかも再現されていたので凄く理解が深まって面白かったです。早速早くもまた舞台版が観たくなりました(笑)
せっかくなのでアフィ置いてみます。高井治さんがファントムの吹き替えやっていたり、凄くキャストも豪華なので、気になる方がいたらこちらもチェックしてみてくださいまし~。
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ということで今回も浅いレポではありましたが、最後までご覧いただきありがとうございました!
コメント
こんばんは!今回も楽しく読ませていただきました!
続々と今期初登場のキャストが揃うオペラ座、とても観たいです…。個人的にはマンマで何度か拝見した田辺さんブケーが、温かみのある神父さんとはどんな違いがあるのか気になるところです。
マスカレードのメグの衣装も可愛いですよね~。松尾さんの幼気な様子も良いですし、五所さんのちょっと大人気のある風貌もまた好きです(笑)
さて、そろそろ岡村美南さんの行方が気になるところです…。アナ雪にお名前が載っていれば安心なのですが、もう3か月もお名前すら見かけないと、不安になってしまいます。
アナ雪楽しみですね!ゆうきさんの感想も楽しみにしております。
bonさん、こんばんは!いつもコメントや感想ありがとうございます!
田辺さんのブケー、マンマの印象とはまたガラッと変わってダークな一面が見られてとても素敵でした。ぜひ機会があれば観てみてください!
観れば観るほど好きなポイントや魅力的なキャスティングが見つかるので、オペラ座もどんどん惹き込まれてしまいますね。
私も久々に松尾さんのメグも観たいな~って思っています!
そして岡村美南さんの行方が本当に謎すぎて、アナ雪パンフを見るのが少し怖いです…。名前があったらいいなぁと願わずにはいられないですね。
とはいえまずはアナ雪開幕に向けて私も前向きに考えていきたいところではあるので、開幕レポなども頑張ります!
とても励みなるコメントありがとうございました!!