2021年1月17日マチネ 劇団四季『ロボット・イン・ザ・ガーデン』再起動




ロボット・イン・ザ・ガーデン
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ゆうき
ゆうき

ロボットカンパニー再起動!

日時:2021年1月17日マチネ公演
場所:自由劇場
座席:1階S席7列13番




はじめに

ついに『ロボット・イン・ザ・ガーデン』の東京公演が再び開幕です。前回公演は千秋楽を目前にして公演が中止となってしまい、残念ながら千秋楽を迎えることなく終わってしまいました。きっとカンパニーの皆さんが一番悔しい想いをしていたでしょうし、その悔しさをバネにしながら「再起動」するために奮起し、無事に開幕できたんだと思います。緊急事態宣言が発令されて今もなお苦しい状況ですが、何はともあれ幕が開いたことが本当に良かったです。

私にとっては2020年11月23日以来の自由劇場です。最近はずっと福岡の劇場に足を運んでいたのでアクセスの良さに驚きました。やっぱり家から通える距離に劇場があるって幸せですね。そして今回の公演では色んなキャンペーンが開催されることになっています。まず1つ目はギフトキャンペーン。

2回観劇すると出演者さんのサイン入りポストカードがもらえるキャンペーンです。こちらの台紙は開演前に劇場外で配布しているので、四季の会の会員の方は入場前にキャンペーン受付を済ませてしまいましょう。キャンペーン受付は開場中のみなので注意が必要です。

そしてもう1つのキャンペーンが、なんと開演前の舞台上を撮影していいっていう新しい試み!せっかくなので色んな角度から撮影してきましたよ。

正面7列から。

前方下手寄り通路から。

中段上手寄り通路から。

正面最前列から。

劇団四季で舞台上の写真撮影OKという試みは今回が初めてです。営利目的でなければSNSへの投稿もOKという太っ腹っぷり。ただし、開演5分前以降の撮影は禁止ですし、他公演ではそもそも撮影が禁止されているのでルールを守ったうえで撮影するようにしましょう。

2月にはオフステージトーク動画の配信もあるそうです。

今期の『ロボット・イン・ザ・ガーデン』は楽しみがいっぱいで今からワクワクしますね…。ちなみにパンフレットも前回は稽古写真しかありませんでしたが、今回は舞台写真が掲載されていました。キャストは前回と変わらずで、タング以外はシングルキャストです。何かあった際に代わりが利かないっていうのが怖いですけど、無事に今度こそ千秋楽まで駆け抜けられることを祈りたいです。

ということで、長くなりましたがしっかり観劇して感じたことをレポしていきたいと思います。ぜひ最後までお付き合いくださいませ!

総評

全体の感想を書いていきます。

キャスト:★★★★★
座席:★★★★★
全体:★★★★★

皆さん前回から引き続きなので安心して観ることができました。その一方で、1ヶ月半のブレイクタイムがあったわけで前回と変わったなぁ…と思うところも多々あって面白かったです。全体的に凄くシンプルになった印象があって、余計なものが削ぎ落されたように感じました。だけどそれだけではなくて、細部の表情や仕草が変わっていて解釈が前回と大きく変わった部分もあったので、総合的に凄くブラッシュアップされたと思います。もちろん再スタート初日ということもあって、俳優さんたちの気合いも大きかったのかもしれません。

今回は先行で取った7列センターでとても観やすかったです。左4席が空席だったのですが、本来なら前予で解放されるはずの席だったと思うので緊急事態宣言を受けて販売が中止になってしまったんですね…。外のチケットボックスに「満席御礼」という文字が掲げられていたので、嬉しい反面複雑な気持ちも正直ありました。

だけどやっぱり再スタート初日というだけあって、ロボットの再開を待ちわびていたお客さんで埋め尽くされていたことを凄く実感できました。とにかく拍手が大きくてとても温かかったんですよね。色んな場面で拍手も起きれば笑いも起きたし非常に盛り上がっていた公演だったと思います。そんな客席の温かさに私も感動してしまいました。

とにかくすべてにおいて凄く満足度が高かった観劇になりました。ミスやハプニングも特になかったですし、客席の質も高かったですし、何よりロボットカンパニーの白熱したお芝居や歌やダンスが本当に素晴らしかったです。もうね、開演してすぐタングが動き出した瞬間から涙が込み上げました。それくらい、この作品が大好きだと再認識できましたし、無事に幕が開いたことが嬉しかったです。こうしてしっかり見届けることができて幸せでした!

