2021年8月15日マチネ 『王家の紋章』




東宝主催
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キャストの感想

キャストの感想です!

メンフィス:海宝直人

2017年『ノートルダムの鐘』京都公演以来の海宝くんでした。私が記憶にないだけかもしれないですが、四季以外の作品で海宝くんを観たのは今回が初めてです。驚き。

とにかく歌唱力が凄すぎて安定感が半端なかったです。音域も広いし本当に歌が上手い。あの化け物級の歌唱力を持つ新妻聖子さんとハモっても声がかき消されないのも凄い。しかもセリフも明瞭で聞き取りやすいので、海宝くんを観るときって基本ノンストレスなのがとてもありがたいなと思いました。

そして俺様キャラの海宝くんを観たのも今回が初めてだったのですが、似合うかどうかは別としてとても新鮮で面白かったです。元の顔立ちがとても整っていて美しいし、オーラがあるから王様役はしっくり来るんだけど、とても優しそうな甘い顔しているからか化粧が似合わない(笑)単に見慣れないだけかもしれませんが、こんな厚化粧の海宝くん新鮮だなぁ…ってなりました。

だけどどんな役にもなり切れちゃうカメレオン俳優さんですから、次第に違和感も薄れてきて普通に観ることができました。お芝居が上手なので、セリフの緩急や抑揚のつけ方、間合いなどは特に良かったです。高飛車な雰囲気もセリフの言い方によって表現されていました。

ただ、海宝くんは身体能力がそこまで高くないのか終盤の殺陣のシーンは剣捌きがなかなかに鈍くさくて笑いました。あれだと普通に敵にやられちゃいそう(笑)『アラジン』で観たときもジャンプがそんなに高くなかったなぁ…というのを思い出しました。殺陣はもう少しスムーズにできるようになるとかっこいいなぁ。

俺様だけどキザすぎず、自然とかっこよくなってしまう振る舞いも素敵でした。顎クイとかはされたらたまらないでしょうなぁ。でもやっぱりファラオというよりは否めないプリンス感。もっと正統な王子様役が海宝くんには合ってそうでしたが、決して違和感があるわけではなかったし、新しい扉を開いた感じでとても良かったです。久々に観て海宝くんの実力の高さに圧倒されまくりで、凄く楽しい観劇ができました!

キャロル:木下晴香

念願の木下晴香ちゃん!なんて呼んだらいいのか分からなくてずっとフルネームです。晴香ちゃんかな?先述しましたけど『モーツァルト!』の配信を観て度肝を抜かれ、なんてこの子は凄いんだ…と思い衝動的に今回のチケットを押さえてしまいました。

生で観る晴香ちゃんはやっぱり凄かったです。とても華奢でありながら芯の通った澄んだ歌声をしていて、しかも音域も広くて音程も安定していてさすがでした。歌唱力が凄まじい…。すっごく綺麗な声しているなぁというのが第一印象だったのですが、本当に綺麗な声していました。

普段の喋る声はキャロルという役がキャピキャピした感じだからかとても高めでしたけど、歌い出した途端に晴香ちゃんの纏う雰囲気がガラッと変わったんですよね。この子は歌うことで凄く魅力が倍増するなと思いました。

コンスタンツェとは役の雰囲気が全然違うからか、キャロルのキャラクター性はやや晴香ちゃんとかけ離れているのかなぁ…という印象はありました。多分Wキャストの神田沙也加ちゃんがキャロルのキャラクター性はしっくりきそう。でも、古代エジプトにタイムスリップしてからの知的さを発揮するキャロルは凄く晴香ちゃんに合っていました。

あと、これもキャロルの演じ方ゆえか凄くブレスが多いのも感じました。歌声は全然クセないんだけど喋り方にはクセがあるんだなぁ~というのも発見。でもこの喋り方って既視感あって、つい先日退団されてしまった宝塚・月組のトップ娘役の美園さくらさんが似た喋り方なんですよ。私、美園さんの喋り方めっちゃ好きだったので、同じタイプで個人的には好きでした。これはもう好みですね~。

あと、新妻さんと声質が似ているのもあってキャロルとアイシスがデュエット?するときの2人の声の一体感が凄くて鳥肌立ちました。凄く綺麗で良かったです。晴香ちゃんはいつかソロコンサート開いてほしいくらい歌声が好きだったので、ようやく生で観ることができて大満足でした!

