2019年9月29日マチネ 劇団四季『ノートルダムの鐘』@京都




ノートルダムの鐘
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ゆうき
ゆうき

京都リターン公演見納め!

日時:2019年9月29日マチネ公演
場所:京都劇場
座席:1階S席D列7番




はじめに

気付いたら何だかんだでほぼ毎週のように通ってしまっていた京都公演。
岡村美南さんがいらっしゃるということで、行くしか道はありませんでした。

しかし、当然ながら通帳がいよいよ底をつき始めたので今回が本当に最後。
2ヶ月で7回遠征して16回観劇しました。
正直多すぎますね、京都民でもないのにさ。

でも一切後悔はしてません。
こうやって楽しむことができて幸せな2ヶ月を過ごすことができました!

そして土曜初めましてだった川口竜也さんフロロー。
土曜の余韻が冷めやらず、レポを書きながら思い出して涙が溢れました。
こんなに素晴らしい俳優さんに出会えたこともあって、めちゃくちゃ今回の観劇も楽しみでした。

ということで、見納めとなるであろうノートルダムの鐘観劇、ぜひ最後までレポ読んでくださいー!

総評

全体の感想です。

キャスト:★★★★★
座席:★★★★★
全体:★★★★★

大好きな岡村美南さんがいて、そして先日感銘を受けた川口竜也さんがいて。
寺元さんや佐久間さん、よしつぐさん、そしてアンサンブルさんにクワイヤさん…。
すべてが熱すぎるキャストで今回も非常に熱量の高いお芝居が観れました。
やっぱり川口竜也さんが凄すぎるのもあって、周りもそれに感化されてより一層高い熱量でお芝居してくれるのがヤバいです。
本当に素敵なキャストで観ることができて、とても幸せでした!

そして今回は下手側のサイド通路から2席目ということで、いつもとは違った角度からの観劇。
8月初旬に最前サイドで座ったことはあって、「もうサイドは座らん!」って思ったのですが…。
川口さんフロローがどうしても観たいがために取った席、意外と楽しめました。
やっぱり見切れなどは発生しますけど、正直最前サイドよりは遥かに観やすかったです。
センターではなかなか見られない役者さんの表情も観ることができましたし、凄く新鮮でした。
下手なのでエスメも堪能しやすかったですし、座ってみて良かったです。

でも今回ステージが熱い分、客席の咳が凄すぎてそれが悲しかったかなぁ…。
至るところからめちゃくちゃ咳込む声が聞こえてきて、んーってなってしまったのは否めなかったです。
でもそれでも全体的に大満足で、来て良かったと思わせてくれるくらい素敵な公演でした。
やっぱりキャストが熱ければそれだけで嬉しいし楽しいですね…。
めっちゃくちゃ楽しい2時間半を過ごすことができて幸せです!

キャストの感想

気になったキャストの感想を書いていきます。

カジモド:寺元健一郎

寺元さん相変わらず安定して綺麗な歌声を披露していて、とても良かったです。
そして今回、川口さんフロローということで寺元さんカジモドの印象もかなり変わったように感じました。
川口さんフロローの洗脳が凄いのもあって、寺元さんカジモドの抑圧のされ方だったり怯え方がいつになく異常だったんですよね。
川口さんフロローがカジモドを洗脳するときって、カジモドの首を掴むんですよ。
だから顔を背けることなんてできないし、怖すぎて声も出なくて…。
そういう弱々しい一面を見せる寺元さんカジモドが凄く痛々しくて観ていて可哀想でした。
だからこそ、外の世界に憧れて何物にも縛られずに希望を抱く姿がより一層キラキラしたものに見えました。
本当に純粋で子供みたいな一面があるから、フロローがより怖さ溢れる川口さんになったことも相まって、凄く観ていて切なさが増すカジモドになっていましたね…。
ここ最近達郎さんや泰潤さんといった芸の細かいカジモドを観ていたこともあって、至ってシンプルな寺元さんカジモドはやや物足りなさもあるのですが…。
でもその分純粋で真っ白な心を持ったカジモドなので、凄く愛しさが募りました。
あとはやっぱり2幕後半からの一気に強さを見せるギャップがたまらないです。
これまであんなに弱々しくて純粋そうな一面を見せていたからこそ、力強い歌声や叫びは凄く魂を揺さぶられました。
Made of Stoneも安定でしたし、観ていて安心感を覚えさせてくれるカジモドで良かったです。

