岡村美南さんのドナ・シェリダン役デビューから1年が経って




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2020年8月3日、いつも通り月曜日の週間キャストを確認しに行って見つけた「ドナ・シェリダン 岡村美南」の文字。いよいよ彼女がドナ役でデビューするんだとワクワクしたのを今でも鮮明に覚えています。

そして来たる2020年8月5日。水曜日ソワレ。『マンマ・ミーア!』横浜公演で岡村美南さんがドナ役デビューを果たしました。


あれから1年。そっか、もう1年経つんだ…という気持ちです。

デビューしてからは本当に毎日が目まぐるしくて、横浜公演は休日をすべて観劇に充て、続く福岡公演も気付けば毎週のように飛行機に乗って通い、最後の京都公演は毎週新幹線に乗って観劇していました。振り返ってみれば、なかなかクレイジーだったと思います。

言い訳をするつもりではなかったですけど、この年の上半期は公演中止が相次いでいたから観劇できなかったことへの反動も大きかったんですよ。何より、岡村美南さんが最後に舞台出演をしたのが2019年12月8日。8ヶ月も舞台に出演していなかったから会いたくてたまりませんでした。

毎月チケット代やら遠征費やらで2桁超えのクレジットカード請求が来るほど使い込んでいたので、ひもじい生活を余儀なくされる日々もありました。でも今思い返せば、あのとき全力で劇場に通ったことは決して間違いではなかったと断言できます。

このご時世ですから遠征することを良く思わない人がいるのも事実。実際、私がたくさん出歩いていることを良く思わず、離れていった友人もいました。残念ながら失ったものは取り返せません。だけど、同時にそれ以上の大きなものを得られたのも確かです。これはもう結果論でしかないけど、この道を選んで良かったと今なら言えます。

自分なりに感染対策を万全にして劇場に足を運んだことが幸いしてか、コロナに感染することもありませんでした。岡村美南さん出演中は奇跡的にも公演が中止になることもありませんでした。だから、すっごくラッキーだったと思います。奇跡が重なって今こうして応援できているということを何度噛み締めたことか…。本当に恵まれていました。




【横浜】デビュー当時のことを振り返る

デビュー当日の2020年8月5日。ドナはいつかやるだろうなぁ…って思っていたけど今期デビューするとは思っていなくて、だからキャスボに名前が載っているのを見て凄く不思議な気持ちでした。当時まだ34歳。ドナの年齢よりも若いし、正直早いかなと思ったんですよね。

でもいざ幕が開いて初登場の瞬間、「ドナだ」と思いました。私がかつて観てきたドナとはヘアスタイルもタイプも違ったけど、ちゃんとドナでした。もうお芝居はお手のものです。1幕はひたすらかっこよさと可愛さでいっぱいのドナを演じられていて、感動が止まらなかったのを今でも覚えています。

ただ2幕になると、どうしても若さが目立ったりお芝居に深みが生まれず母親らしさが滲み出なかったり…と苦戦していたのを感じました。終演後、意外にもしっくり来なかった自分がいて正直怖くなったんです。「期待値が高すぎたのかな…」とか「もしかして合わないのかな…」とか凄く悩みました。知り合いとも感想を話し合ったのですが、同じ意見だったので少し安心した自分もいました。

だから次観るのも怖かったんですよね。「また同じことを感じてしまったらどうしよう」という不安もあり、持っていた直近のチケットを実は1枚他の方にお譲りしたんです。さすがにマチソワはできない…と思って、ソワレだけ行くことにしました。

不安でいっぱいの中迎えた2幕。「あれ…?」と思うほど、見違えていました。前回と比べてかなり良くなっていたからビックリしすぎて脳内パニックでした。

もう本当にデビュー日とは見違えるほど柔軟にお芝居をされていて、驚きと共に嬉しさが込み上げました。「これよこれ、岡村美南さんはこうじゃなくっちゃ!」と胸が高鳴って、一気に心を掴まれ、ここから私の岡村さんドナへのガチ恋人生が幕を開けました。

