キャストの感想
キャストの感想です!
メンフィス:海宝直人
相変わらず歌が上手い海宝くん。どうしても『ノートルダムの鐘』のカジモドのお芝居の印象が強いからか、メンフィスとして喋る海宝くんの声がすっごく若く聞こえて驚きました。第一声くらいの「姉上!」も本当に弟感満載で、めっちゃくちゃ爽やかな弟属性の声をしているので海宝くん凄いなーって思いました。マジで良い声してるわ。
相変わらず動きは鈍くさいし殺陣は下手っぴだしメイクも似合わないんですけど、とにかく歌とお芝居で魅せてくるので凄く圧倒されました。それに海宝くんってオーラが凄いし、王様としての圧倒的存在感と輝きを放っていて説得力が凄かったです。キザなかっこつけ方とかは恐らくWキャストの浦井健治くんのほうがナチュラルなんでしょうけど、海宝くんならではの真面目で硬派なメンフィスを演じられていた印象があってとても素敵でした。
そして海宝くんメンフィスのお芝居ですっごく印象に残っているのが2幕冒頭でキャロルと再会するシーン。こっちが観ているのも恥ずかしくなるようなバカップルっぷりを発揮するんですが、このときの海宝くんメンフィスの「笑ったな」「もう一度笑え」といったセリフの言い方だったり声色だったりが凄く弾んでいて、メンフィスがいかに嬉しいのかがかなり伝わってきました(笑)
海宝くんってこういうお芝居もできるんだ~と再発見です。本当にお芝居の幅が広いし、どんな役も柔軟にこなしてしまうイメージがあったので、改めて海宝くんの演技力の高さに驚かされた観劇でした。新妻さんアイシスとの美しすぎる姉弟の組み合わせもオーラ抜群でとても妖艶で素敵でした。またまた海宝くんをたっぷり堪能できて良かったです!
キャロル:神田沙也加
先述したように12年ぶりの神田沙也加ちゃんです。以前『レ・ミゼラブル』で観たときに、正直言うとすっごくコゼット役が合わなくて苦手意識を持ってしまったんです。あまり綺麗に高音が出なくて、これはダメだ~って。だからあのときのトラウマがずっとあって、なかなか沙也加ちゃんが出ている舞台を観に行く勇気がありませんでした。
その後『アナと雪の女王』の日本語吹き替えでアナ役として大活躍して、「あ、歌上手いやん」となって以前のトラウマは多少軽減されたもののやはり生の舞台は観るの怖くて…という状態だったのですが、前回王家を観たときに「キャロルは神田沙也加ちゃんのが似合うんじゃ…?」という確信があり、思い切って12年ぶりに観ることにしました。
Wキャストの木下晴香ちゃんが抜群の歌唱力で前回強烈な印象を残してきたのもあって沙也加ちゃん大丈夫かな~と思っていたんですけど、もうそんな心配はいらなかったです。期待をはるかに超えてくるくらい魅力的にキャロルを演じていて、ドンピシャにキャラクターにハマったお芝居をされていました。これぞキャロルだと思うくらい説得力があって、お芝居にも一切無理がなくて、本当にナチュラルに演じられていた印象があります。だからすっごくキャロルがイキイキしていました。
キャロルってアナ雪のアナみたいに太陽みたいに明るい一面があって、そういうところは特に神田沙也加ちゃんの良さが活かされていたと思います。一方で知的な部分は木下晴香ちゃんのほうが良さが発揮されていたので、キャロルに関してはWキャストそれぞれの魅力が活かされていた印象がありました。だから180度タイプの違うキャロルで凄く見応えあって面白かったです。
また、沙也加ちゃんは現代人らしさを凄く感じられるバイタリティの高さも感じました。とにかく身体能力が高いなって思って、あとはお人形さんみたいな顔立ちも凄く引き立っていて、キャロルが古代エジプトで目立つ存在であることの説得力もありました。とにかく目が大きくて鼻も高くて、めちゃくちゃ可愛すぎてビックリです…。
そしてお芝居だけじゃなくて歌に関しても、以前トラウマを抱いたほどヤバい…ということもなくて本当に安心しました。何ならキャロルのキーは凄く合っていると思ったし、やっぱり演じる役のタイプによってこうも俳優さんの良し悪しって変わるものかと強く実感しました。マジでキャロルが歌うナンバーに関しては沙也加ちゃんの声質と音域が合っていて、かなりイキイキと歌っていた印象です。
ちゃんと高音も出るし、全然聴いていてきつそうだなぁ…と感じることもありませんでした。特に「憧れに生きる」などのアップテンポなナンバーは一番しっくり来て良かったです。新妻さんアイシスと共に歌うナンバーも新妻さんの声量に負けることなく、綺麗に歌声が重なって一体感が出ていました。だからもう本当に何もかもが期待以上で凄かったです。
人によって合う合わないはあるだろうし得意不得意もあるし、今回のキャロルという役はまさに神田沙也加という人物にピッタリな役だったんだなと感じられた観劇になりました。おかげで無事にトラウマも克服できましたし、マジで今回観て良かったです。本当に可愛くて素敵なキャロルでした!