キャストの感想

気になるキャストの感想を書いていきます。

ベン:田邊真也

相変わらず素敵でした…。なんか冒頭のダメダメな無気力の頃のベンのお芝居が凄くシンプルになっていた気がします。前はもう少し活気があった気もするんですけど、それすらも感じられないくらい覇気のない喋り方・声色でした。それもあってゆきみさんエイミーとの掛け合いは凄く冷めた夫婦の倦怠期感が出ていて良かったです。何に対してもやる気が出ないというか、興味を持てないというか…。そんなベンの無気力さがより強調されていたからこそ、物語を追っていく中でベンの瞳に光が灯されていくのがどんどん感じられて、ギャップがより大きくなったように思いました。

気弱なんだけど凄く優しくて愛情深くて勇敢だったりする感じも絶妙に演じられていましたし、改めてベンを演じられるのは田邊さんしかいないなぁ…って思うくらいの説得力です。タングに見せる表情、エイミーに見せる表情、カトウやリジーに見せる表情、ボリンジャーに見せる表情…どれも違っていて、ベンの多面的なところもたくさん観られました。色んな人に愛情を持って接しているんだけど、その愛の形がそれぞれ違っているのがまた素敵です。そりゃね、リジーがベンにちょっとでも惚れちゃうのが分かります。スッと懐に入ってくる感じで、傷を癒やしてくれるような優しさで包み込んでくれそう。エイミーがあなたじゃないとダメなのって言うのも分かるんです…。女性陣がベンにかける言葉どれもが納得いくくらい、田邊さんベンはとても魅力的だなって思いました。

そんな中で今回いいなぁ…って思ったのが終盤のタングとの掛け合い、そしてエイミーとの掛け合いです。まず間合いが素晴らしすぎる…。緊迫感とか余韻とか、そういうのって間合いによって左右されると思うんですけど、タングとの掛け合いは間を詰めることで切羽詰まったベンとタングの感情が表に出て凄く緊張感が出ましたし、エイミーとの掛け合いでは間を作ることでそれぞれの感情の揺れ動きが強調されて、お互いの踏み込みたいのになかなか踏み込めないもどかしい距離感が感じられて良かったです。タングのパパでありエイミーの夫である…親であり男であるベンの色んな感情が田邊さんの間合いで色濃く表現されていて、とてもベンに感情移入できました。

あと、終盤のエイミーとの掛け合いで「白状すると、正直危なかった~」ってリジーとキス未遂があったことを白状する台詞の言い方が今にも泣きそうな子供っぽい言い方になっていたのが個人的に良かったです(笑)以前はちょっとふざけたような色も混じった言い方だったんですけど、今回は完全にエイミーにすがるように言ってたのがとても可愛くて、こういう表情ってエイミーにしか見せないんだろうなぁ…って思いました。ダメダメなところを見せられるのもベンらしいし、それでも愛しさが感じられるし、だからこそ最後にエイミーに告白する姿はよりかっこよく映りました。特に「絶対に書きたくない」と離婚届への記入を拒絶する台詞の間合いと言い方が絶妙で、エイミーに対してベンが作中初めて自分がこうしたいと意思を告げる台詞だからこそ、力強さを感じられてグッと引き込まれました。メリハリのあるお芝居が本当に上手で、強弱や抑揚のある台詞の発し方でベンの感情を丁寧に表現しているのが素晴らしかったです。

改めて、この作品は田邊さんが物語の中心として存在しているからこんなに温かくて優しい気持ちで観られるんだろうなって思いました。田邊さんの存在感半端ないです。またこうして田邊さんベンに会えて幸せでした!

