2021年7月24日マチネ 『レ・ミゼラブル』




東宝主催
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キャストの感想

キャストの感想です!

ジャン・バルジャン:佐藤隆紀

シュガーさんを舞台で拝見するのは今回が初めてです。テレビで歌われているのは拝見していたし、フォロワーさんたちのレポでもちょこちょこ知っていたし評判も良かったのでとても楽しみでした。それこそ山口祐一郎さんや別所哲也さん、今井清隆さんといった歴代バルジャンを観てきたので個人的に一番ハードル高い役でもあったんです。バルジャンの深みや厚みを出せるのかな…?って。

でもいざ観てみたら、シュガーさんの歌声の安定感と厚みには心を委ねてしまいそうでしたし、何より声色で年齢を感じさせていくお芝居が圧巻すぎて正直ビックリ…。期待をはるかに超えてきて、何なら今までで一番衝撃を受けたバルジャンになりました。こんなに声のお芝居が凄い人っているの!?と思うくらい、めちゃくちゃ凄かったです。

まず、歌がバリ上手い。音域も広いしハイトーンも出るので、下げて歌っている方が多いパートもスコア通りに歌われていました。声の厚みもあるからずっしりと構えた感じも出ていて、抑揚をつけて歌われるので感情の乗せ方も上手かったです。とにかく歌での感情表現が秀逸でした。ただ歌っているだけじゃなくて、バルジャンがそのときどのような想いでどんな感情で歌っているのか、深い部分までもが伝わってきました。

その一方で表情はそんなに激しく変わることがないので、感情を表向きには出さないタイプなのかなぁ。あまりに分かりやすすぎてもバルジャンっぽくないけど、もう少しメリハリあっても良かったかもです。だけどその分、本当に歌声での感情表現が多彩なので、内に秘めている想いは凄く強いことがしっかり伝わってきました。

そして声に厚みがあるだけでなく、優しさと温かさも含まれていて、コゼットに対する愛情や神にお慈悲を乞い願う神聖な気持ちも伝わってきたのが良かったです。包んでくれるような柔らかい歌声でした。そりゃコゼットも「パパ」と慕いたくなるのが分かります。逞しさと頼りがいもありつつ、つい身を委ねたくなる寛大さも持ち合わせていて、本当に綺麗な歌声でした。

何より特筆したいのが、晩年のバルジャンのお芝居。白髪になって、もうヨボヨボのおじいちゃんになったバルジャンを演じるシュガーさんのお芝居が本当にその年齢に見えるくらいリアルでした。声の出し方がこれまでと違うんですよね。イキイキとしたハリのある声ではなく、しわがれたような覇気のない掠れ声。しかもその声で歌うんですから凄いです。遠目から観ていたら、本当に一気に老けたんじゃないかと思うくらい、声がおじいちゃんになっていました。

さすがにオペラグラスで観ると顔は若いので誤魔化せない部分もありましたけど、声だけでここまで老人らしさを表現できるって凄いです。そして表情も凄く穏やかになっていて、仕草も動きもかなりゆったりとして老いを感じさせる佇まいになっていました。いやもうこの晩年のお芝居だけでも見事にシュガーさんバルジャンに心奪われました。人間ってこんなに年齢の幅を利かせたお芝居ができるんだと感動を覚えましたし、声の表現力がこんなにも高い人ってなかなかいないのでマジで凄い人に巡り会えた気がします。

シュガーさんのこと調べてみたらまだ35歳なんですね、恐ろしい…。あと5年経ったらもっとお芝居に深みが出るだろうし、さらに魅力的なバルジャンになること間違いなしだと思います。本当に素敵なバルジャンに出会えました。観られて良かったです!

ジャベール:川口竜也

2019年の『ノートルダムの鐘』京都公演以来の川口さんです。あのとき初めて川口さんを拝見して、あまりの凄さにただただ衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。お芝居のリアルさ、そしてフロローという人間の冷酷さと醜さをこれでもかというほど細かく熱く演じられていました。もうあの観劇で川口竜也さんの虜になったんですけど、こうしてジャベールで観ることができて嬉しかったです!

