2022年3月20日マチネ 劇団四季『ロボット・イン・ザ・ガーデン』@京都




ロボット・イン・ザ・ガーデン
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キャストの感想

キャストの感想です!

ベン:山下啓太

本当に山下さんベン、見違えちゃったな~。この数日でお芝居がグンと良くなっていて、今回も山下さんベンには魅せられました。凄くお芝居にリアリティが出て、無理が一切なくなっています。先週の山下さんベンとは大違い…。なんでこんなに変わったんだろうと不思議で仕方ありません。

大きく変わったのはやはりタングとの掛け合いです。今まではタングに対して大きな声を出して叱りつけるお芝居が印象的でしたが、大きな声を出すことだけが「叱る」ということではないということなのか、「諭す」ような、落ち着きのある口調で言うセリフも増えました。それってどういうことかというと、要はタングのことを子供のように思っているのではなく、1人の人間のように接しているのかな…って思ったんです。

子供に対しては「こうしちゃダメでしょ!」と声を大きくして叱るしつけの仕方があって、今までの山下さんベンはまるでそんな印象がありました。エイミーが「ベン、なんだかパパになったみたい」って言いますが、まさにそんな感じ。ちょっとした上下関係があって、ベンがタングを言い聞かせるような印象が少なからずあったんです。

だけど今回のお芝居では、そこからさらに関係性が変化していて、タングを対等な立場の存在として認識して正面から向き合うようになっていました。アプローチも雰囲気も全然違うけど、ちょっと田邊真也さんのベンに近くなった感じかな。タングと上下の関係なんじゃなくて、対等な関係でいたいがゆえに、山下さんベンは自分自身がまたひとつ大きくなって大人になってタングと向き合っていました。

だからなのか、山下さんベンとタングの絆がより一層深まったように感じたんですよね。山下さんベンがちゃんとタングのことを見てくれている。本編でタングのガムテープをよく直してあげているのもそうなんですが、タングのことをちゃんと見て理解しようとしているのが伝わってきました。本当に佇まいも言動もすべてがベンそのものなのよね。

タングと旅を続けていく中で相手としっかり向き合おうとするようになるのが山下さんベンの成長の証です。1幕冒頭の山下さんベンは全然エイミーと向き合おうとしないし、笑って誤魔化して逃げてばかり。だから、すっごく分かりやすい変化を遂げたなーって思いました。1幕冒頭のお芝居と比べて成長したことがちゃんと分かりやすくなったし、ベンがちゃんと大人になったことも説得力がありました。

エイミーの前ではちょっと甘えたな部分も出ちゃうけど、それでもエイミーをしっかり守って支えようとする覚悟がちゃんと身についていました。人間としても男としても成長していて、本当にかっこよかったです。公演を重ねるたびに山下さんベンがどんどん魅力的になっていくのでこれはミナミーじゃなくても惚れちゃうなって思いました。そしてミナミーがゾッコンになっちゃうのも頷けるくらい、とても良い男でした。今回も素晴らしいお芝居でした!

エイミー:岡村美南

今回も安定のお芝居!本当に調子が良いのでむしろ不安になってきます(笑)土曜日から何かを大きく変えてきたということはなかったのですが、軸となるお芝居はそのままに、あとは相手との掛け合いに合わせたお芝居をするようになった印象がありました。相手に合わせたお芝居をするというか、流れに身を任せるってほうが的確かもしれない。こういったお芝居のアプローチはこれまでの岡村美南さんにはあまりなかった部分なので、エイミーのお芝居は毎回観るのが新鮮でとても楽しいです。

1幕冒頭もベンに対して過保護なお母さんらしさは変わらず。今回も仕事で家出ていくときはわざわざ立ち止まってベンに声をかけていました。もはやそれがエイミーの中でも当たり前になっちゃっているんでしょうね。山下さんベンが1幕冒頭で完全にエイミーに甘えるようなお芝居になっていたので、より母と子らしさが強調されてしまったように思います。ミナミーが可哀想。

あと、小言が多くなりましたね。仕事から帰ってきて惨状を見て「なにこれ…」って言ったあとに小さく「えっ…」って言ったり、ベンがタングをソファーに上げているときに「ちょっともう…」って呟いていたり、ため息も結構ついています。どうしてあなたはそうなのよとでも言いたげな視線もよこしつつ、まったく分かってくれないベンに呆れながらも過保護な性格は止まらない。ベンに変わってほしいと思いつつも、きっと変わってくれないだろうと半ば諦めの気持ちもあるなぁ…って思いました。だからミナミーが全部やっちゃってたし、それでなぁなぁになっていたのかなって。