イズミル:平方元基
初めましての平方さん!おそらくどの作品でも拝見したことないと思うので、今回が本当に初めてだと思います。とにかく歌が上手だな~と感動しました。前回も思ったのですが、イズミルが歌う曲ってどれも難しそうでWキャストの大貫勇輔さんもかなり苦戦されていた印象がありました。だけど平方さんはどのキーでもバッチリそこに合わせてきたので、凄く爽快感があって聴いていて楽しかったです。
歌の上手さに加えてめちゃスタイルも顔も良くて、これはずるいですな…!?お芝居も上手でしたし、凄くハイスペックな俳優さんだな~というのが私の第一印象でした。イズミルが次第にキャロルに惹かれていって、そのことに苦悩してしまうシーンでは表情を歪ませつつ、戸惑いを自ら感じていて、どうしてと力みながらお芝居をしていたのがイズミルの葛藤が感じられて良かったです。
ただ、前回も書いたんですけど結局イズミルって何がしたいのかよく分からなくて…(笑)最後の撤退の仕方も凄く雑で、かなり中途半端なキャラクターだなというのが私の個人的な感想でもあるんですね。キャロルに惹かれていって、エジプトを乗っ取ること以上にキャロルの心を手に入れることに夢中になっていっちゃうのは凄く可愛いと思うんですけど、でもキャロルを斬っちゃったから撤退してそのまま出番終了って本当に消化不良すぎるなと思いました。やっぱり今回もイズミルは好きになれなかったです…(笑)
だけど演じていた平方さんは本当にお芝居も歌も上手で、海宝くんとのハモリも凄く聴きごたえがあって最高でした。歌声の厚みが増して迫力満点でしたし、凄くかっこよかったです。また何か別の作品でぜひお目にかかりたい俳優さんだなと思いました!
アイシス:新妻聖子
前回に引き続き今回の大本命の1人です。もう完全に前回で新妻さんの歌声の虜になりまして、あの破壊力抜群な突き抜ける歌声にぶん殴られたい…と思ってチケットを取ってしまいました。どうしてもまた新妻さんアイシスの「王家の呪い」と「想い儚き」を生で聴きたいと思っちゃって、居ても立っても居られなかったです。
パンフのインタビューでも新妻さんが仰っていましたが、アイシスみたいな役を演じるのは今回が初だそうで、私もこんな新妻さんは観たことなかったので新境地を開拓したな~と思いました。新妻さんの力強い歌声がここまでピッタリとハマって、こんなにも切なくて愛しいアイシスを演じられるなんて凄すぎるな…と。見事に化学反応を起こした神キャスティングだと確信しています。
そして新妻さんは前回公演ではキャロルを演じていたそうなので、アイシスを演じるようになって自分に振り向いてもくれないメンフィスに対する愛情がより一層強くなったとも仰っていました。その経験が活きているからか、凄くメンフィスへの情熱的な愛情が伝わってきて、逆に切なくなりました。
エジプト神話で「オシリスとイシスの伝説」というものがあるそうで、それになぞらえてアイシスはメンフィスとの結婚を強く切望している。だから夢見心地で法悦な表情を浮かべながらメンフィスを見ているときの新妻さんアイシスは、完全にメスでした。「あ、この人今恋してるんだ」っていうのが凄く伝わってくる表情で、でもメンフィスとの想いの大きさの差にはあえて気付かないフリをしているみたいなところもあって、なんか観ていてキュンとなるよりも胸が苦しくなりました。
新妻さんってエポニーヌのときもそうでしたけど、叶わない恋に想いを馳せる女性を演じるのマジでめちゃくちゃ上手い。声色の出し方や歌い方でギュッと胸を鷲掴みにされるような切なさを出すのが本当に上手なので、アイシスの悔しさや寂しさが歌声からたっぷりと感じられました。あの化け物級の声量で歌う「想い儚き」はそれだけアイシスの想いの強さが歌声から感じられて圧巻でしたし、正直今回の公演では一番拍手が大きかったナンバーです。前回よりさらに歌声がパワーアップしていて本当に凄すぎました。
あとは1幕と2幕で「私たちはイシスとオシリス~」みたいに歌うナンバーがそれぞれあるんですが、1幕のときは凄く妖艶な感じでメンフィスに酔いしれるように歌っていて、一方で2幕は激情をぶつけるように怒りを込めつつ歌っていて、その歌声の変化が観ていて凄く面白かったです。歌での感情表現が凄すぎて、同じ曲なのに全然同じ曲には思えないくらい新妻さんの歌声によって別の曲になっていました。これも圧巻でしたね…。
「王家の呪い」もどんどんアイシスの怒りが歌声に乗っかっていって、ドスを効かせながら歌っていたのがめちゃくちゃかっこよすぎて痺れました。新妻さんはマジで歌で魅せる方なので、どのナンバーを聴いても感情表現が秀逸すぎて素晴らしかったです。もうアイシスが主役と言ってもいいくらいの存在感を放っていました。