タング:生形理菜/渡邊寛仲

大好きなうぶちゃん&渡邊さんペアのタングを観られて嬉しかったです。相変わらず子供っぽくて可愛らしいタングだったのですが、うぶちゃんのお芝居が結構変わっていて以前とはかなり印象が違った部分がたくさんありました。

たとえばベンに「ドライブするぅ?」と声をかけるシーンだと、以前はおちょくるような言い方をしていたのですが今回はイケボっぽい感じの言い方でこれ萩原さんの声真似してんのかな…?って思いました(笑)具体的にどんな感じって上手く説明ができないんですけど、結構低めの声でスラーッと喋ってて全然前回と印象違ったのでビックリでした。これがもし誰かの喋り方の模倣だとすれば、タングの学習能力の成果の表れなんだろうなぁ…って勝手に思って凄く納得してしまいました。次回またうぶちゃんタングに当たったらここは注目したいです。

あとはその直後にベンにしつこくオーナーの存在について聞かれてタングがふてくされてしまうシーン。ベンがそのままタングを置いて行こうとするのでタングが立ち上がってふてくされながらついていくんですけど、ここでめっちゃ足音をドンドンうるさくしながら歩いていたのが印象的でした。以前はここまでうるさくなかった気がするんですけど、怒ってるよっていうのがその歩き方と足音から伝わってきて良かったです。こういう細かい仕草がうぶちゃん&渡邊さんペアは丁寧になっていて、タングの感情をしっかり表に出してくれるので喜怒哀楽がはっきり読み取れました。

登場してくるアンドロイドが心を持っていないだけに、こうしてタングの感情がどんどん表に出るのって凄く差別化できていいなって思いました。タングは特別なんだっていうのが感じられて、個人的に凄く良かったです。本当に人間みたいで、人間とロボットは見た目の違いはあれどきっと根本的には変わらないんだろうなっていうのが今回のうぶちゃん&渡邊さんタングを観て感じた点です。

他にもカイルに追いかけられるときに泣きそうな声で逃げていたのも前回との違いですかね。前回は焦るようにヒエェェ…って感じで「はぁ…はぁ…」って逃げまどっていたんですけど、今回は完全に恐怖から逃げるように若干ぐずり交じりの声を出していました。ちょっとしたタングの感情の解釈に違いが出てきたのか、ところどころ「焦」が「泣」になっていたり、前回と感情表現が変わった部分があって面白かったです。

あとは、ベンのリュックからズボンを取り出すシーン。小芝居なのかハプニングだったのか分からないんですけど、ハートのクッションを取り出すのがなかなかできなくて「ズーボ…ズーボ…ズーボーンッ!」って言っていたのが可愛かったです。取り出せなかっただけなのか、あえてリズムを崩すように言っていただけなのかは不明でしたけど、天真爛漫な感じが出ていてキュンとしました。プチハプニングとしてはもう1つあって、ボリンジャーに銃口を向けるシーン。体の向きを変える瞬間にタングの手から銃が落ちてしまって、慌ててうぶちゃんが拾ってタングの手を操作する際に持たせていました。それもあって銃の持ち方がやや違和感でしたけど、無事にすんなりと進行できて良かったです。タングを操作しながら小道具を操るのって難しそうだなって思いましたけど、改めてそれもしっかり綺麗にこなしているのが凄いと再認識しました。

