2022年6月24日マチネ 劇団四季『ノートルダムの鐘』@横浜




ノートルダムの鐘
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ゆうき
ゆうき

岡村美南さんエスメ200回目の出演です!

日時:2022年6月24日マチネ公演
場所:KAAT神奈川芸術劇場
座席:S席1階13列20番




はじめに

先週絶対抜ける!って思ったら今週もいて「いるんかーい!」って叫んじゃいました(笑)でもおかげさまで毎週贔屓のお芝居を観られるという奇跡的な日々が続いているので、この恩恵はしっかりと受けたいと思います。

そして今回の6月24日の公演で、岡村美南さんにとって通算200回目のエスメラルダ出演となりました。数え間違いでなければ…!ですが。振り返ってみれば100回目のときも偶然ながら劇場で見届けていましたし、デビュー初日も観ていました。なんやかんや節目の公演には立ち会っているので、200回目も絶対に観たいなという思いがあったのは事実です。

もう死に物狂いでチケパトしていましたがなかなかチケット確保できず、前日予約に賭けてみたら珍しく取れたので大興奮でした。今回もしっかりと客席から200回目のエスメのお芝居を見届けられて幸せです!

では早速レポ始めていきますので、ぜひご覧くださいまし!

総評

全体の感想です。

キャスト:★★★★★
座席:★★★★★
全体:★★★★★

アンサンブルさんが新たにデビューし、また先週とはガラッと雰囲気が変わった公演でした。新しい人が入ると新鮮だけど今までのテンポとかトーンとが全然違う?!って脳がバグを起こすので、慣れるまでに時間かかりますね。でも初々しさはなく、まとまりがあったし、何より凄く熱いお芝居に胸を打たれ、涙が止まりませんでした。

というか今回はね、岡村さんの情緒がヤバかったわ…。それを目の当たりにして私の涙腺も決壊した感じです。時々あるんですよね、岡村さんの情緒が大崩壊するとき。役が本気で憑依する瞬間があるんです。今回がまさにその公演だったな。ただ泣いてるとかそういうレベルじゃないのよ。感情の入れ方がヤバくなるの、この人。

終演後、久々に放心状態でした。なんかもう、凄いものを観たとかそういうレベルのものじゃなくて、言葉で言い表せない感情でいっぱいなの。何もTwitterで呟けないまま、最寄り駅まで帰ってきてしまったくらいでした。200回目にしてこんな凄いエスメのお芝居をしてくるとは…って感じだったな。いやもう、無理…。言葉で伝えるの無理です。

自分のツイートを遡っていたら、ちょうど100回目の出演時にも岡村さんはいつにないくらいボロ泣きだったみたいです。なんだろうね、節目の公演での役の憑依っぷりエグいね。本当にね、すっごく良い公演を観ました。200回目をお祝いするつもりでチケット取ったけど、それ以上に凄いものを観て帰ってきました。だから今回の公演、観に行けてマジで良かったです。

でね、今回はエスメラルダという人物について改めて色んなことを考えさせられました。そのことについてもちょっと書いていきます。

どんなに面倒を持ち込んでも決してエスメを見放さなかったクロパン、エスメのためにすべてを捨てて愛を捧げたフィーバス、そして不器用ながらもエスメを守ろうとしてくれたカジモド。ジプシーという身分によって彼女の人生は険しかったかもしれないけど、この数週間たしかにエスメは彼らに愛されてたんだよな…と思いました。仲間として、女として、人として。愛されてたのよ、本当に。

でもたった1人、愛し方を間違えた男に愛されてしまったがゆえに命も未来も奪われたんだな…って考えたら、なんかもうはらわたが煮えくり返るかのような怒りが込み上げて、たまらなかったです。今回の岡村さんエスメは、凄く「生死」に関する感情が濃かったんです。だから、バスティーユ以降のお芝居は本当に情緒がヤバすぎて、観ながら胸がきゅううう…ってなりました。生きたかったんだな…っていうのが伝わってきたし、死ぬことが怖いくせに同時に生きることも諦めてた。その相反する感情がごちゃごちゃになったお芝居、本当に訳わからないくらい凄かったのよ。ちょっと今ですらボーッとしてしまうくらい、岡村さんエスメの情緒が凄すぎました。

