キャストの感想
キャストの感想です!
オペラ座の怪人:飯田洋輔
今回もお兄ちゃんは絶好調でした。まだそんな回数観ているわけではありませんが、お兄ちゃんが不調な日をほぼ観たことないです。どれだけ強靭な喉をしているんだ…と驚かざるを得ません(笑)
観るたびにどんどん胎児化が進んでいって幼さ全開のファントムになっていますが、今回はクリスティーヌが久保さんになったことで少しだけ洋輔さんファントムのお芝居が変わったように思えました。相変わらず寂しさでいっぱいだし強引なところもあるしで愛情表現が稚拙ではありましたが、そんな自分を受け入れてくれる久保さんクリスに対して満更でもないような表情をしていたのがとても新鮮でした。なんか、嬉しそうだったんですよ(笑)
口角が上がっていて幸福感を抱いているんだろうなぁ…というのがヒシヒシと伝わってきました。凄く分かりやすくて可愛かったです。クリスティーヌの心が自分に向いていることへの優越感と満足感でいっぱいになってしまったからこそ、クリスティーヌに仮面を取られたときの衝撃が大きくて、怒りと動揺でいっぱいになっていました。気が狂った感がいつも以上に出ていて迫力も凄かったです。
自分のことを醜いと分かってはいるけど「心は清らか」などと必死に言い繕って、自分の弱さを必死に隠そうとしているさまも洋輔さんファントムは凄く説得力を持って演じられていました。洋輔さんファントムは常に必死。自分が弱くて醜いということから精一杯逃げようとしていて、強引に自分を都合良く見せることしかしたくないのが伝わってきました。駄々っ子なところも幼子らしさがあって、愛しさが募りましたよね。
そうやって自分を肯定しながらクリスティーヌに詰め寄って、やはりクリスティーヌの美しさに思わず感嘆のため息が出て悲しく微笑む洋輔さんファントムがたまらなく好きでした。とにかくクリスティーヌのことが好きで仕方ないのが伝わってくるし、絶対にその想いが実ることがないというのが分かっているだけにとても胸が痛かったです。
お兄ちゃんはなんでこんなにも切ないファントムを演じるのが上手いんだか、観るたびに毎回感心させられてしまいます。とにかく母性をくすぐられる…。今回、どこだったかのシーンで久保さんクリスを見る眼差しが、愛しい女性を見るものではなく母親に向けるようなものに見えました。クリスティーヌの父親になりすましたり、彼女を結婚相手(?)として手に入れようとしたり、色々仕掛けるファントムですが、洋輔さんファントムは加えてクリスティーヌに対して母親の温かさみたいなものを望んでいたのかなぁ…なんて思いました。
母にも嫌い抜かれていたファントムなので、子供の頃から独りぼっちなわけです。クリスティーヌという愛しい女性に対して、男としての愛情だけではなく、小さい頃に与えられなかった母から子供への愛情のようなものを同時に求めていたのかなぁ…って、今回観ていて強く感じました。だからこんなにも洋輔さんファントムは子供みたいなのかもしれません。
そういう心理もあってなのか2幕の「母にも嫌い抜かれて…」と歌い出したシーンでは一気に寂しさと悲しさを出していて、ハッとなって「哀れみはいらぬ!」となっていたのが凄く印象的でした。ふとしたときにやっぱり寂しさでいっぱいになっちゃうほど昔のトラウマが消えなくて、こうやって突然ポツンと独りぼっちになってしまうんだなーって。急に自分だけの世界に入り込んだように、遠くをぼーっと見つめるんですよ、このときのお兄ちゃん。
だから「離れないで」「そばにいて」と懇願するようにクリスティーヌに何もかもを求めてしまうのも凄く理解できました。MOTNの「私のために歌ってほしい、どうか」も懇願するように歌っていたし、PONRで指輪を渡すときも「言ってほしい、僕がいると」を懇願するような歌い方をしていたし、クリスティーヌに「~してほしい」という言葉を告げるときの洋輔さんファントムの縋りつくような歌声は本当にたまりません。
これだけクリスティーヌを求めているファントムだからこそ、ラストでクリスティーヌに憎しみの情を向けられる瞬間の戸惑ったような表情も印象的でした。クリスティーヌが「悲しみの涙今憎しみに変わる」と顔を上げて睨んできた瞬間の洋輔さんファントムの追い詰められたような表情も良かったです。もうクリスティーヌが自分を選ばないことを分かったうえで、それでももはや引けない状態で強引にでも前に進むしかない状況なのがつらすぎました。