以前観たときの信頼度があったので何一つ不安はなかったんですけど、やっぱり川口さんはジャベールも最高でした!冷静沈着で真面目、鋭い眼光といった佇まいはそれこそフロローに通じるところがあって、何を考えているのか分からないくらい何も読み取れない表情の不変さも個人的には凄く好きでした。だけどバルジャンを逃してしまったときの悔しそうな表情とか、一瞬見せる隙もたまらなくかっこよかったです。もう、佇まいも雰囲気もそのものがジャベール。これで執念深いんだから厄介でしょうな(笑)

そして歌が上手い…。感情の乗せ方も自然で上手い。腹の底から響くような歌声でドスンと構えていて、狙った獲物は絶対に逃がさないとでもいうようにピシャッと鋭く射抜いてくるんですよ。これはロックオンされた側はマジで疲れると思います(笑)それくらい川口さんジャベールは怖いしめんどくさいし近づきたくないです。そうさせるほどのめんどくささを感じました。

そんな中で一番印象的だったのが、最後自殺するときのお芝居。最初は普通に歌っていましたけど、だんだん心が乱れてきて動揺し始めるあたりから川口さんジャベールのお芝居がさらに光り出しました。目をグッと見開いて、何かに迫られているような緊迫感が出始め、少しずつ頭がおかしくなってきている感じがすっごく伝わってきたんです。声からも動揺してきているのが伝わってきて、川口さんジャベを観ていると「え、大丈夫かな…」とソワソワしてしまいそうになりました。それくらい、追い詰められたときのお芝居がリアル。

これまで厳格で冷徹なジャベールを演じ続けてきたからこそ、取り乱すお芝居が落差を生み出して観客に印象を深く植え付けるんだと思います。川口さんってフロローのときもそうだったんですけど、誰よりも非人間的なのに誰よりも人間くさいんですよね。だからすっごく魅力的。パッと見はまるで心がないのかと思うくらいに非情なのに、いざ自分が追い込まれたときはありえないくらい取り乱して人間くささが出るんです。それがたまらなく愛しくて、こういう役をやらせたら川口さんの右に出るものはいないんじゃないかとすら思いました。

ここまでジャベールに焦点をあてながら観劇したのって初めてなんですけど、ジャベールの人間くさい部分がたくさん観られて凄く色んな発見あって楽しかったです。念願の川口さんジャベを観られて幸せでした!またいつか四季の舞台にも出てほしいです~~~!

ファンテーヌ:濱田めぐみ

私のかつての初代・贔屓です。2009年頃、濱田さんと出会って濱田さんを好きになりまして数年間贔屓として応援していました。そんな昔大好きだった方が、今じゃレミゼに出演されているんだから凄いですねぇ。当時の自分に「12年後に濱田さんがレミゼ出てるよ」って言ったらきっと相当驚いていたと思います。

濱田さん自体は四季時代にも数回、四季を退団されてからも数回拝見していました。ただ、自分が昔から観てきた作品に濱田さんが出るっていうことが本当に不思議で…。これまで私が観てきた濱田さんって『アイーダ』のアイーダや『マンマ・ミーア!』のドナ・シェリダンといったとても強気な女性がメインだったので、ファンテーヌってどうなんだろう!?というのが正直なところでした。

で、ファンテーヌを演じるには濱田さんはちょっと強いのかなぁ…って観る前は思っていました。だけどいざ観てみたら、すっごくハマっていて驚いたんですよ。ハマっていたというか、濱田さんのお芝居の幅が四季時代の頃からは比べものにならないくらい広がっていて、ファンテーヌのキャラクターに凄く合うお芝居ができるようになっていました。四季時代もそんなにたくさん観たわけではないので確かなことは言えませんが、年齢と経験を重ねたからこそ滲むようになった哀愁と貫禄と母性がお芝居に活きていて、とても儚げなファンテーヌを演じていました。正直こんな濱田さん観たことないです。

第一声から「え、これ濱田さん…?」と思うくらい、見違えていました。弱々しい演技っていうとチープに聞こえてしまうのだけど、ファンテーヌが弱い立場にあり、貧弱で自信がなく翳りを帯びた女性なんだなっていうのが瞬時に伝わってきたんです。まるで濱田さんとは思えないような、か細くて、騒音にも社会の闇にもすぐかき消されてしまいそうな儚さを伴っていました。