もちろん歌だけじゃなくて演技も繊細かつ大胆で、アイシスの喜怒哀楽を1つ1つ丁寧に演じられていました。悲しみに暮れるお芝居も良かったですが、これまでに観たことのないような新妻さんの怒りと憎しみを大胆に表現する演技は本当に新鮮で特に秀でていたと思います。背も小さく華奢でありながらどんな相手にも屈せず、狙った獲物は確実に仕留めようとするほどの眼光の鋭さを発揮していて恐怖すら抱きました。ここまで徹底してヴィランを演じられるのがかっこよすぎたし、それほどの迫力と恐ろしさを出せるのが凄かったです。
前回も書いたように圧倒的なオーラと貫禄があるため、女王としての説得力も存分に感じられました。その圧倒的な権力と国民たちの信頼の裏で、冷酷かつ残虐な行いをするというアイシスの二面性も見事に演じ分けられていましたし、新妻さんアイシスが出てくるだけで背筋が凍りそうでした。本当に圧倒的な存在感と安定感で、ずっと目で追ってしまいましたね…。素晴らしかったです。
役者のタイプって「演者が役に歩み寄っていくタイプ」と「役が演者を呼び寄せるタイプ」の2種類あると思っていて、今回の新妻さんアイシスは後者だと思っています。完全にアイシスという役が新妻さんを呼び寄せたなと思うほどのハマり役で、新妻さんの新たな魅力が存分に引き出されていました。本当にこれぞハマり役!というほどの説得力で終始素晴らしかったです。こうして新妻さんアイシスに出会うことができて幸せでした!
ルカ:前山剛久
前回はウナス役で観た前山さんが今回はルカ役ということで、全然前回と印象が違いました。ウナスよりも出番が多いし歌うナンバーもちょこちょこあるので、前回よりもしっかりと前山さんのお芝居や歌を堪能できました。
前山さんルカは岡宮さんルカよりも真面目な感じがあって、正直何を考えているのかが分からないくらい頭の中が読めないキャラクターでした。敵としてはダークすぎないし、でも味方というには真っ白な感じもしないし、逆にそれが恐ろしいなと思いました。特に2幕ラスト、ルカが結局敵なのか味方なのか分からない状況での前山さんルカの表情はマジで何考えてるのか分からないくらい「無」でヤバかったです。
これがあえてなのか自然にそうなっちゃっているのかは分からないですが、逆に白々しさがあって良かったです。でもマジでルカが結局何したいのかよく分からない描かれ方されているのも不憫だなぁ…とは思いました。結局最後はどっちサイドについているのか、未だにスパイを続けているということなのか、それともイズミルの元を離れて今はメンフィス側についたのか…。ちょっと謎すぎて、それもあって最後の前山さんルカの表情をどう読み取ったら良いのかが分からなかったです。
歌に関しては前回の岡宮来夢さんがめちゃくちゃ上手かったので少し物足りなさはあったものの、全然歌唱力はある方だったので安心して聴けました。とりあえず、前山さんはウナスも良かったけどルカのほうがお芝居輝いてるなーって思いました。凄く聡明な感じがするので、ルカの優秀さも雰囲気で伝わってきたし、ピッタリだったと思います。2回観劇でルカ役とウナス役の前山さんを両方観ることができて良かったです!
まとめ
今回も何だかんだで歌唱力にぶん殴られて、めっちゃ楽しんで帰ってくることができました。劇団四季以外の舞台を観ることで、自分の視野が広がる感覚を得られてたくさんの刺激をもらえるなと感じました。やっぱり多くの作品、たくさんの俳優さんを知ることで自分の視野が広がって知識が増えて引き出しも増えるので、より観察力が高まるだろうし、もっと物事を客観視してあらゆる角度から観られるようになりたいです。
だからこれからももっと色んな作品、色んな俳優さんと出会いたいなと思いました。今回の観劇もたくさんの収穫があって、良い部分も悪い部分も含めて凄く良い経験値になりましたし、観劇できて良かったです。久々に新妻聖子さんの凄さも再認識できたし、これからはちょっとずつでも四季以外の舞台も観ていこうというきっかけにもなりました。
そうしてどんどん経験値を積み上げて、再び岡村美南さんのお芝居をもっとじっくり楽しめるようになれたら…と思っています。まだしばらくは彼女に会えないんだろうなーとも思うので、今は視野を広げる期間としてたくさんの作品を観ていくつもりです。
ということで、ところどころ正直に書いてしまった部分もありましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。次の外部作品は9月のサンリオミュージカルです(え)。無事に上演されますようにー!
そして『王家の紋章』も無事に東京公演千穐楽を迎えたそうです。一度も公演中止にならずに完走できたのかな?何はともあれ、駆け抜けられて良かったです。千穐楽、おめでとうございました!
今期のPVも出来上がったそうなので、最後に置いておきます!
ということで最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
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