クリスティーヌに強く睨まれて、差し出す指が震えてどうしようもなくなって逃げだしても、それでも立ち向かうしかできない洋輔さんファントムの惨めさが半端なかったです。「選べ!」と言った直後の悲しそうな顔も凄く印象的でした。
最後の最後までボロボロになった状態で、久保さんクリスの優しさと温かさに触れて少しだけ心が軽くなったのかほんのりと笑っていたのも「あ、なんかいつもと違う…」となって新鮮でした。否定されなかったことに対する嬉しさなのか、喪失感を必死に隠そうとするがゆえの表情なのか…。最後の最後まで追いかけられ続ける人生だったからこそ、うんうんと頷いて受け入れてくれた久保さんクリスに心が救われたような表情をしていたのが凄くグッと来ました。なんか、良かったねぇ…としか言えないです。切なかったけど、一方で救われた気持ちになれたのも事実でした。
クリスティーヌが変わるだけでこんなにもお兄ちゃんのお芝居の印象が変わるのか…と久々に再認識できてとても楽しかったです。基本的な部分は変わらないのに、相手との間の取り方だったり呼吸の合わせ方だったりで全然違ったお芝居になってまるで先週とは全然違う舞台を観ているようでした。それくらいの変化を感じられたので、観ることができて良かったです。
相変わらず素敵なお芝居で今回も最後はじわっと泣かされました。本当に大好きなファントム…。そろそろ抜けちゃうかなぁとも思うので、いるうちにたっぷり観ておきたいと思います。今回もたくさんの感動をありがとうございました!
クリスティーヌ・ダーエ:久保佳那子
ちょうど1ヶ月ぶりの久保さんクリスでした!今回で3回目となりますが、観るたびに「やっぱり久保さんクリスいいわ~」となっています。お芝居がとても自然。自然すぎて、今目の前にクリスティーヌが確かにいると思わせてくれるくらいどの仕草にもどの表情にも説得力がありました。
凄く真っ直ぐな人なんだろうなーって思うくらい、自分自身の感情に素直。喜怒哀楽の感情が表情に出やすくて、とても分かりやすい人だなぁ…って思いました。そういう意味でもとても純粋で、子供というよりは大人に近い感じの女性でありながらどこか少女のような可愛らしさもあって、改めてとても魅力的な女性だと感じました。久保さんクリスの表情がどれも素敵です。
TOMは歌い出しはやはり怯えて全然声も出ないんだけど、だんだん歌声がクレッシェンドしていって自信に満ち溢れているのが伝わってくる歌声でした。紗衣さんクリスのようにズバーン!と来る感じの爆発力のある歌声ではないのですが、そのしなやかな美しさにだんだんと心をほだされていくような感覚になります。凄く不思議な感じで、とても美しくて聞き心地が良いんです。圧倒的オーラがあるというわけでもないんだけど、まさにダイヤの原石のような…磨けば磨くほど輝く存在でした。
そしてファントムに心から惚れこんでいるようなうっとりした表情も印象深かったです。MOTNでファントムが歌えば目を閉じて夢見心地な表情を浮かべていた久保さんクリス。「耳を澄まして~」のところで耳を押さえられるときも、先週までの紗衣さんクリスは少し雁字搦めになっているような苦しそうな表情をしていたのですが、久保さんクリスはここのシーンすらも完全にファントムに身も心も委ねているようでした。ひたすらうっとりと目を閉じて、聴き惚れているような…。
かつてこんなにも幸せな天国のような場所があっただろうか…と感じさせるほど、久保さんクリスは一瞬一瞬を噛み締めるようにその場に立っていました。「私に委ねてほしい~」のところで思わず仮面を触ってしまって、その後強引に洋輔さんファントムに腕を引っ張られていきますが、ここも笑顔を見せていて完全に心を許してるな~って思いました(笑)心酔の仕方がえぐい(笑)
そして1幕ラスト。屋上にラウルと来てからも「あの声がすべてを包み~」とファントムの歌声を思い出せばうっとりした表情になっていって、心を委ねているというよりは支配されている…というのに近いのかな。メグが言う「まるで誰かに取り憑かれて」という言葉がしっくり来ました。ファントムのことを思い出すと完全に自我を失ってしまっている様子は、もう取り憑かれているとしか言いようがなかったです。そりゃラウルも焦りますわね(笑)
でもそこから現実に引き戻された久保さんクリスが、AIAOYではラウルにキュンとさせられているのも可愛かったです。前に久保さんクリスを観たときも熱く語りましたが、久保さんクリスのAIAOYは最ッッ高…。ラウルの一挙一動に驚いて喜びを噛み締めて、凄く幸せそうに歌っているのがとても感じられるんです。ファントムに支配されているときとは全然違う、自発的な喜び。だからここの久保さんクリスはまるで少女のように目をキラキラとさせていて、今この人は恋をしているんだなというのが伝わってきました。