濱田さんといえば、気高くて自信に溢れた陰の女王のような佇まいがやっぱり印象強かったし、そういう意味でも新しい一面を観たような気がします。同じ母親役でもドナとは180度お芝居のアプローチが違うし、今の濱田さんだからこそできるお芝居だなぁ…って感慨深くなりました。ドナのときは「母親?んー、まあ…確かに…」って感じでしたけど、今回は正真正銘の母親でした。あの母性と温かさと哀愁は、絶対に昔の濱田さんには出せなかったと思うんです。だから四季を離れて色んな舞台に出演した経験が凄く活かされているし、四季を離れて正解だったんだなって実感しました。本当に驚くくらいお芝居の幅が広がっていました。

そして濱田さんの秀逸なポイントは歌の表現力が凄いこと。ファンテーヌには「夢破れて」というビッグナンバーがあります。歌詞1つ1つ細かくファンテーヌの感情を紐解いて、「夢を見ていたわ」はまさに夢を見ているように羨望の眼差しで歌っていて…というように歌詞に対する感情表現を凄く丁寧に演じていました。表情を観ているだけでも伝わってくるし、歌い方においても抑揚をつけながら感情を込めて歌っていて、もう歌がセリフのように聞こえてきました。濱田さんの凄いところってこういうところなんですよね…。歌がそのままセリフとして、魂の叫びのように聞こえてくる。本当に独壇場でした。

濱田さん独特の歌い方も健在でしたし、儚げに、切なげに、でも意思は強く持って歌われていて、凄くパワフルでありながら胸をきゅっと掴まれるようで、本当に圧巻でした。こんなにこの曲で感動したのは初めてかもしれません。

また濱田さんファンテは死に際のお芝居がマジでリアルすぎたのも凄かったです。以前も死神の役とかやられていましたし、まあこういう役やったら濱田さんの右に出る者はいないだろう…って思っていたんですけど、想像以上に死に際の演技が上手すぎて驚きですわ。覇気がなくて血の気もなくて、本当に死んじゃったんじゃないか…と思うくらいに青ざめていてヤバすぎました(笑)

同時に向こうで遊んでいるコゼットを見ているときの嬉しそうな表情、愛しむような瞳が凄く母親のそれでした。人間の最期ってきっとこんな感じなんだろうな…というリアリティが感じられるお芝居で、1幕序盤の出番だけでしたけど凄くインパクトを残していたと思います。これぞファンテーヌだと思うくらい、私としては120点満点のお芝居でした。

2幕ラストの佇まいも、どこかおぞましさがありましたもん。黄泉の国からバルジャンを迎えに来た優しい人っていうだけじゃなくて、ちょっとひんやりとした冷たさを伴う佇まいだったのがマジでさすがでした。死人役が上手すぎる…。さすが濱田めぐみさんでしたわ…(笑)

とにかく終始濱田さんファンテーヌのお芝居も雰囲気も佇まいも最高でしたし、期待をはるかに超えてきて本当に良かったです。やっぱり濱田めぐみさんっていつ観ても素敵で、絶対に期待を裏切らないし、ガッツリこちらの心を掴んでくる俳優さんなんですよね。昔からずっと変わらない…。それどころか昔よりもさらに素敵な俳優さんになっていて、凄く嬉しかったです。かなり久しぶりに拝見しましたけど、観られて良かったです!

エポニーヌ:生田絵梨花

初いくちゃん!前回までコゼットを演じていて今回からエポニーヌということで、イメージも180度変わる役どころなのでどんな感じなんだろう…と凄く気になっていました。でもいざ観てみたら全然悪くないし、やさぐれ感は薄いですけどこういうエポニーヌもアリだなと思わせてくれる新しさがあって良かったです。

アイドルとは思えないほどの歌唱力の高さと安定した演技力は本当に素晴らしくて、実力派スター揃いのレミゼの中に入っても全然見劣りしないのもさすがでした。ミュージカル界隈でいくちゃんが受け入れられているのも納得です。知名度だけでキャスティングされたっていうわけじゃなくて、ちゃんと実力を伴っているのが凄く嬉しかったし、今後もさらに楽しみになりました。