フロロー:川口竜也

土曜に引き続き、今回もめちゃくちゃ熱い川口竜也さんのフロローでした。
初っ端から川口さんフロローのお芝居に泣かされましたし、魅せられました。
ジェアンのことを本当に愛していたんだなっていうのがひたすら伝わってくるんですよ、もう。
なんか今まで芝さんや万寿夫さんのフロローを観ていて、ジェアンのこと本当に愛していたのかな…って思う部分もありました。
でも、川口さんフロローは本当にジェアンのことを愛していて、救えなかったことが本当に悔しくて仕方なかったんだなって思いました。
カジモドを捨てようとしたのに捨てられず、上に振り上げた腕を下ろすときに涙を流しながら何度も「ジェアン…ジェアン…」って名前を呼んでいて。
ジェアンを愛していて、ジェアンの残した子供を今度は本気で救わなければ…って思うようになる。
その動機付けるまでの一連の流れが本当に丁寧に表現されていて、正直泣きました。
だからカジモドが大きく成長して出てきたときに、彼はどんな思いでカジモドのことを育てて守ってきたんだろうって、描かれていない部分を想像するようにもなりましたね。
そして、カジモドにもしっかり彼なりに愛を注いでいるのも伝わってきてかなり切なくなりました。
「今朝はご馳走を持ってきた。イチゴだ」ってカジモドに言うところ、優しい笑顔なんですよ。
あー、そっかぁ…しっかり躾(しつけ)はしつつも、ちゃんと彼なりにカジモドのこと可愛がっているんだなって。
そりゃカジモドもフロローに忠誠心を誓うし、愛してしまっても仕方ないなって思いました。
でも、カジモドが忠告を破って外に出てしまい、エスメとも出会ってしまってからはその優しさがどんどん崩れていって…怖かったです、正直。
人って変わることを恐れる生き物でもありますけど、フロローも自分が変わってしまうことを恐れていて。
それでも抗うことのできない何かに苛まれて、心を蝕まれていってしまう…その過程が本当に丁寧に演じられていました。
TOTW終わりに川口さんフロローがやってきて、エスメの存在に気付いてからのお芝居もまた細かくて面白かったんですよね。
「ダメじゃないか!」「息子よ、お前にはやるべきことがあるんじゃないか」って叱るのはエスメの前だから、建前みたいなもんで。
そのあとに「勝手な真似をするな」っていう台詞をエスメに聞こえないように小声で言っていたのがまた細かいなあって思いました。
そしてエスメと二人で話すところでは、最初は戸惑いがありつつもだんだん何かに憑りつかれたかのように自我を失っていくのが凄く伝わってくるんですよね。
「だがっ…お前は子供だっ…」って好きな女性相手に童貞丸出しなんですけど、それがだんだん落ち着きを払って「私と一緒に…」って目が据わって恐怖感が溢れるんです。
それからエスメに拒絶されて、感情が高ぶったままカジモドにも迫ってしまって…。
カジモドの首を掴んで圧と迫力で抑え込むように怒鳴り散らしていて、寺元さんカジモドも声が出せないくらい怯えていて。
「約束…します!」っていうカジモドの返事を聞いて、ようやく我に返った川口さんフロローは茫然としたように「そっか…」って言っていて、もうこの一つ一つのお芝居の細かさにかなり衝撃を受けました。
それから周りの「エスメラルダ…」という幻聴に耳を塞ぎこむようにして悩まされていて。
この苦悩している感じとかの表現が本当に上手で凄かったです…。
からのHellfireがもう圧巻すぎて、ここでも歌いながら右耳を塞ぐようにしていて悩まされていて。
川口さんフロローのHellfireはマジで熱すぎるし、最初は自分に言い聞かせるように「徳の高い男」って歌っていてそれがだんだん地獄の炎に焼かれていって苦しんでいって、最後には焼き尽くされて悪魔に憑りつかれてしまう…その流れが本当に凄すぎました。
「こーろーすー!」の叫ぶような歌い方がもう熱すぎて、涙が出そうでしたし全身鳥肌でした。
本当にこの人は凄い…そう思わされる瞬間でした。
そのあとのEsmeraldaで松明をフィーバスに渡すところ、マジでフィーバスに対しての嫌悪感丸出しで押し付けるように松明を渡していたのが印象的でした。
2幕でもたびたび印象的なシーンが多かったのですが、まずは2幕最初の登場シーン。
カジモドにエスメの居場所を聞くとき、」「彼女と話しているとき、何か言っていなかったか?」と最初は凄く尋ね方が優しいんですよ。
あ、以前のフロローに戻ったみたい…って思ったのに次の瞬間「どこに住んでいるか!」って圧をかけた言い方になっていて、ひえええってなりました。
それで嘘をついたカジモドが逃げるように下手寄りの手すりに行くと、それを追いかけるようにしてカジモドの腕を掴むんです。
その腕の掴み方が尋常じゃないくらい力が入っていたらしく、寺元さんカジモドが痛そうにそこを見つめていて。
それから「お前はいい子なんだ」って歌詞で力んでいた手を緩めて、掴んでいたカジモドの腕をさすっていました。
このアメとムチの使い分けも怖いし、典型的なDV男の例なんですよね。
寺元さんカジモドも純粋だから完全に洗脳されるやつだし、怯えてしまうのも仕方ないなって思うくらい、本当に怖かったです。
そしてバスティーユのシーンも本当に圧巻。
一言目の「どうだね。居心地が悪そうだな」が優しさを見せていて、その感情の抑えた感じが逆に怖かったんですよね…。
エスメラルダと会話をしながらだんだん本性を表していく感じとか、この情緒不安定な感じがもう救いようなさすぎてつらくなるくらいでした。
それからエスメラルダに迫るところ、「愛してくれ…愛してくれ」って呪文のように唱えながら押し倒すのも怖すぎて。
人の愛し方を知らずに育ってきたような、この何かに突き動かされるように迫る感じの表現が凄く上手だなって思いました。
そしてラストのカジモドに突き落とされる前のお芝居も細かくて衝撃的でした。
下手にジェアンとフロリカが出てきて「悪人は罰を受ける~」って歌っているのを川口さんフロローは発見して、「ジェアン…ジェアン…」って名前を呼んでいて。
ここでもジェアンの幻覚が見えて、苛まれて驚いて、っていうのが細かいなぁ…って思いました。
確かに彼はジェアンを愛していたはずなのに、それがいつの間にかねじ曲がってしまっていて。
ここで一気に人間の弱さや死ぬことへの恐怖が溢れてきて、人間味を増すのも凄くハッとさせられました。
最愛の弟・ジェアンが授けたたった一人の息子に殺される気持ちってどんななんだろう…って思わざるにはいられなかったです。
なんか、マジで川口さんフロローには考えさせられることや気付かされることがたくさんあって、観ていて凄く惹き込まれてしまうんですよね。
役を生きるってことを体現しているし、凄く魅力的な俳優さんだなって今回も思わされました。
物凄く熱くて芸の細かいこんな素敵なフロローに出会ってしまったら、もう元には戻れないかもしれません…。