イズミル:大貫勇輔

大貫さんって恐らく初めて拝見したと思います…。大貫さんがどうという以前に、イズミルに関しては色々と疑問が残る部分が多くてなんか好きになれないキャラクターでした(笑)キャロルに恋してしまうまでのあっけなさとラストの行方が凄くモヤモヤしてしまって、結局何がしたかったんだよ~!って感じだったんですけど、ただイズミルを演じていた大貫さんはとても素敵な俳優さんでした。

歌に関しては歌唱力はあると思うんですけど、少し高音がきつそうだなぁと思う瞬間も多々。中盤あたりでハイトーンで歌うナンバーもいくつかあったので、歌い切れるときもあれば少しきつそうに歌われているときもあって、少しヒヤヒヤしました。

一方で2幕の殺陣シーンは、海宝くんメンフィスがたどたどしいからか大貫さんイズミルのほうがスマートでかっこよかった印象があります。剣捌きはイズミルが圧勝ですよ(笑)

いまいち自分の中でイズミルの立ち位置が掴めなくてしっくり来なかったので、次観る機会があればしっかりと観てモヤモヤを解消したいなと思います。大貫さんは声も素敵で背も高くてお芝居も凄く上手だったので、できれば次は別作品でしっかり観られたら嬉しいです!

アイシス:新妻聖子

私の記憶だと2010年に観た『キャンディード』以来の新妻さんです。この10年間で新妻さんもかなり世間的に注目されるようになって、テレビで観ることも増えました。そのたびにやっぱり歌上手いなぁ…とは思っていたんですが、いざ劇場で歌を聴くと懐かしさと感動でいっぱいになるほど痺れました。

とにかく圧巻の歌唱力。音域の広さは言わずもがなですが、スコーンと突き抜けるような真っ直ぐでクセのない歌声は本当にうっとりしてしまいますね…。凄く綺麗な歌声で安定感も抜群。新妻さんアイシスが歌い出しただけで劇場全体がその雰囲気に一気に呑まれてしまうほどの存在感でした。マジでずっと聴いていたい。

くわえて、歌での表現力も凄まじすぎてビックリです。アイシスは異母弟のメンフィスを熱愛しているだけにかなり過激で、メンフィスに近づく者には容赦ない狡猾さと冷酷さを持ち合わせた女性だったのですが、その冷酷さや失恋のショックを歌うときの表現力が秀逸すぎました。歌にすべて感情が乗っていて、まるで七色の声を使い分けるように場面に応じた歌い方をしてアイシスの感情を演じていたんです。

中でも「想い儚き」というナンバーはアイシスが劇中繰り返し歌っているのですが、メンフィスへの恋い焦がれる想いを歌声に乗せて、苦しく切なく悲しく寂しいというアイシスの感情がたっぷりと表現されていて印象的でした。吐息や息遣い、声色、緩急、抑揚。あらゆる術を使って歌っていて、聴きながら心が抉られるような切なさでいっぱいになりましたよね。アイシスについ感情移入してしまいたくなるほどビシバシ感情が伝わってきて、新妻さんさすがでした。

歌声を自由自在に操れるところが本当に凄くて、表現者としてここまで歌に感情を乗せられる人って観たことないので終始圧倒されて帰ってきました。昔から新妻さんは凄い方でしたけど、年齢と経験を重ねてさらにパワーアップされていて、大人の女性が醸し出す魅力と色気と貫禄を纏っていて「女王」と呼ぶのがしっくりくる女性になっていました。自分も大人になって色んな作品や俳優さんと出会って価値観もかなり変わった中で、再び新妻さんを拝見してみると改めて衝撃が凄すぎて語彙力なくなりますわな…。

言い過ぎかもしれないけど、新妻さんは私がこれまで出会った舞台俳優さんの中で一番歌が上手い人だと思っています。歌唱力、音域、表現力すべてトータルで考えても新妻さんはやっぱり凄かったです。

しかも今回はアイシスというかなりクセの強い、傍から観れば悪役とも取れるような悪女を演じていらっしゃっていて、それがまた新妻さんの魅力を存分に引き出していたなと思いました。昔は『レ・ミゼラブル』のエポニーヌとか『ミス・サイゴン』のキムとか、正統派?なヒロインをよく拝見していましたけど、アイシスは今の新妻さんだからこそ演じられる役ですよね。満を持してって感じ。

メンフィスに向ける熱烈な愛情表現も新妻さんの大人の色気が足されてうっとりしてしまいそうでしたし、一方でキャロルやミタムンに向ける冷酷な顔は圧倒的な存在感と貫禄で相手を震え上がらせるには十分でしたし、マジですべてが凄い。凄すぎて凄いしか言えないくらい語彙力なくなりますわ(笑)

ついつい新妻さんが登場するたびにオペラグラスを構えてしまうほど新妻さんアイシスの存在感は凄かったです。アイシスってどんな役なのか一切知らないまま観劇しましたけど、まさかこんなにかっこいい新妻さんを観られるとは思わなかったので終始興奮しました。改めて素晴らしい俳優さんだなと再認識。久しぶりに新妻さんを堪能できて幸せでした!