で、話を戻しますがエポニーヌのお芝居自体は凄くドライな印象です。元々エポニーヌに対して情熱的なイメージはそんな抱いていないですけど、凄く草食的で現代的なエポニーヌだなぁ…と思いました。想いを表に出すのがそんなに得意じゃなくて不器用で、ちょっと強がっている感じ。あからさまに落ち込みもしないし、飛び抜けて嬉しそうにもしないし、でも実際こういう子っているよなぁ…と思わせてくれる親近感はあって、とても不思議でした。

いくちゃん本人のちょっと上品な感じは少し抜けないかな…。エポニーヌにしてはちょっと小綺麗感があるし、やっぱりいくちゃんのキャラクター的にもコゼットのほうがきっと合ってはいるんだと思います。だけど自力で生き抜いてきた逞しさは凄く感じられて、歌声も真っ直ぐで、性格もどちらかと言えば真っ直ぐ。生き様がとても正直な感じがする新しいエポニーヌ像でした。

On My Ownも歌は上手だけど、もっとマリウスへの愛が感じられたらいいなぁ…とも思うし、伸びしろは凄くあると思います。この曲は特に難しいでしょうし、もっと演じていく中で感情が自然に歌声に乗ってくるんじゃないかな。だけどここでもいくちゃんエポの純粋さがちゃんと歌声に滲み出ていて、真っ直ぐな彼への想いが伝わってきました。悔しさとか寂しさとか虚しさっていう感情はまだまだだけど、彼への純愛はしっかり感じられたので、これからどんどん伸びていくんじゃないかな~って期待に胸は膨らみました。

いくちゃんエポは本当に純白な感じがするし、一切穢れもなさそうだから、もっと負の部分を意識していったらより素敵なエポニーヌになる気がします。歌もお芝居も本当に素敵だし実力もある子なので、また次回公演でエポニーヌを演じるのであれば観に行きたいです。キュートで可愛らしいエポニーヌでしたが、観られて良かったです!

マリウス:内藤大希

内藤さんっていう方、今回初めて知ったんですけど、なんだかとても現代的なマリウスだなぁと思いました。声の高さとか中性的な感じとか背の低さとか諸々含めて凄く現代的な男性像で新鮮でした。声質の問題か、少し低めの音程は上擦りがちだったのは気になったかも。だけど、カフェソングは声質的に合っていて心の悲痛な叫びをそのまま歌声に乗せて歌っていたのがとても良かったです。

1人だけ生き残ったことへの後悔や寂しさも感じられて、泣きそうになっている弱々しい姿も惜しむことなく曝け出して、とても好感度が持てました。あとはバリケードで弾切れになったときに「ここにいても同じだ!」と歌う内藤さんマリウスが、自棄になっていたのが凄く印象的で良かったです。

内藤さんマリウスは感情をすべて表に出すタイプで、分かりやすいくらいに分かりやすかったのがとても可愛かったです。ちょっと情けない感じとかも現代的な男性らしさがあるし、今回のコゼット役の熊谷さんも現代的なお芝居をされていたのでマリコゼ揃って今時の若者らしさがあって凄くお似合いでした!

コゼット:熊谷彩春

なんと21歳だそうで、最年少でのコゼットデビューというのを知って驚きました。凄く落ち着いていてお芝居も歌も上手で、実力が年齢をはるかに超越していました。でも私の中のコゼットのイメージよりはかなり元気で明るくて、とても現代的なコゼットだなぁ…という印象です。

剱持たまきさんのコゼットのイメージが相当強かったので、凄くおしとやかで落ち着いているお嬢様のような女の子っていう設定なのかと思っていたんです。だけど熊谷さんコゼットは年相応で明るくて天真爛漫で、昔のコゼットのイメージとはかなり変わっていたので衝撃的でした。他のコゼットのキャストさんもこんな感じなのか、それとも熊谷さんならではの演じ方なのかは分かりませんが、今の現代版レミゼに凄く合っていると思いました。