エスメラルダ:岡村美南

今回も岡村美南さんはとても素敵なお芝居をされていたし、川口さんに感化されてより熱量の高いお芝居をされていたなぁ…って感じました。
歌に関しては全体的に土曜日のほうが安定はしていたけど、今回は2幕に入ってからがだいぶ熱かったなぁ…って感じです。
God Help終わりにフィーバスとやりとりをするシーンで、フィーバスに捕まったときの仕草が以前から気になってはいたのですが…。
「私も同じこと言おうとしてた」っていう台詞で、胸元にやられたフィーバスの手をなぞるように自分の手を重ねてなぞる岡村さんエスメ。
ここ、それをやりながら下を見て短剣がどこに落ちたか確認してるんですね(今更)
岡村さんって器用なようで不器用なので、そういう工夫の仕方が彼女らしくてとても可愛かったです。
ちなみに今回の席、Top of the Worldのところではちょうど手すりがない角度から岡村さんを観れたので逆に最前センターよりも観やすいということを知りました。
ただ、カジモドが「そんなのバカみたいだ!」って上手に行っちゃうと、エスメもそっちに行ってしまうので下手サイドからは死角になって見えなかったのですが…。
でもその分、手すりに乗ってからの岡村さんの表情はバッチリ見えて堪能しやすかったです。
1幕に関してはいつも通りだなぁ…っていう印象でしたけど、岡村さんが化けたのは2幕。
やっぱりバスティーユに連れてこられてからの、川口さんフロローとの掛け合いの中で大きくお芝居に熱がこもったなと感じました。
「お前を解放したいのだ」ってフロローに言われたさんエスメは、「なぜそうしないの?」って言うのですが。
京都に来てからここの言い方は割と毅然としていて、感情的にならないのが岡村さんエスメの特徴でした。
でも今回は「なぜそうしないの!?」って感情的になっていて、この言い方って東京公演のときのものなので懐かしさを感じましたね。
それと同時に、川口さんフロローと対峙しているときの岡村さんエスメの感情の抑え方とか滲み出てしまう嫌悪感とかがやっぱり他のフロローとは違っていて面白いなって思いました。
心からの「なんで私なの…分からない…なんでよりによって私なんか」っていう台詞も聴けた気がします。
上手くは言えないけど、本当にリアリティが溢れていて、それってフロローに対する嫌悪感がより増したからこそ生まれるお芝居なんだろうなって思いました。
散々苦しんだからこそ、そのあとのフィーバスとのお芝居もより脆さが全面に出ていて。
相手の俳優さんが変わるだけでこんなにも違うもんなんだなぁ…って、今更ながら凄く感動してしまいました。
ちなみに終盤で鉛の幕が下りてくるところ、今回も幕の下の隙間から岡村さんの足が見えてしまって(笑)
歩きながら椅子のところに向かっていく様子がちらっと見えてしまったので、幕が落ちてすやぁ…ってしている岡村さん観たら変な笑いが込み上げてしまいました(笑)
あそこ本当にもう少し幕の隙間どうにかならないかな…。
でもその分、一瞬にして役に成りきる岡村さんを観れましたし改めて彼女の凄さを感じましたね。
んー、今回はこんな感じかな。
やっぱりどうしても川口さんのフロローに目が行ってしまう観劇となって、いつもみたいに岡村さんばかり…っていうわけでもなかったので。
でも安定したお芝居でそこにいてくれる、それだけで安心感を覚えますし、それでも存在感があるしで改めて素敵な女優さんだなって思いました。
長期の連投でそろそろお疲れだろうに、そんなことを微塵も感じさせないパワフルなお芝居が本当に素敵でした。
こうしてまた会えることができて、嬉しかったです。