で、感情表現の部分で個人的に一番惹き込まれたのが、タングがボリンジャーのパネルを操作してアンドロイドにボリンジャーを襲うように仕向けるシーンです。そのときに言う「必要なのは小さなバグだけ」の台詞の言い方が、逆に感情が一切こもっていないような冷徹な言い方でゾクッとしました。これまで感情豊かな喋り方をするようになってきただけに、ここで無感情な喋り方をするのがより一層脅威を感じさせましたし、タングがロボットであるということを再認識させたような気がします。同時に冷徹なボリンジャーの模倣としてそのトーンで喋ったのであれば、これもタングの学習能力の成果であり逆襲であるという、ロボットが人間を超えた瞬間のようにも感じられました。

前回公演もここは低めの声で喋っていましたけど、今回はさらに冷徹で機械らしい喋り方で言葉を放っていて、かなり衝撃を受けました。だからこそ、そのあとベンが本気でタングを叱ることに意味を感じられて物語に深みが増したような気がします。ここのお芝居の変化はかなり良かったなぁ…って思った部分でした。

そしてタイトルナンバー(リプライズ)はうぶちゃんがまた一生懸命泣くのをこらえるようにして歌っている姿にもらい泣きです。憑依型のうぶちゃんなので、タングの感情に合わせて自分も表情をコロコロ変えてますけど、ここだけはうぶちゃんの感情が滲み出ていて個人的にすっごく好きな瞬間でした。こうして改めてうぶちゃん&渡邊さんペアのタングを観てみて、やっぱり好きだなぁって感じられる点もたくさんあったし新たな発見もあったしで、タングという生き物により愛着が湧いた観劇になりました。今回のうぶちゃん&渡邊さんペアのタングは本当に解釈がかなり変わっていて面白かったです。洋一郎さん&長野さんペアで観たらまた感じ方がガラッと変わりそうだなーって期待できました。

エイミー:鳥原ゆきみ

ゆきみさん相変わらずお綺麗で可愛らしかったです…。声量も抜群でしたし、喉のコンディションは特に良かったんじゃないかなって思いました。中でも「ふたりのことば」や「Gift」の声の伸びが聴いていて凄く心地よくて、エイミーの想いがひしひしと伝わってくるようでした。

田邊さんのところでも書きましたけど、冒頭のシーンは凄くサバサバしていて言葉1つ1つを淡々と言っている感じで冷めきった夫婦仲を感じさせました。ところどころちょっとだけ声色が明るくなる瞬間もあるんですけど、エイミーがいかに今のベンに対して不満を抱いているかが表に出ていた気がします。だからこそ、「ふたりのことば」でエイミーの本音が歌となって漏れることに説得力が増しましたし、心にズシンと響くような力強い歌声が逆に切なくも感じました。ベンのことを本当は愛しているからこそ、今のままじゃダメだって自分に言い聞かせているようにも思えましたし、ベンが分かってくれないことに対して泣きそうな顔して訴えてたのもリアリティがあって良かったです。ゆきみさんのお芝居、もう役にそのまま憑依しちゃっている感じがあってリアリティ凄いんですよね。表情も言葉1つ1つの説得力もえげつなかったです。

一方でブライオニーに対してはちょっと弱い部分やリラックスした一面も見せたりして、冒頭とのギャップが感じられてキュンとしました。「Free Free」ではあゆ美さんブライオニーにお尻を叩かれて「いたーい!」って言っていたのがとても可愛かったです。女子力120%すぎて可愛い…。からの「焦らなくていい~♪」の歌詞のところで後ろから肩をポンと叩くあゆ美さんブライオニーに顔を向けるゆきみさんエイミーですが、どちらも勢い余って顔がとても近くてほっぺがくっつきそうになっていたのが最高に可愛かったです。そんな近さにゆきみさんも照れるように笑っていたのが死ぬほど尊すぎて癒やされました…。ロボットの女性陣たまらんですね。