妹も「コゼットの人、アナみたい」と言っていたので、本当にそれくらいハツラツで明るいんですけど、そのほうが健全ですよね。どういう英才教育をしたらあんなお嬢様みたいになるんだろう…という違和感はあったので、逆にこれくらい元気なほうが凄く健全だし自然だし、恋という感情が芽生えて期待に胸が膨らんでいる感じが出ていてとてもキュートで可愛かったです。元気だけど上品さはあるし、旧演出版と現代版のいいとこ取りをしたコゼットだなと思いました。顔も目がクリクリで可愛らしかったし、21歳とは思えない堂々としたお芝居で周りにも劣らなくて素晴らしかったです!

テナルディエ:駒田一

駒田さん相当長いですよね~。2003年から出演し続けているそうですから18年。でもあの頃と変わらずにひょうきんで胡散臭いテナルディエを演じられていて、凄く安心して観ることができました。駒田さんは本当に安定(笑)逆にトレンディエンジェルの斎藤さんとか六角さんとかじゅんさんとかはどんな風に演じてるんだろう~っていうのも気になります。

駒田さんは常に一定のトーンで、急にハイになることもそんなにないし、弾けるというよりはニヤニヤと何かを企んでいるタイプのテナルディエっていう印象です。だから雰囲気からも凄く悪い人感が漂っていて、絶対に近づいちゃダメだろうな~って思わせる佇まいをしていました。でも金目のものを見つけたときに目がキラキラ光って、乞食っぽさが全面に出るのはやっぱりさすがです。ずっと演じ続けてきたからこそ染みついているであろう貪欲さが凄く自然に出ていて、本当に安定していました。声もお芝居も衰えないし、以前と変わらない駒田さんテナを観られて嬉しかったです!

マダム・テナルディエ:谷口ゆうな

テナ夫人はモリクミさんが安定だったので、谷口さんは初めましてでした。モリクミさんの印象が強すぎるからなかなか他の人だとパッとしない役どころなのかなぁ…とも思ったんですけど、谷口さんめっちゃインパクトあって良かったです(笑)

見た目から声質からお芝居から全部モリクミさんに近しいところがあって、個人的にはすんなり受け入れながら観ることができました。ドスの利かせ方とかコミカルに走らせる感じとかはやや抑えめですけど、程よくふざけて程よく迫力を出していて、その加減が凄く上手!目立ちすぎず目立たなすぎず、程よくその場をテナルディエと共に仕切っていて面白かったです。リトルコゼットの真似して歌い出したときにはさすがに吹きましたけど、そういう小ネタの挟み方も上手でした。

あとは歌も本当に上手で、モリクミさんを20歳くらい若返らせたイメージ?声にハリがあってところどころちょうどよく若さも感じられて、無理して声を出そうとせずにスラッと出し切れるのが凄く気持ちよくて素敵でした。全然期待していなかった…といったら語弊ですが、本当に斜め横から殴られたような衝撃を受けるくらい素敵なキャスティングで、大満足です!

アンジョルラス:小野田龍之介

2016年の劇団四季『ウェストサイド物語』以来の小野田さんです。まさかこうして巡り巡って小野田さんアンジョを観られるとは思わなかったのでとても嬉しかったです。それこそ2020年の『マンマ・ミーア!』で岡村美南さんがドナ役デビューされたときに観に来ていらっしゃってて、もしかして今も岡村さんと交流あるのかな~とか思っていましたが…。まあ、そういう意味でも岡村美南さんと共演していた方だったので凄く楽しみなキャストの1人でした。

もうね、小野田さんアンジョ最っ高…!私の大好きなアンジョのイメージにピッタリで、これぞアンジョルラスっていう理想形でした。歌声の厚みと芯の強さがあって凄く逞しく頼りになるし、リーダーシップをしっかり発揮して冷静沈着で聡明。誰もがついていきたくなるような背中をしていました。それこそ私がかつて大好きだった坂元健児さんタイプのアンジョルラスだったので、問答無用で好きでしたわ…(笑)