そしてそんな岡村さんエスメをこれでもかと追い詰める村さんフロローのエグさ…。彼の心が蝕まれていく様子は何度観てもゾッとするし、怖かったです。村さんフロロー、死んだエスメのことをまるで穢らわしいものを見るかのようにあしらうんですよね。エスメの亡骸の上でスカーフを放す瞬間、汚いものに触れたようにサッと手を引っ込めるの。いつもそれを観るたびにウッッ…ってなるの。殺したのはお前やぞ???言っとくけどついさっきまでお前が「私のものになれ」みたいなこと言って迫ってた女やぞ????と、凄く腹が立つわけですよ。今回は岡村さんエスメの生死のお芝居があまりにも凄すぎたために、ここの村さんフロローのお芝居にもより怒りが込み上げて、私の情緒はさらに崩壊しました。

この物語のように何か一つでも歯車が狂えばすべてが狂うけど、逆に俳優さんたちのお芝居の歯車が嚙み合ったときの完成度は本当に圧巻。寺元さんカジモドのお芝居も良すぎて、今回のバスティーユ以降のシーンはそれぞれのキャラクターの感情が激しくぶつかり合って、本当に本当に激アツだったんです。もう語彙力なくなっちゃって「凄かった」しか言えないわね!ダメだわ!

今回は前予で取れた中段センターで、距離もあったのでオペラグラスを使いながら観劇していましたが、使ったおかげで表情の細かい部分も観れたし、何より物語を俯瞰的に観ることもできて良かったです。Somedayの岡村さんエスメの表情は、ちゃんと涙のあとも含めてしっかり全部観れて本当に良かった。そして俯瞰的とは言いつつも、キャラクターに感情移入するカタチで観れたのが良かったかな。

エスメに感情移入したのはもちろんなんだけど、カジモドもフロローもフィーバスもクロパンも、エスメに出会うことで人生変わっちゃうじゃないですか。特にクロパンは「面倒なことになる!」って何度も忠告したにも関わらず、その忠告を聞かないエスメによって何度も面倒なことに巻き込まれています。結果的に他の仲間も危険に晒すことになるし、突き放してもいいレベルの元凶的な存在ですが、それでもエスメを見捨てないのが凄く頼もしくて、愛しさを感じました。「もう本当に私の贔屓エスメがごめんなさいね」っていう罪悪感をクロパンに抱いてしまったんだけど(笑)彼はそんなエスメを奇跡御殿のシーンで「仲間」って言ってくれるんですよね。

髙橋さんクロパンの仲間に対する熱い思いはお芝居から伝わってくるし、このシーンのセリフ一つ一つの説得力を凄く感じました。同時に、エスメからしたら「仲間」と誰かに言ってもらえたことって人生で初めてなんだろうな…と。今まで好きなように生きてきた彼女なので、他のジプシーたちからも迷惑がられていた部分はあったと思います。群れにも馴染めず、友達どころか仲間すらもすぐ失っちゃうタイプだったでしょう。

でもこのときようやくクロパンのことは信じていいと思えて、直後にはフィーバスのことも心から信じて委ねていいんだと思えて、奇跡御殿での彼らとのやりとりは、エスメの中で何かが大きく変わった瞬間なんだなというのを改めて感じました。今まで生きるのに必死で未来のことなんて考える余裕もきっとなかったであろう彼女が、初めて「希望」を抱いた瞬間。まさに彼女にとっての「奇跡」。岡村さんエスメの表情からはそのことがしっかりと感じられました。

だからこそ、フロローが襲撃してきたことによってその希望が一瞬にして打ち砕かれてしまうことの絶望は想像を絶するだろうし、バスティーユではフロローに無茶苦茶なことを言われて、しまいには「愛してくれー!」って迫られるわけでしょ…。いやだねぇぇ…絶望するよね…。だって夜明けには処刑されるんですよ。さっきまでの希望を返してよって思いますよね。「なんで私なの?分からない…なんでよりによって私なんか…!」って言いたくなるよね。分かる、分かるよ…。でもそれはあなたが魅力的だからだよ、むしろなんで分からないの???とも思ってしまいましたわ。あぁ、もう本当に今回の岡村さんエスメはヤバかった…。

そんな絶望に絶望を重ねた状況で希望の歌なんか歌えるわけないでしょ!って思うんだけど、今回の岡村さんエスメは生きることを諦めたからこそSomedayを歌えたような印象すら受けました。自分はいないであろう未来に対する希望の歌を歌うことの絶望感って、こんなにも残酷で儚くて苦しいんだな…と。この奇跡御殿からの怒涛の展開は、今一度エスメに感情移入しながら観るとなかなか堪えるものがありましたよね。希望と絶望を同時に味わうのってこんな感じなんだろうなって。