これだけベンに対して呆れや諦めの感情を抱えつつも、ベンと出会った頃やベンとの未来を想像するときは嬉しそうな笑顔を見せるんだから相当ベンに惚れてますよね。本当に可愛い。コロコロ表情が変わるのマジ可愛い。岡村さんは本当に表情のお芝居が秀逸です。

ちょっと飛びますが、「Free Free」終わりにバスタオルを拾い上げるときにオフマイクで「よいしょ…」って言っていたんですけどちょっと笑いました(笑)エイミーがよいしょって言うの面白いですよね。「この先は熱帯魚でも飼って暮らすわ」といい、ちょっとばばくさい感じになっちゃうのはなんなの(笑)

秋葉原のスタッフさん。今回も写真撮影のときはさりげなくピースしていました。1人で踊っているときはやっぱりメアのダンスを踊ってますね。1回目の写真撮影のときは完全にカメラに背中向けて踊ってるんですけど、ガッツリ両手を交差していて、メアの振付やっていました。完コピしているんですね、隠れオタクさん(笑)アンサンブルな立ち位置なのにだんだん主張が激しくなってきているのでマジでしんどい(笑)

ガーデンパーティーのシーン。ベンが「君にも見えるよ」ってキザなことを言ってエイミーを呆然とさせてしまうやりとりで、今回のミナミーは呆然とするというよりちょっと微笑んでいました。完全にベンの言葉が刺さってる(笑)「ちょっと沁みた」って言うけど、ちょっとどころじゃないよねその表情!本当に嬉しかったんだな…っていうのが伝わりました。

本当にこのガーデンパーティーでのお芝居は秀逸だと思っていて、こんなに明るく喋っているのにどこか寂しさを感じさせる佇まいなんですよね。ベンに言う「あなたは幸せね」も呆れるように言うんじゃなくて、どこか羨望の感情が声に滲み出ているんです。子は親に愛されるものだと信じて疑わないベンが眩しくて仕方なかったんだろうなって。でもそれを感じさせないように強がって、笑顔で隠してる。そうやってずっと生きてきたんだろうなって思わせる佇まい。

だからベンに前向きな言葉を言われて、素直に嬉しかっただろうし、「Gift」では「あなたの言葉はコバルトの風だわ」って歌うときに目を閉じるようにして歌うんですよ。岡村さんが目を閉じながら歌うときはマジで嬉しいときとか幸せを噛み締めてるときですからね!!!(統計的に)

だから、本当に岡村さんのエイミーにはバックボーンも感じられるし未来への期待も感じられるしで凄く引き込まれてしまいました。エイミーの心情をちゃんと丁寧に演じていらっしゃいました。これこそ、私の大好きな岡村美南さんのお芝居です。改めて実感できて嬉しかったです。

で、2幕ラスト。よくは見えませんでしたが今回も涙が込み上げていたみたいですね。ガッツリ涙を拭っていたのは珍しかったです。離婚届を破り捨ててからの「あなたじゃないとダメなの」も口元を震わせていたし言葉に詰まるような感じでセリフを言っていました。ほーんとに可愛い。泣き顔がマジで赤ちゃん。可愛い…。

あと個人的に印象深かったのは、心臓の音が聞こえてきたときの表情。なんかね、上手く言葉で説明ができないんですが凄く良い表情をしていました。思わず涙が込み上げるように一瞬顔が歪むんですけど、手で覆い隠すこともしないでそのまま驚きと戸惑いを晒したまま笑顔を見せたんです。ちょっと俯いたりして実感を噛み締めて、凄く凄く嬉しそうに微笑んでいました。そんな表情、デビューのときはできなかったでしょ…。エイミーのお芝居を重ねてきたからこそできた表情ですよ。なんか、すっごく自然だったんです。

こういうね、出産だとか母としての子供との向き合い方だとか、実際に経験していないと分からないようなお芝居も回数を重ねるごとにどんどんリアリティが出てくるんですよね。『マンマ・ミーア!』のときもそうでした。ここの妊娠のお芝居も、デビューのときよりはるかに反応が自然になっています。だから今回の表情は本当にすっごく良かったです。

なんかさ、あぁ…贔屓もお母さんになっていくんだな…って変な実感が込み上げてしまって(???)。それこそ私が岡村さんを追いかけ始めた頃って28歳だったからまだまだ若さのある役ばかりでしたけど、ここ最近は女性ならではのイベントを経験する役が多くなって、演じるのはとても難しいのかもしれないけどお芝居のしがいはあるんだろうなって。こうやって自分も贔屓と一緒に年齢を重ねていく中で、女性としての幸せを手にしていく贔屓を見届けることがなんだか不思議というか、凄く嬉しくなって祝福の気持ちでいっぱいなんです。だから、すっごく幸せな気持ちになれた観劇でした。

エイミーという役を演じるようになって初めて知った岡村美南さんの一面はたくさんあって、どれも新鮮だったし驚きだったしやっぱり素敵だなと思えたし、色んなことを再認識できて嬉しかったです。今回も最初から最後まですっごく輝いていました。自分にとってはちょっとした節目の観劇でしたが、大好きな岡村さんのお芝居を観られて本当に幸せでした。ファンでい続けられてこれ以上幸せなことはありません。今回も素晴らしいお芝居をありがとうございました!