曲終わりの「大変、もう時間だわ」も声が弾んでいて、これだけ幸せそうなクリスティーヌを見てしまったらこのあとの天使像のファントムは居たたまれなくなりますよね。この落差がたまらないです…。久保さんクリスの真っ直ぐな感情表現があってこそ、ファントムの切なさが増して凄く感情を揺さぶられました。
あと、結構飛びますけど今回の久保さんクリスでめっちゃ良い!と思ったのがPONRでした。ちょうどドン・ファンに顔を寄せて歌う「焼き尽くす~」の部分なんですけど、ここでドン・ファンの頬に布越しで顔を当てたときに仮面がついていることに気付いて正体がファントムだと気付くんですね。その気付いた瞬間にハッとなって、「や~き~つッ……くすッッ!」みたいな歌い方になったんです…!この間合いがたまらなくて、あれっ?となって不安が確信に変わって恐怖でいっぱいになるというのがこの1フレーズだけですべて伝わってきました。
そりゃもうそのあとは怯えて逃げ出そうと必死にもがく久保さんクリスのお芝居にも説得力が増したし、ここのファンクリの掛け合いはお互い熱がこもっていて良かったです。信じられないものを見るような久保さんクリスの顔面蒼白な表情も最高でした。
そしてラスト。1幕で散々心酔した様子を見せていただけに、ここの落差はとても激しく感じました。感情を真っ直ぐに表現する久保さんクリスなので憎しみをダイレクトに露わにして、キッと洋輔さんファントムを睨んでいて、洋輔さんファントムもタジタジになっていてたまらなかったです。
からの指輪を渡すシーン。前にも書きましたけど、久保さんクリスは否定するでも泣き崩れるでもなく頷く派のお芝居をする方です。解放されたことの余裕なのかそれとも音楽の天使に対する愛情や感謝の表れなのか…凄く不思議なんですけど、でも久保さんクリスの温かい表情がとても印象的でした。最後の最後に肯定してくれる人が現れたっていうことはきっとファントムにとっても救いだっただろうし、久保さんクリスは手を差し伸べられない代わりに気持ちだけは受け取ろうとしてくれて、何とかしてファントムを明るい方向へと導きたかったのかなぁ…なんて思いました。
考えすぎかもしれないですけどね。「私は幸せになるから、バイバイ」という意味での笑顔だったらさすがに怖いですけど、でもきっと久保さんクリスのことなのでファントムの気持ちを無下にするつもりで笑ったわけじゃないんだろうなーと思っています。そう思わないとファントムも私の心も救われないので(笑)なので次回このシーンを観るときに、自分がどう感じるのかはしっかり覚えておきたいと思います。
とにかく1ヶ月ぶりの久保さんクリスは本当に最高でした。色んな解釈を与えてくれるし、紗衣さんとも海沼さんとも違う一面があって素敵だし、評判がいいだけありますよね。観たあとは必ず久保さんクリスに心を奪われているのですが、今回もガッツリと骨抜きにされてしまいました。お兄ちゃんがいる間に戻ってきてくださって嬉しかったです!
まとめ
キャス変を見ての突発観劇でしたが、とても素敵な公演を観られて良かったです。色んな組み合わせで観ることで自分の解釈も広がっていくので、今後も新しい組み合わせが実現した際には足を運びたいと思います。
そんな中でも洋輔さんファントム×久保さんクリスは一番観たかった組み合わせでもあったので、なんとか観られて幸せでした。期待していただけに本当に良かったです。平日ソワレなのでチケット代は8,800円だったのですがこの値段でこれだけのものを観られるってあまりにもコスパ良すぎてヤバいですね(笑)
どの組み合わせで観ても素晴らしいですが、洋輔さんファントム×久保さんクリスは特にめちゃくちゃ良かったので、まだ観ていない方はぜひぜひ観てほしいです。私もまた今週末観に行きます!
兄ファントム×久保さんクリスはアツいよ!本日の日付入りサインも飾られてました!
『オペラ座の怪人』(12回目)
本日のキャスト!🎭#20210922Sオペラ座 pic.twitter.com/KYzfPtoFxO— ❄️ゆうき@観劇垢🌻 (@yunkyand) September 22, 2021
記念のステージ写真載せときます。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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