2021年9月12日マチネ 劇団四季『オペラ座の怪人』




オペラ座の怪人
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キャストの感想

キャストの感想です!

オペラ座の怪人:飯田洋輔

約1ヶ月ぶりの洋輔さんファントム!相変わらず最高だったし、何が良いって声が良い…。歌が上手すぎるしお芝居も上手すぎる…。こんなにも歌声に感情を乗せるのが上手くて、こんなにもファントムを切なく演じられるって凄いなと再認識しました。

しかも前回観たときよりさらに切なさが増して、演じるたびにどんどん弱々しくなっていくので胸が苦しくなってしまいます。1幕ラストの天使像の上で歌うAIAOY(リプライズ)はまさに置いて行かれた子供のような声で歌っていて、失恋したということ以外にまた独りぼっちになってしまったことの寂しさや、絶対的な存在に縋りたい子供心のようなものまで感じられました。成人した男性のはずなのに、どうしてこんなにも子供みたいなんだろう…と思ってしまうほど母性を掻き立てられました。

全体を通しても洋輔さんファントムは本当に常に寂しさを纏っていて、誰からも愛されずに育ってきたことやずっと独りぼっちだったことがうかがえます。クリスティーヌに対して強引になってしまうのも寂しさゆえだろうし、せっかく手に入れた”自分を信頼してくれる”存在を何が何でも失いたくないという愛情以外の感情が根底にあったんだろうなと思いました。だから歪んでしまうのも仕方がなく、同時に観ていると手を差し伸べたくなってしまう母性のようなものが生まれるのでしょう。

そして紗衣さんクリスとの関係性としては、ずぶずぶに共依存しているというよりも芸術面での絶対的な繋がりがあるファンクリなので、洋輔さんファントムの愛の重さが目立ってしまうのがとても切なかったです。海沼さんクリスとだと共依存の関係性なのでクリスティーヌからの愛情も強く感じられる分、彼女を失ったときの喪失感がとても大きいんです。一方で紗衣さんクリスの場合は、あくまで繋がっているのは芸術面においてだから、彼女に対して音楽以外で何かを求めようとしたときに洋輔さんファントムの一方的な愛情が目立ってしまって胸をキュッと掴まれるような感覚になります。

だけど、先述したように洋輔さんファントムと紗衣さんクリスがそれぞれ違う場面ですけど大切な人の温もりが残ったものを頬に当てて想いを吐露する…という同じ仕草をしたということが2人の芸術面以外での繋がりを感じて、なんかふと救われた気になりました。

ファントムは別にあのとき墓場でクリスティーヌのその様子を見ていたから同じように真似したというわけではないでしょうし、ラストのAIAOYの「2人はともに」でクリスティーヌがファントムを見つめるという演出もついていることも相まって、2人は心の奥底でちゃんと繋がっているんだよということを暗喩しているみたいでとても尊かったです。なんかこういうさりげなさってドキッとするし美しいですよね。

相変わらずラストでは涙を流しながら歌っていて、そんなところも子供っぽくて愛しさでいっぱいになりました。久々に観てみたらさらに好き度が加速したし、どんどん魅力的なファントムになっていくので凄すぎます。せっかく戻ってきてくれた分、たっぷりとお兄ちゃんファントムを観に行きたいなと思いました。久々に素敵なファントムを観られて嬉しかったです!

クリスティーヌ・ダーエ:山本紗衣

同じく1ヶ月ぶりくらいの紗衣さんクリスですが、相変わらず可愛くて好きでした。ただ可愛いとかじゃなくて、贔屓と共演していた頃の『ウェストサイド物語』のマリアみたいにウブでちんちくりんなイメージが勝手に染みついちゃっているので、それもあって人としての可愛さみたいなものを常に感じながら紗衣さんを観ています(笑)

もちろんあの頃から紗衣さんも大人になって、クリスティーヌという役柄的にも美しさと落ち着きを纏っている印象はあるんだけど、ふとしたときに垣間見える紗衣さん本人の可愛さが半端なくて、ついついにっこりしてしまいました。特にファントムの仮面を取っちゃおうとするときのいたずらっ子な紗衣さんクリスの表情は至高です。あとは気絶して倒れてしまうときの紗衣さんを観ていると、オフステでのマチソワ間は必ず寝るという紗衣さんのエピソードを思い出してついにっこりしてしまいます(笑)