そしてやっぱりラストは大号泣しちゃうゆきみさんエイミーが愛しくてたまりませんでした。割と早めの段階からもううるうるしてて可愛すぎたんですけど、そういえば離婚届をベンに見えないように後ろにサッと隠してたの初めて気付きました。後ろに隠していたけど油断してベンに見つかっちゃって、それから隠すのをやめて「私が今日来た理由はね…」と言いながら離婚届を破るんですね。その際にぐちゃぐちゃに丸めた紙屑を床に落としちゃったんですけど、自然と「きゃっ」て声をあげていたのがめっちゃ女子でキュンとしました。あざとすぎますよね…ゆきみさん、めっちゃ女子すぎて可愛かったです。

からのベンへの告白で大号泣しちゃうから本当に可愛すぎて、1幕冒頭で怒ってた人とは思えないくらいギャップがあってたまらなかったです。やっぱり1幕冒頭でいかにエイミーのフラストレーションが溜まっているかとか冷めた感じが表現できるかで、2幕ラストの見せ方とか感じ方とかが大きく変わるなと再認識しました。今回観ていてエイミーという女性にとても魅力を感じましたし、共感できる点もたくさんあって女性目線でエイミーを応援しながら観ていた部分もたくさんありました。ゆきみさんのお芝居がとても自然で上手だからこそ、ここまでエイミーという女性に共感できたんだと思います。こうしてまたゆきみさんエイミーに会えたことも、久しぶりにゆきみさんのお芝居を観られたことも本当に幸せでした!

ブライオニー:加藤あゆ美

久しぶりに観たあゆ美さん、もうめっちゃ笑顔が素敵すぎて一気にガチ恋しました。元々前回公演でもあゆ美さん素敵だなぁ…って思ってはいましたけど、あのくしゃっとした笑顔とキレッキレのダンスを観るだけで恐ろしいほどにときめく自分がいて、この人のパフォーマンスを観ると元気もらえるって思ったんですよねぇ…。ブライオニーのお芝居ももちろん素晴らしくて大好きなんですけど、アンサンブルとして色んな役で登場するときのあゆ美さんがあまりにもキラキラしていてつい目を惹かれてしまいました。

特に「地平線を目指して」と「TOKYO ELECTRIC TOWN」のダンスと笑顔が最高でした。たくさんのダンサーさんに紛れても全然違和感なく溶け込んでいて、それでいてくしゃっとした笑顔で一気に惹きつけてくるのがさすがです。何がどう凄いって運動神経悪い私には上手く説明できませんけど、本当にあゆ美さん自身が楽しく歌って踊っていらっしゃるのが伝わってくるくらい幸せオーラが感じられました。それが本当に観ていて気持ち良いし、好きだなって思わされる部分です。

一方でブライオニーのお芝居も以前よりさらに魅力的になっていました。たとえばデイブとの絡みでも「早起きは体にいいのよ、ダーリン♡」って寝起きのデイブといちゃつきながら抱き着いていて凄く甘えた表情をしていたのに、ゆきみさんエイミーに「ごちそうさま~」と声をかけられた瞬間に真顔になっていて、その落差が凄く面白くて客席からも笑いが起こっていました(笑)そういう表情のお芝居も凄く素敵ですし、喜怒哀楽がよりはっきりした印象です。

同時に「Gift」でもベンとエイミーを温かく見守りつつ、デイブと寄り添いながら甘えるようにデイブの肩に頭を乗せていて、そういう女性らしいあゆ美さんブライオニーがとても可愛らしくて思わずじーっと観てしまいました。ブライオニーって原作でも結構強めのかかあ天下な女性っていう印象なので、こんなに優しくてデイブに甘えるように寄り添う姿が逆に新鮮でギャップがあって恋に落ちました、マジで。あゆ美さんブライオニーがとにかく可愛くてたまらなかったです。

そしてラスト、タングと会ったときにお母さんみたいな包容力でタングを迎え入れてくれるのも素敵なんですけど、タングが舞台前方のお花を指差していてそれをあゆ美さんブライオニーが見てうんうんって嬉しそうに反応していたのがめっちゃお母さん!!!って感じでやられました。何なんですかね、この母性というかお母さんっぽい包容力。大人の女性ならではの色気も放っていて、作中において唯一無二といえるくらいの存在感があったと思います。とにかく本当に終始あゆ美さんにやられました。ブライオニーはあゆ美さんにしか演じられないんじゃないかってくらい、あゆ美さんそのものですね。久しぶりに観てその魅力を再認識できて嬉しかったです。

