2022年5月31日ソワレ 劇団四季『ノートルダムの鐘』@横浜




ノートルダムの鐘
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ゆうき
ゆうき

岡村美南さんエスメが帰ってきたぞ~!

日時:2022年5月31日
場所:KAAT神奈川芸術劇場
座席:S席1階14列14番




はじめに

俺たちの岡村美南さんが帰ってきたぞおおおおお!!!

稽古場にも写っていたので今期出るのか~とビックリしていたのですが、予想以上に早い登場となりました。開幕したばかりなのもあり、人気作品なのもあり、チケット争奪戦が激しい状態。前日予約を試すもなぜか番号を弾かれてやり直しになり、諦めずにもう一度挑戦してなんとか取ることができました。

女神の帰還となれば、行かない選択肢はありません。

3月21日以降まったく観劇しておらず、家に引きこもりっぱなしで弱体化していましたが、重い腰がすんなりと持ち上がるほど今回の即決は軽やかでした。やっぱり贔屓は健康にイイ!

ということで、約2ヶ月ぶりの観劇となります。やってきたぜ俺たちのKAAT!

岡村美南さんエスメはもちろんですが、そもそも鐘自体も相当久しぶりの観劇となるので作品の感想なども含めてしっかりレポしていきます。ぜひ最後までご覧くださいまし!

総評

全体の感想です。

キャスト:★★★★★
座席:★★★★★
全体:★★★★★

2019年9月ぶりなので3年半…?2年半…?の期間を経てのノートルダムはとてもグッと心に響きました。こんなに素敵な作品だったっけと思うほどにグサッと刺さる作品でした。そりゃ作品人気が高いわけだと冷静に思いながら観劇していた自分がいたほどです。

何が凄いって言語化しづらいけど、とにかく歌声に圧倒される。歌声の厚みが凄いですね。重厚感のある歌声とストーリーにエネルギーを根こそぎ持っていかれそうになりましたが、ただただ重いんじゃなくて切なくて儚くて美しい…そんな情緒も感じられる観劇でした。

カジモド役の寺元さんもフロロー役の万寿夫さんもクロパン役のワイスさんも京都公演でたくさん拝見しましたし、懐かしいなぁ…なんて思う一方で、一番のお目当てである岡村美南さんエスメラルダは懐かしさと同時に新鮮さもありました。正直一番変わったのは岡村さんじゃないかしら。

2019年から2022年という時間経過において、岡村さんは『マンマ・ミーア!』でドナを、『ロボット・イン・ザ・ガーデン』でエイミーを演じています。その影響はめちゃくちゃ大きかったんだなと感じられるお芝居でした。同時にこの数年で世はコロナ禍となり、今年に入ってからはロシアとウクライナの戦争もあり、世界情勢が大きく変わったことも今回のお芝居に少なからず影響していると思います。メッセージ性が強いお芝居をするようになりました。とにかく、以前のエスメの雰囲気とは大きく変わった印象です。

でも変わったからといって作品全体の雰囲気まで大きく変わることはなく、エスメの圧倒的存在感と安定感によって作品そのものの魅力は増したんじゃないかしら。物語の中心にいるのはエスメです。エスメをめぐって3人の男性の心が揺れ動いていくので、その中心となるエスメラルダが安定しているとこの作品はマジで安心して観ていられるんだなって実感しました。

そういう意味でも万寿夫さんや岡村さんといった初演メンバーがいる中で神永東吾さんがフィーバス役でデビューしたのは環境としても良かったんじゃないかなと思います。周りがサポートしてくれるし…なんて思いましたけど、サポートの必要もないくらいの完成度でした。フィーバス3年目だよね…?って思うくらいの安定感でビックリです!