フィーバス:佐久間仁

川口竜也さんフロローが凄く厳格な聖職者だからこそ、へらへらした佐久間さんフィーバスが凄く対の関係性に感じられて面白かったです。
まあフロローからしてみたら、兵隊のくせに女をたぶらかしてへらへらしていて挙句の果てには自分の好きな女にも手を出す最低男にしか見えないでしょうね。
でも本当に佐久間さんフィーバスは感情が表に出やすいので、少なくとも真面目な清水さんフィーバスよりはへらへらしたようにも見えます(笑)
そのくせ過去に大きなトラウマを抱えていて、それを忘れるためにあえて明るく振る舞って生きているようにも感じて、そのアンバランスなギャップがたまりませんでした。
土曜のレポにも書いたように、Rhythm of Tambourineでエスメからタンバリンを受け取った佐久間さんフィーバス。
それを川口さんフロローに「返してこい」って言われて不服そうにしつつ返そうとして、受け取ってもらえなくて「ほら」みたいな顔してるの本当に草。
川口さんフロローとの関係性が凄く面白くて、ずっと観ていたいなって思いました。
そしてバスティーユに連れてこられてからの佐久間さんフィーバスが個人的に大好きです。
Somedayで死を悟っている岡村さんエスメよりも佐久間さんフィーバスのほうがつらそうで悔しそうで泣きそうになっていて。
エスメを後ろから抱き締めながら、ギュッと目を閉じていて。
愛しそうに強くエスメを抱き締めていて、その姿に泣きそうになるんですよね。
自分のことよりもエスメを。
「誰かが心配してあげなきゃ」を体現するその愛しさと切なさと(心強さと)(違う)。
だから弱さを感じる一面もたくさんあるんだけど、それよりやっぱりかっこいい姿が様になって素敵でした。
エスメ救出のときの「パリの人々よこんなことを許すのか~」って歌うところも魂がこもっていて、凄く心を掴まれるくらい涙を誘われました。
本当に佐久間さんフィーバス、色んな魅力があってかなり大好きです。
なんだか12月に『思い出を売る男』に出演予定らしいので、もしかすると近々抜けてしまうかもしれないですからね~。
たっぷり佐久間さんのフィーバスを観ることができて嬉しかったです。

まとめ

あっという間の2日間でした。
川口竜也さん観たさに遠征を決めましたけど、本当に2日間とも熱かったです。

まさかフロローに泣かされる日が来るとは思いもしませんでした。
演じる人によってキャラクターの魅力って全然異なりますけど、本当にフロローというキャラクターが魅力的に感じる俳優さんでした。
こんなにフロローのことを考えたのは初めてでしたし、もっとフロローについて知りたいと思ったのも初めてでした。

こうして岡村美南さんがいらっしゃるときにフロローとして降臨してくださって、マジで感謝しかありません。
川口竜也さんのフロローに出会えたことは、本当に私にとって大きな財産となりました。

そして私のご贔屓さまである岡村美南さん。
ずっと元気に舞台に出続けてくださって、こちらも感謝しかありません。
まあ、正直痩せすぎてヤバいのでそろそろ抜けてゆっくり休んで美味しいものを食べてほしいんですけどね。
結局今週も続投だったので、ちょっと…心配です。

でもこうして今回も岡村美南さんの元気な姿を観ることができて幸せでした。
今年35回目となった岡村美南さん観劇。
今回も本当に素敵な思い出をありがとうございました!

またいつか行きたいな!

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