横浜公演はここから毎日公演を重ねていく中でどんどんお芝居が柔軟になっていって、岡村さんらしいドナを演じられていた印象があります。観るたびに良くなっていって、少しずつ余裕が出てきて細かい仕草も入れてくるようになりました。同時に初々しさもあって、一生懸命母親になろうと頑張って背伸びしている感じは個人的に愛しさの極みでした。

時には失敗をしてしまうこともありましたけど、カンパニーの皆さんが優しくフォローしてくださっていたのも印象深いです。こんなにも周りに支えられながらデビューしていく姿を観るのって実は初めてだったので、本当に貴重な瞬間に立ち会えたんだなぁ…と嬉しさでいっぱいでした。

【福岡】進化と深化が止まらない

次の地・福岡では横浜公演からさらに進化した岡村美南さんドナを観られました。横浜のときにはやらなかった仕草を足してみたり、お芝居の間を変えてみたり、セリフの言い方を変えてみたり…。とても試行錯誤を続けているのが伝わってきました。


だから日々違っていて、毎回いろんなドナのお芝居を観られたことはとても楽しかったです。特に横浜公演と大きく変わったのは、母親としての貫禄のつき方でした。出演していなかったこの数ヶ月でもしかして子供産んだ?と思うくらい、自然に母親らしさが身についていたことが驚きでした。

オフステの中で岡村さんは「(ドナが)自分と違うところは母親というところ。だから普段からソフィの子たちとの関係性を大事にした」と言っています。母親ってなろうと思ってすぐなれるものではないし、それこそ経験を積んで自然と母親になっていくんだと思うんですよね。よく世のお母さん方が「子供に親にしてもらった」なんて言いますけど、岡村さんもきっと同じで、ソフィ役の俳優さんと関わりながら母親になっていったのでしょう。

とは言ってもまだまだ歴代ドナに比べたら若いし足りない部分もあったけど、ちょっとずつ岡村さんらしいドナになってきているのが凄く嬉しかったです。あんなに器用にこれまでの役を演じてきた岡村さんがこんなにもドナのお芝居に苦戦していたから、横浜公演のときは観るというより見守るという気持ちで客席から見届けていた部分もありましたが、福岡公演ではもう安心して観られるようになっていました。これも大きな変化だと思います。

そして何より大きく変化したことは、座長としての意識ですかね。カンパニーの中心に立つ人間であるということを強く意識してなのか、それとも岡村さん自身の心境の変化かは分かりませんが、お客さんに対して物凄く神対応になりました。ちょっと言い方語弊あるけど、コロナ禍以前は結構あっさりしていたんですよね。だけど福岡公演初登板週、カテコで最後まで残って幕が閉まるまでしゃがんでずっと手を振っていました。

横浜のときはやっていなかったし、なんなら私が応援するようになってから7~8年経つけどこんな岡村さんは観たことありませんでした。コロナ禍の中来てくれたお客さんへの感謝か、それとも座長としての意識の変化か…。何が岡村さんを変えたかは分かりませんが、ドナ・シェリダンを演じたことが岡村さんに大きな影響を与えたのは確かでした。

そして2021年1月3日の福岡公演千穐楽。岡村美南さんはカンパニーを代表して千穐楽の挨拶をしました。岡村美南さんにとっても、私にとっても初めての瞬間でした。カンパニーが1列に並んで岡村さんが一歩足を踏み出したときのことは今でも忘れられません。大好きな人がカンパニーを代表して挨拶をする。歴史的な瞬間に立ち会えたことが本当に嬉しかったし、ファンとしても光栄でした。本当に本当に嬉しかった出来事です。

【京都】最愛で最高のドナ・シェリダンへ

最後の地・京都公演。岡村美南さんドナの進化は止まりませんでした。開幕キャストを担い、約1ヶ月半の連投の中、さらにお芝居が細かくなっていって岡村さんならではのドナを演じていたのが印象に残っています。もうデビュー当時からは比べものにならないくらい素敵なドナになっていました。

安心感しかなかった。デビュー直後はハラハラしながら見守っていたけど、京都はもう岡村さんが登場してきたら安心感しかありませんでした。この数ヶ月で培ってきた経験が岡村さんドナへの信頼に繋がり、ドンと構えられるほどの存在感と安定感を生み出していました。だから本当に毎回楽しくて仕方なかったです。