勝手に紗衣さんに対して子供みたいな可愛さや純白さみたいなものを感じてしまっているから、今回もPONRは色気を放ちながらドン・ファンを誘惑する紗衣さんクリスに対して謎の罪悪感を抱いていました。スカート捌きも大胆で、表情でも大胆に誘っていて、歌声も艶めかしさを出して…とこれまでに観たことのないような紗衣さんを観られるし、そりゃ洋輔さんファントムもうおおおおおってなるの分かりますわ…。

でも頬を寄せた瞬間にドン・ファンの中にいるのはファントムだと気付いて、そこから恐怖心と怒りとが込み上げたような目つきに変わったのはさすがでした。紗衣さんクリスはめちゃ怒りの感情をファントムにぶつけるのが特徴的で、指輪を指にはめられているときも顔が強張っていて、単なる恐怖心だけじゃなくて沸々と怒りが込み上げているのが伝わってきました。

その怒りゆえに乱暴にファントムの仮面もヅラも剥ぎ取っちゃってキッと睨んでいて、本当に紗衣さんクリスは強いです。誰かに守ってもらわないといけないような弱いクリスティーヌなんかじゃなくて、精神的な逞しさは誰にも負けない男気のあるクリスティーヌです。それがまたかっこよくて、ラストのファントムとの掛け合いが非常に激アツになるんだろうなーって感じました。ラストで洋輔さんファントムとの精神的な立場が逆転していって、どんどんファントムを追い詰めていく感じとかも凄くかっこよかったです。

紗衣さんはウブな女性から一気に精神的に逞しい女性へと変化を遂げるお芝居が本当に上手なので、クリスティーヌの1幕から2幕への変化は観ていてさすがだなぁ…と感じました。お芝居の説得力が凄いです。ただのダンサーからプリマドンナ?へと抜擢されるほどの実力と存在感をしっかりと見せられるし、紗衣さんクリスが歌い出しただけでその場の雰囲気がガラッと変わってしまうので、本当に凄い人だなと思いました。特に今回も墓場は圧巻でした。

あとはとにかく洋輔さんファントムとの関係性が見応え抜群。紗衣さんクリスは誰にも心を許さないというか独自の世界観を持ちすぎて誰もその領域に踏み込めない感じがありますが、どうしてもファントムの歌声を聴いた瞬間だけは浮遊感に包まれ思わず心を開いてしまう…そんな変化を感じさせました。芸術に対する愛情の深さ、尊敬の心などがうかがえる瞬間で、紗衣さんクリスがいかに芸術を愛していて歌うことが大好きなのかが伝わってきて、よりクリスティーヌというキャラクターへの説得良が増して良かったです。

今回は俯瞰で観ていたので紗衣さんクリスの動線であったり表情の動きであったりを中心に観ていましたが、相変わらず可愛らしいし迫力も凄いしでどの席から観ても紗衣さんクリスの魅力は十分に伝わりました。久々に紗衣さんクリスを堪能できて嬉しかったです!

カルロッタ・ジュディチェルリ:河村彩

お久しぶりの河村さんカーラ!女王のご帰還とでも言うべきか、さすがの貫禄と安定感でした。やっぱり河村さんって凄いんだなぁ…というのを再認識。

圧倒的なオーラと声量で、5年連続プリマドンナを務めていることに対する説得力がありました。抜群にお美しくて歌声も魅了されるし、すべてにおいてプリマドンナとしての貫禄と存在感があって思わず跪きたくなりましたよね。そりゃ支配人たちもチヤホヤしたくなるのも分かります。

そして河村さんカーラはTOMを歌うにあたって、フィルマンさんの「2小節で十分」や曲の途中の拍手といった無礼に対してキッと睨みつけて不快感をあらわにするのがとても好きです。ここ、辻さんカーラも高居さんカーラも気にしないような素振りをしていたので今期ではそれやるの河村さんだけ?っぽいですね。プライドを傷つけられたみたいな反応で、凄くカルロッタらしいなと思いましたし、とても好きな仕草でした。