元々アンジョルラスというキャラクターが大好きなのですが、演じる人によって命の吹き込み方は異なるし、キャラクターのイメージもかなり変わります。小野田さんアンジョはみんなを引っ張っていけるだけの実力とカリスマ性を兼ね備えていて、声量もあるから凄く存在感もあって、みんなのお兄ちゃん感が凄い。学生とは思えない貫禄というか風貌をしていて、そんなところも司令塔として活躍できるだけの説得力を感じさせました。本当にひたすらかっこよかったです。

あとは確かアンジョが死ぬ直前に歌うところかな。「世界に自由を~」って歌詞の部分をキーを上げて歌ったのがかっこよすぎて惚れました(笑)あれはずるいわ…。アンジョが自棄になって、というよりも覚悟を決めて死に挑もうとしている姿がとても勇ましくて、撃たれた瞬間にバリケードから落ちていく姿も凄く潔くてかっこよかったです。小野田さんアンジョ、あまりにもハマり役すぎますなぁ…。

アンジョと言えば、冒頭にも書きましたけど旧演出では舞台が回転して、旗に逆さ吊りになるようにして死んでいるアンジョルラスが登場して客席から大きな拍手が起こる…というシーンが見ものでもありました。私の記憶だと舞台はゆっくり回転していて、その瞬間ずっとアンジョは目を開けた状態で死んでいたんですよね。ただただ圧巻で、残酷だけど個人的には凄く好きなシーンでした。

なので、今回の演出では貨車みたいなものに乗せられて運ばれて死に様を見せるという感じに変わっていたので迫力は半減かなぁ…。小野田さんアンジョverでも旧演出の死に様シーンは観たかったです、残念!だけど本当にとにかくかっこよくて、小野田さんアンジョについていきたいと思うくらい素敵なリーダーでした。歌も上手いし、最高でした。観れて良かったです!

まとめ

だいぶ長くなりましたが、まずは最後まで読んでくださりありがとうございました。レミゼのことそんなに詳しく知っているわけでもないですし、それこそ12年ぶりなので最近の演出のこととかも全然分からないしで、昔を基準に語ってしまいすみませんでした…。

でも、それこそこの作品とは小学生の頃からのお付き合いだったので色々と思い出して懐かしさも込み上げましたし、何だかんだ言って実は凄く好きな作品なんです。ここ最近はずっと疎遠でしたが、観に行きたい気持ちはありました。そうこうしている間に気付いたら濱田めぐみさんまでもがレミゼに出るようになって…。時代の流れって恐ろしいですねぇ。

ということで、私にとってはベストなキャストでの観劇を臨めて本当に大満足です。そして1回観るとまた観たくなるし、次は色んなキャストの組み合わせで観たいという欲も出てきました。だけど、レミゼって自分的にはそんな頻繁に観たい作品ではなくて、1回1回を噛み締めて観たい作品でもあります。だから今期はこれでお終いです。キャストにおいても大満足だったので、悔いはありません。次回、機会があればそのときはまたチケット取って観に行こうと思います。

でね、時代と共に作品も変わっていく部分があるし、それは至極当然のことなわけです。演出も変わればキャストも変わる。自分にとって黄金時代だったあの頃とは大きく変わった今の現代版レミゼがたくさんの人に愛されている。自分がずっと観ていなかったのもあってあの時代に取り残されていましたけど、ようやく追いつくことができました。

私にとって永遠に大好きな新妻さんエポニーヌや坂元さんアンジョの思い出は一生色褪せないし、きっとこの先もレミゼを観劇するたびにこの2人のことは話に出すかもしれません。でもそうして過去の思い出も大切にしながら、今のレミゼを楽しんでいきたいなと思いました。アップデートするのは作品もキャストも、そして観劇する自分もそうです。

正直昔のほうが良かったと思うポイントはたくさんあったし、あの頃に戻りたい…と思うこともたくさんあります。だけど今は今で凄く魅力的なポイントが増えたし、キャストも凄く素敵な人たちが揃っていました。今回観たキャストの皆さんはマジで凄かったし、やっぱり観られて良かったです。過去を大切にしつつ、今も楽しめたら一石二鳥ですもんね。これからは前向きに観劇を楽しんでいけたらと思いました!

ということで改めて最後までご覧いただきありがとうございました!列に入れて嬉しかったです!

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