観劇の感想・考察

気になるポイントについて書いていきます。

人間とロボットとアンドロイドの違い

上でもちょこちょこ書いてきましたけど、今回感情を表に出すということが凄く顕著になった気がします。感情って心があるからこそ生まれるものであって、この作品に登場するキャラクターで言えば「人間」にしか備わっていないものです。でも、タングには感情がありました。身近な人間の真似をしているだけなのかもしれないけど、心があるように思えたのはきっとベンだけではないと思います。

それを踏まえた上で、この作品で描かれている人間とロボットとアンドロイドの違いについて改めて考え直してみました。より人間に近いのはロボットよりもアンドロイドです。見た目が人間そっくりですし、動きも滑らかですし、人工知能を搭載しているだけあって学習しながら人間と同じことができます。でも、人間を超えることができない。それが心=感情の有無。ボリンジャーは痛覚を与えてアンドロイドを進化させようとしましたけど、一度暴走してしまうと制御できなくなってしまうのは感情がないからこそだと思います。考えることができないから、人間の言いなりであり続けてしまうし、プログラミングから外れた行動に対して自分で判断ができない。人間に従うことはできても、心を通わせることはできない。これがこの作品で描かれているアンドロイドの特徴の1つです。

一方でタングやカイルは、見た目こそカクカクしていていかにもロボットっぽいですが、なぜか感情がありました。「嬉しい」や「楽しい」や「怒り」や「悲しみ」を覚えるタング。これらの感情がしっかりと表に出ることで、この作品で描かれるロボットの存在が非常に人間に近しいものに思えて、どうしてベンがタングにここまで愛情を注いだのかが凄く納得いきました。ベンがタングと「家族」になりたいと思ったのは、心を通わせ合うことができたからだと思いますし、人間とこうして絆を結べるのはロボットだけだったんですよね。カイルとリジーもそうだと思います。

今回、ベンやエイミー、ベンやボリンジャーといった人間同士の感情のぶつかり合いが凄く顕著になっていて人間くささがとても感じられました。だからこそ、ベンとタングが感情をぶつけ合った瞬間に、人間とロボットの違いってあるのかな…って考えさせられました。作中において、人間と対等でいられるのはロボットだけなんだなって。

ただ、同時にタングがボリンジャーに復讐しようとしたときに感情を無にしたような喋り方をしていたうぶちゃんのお芝居を観て、タングがロボットであることを再認識させられましたし、ボリンジャーに心はないんだなって感じました。だから、結局人間とロボットとアンドロイドって心=感情が無になってしまったらみんな同じなんですよね。心があるから強くなれる。人生を再起動できる。人間とロボットが絆を結ぶことには凄く色んなメッセージが込められていると思います。だからこそ、観ている私たちも感情が揺さぶられて感動するんだろうなぁ…って再認識しました。心って大切にしなきゃいけないですね。人間であり続けるために、自分の心や感情を大切にしていきたいなと思いました。

※特に結論はなかった。

今だからこそ心に響く言葉の数々

久しぶりに観て、今のこのご時世だからこそ響く言葉がたくさんあることに気付かされた観劇となりました。四季は言葉を大切にしている劇団ですし、台詞にしても歌詞にしても本当に美しいなと思わされたことが多々あります。

特にそれを感じたのがベンとカトウが歌う「絆を信じて」。直前でタングが、自分が止まったらベンにチップをあげると言い出し、ベンがカトウにどうしたらいいかと尋ねます。そんなベンにカトウが投げかけるのは「人間だっていつかは止まります。それは明日かもしれない」という言葉。これ、今だからこそ凄く響く言葉だなってまず思いました。