ライアン:植原卓也

キャロルのお兄ちゃんです。ライアンに関してはずっと「キャロルはどこだー!」って言ってるイメージしか残っていなくてすみません(笑)冒頭でも書いたけどかなりの頻度でライアンがキャロルをひたすら探す描写が入ってくるから、思わず「またかい」と突っ込んでしまいました。

ライアンはちょっと個人的なネタ枠になっちゃったんですけど、演じている植原さんはとても素敵な方でした。古代の人たち=海宝くんや大貫さんをはじめ結構声がずっしりしている方が多いので、現代人として登場してく植原さんライアンは結構声が細めな感じが良かったです。古代と現代とでコントラストが効いている感じして、凄く現代人らしさが出たお芝居をされていた印象でした。

ライアンは結局あのまま今もキャロルを探し続けているんだろうけど、なんか報われなさ過ぎてモヤモヤしたので最後にフォローの描写が欲しかったですね~。植原さんがご自身のTwitterで毎日キャロルを探し続けているツイートをされているので、凄くじわじわ来ています(笑)

ミタムン:綺咲愛里

元宝塚の方だそうで、とても華奢で可憐な女性でした。ただ、マジでなんの事前情報も入れずに観劇したのでまさかミタムンがアイシスに焼き殺されてしまうなんて思わず、めちゃくちゃ衝撃を受けました…。しかも1幕の前半で焼き殺されてしまうから、主な出番って最初のほうだけなんですよね。それ以降はまるで亡霊のような佇まいで登場してくることばかりなので、衝撃が半端なかったです。

今回は新妻さんアイシスで観たけど、Wキャストの朝夏まなとさんアイシスで観たらミタムンとアイシスの対決シーンは宝塚ファン的にはかなり激熱?な感じになるんですかね。

で、まさにそのアイシスとの対決シーンで結果的にミタムンは焼き殺されてしまうのですが、そのときの怯えた表情や動きがとても秀逸で本当にハラハラしました。めちゃくちゃ恐ろしくて臨場感が凄かったです。人間が恐怖に怯えるときの感じがとてもリアルでした。

一方で亡霊になってからはどんよりとした雰囲気を纏い、たどたどしい歩き方でステージ上を徘徊していて、この落差が凄い。出番少ないわりにかなりインパクトがあって難しい役どころだと思うのですが、可憐さとおどろおどろしさの両局面をしっかり演じられていてとても印象に残る俳優さんでした!

ナフテラ:出雲綾

キャロルをサポートしてあげる女官長の役どころで、まるでお母さんのような眼差しでキャロルの面倒を見ていたのがとても印象的でした。出雲さんの持つ優しくて温かい雰囲気が作品全体の緊張感を緩和させてくれる役割も果たしていたと思います。

出雲さんが積み上げてきたであろう経験がそのままお芝居に活かされているんじゃないかと思うほど、お芝居そのものがナチュラル。凄く自然体で貫禄を感じさせる佇まいもさすがでした。

そして何より安定の歌唱力で、高音もブレることなく出るし芯の通った声をされていて聴き心地も良かったです。ガッツリメインという役どころではないですが、お芝居、歌ともにここまで安定しているとよりメインの方々が引き立つんだなぁ…とも思いました。「前に出過ぎず、でも程よく存在感がある」って逆に一番難しいらしいんですけど、出雲さんはまさにそのタイプなんじゃないかな。名バイプレーヤーでした!

ルカ:岡宮来夢

岡宮さんという方は今回初めて知ったのですが、めちゃくちゃ歌上手くてビックリしました。ベビーフェイスな可愛らしい顔立ちをされていたのですが、声は凄くしっかりした低めの男らしい声で、しかも音域も安定感も抜群の歌唱力で、そのギャップに衝撃を受けました。

ルカという役どころもいまいち分からないままの観劇だったんですけど、マジで岡宮さんルカには思わず目を奪われてしまうくらい圧倒されてしまったわ…。あとあと見てみたら『刀剣乱舞』などの2.5次元ミュージカルでご活躍されている方らしいです。帝国劇場に立つのは初めてとのことでしたが、とても立派に堂々とお芝居されていて凄く存在感もあって素敵でした。