そんな中で一番大きく変化したのが、一番の課題でもあった「母親」の部分。福岡でかなり良くなったと先述しましたが、その比ではありません。私の解釈も含まれますけど、こう来たか…と思うほど新しいドナ像を作り出したんです。


若さが弱点になってしまうかもというデビュー前の懸念を強みに変えてきたんです、彼女。母親らしい風貌じゃないとドナを演じられないなんて先入観が消えてしまうほど、「若くて未熟だからこその苦悩」を活かしたお芝居をするようになりました。若くして妊娠してしまった女性が頑張って子育てをしてきて、毎日必死にもがきながら娘と対峙していく。そんなドナでした。だから凄くリアルだった…。

この未熟という部分がとにかく大きくて、これまで私が観てきた歴代ドナの俳優さんにはない要素がかなり取り入れられたリアリティ溢れるドナだったんです。子育てを20年続けてはいるけど未だに母親になりきれない、まだ心は子供のままのドナ。

横浜のときは一生懸命背伸びして母親になろうとしていたけど、いっそ原点に立ち返ってありのままの自分を受け入れて、今の自分が演じられるドナを演じようとしたのかな…と思いました。凄くお芝居が自然でした。ありのままの感情を受け入れて、無理なくドナ・シェリダンを演じていました。だから心に響くお芝居ができるようになったんだろうなぁ…。

しかも、京都公演では毎回泣いていたのも印象的でした。岡村さんって泣かないイメージがあったんですけど、ドナを演じるようになってから毎度のように涙を流していました。それだけ女性にとって「誰かの親になる」ということが自分を変えるんだろうなと岡村さんを通して実感しましたね。

だから、通い詰めた今期『マンマ・ミーア!』は横浜、福岡、京都と岡村美南さんドナの母親としての成長物語を観ているようでした。横浜のときは母親になりたてで右も左も分からない状態。福岡に来てちょっとずつ母親というものが分かってきて小慣れてきた状態。そして京都では、自分なりの母親像を突き詰めてドンと構えられるようになるほどの成長を見せました。だから、それこそ我が子の成長を見守るような気持ちで最初から最後まで見届けられたので、私にとって凄く貴重な経験ができたと思っています。

ドナとして最後の出演となった2021年3月14日の公演まで見届けて、本当に最愛で最高のドナ・シェリダンになったと感じました。素敵なドナが誕生したんですよ…。これぞ、岡村美南さんです…!

また会える日まで

いつか振り返りたいと思っていたので、節目のタイミングで岡村美南さんのドナについて語れて幸せでした。本気で語ろうと思えば10万文字は軽く超えるくらいの超大作を書けるんですけど、さすがにそんな論文みたいなものは誰も読みたくないと思うので簡潔にまとめさせていただきました。

人間って思い出すという行為をしないと風化させてしまう生き物なんですよね。残念ながら思い出さない限りどんどん忘れていってしまうから、いくら「絶対に忘れない」と言っても忘れてしまうときはあるんです。絶対に忘れない思い出があるとするならば、無意識に思い出すという行為を日々繰り返しているからなんだと思います。

だから私も実は結構忘れかけていた思い出が結構あったことに気付きました。今回この1年を振り返ってみて、そういえばあのシーンってこうだった…と思い出すことが結構あって凄く楽しかったです。同時に、絶対に忘れたくないから、こうしてたまに振り返ってみて当時のことを思い出すようにしたいなと思います。絶対に忘れたくない大切な思い出たちなので、これからも大事にしていきたいです。

そんなわけで、デビューから1年という節目だったので色々と語ってみました。もう何十回も聞いたよというような内容ばかりだったと思いますが、最後までご覧くださって本当にありがとうございました。やっぱり私、岡村美南さんが好きで好きで仕方ない岡村美南さんガチオタクでした。

せっかくなのでこれまで描いてきた今期マンマレポもここに供養します。良かったらぜひご覧ください!

『マンマ・ミーア!』に通い通けた私を見守ってくださった読者の皆様、本当に本当にありがとうございました!

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