命が有限であることは元から分かっていたし、推しを応援できるのも無限ではないということも理解していました。だから「後悔したくない」という想いで全力で応援しているんですけど、コロナ禍の今は本当にいつ大切なものが奪われてしまうか全然分からなくて、四季ちゃんの経営が苦しいのも知っているから、この状況がずっと続くようなら四季ちゃんはもう何年も持たないだろうなっていう危機感を抱いていました。この先何十年も続くと思っていたものが、もしかしたら近い将来失われてしまうかもしれない。それは明日かもしれない。だから、今できることをやらないといけないんだよなっていうのを、このカトウの言葉を聞いて再認識させられました。

そして「絆を信じて」の歌詞も凄く響いて、特に響いたのが「たとえ小さな存在としても支え合えたら奇跡は起きるさ」という歌詞でした。奇跡ってたくさんの運や必然が重なって生まれるものだとは思うんですけど、それこそファンという1人1人の小さな存在も100人集まれば大きな存在となりますし、支え合うことで四季ちゃんを救えるかもしれないんだよな…って。すべて、今のコロナ禍の四季と自分たちに置き換えて考えてしまったほど、グサグサと心に刺さりました。「どうせ自分がいなくても…」じゃなくて、「1人のファンだけど支えたい」と思うことが奇跡に繋がるかもしれないって思ったら胸が苦しくなって、とても沁みました。

緊急事態宣言中で四季ちゃんだけじゃなく日本全体が苦しいときだからこそ、この作品の言葉ってどれも凄く響くと思います。そういう意味でも、『ロボット・イン・ザ・ガーデン』は今だからこそたくさんの人に観てもらいたい作品です。私もボロ泣きするほど、本当に心に沁みわたりました。物語も温かくて優しいし、言葉も美しいです。きっとコロナ禍でギスギスしている心が凄く温まること間違いないと思います。だから本当に観てほしい。なかなかお出かけするの難しいと思いますけど、マジでこの作品のメッセージは今こそぜひ自分自身に置き換えながら受け取ってほしいなって思いました。

まとめ

ということで無事にロボットカンパニーの再起動を見届けることができて本当に良かったです。やっぱり『ロボット・イン・ザ・ガーデン』という作品は言葉も音楽も物語もすべてが美しいなって思いますし、日本人好みな作品だなぁ…っていうのも感じました。このご時世だからこそ心に響く言葉もたくさんあって、本当に今回の観劇は色んなことを感じたし考えさせられました。緊急事態宣言真っ只中ですけど、今だからこそ観て良かったです。

久しぶりにゆきみさんのお芝居も観ることができて嬉しかったですし、あゆ美さんも素敵だなぁ…って思ったし、ロボットカンパニーの皆さん本当に魅力的な方ばかりで困っちゃいますね。目が足りないです(笑)

そして、自由劇場のロビーにはちゃっかり岡村美南さんの写真も。

あと、『マンマ・ミーア!』京都公演のフライヤーも新しくなっていて、岡村美南さんドナの写真が使われていました。これってもしかして結構前から変わってたのかしら…。

『マンマ・ミーア!』京都公演ももう少しで開幕なので、そっちも無事に開幕できることを祈りたいと思います。本当に今年前半は好きな作品が各地でやっていて忙しくなりそうです…。

ということで、ちょっと最後に話が逸れちゃいましたが、何度も言うように『ロボット・イン・ザ・ガーデン』が無事に再スタートできて良かったです。このご時世でなかなか観劇できない人もいると思いますけど、ぜひ1人でも多くの人に観ていただきたい…。今だからこそ響く言葉がたくさんあると思います。何より、可愛いタングにきっと癒やされること間違いなしです。

今期の『ロボット・イン・ザ・ガーデン』もしっかり応援していきます!次回の観劇予定はまだ未定ですけど、近いうちにまた観に行きたいです。今度こそ、千秋楽まで駆け抜けられますように!

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