正直デビューに立ち会うって嬉しい反面不安も大きいんですが、神永さんに関してはその心配いらなかった…。なのでプリンシパル全員安定していてすっごく良かったです。お芝居に関しても心穏やかに観ることができました。皆さんとにかくお芝居の熱量が凄いの!そりゃ観客たちのボルテージも最高潮になるわと納得しました。

演出面など特に大きな変更はありませんでしたし、これまで観てきた方であればすんなりと観られるはずです。開幕から6年が経った今でもオリジナルキャストの岡村美南さんエスメラルダを観られるなんてむしろ奇跡ですから、「これこそ~き~せ~き~」と歌いたいくらいです。いやマジで帰ってきてくれてありがとう!!!

まあ一つ不満というか寂しいなと感じた点はキスシーンかな…。仕方ない、仕方ないんだけどさ!フィクションの中にまざるリアルな部分なわけよ、キスシーンって(?)。キスは実際にしていて、エスメとフィーバスのキスシーンって結構濃厚だったりもして、でもそれが作品においてより愛しさと切なさ(と心強さと)を引き出してくれていたと思うんです。が!残念ながらコロナ対策でキスシーンはキス「しているように見える構図」に変更となっていました。

個人的にはラポンテでのキスシーンの唇が離れる瞬間がめっちゃ好きだったんですよ。分かる人には伝わると思うんだけど、止まらないキスに耐え切れずエスメがグッと体を引き剥がすんですよね。それと共に唇が口惜しそうに離れるの。あの瞬間がめっちゃ好きだったの(笑)だから残念。コロナはよ終われ。

あとはやはり今のご時世に観るこの作品は印象がまた変わりますね。平和を祈るエスメとフィーバスを観ていると、いつの時代も悪は消えないんだな…って思いました。人はいつになったら賢くなるんだろうなって、なんだか悲しくなっちゃいました。同じことの繰り返し。歴史は繰り返す。まさか戦争が起こっている時代にこの作品を観るなんて…というより、この作品が上演されている今の時代に戦争が起こるなんて思いませんでした。

そういう意味でも、演じる側も観る側もこれまでとは作品の受け取り方が全然違うんだろうなーって思います。エスメラルダがジプシーっていうだけで差別され、しょーもない理由で外道な殺され方をしてしまうっていうのも、今このご時世に観ると「人間変わらないなぁ…」って思うわけです。テレビをつければ遠い地で同じようなことが起こっているんだもの。いやー、余計心がしんどくなりそうな観劇でした。

でもね、そんな苦しい部分だけじゃなくてカジモドの純粋な部分であったりエスメラルダの優しさであったり、人間の素敵な部分もしっかり描かれているんです、この作品は。人間、悪い部分だけじゃないんだよっていうのも感じられたからこそ、人間は平和を求めるんだなって思いました。

どの作品にも共通して言えることですけど、今と数年前とで感じ方や受け取り方が大きく変わるんです。もちろんその日のコンディションによっても変わるだろうし観るポイントや感情移入するキャラクターによっても大きく変わるでしょうけど、世界情勢が作品とリンクする瞬間ほど、一気にリアリティを持って私たちに訴えかけてくることはないです。だから凄くつらかった。でもきっと目を背けてはいけないことだなっていうのも実感しました。

なので、今このときに改めて『ノートルダムの鐘』という作品を上演してくれて嬉しかったです。皆さん待ち望んでいた作品なだけあって平日ソワレとは思えないほどの熱量でカテコも長引きましたけど…。うん、カテコについてのツイートが流れてきたけどまったく同感でした。長けりゃいいってもんじゃないからね。素晴らしい思いを拍手で届けるのは決して間違ってはいないんだけど、四季のカテコについては思うところがたくさんあります。まあこれは長くなるし色々と意見が飛び交いそうなのでこれで終わり!

とにかく熱気の凄い公演だったことは間違いありません。満杯の客席がどっと沸くくらいのボルテージ最高潮の公演でした。今期いつか観に行きたいと思っていましたが、岡村美南さんが早めに来てくれたので私も早めに観に行くことができて良かったです。本当に素敵な作品。2ヶ月ぶりにとても素敵な観劇ができて幸せでした!

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