ルカはイズミルの従者で、メンフィスたちの元へ入り込みスパイを行っている役どころなのですが、表の顔と裏の顔の演じ分けがとても上手だった印象です。表向きの爽やかそうな声色はきっと普段の岡宮さんに近しい部分でしょうし、悪事を企む本性の部分は少し低めの声でギャップをつけて演じられていました。

顔立ちと声のギャップは三浦翔平くんを思い起こさせるような感じですかね。本当に凄く良い声してるんですよ…。歌もめちゃくちゃ上手いからビビるし、これだけの歌うま揃いに一切埋もれることなく存在感を発揮していたのがさすがでした。本公演が岡宮さんルカの千穐楽ということでしたが、挨拶ではかなり可愛らしい一面も垣間見えてキュンとなりました。今後がさらに楽しみな俳優さんです!

ウナス:前山剛久

他の方も言っていたのですが、髪型のせいでお笑い芸人の空気階段・水川かたまりにしか見えませんでした(笑)ずっとかたまりだな~って思いながら観ていたのでパンフで前山さんのお写真見たら全然顔違ったのでビックリです。

前山さんはウナスとルカの2役を演じられているそうですが、今回はウナスというメンフィスの配下の役どころでした。とても優しくて誠実な男性で、ナフテラと一緒にキャロルを手助けしてくれる存在です。凄く柔らかい雰囲気を纏っていて、安心して身を任せられるような佇まいをされていました。

ただ、あまりにも優しすぎて最後裏切るんじゃないかな…とも思ったのですが、そんなことなくて安心しました(笑)こんな優しい雰囲気を持ち合わせた前山さんがルカを演じたらどうなるんだろう…というのも気になります。今回は水川かたまりだなぁ~っていう印象ばかりが残っちゃったので、次回観るときはしっかり前川さんのお芝居に注目したいと思います(笑)

イムホテップ:山口祐一郎

めっちゃ久しぶりの祐さま~!いやもう音程合ってるんだか合ってないんだか分からないくらい独特な歌い方は相変わらずで、マジで音程合ってるのか分からんのだけど(笑)本当に独特すぎるのでこれが祐さまだなぁ…って感じで納得しちゃいました。昔から変わらずでむしろ安心しました。

歌は好み分かれると思うし私もあまり得意ではないですが、お芝居自体はとても良かったです。貫禄のつき方といい頼りになる宰相だなぁという説得力はさすがでした。ずっしりとした佇まいと圧倒的なオーラでその場の視線を集めてしまうのも、さすが祐さまといったところでしょうか(笑)カリスマ性は本当に凄いなと思いました。

クセが強い方なので祐さまが歌うたびに笑ってしまったのですが(失礼)、でも久しぶりに観られて嬉しかったです。何だかんだで好きな俳優さんですし、相変わらずお元気にステージに立たれていて素敵でした。

まとめ

なかなか最近は劇団四季以外の舞台を観る機会が少なく、自分で積極的にチケットを取っていかないと本当にご縁がなくなってきています。王家も木下晴香ちゃんが出なければきっと観ることはなかったでしょうし、まずは観られたことに感謝です。

今回が初めての方もたくさんいましたが、海宝くんや新妻さんや祐さまをはじめ懐かしい顔ぶれを久しぶりに観られたのは大きな刺激になりました。中でも新妻さんは本当に衝撃的で、自分が小学生くらいのときから何度も親に連れられて新妻さんの舞台を観てきました。あの頃から歌上手いな~って思っていたけど、10年経った今も一切衰えることがなく、あの頃よりも貫禄と安定感がさらについて抜群の存在感を発揮していて凄かったです。

外の舞台で活躍できる人なんてほんの一握りなんだろうし、その第一線でずっと活躍し続けるって容易いことではないでしょうから、本当に凄いと思います。劇団四季の舞台ばかりを観ていると、外部作品を観たときにマジで衝撃を受けるんですよ。「外はこんなに世界が広いんだ」と。だから視野を広げるってすっごく大事なんだなというのを再認識できて良かったです。

ストーリーに関しては散々に書いたけどマジでキャストの方々の歌唱力は痺れたので、思わずフォトカード買っちゃいましたよね(笑)

しかも気付いたら次のチケットも取っちゃってたよね(え)。私、やっぱり歌やお芝居が上手い人が好きなんだなーって感じたので、次はもう作品を楽しみに行くというよりは歌を聴きに行きます。コンサート行けよって感じですけどね(笑)

でも本当に貴重な観劇ができて最高でした!念願の木下晴香ちゃんも観られて感無量・珠城りょうです!

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