また、「プリマドンナ」ではぷくっと不機嫌さをあらわにしていたのにマネージャーたちにチヤホヤされてだんだん嬉しそうに口角が上がっていったのもちょろすぎて可愛かったです(笑)河村さんカーラは別に周りにチヤホヤされたいっていうのではなく、自然と周りがそうしてしまうような雰囲気を纏っているので、これもプリマドンナの貫禄ゆえだなぁ…と思いました。本当にカルロッタとしてドンピシャの佇まいで、カルロッタがここまでしっかりとキャラクターが立っているからこそクリスティーヌを引き立てることができていて、前に出過ぎることがない絶妙な存在感も凄く良かったです。

あとは皆さんもおっしゃっているように、PONRでのリンゴ投げが抜群に上手い(笑)前回観た高居さんカーラが完全に暴投だったので、河村さんは100発100中ストライク投げられるの凄いなと思いました(笑)そういう意味でも全編通して安心して観られるカーラだったので、よりオペラ座の世界観に浸れて大満足でした。やっぱり河村さんカーラは最高!久々に観られて嬉しかったです!

マダム・ジリー:木村智秋

今回の木村さんマダムはかなり感情的で、何歌うにも力が入っていました。それくらいマダムがファントムに対して危機感を抱いていて必死に止めようとしているのが伝わってきて、マダムVSマネージャー&ラウルもかなり激アツでした。ミステリアスで何を考えているのか分からないところも木村さんマダムの魅力ですが、今回はミステリアスという印象以上に感情的という印象が勝るくらいアツかったです。

ファントムについて面白おかしく話すブケーに対して忠告をするシーンであったり、マネージャーシーンであったり、ラウルにファントムのことを話すシーンであったり地下室へ案内するシーンであったり…。とにかく声を荒げて必死に危機感を煽るお芝居が目立っていました。そして木村さんは声量もあるので、こういう感情的な場面になるとすげえ声出るから迫力があってたまらないです。

あの声量オバケの迪さんラウルにも決して負けないですし、マダムがここまで必死にクリスティーヌを守ろうとする姿は逆に凄く好感持てるし、好きの極みでした。

一方で今回はいつになく木村さんマダムの優しさも垣間見えて、わりと序盤からクリスティーヌやメグに対して優しい一面を見せていたのでとてもギャップにやられてしまいました。前回観たときに木村さんマダムが凄くお母さんしていたという発見をして好感度爆上がりしたんですけど、今回もハンニバル後にメグたちの元へ行って、メグの腕をポンポンってしていて励ましてたのかな?

それで木村さんマダムが去っていったあと松尾さんメグが凄く嬉しそうにしていたので、このジリー母娘のやりとりに思わずほっこりしちゃいました。木村さんマダム、ああ見えて意外とちゃんとお母さんしているのがたまらなく好きです。また、紗衣さんクリスとの組み合わせだとドン・ファンリハで顔を見合わせて頷き合うっていうやりとりをするのでそれも観られて大満足でした。

今回も木村さんマダムの新たな魅力を知ることができて、さらに好きになれた観劇でした!

まとめ

今回も楽しい観劇ができて幸せでした。大好きな洋輔さんファントムが帰ってきてくれたことも嬉しかったし、久々にオペラ座を観られたことも嬉しかったです。自分がこんなにもオペラ座にハマると思わなかったということは毎回のレポで書いていますが、改めてとても素敵な作品だなと思えた観劇でした。

とりあえず出てくる人出てくる人歌がうめえ…。ここ最近痛感していることとして、私は歌が上手くてお芝居が上手い人が好きなんだなーと感じて、そのためならお金を惜しまないオタクなのでオペラ座はマジで私の好みドンピシャでした。そして洋輔さんファントムのおかげでオペラ座のキャラクターや人間関係についても深く考えるようになって、知れば知るほど観れば観るほど好きなポイントが増えていって、気付けば沼落ちです。

今月からはスタンプラリーも始まったのでできるだけたくさん通いたいところですが、同時に千穐楽まであと4ヶ月なので悔いのないように今後も劇場に足を運びたいと思います。岩城さんファントムも結局観られないままなのでいつかリベンジしたいですが、まずは大好きなお兄ちゃんがいるうちにたくさん通います!お金が底を尽きそうですけど、頑張ります!


最後に2階席から撮ったステージ写真です。

ということで、最後までご覧いただきありがとうございました!次は私の誕生日の9月19日です!

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