でさ、ちょうどこの前TwitterでSomedayの歌詞に対するエスメとフィーバスの解釈の違いに関するツイートを拝見して「なるほどなぁ」と思ったことがあったんです。原曲ではエスメが「one day」と歌い、フィーバスは「someday」と歌うから、2人は実は同じ方向を見ていないという旨の解釈でした。今回の岡村さんエスメはまさにそれ。

岡村さんエスメ、泣き崩れたときに後ろから優しく抱き締めてくれた神永さんフィーバスの腕に触れるときに嬉しそうに微笑んだんですよ。いつも以上に穏やかに微笑みました。それを観た瞬間、「あ、彼女は彼に想いを託したんだな」と思いました。「共に生きようとする」のではなく、もう自分の死を受け入れて、彼に自分の分まで生きてほしい…と。でもフィーバスにはそんなエスメの表情は見えていません。彼はエスメと共に明るい未来を築こうと強く誓って前を見据えていますが、今回の岡村さんエスメは「彼がいればきっと大丈夫」と、自分のいない未来にではなく彼に託した未来に対して前を向いたように思えました。あぁ…2人の「いつか」はすれ違っているって思いました。

そんなことを思いながら観る終盤のフィーバスの民衆に呼びかけるアレ、泣きますわね…。神永さんフィーバスの全身全霊っぷりに涙ブワッて溢れちゃいました。神永さんフィーバスはエスメと共に未来を変えるつもりで張り叫ぶようにして彼らに呼び掛けるんですよね。どこまでもエスメラルダを骨の髄から愛している男なんですよ、神永さんフィーバス。本当に好き…。

でも、彼の想いも虚しく、エスメラルダは直後に息を引き取ります。エスメを守るどころか、エスメの亡骸を抱き上げることすらできなかった。無念としか言いようがない佇まい。彼女がいなければ自分が生きている意味などないとすら思っていそうだな…っていうくらい、悲痛な姿が観ていて苦しいです。そんな彼が去ったあと、朝日が昇り、これまでとは違った日常がやってくる…。フィーバスはちゃんと見届けることができたのかな、民衆たちが変わっていく様子を、未来がすぐこそで変わり始めている様子を。そんなことも考えたら、余計に涙が溢れました。フィーバスに感情移入しても涙が止まらなくて、今回は本当に情緒がダメでした。

エスメが旅立つときにみんなが歌うのはSomedayのメロディーなわけですけど、旅立ったエスメが振り返って微笑む相手はフィーバスではなくカジモドなんだよな…っていうのもまた切ないなって思いました。彼女と共に未来を願ったフィーバスは、果たしてどうなったんだろうな…って考えたら、胸が苦しくなりますね。同時に、あそこでなぜカジモドに微笑むのかなっていうのも色々と考える余地がありますよね。

フロローを殺すという罪を犯したカジモドへの「許し」なのか、彼に自分の想いを託した「希望」なのか、彼が自分を救ってくれたことへの「感謝」なのか…。きっとどれも正解だろうし、もしかしたらどれも違うのかもしれません。エスメラルダは、どんな想いで天国へと旅立ったのか。それはまた観たときにしっかりと考えてみたいなぁ…と思います。

ひとまず、今回は岡村さんのお芝居にやられた観劇でした。本当にさ、数年に1回とかそういうレベルでとてつもない情緒のお芝居をするときがあるんだけど、まさに今回がそれでした。あ、もちろん毎回素晴らしいんだけどね。泣くのが凄いとかそういうことじゃないのよ。憑依するの。いつもと全然違う感情の出し方で、ガラッとお芝居が変わるの。本当にただただ凄かったです。こんなにも放心状態で何もできなかったのは初めての経験でした。いやぁ…観に行けて良かった。多分、今後一生忘れられない公演になると思います。本当に素晴らしかったです。

全体を通して今回の公演も熱量が凄くて素晴らしかったので、カンパニーの士気の高さを感じました。どんどん新しい人がデビューしていきますけど、デビューしていった人たちの進化も凄い。本当に今期ノートルダムはヤバいです。こんなにも素晴らしい公演を観られて感無量でした!

NEXT>>キャストの感想です!

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