リジー:相原萌

山崎遥香さんのリジーを経たあとに観る萌さんリジーは印象変わりますね。というかそもそも萌さんのお芝居が東京のときからちょっと変わったような気がします。とてもお芝居がナチュラルになった印象です。すっごくリジーがイキイキしていました。

そして萌さんまっじでクシャっとした笑顔がめっちゃ可愛い…。あまりにも可愛すぎてあの笑顔観ただけで幸せになれるし、この太陽属性は我らが三平果歩ちゃんを彷彿とさせる…と思いました。本当に可愛い。距離感が近いのもあって勘違いしちゃう男性が続出するんじゃないかってくらい、凄く気さくなんですよね。こんな女友達、絶対欲しいに決まってるわ。

でも無邪気で健全な可愛さなので、やまはるさんリジーのような大人の落ち着きや色っぽさがないのがまた愛らしいです(笑)萌さんリジーは勢いも凄いから突っ走っちゃって時々ミスって「てへっ」て舌出しながら笑ってそうなイメージあります。それくらい、凄く元気いっぱいなリジーでした。久々に観ると愛くるしさしかなくて、めっちゃ可愛い!好き!ってなっちゃいましたね。やっぱり複数キャストで観るってとても大事なことだなと再認識しました。

リジーのお芝居に関してなのですが、今までは結構セリフをそのまま言っているような印象があったんですね、正直。だけど、たとえば「ロボットが不機嫌なの?」っていうセリフも今回はちょっと不思議そうに興味津々そうに言っていて、セリフとリジーの心情がちゃんとリンクしていたんです。だからお芝居を観ていても全然違和感がなくて、むしろ凄く自然に観られました。そのあとの「身近な人の真似してるのかも…」もちょっとからかうように言っているのが可愛くて、仕草もあざとさ100%でした。

あとは「でも、本物の才能と情熱があるのよ!」とカトウのことを話すときに思わず体を乗り出しちゃって熱く語るお芝居は健在で、ちょっと引き気味のベンを見てハッとなってやっちゃったー!みたいに頭抱えてたのが可愛かったです。萌さんリジー、カトウのこと好きなんだなーっていうのが伝わってくるんですよね。不器用で凄く可愛い。

そして「砂の街のカイル」ではいつになくかなり涙ぐんでいたのが印象的でした。表情を歪めて泣くのを一生懸命こらえるようにしていた佇まいがとてもリアルだったし、カイルに優しく微笑みかけながら結局泣いちゃってるのが凄くキュンとなりました。カイルのこと本当に可愛くて仕方ないんだなーっていうのと、動物を愛する心がちゃんと伝わってきたので良い飼い主だなと思いました(小並感)。

本当にお芝居の細部に至るまでリアリティが増して、お芝居くささが消えてナチュラルな感じになっていたのが凄く良かったです。おかげで安心して観ることができました。

あとはMICのアンドロイドさん。やまはるさんがめっちゃ強烈キャラだったから久々に萌さんロイド観ると落ち着いてる…?!なんて思ったりもしたんですけど、そんなこともありませんでした(笑)これは土曜日のことなのですが、「夢見るマシン」で山下さんベンと横並びになったときにやまはるさんは目を大きく見開いてジーッと見るということをしていたんですけど、萌さんはジーッとやましたさんベンを見ながら山下さんベンがこっち見たらペロッて舌を出すってことをしてたんですよ(笑)で、山下さんベンが目を逸らすと舌をしまって、また目が合ったら舌を出して…ということを何度かしていました。これが強烈すぎてめっちゃ笑いました(笑)萌さんも抜かりないですね…。本当に面白すぎてヤバかったです。

久々に観たことで色んな発見があって、萌さんのお芝居の面白さや魅力に気付けた観劇でした。リジーのような明るい女性を演じるにあたって、萌さんの生粋の明るさとバイタリティーはリジーのキャラクターにドンピシャだったんだなーっていうのを再認識できて良かったです!

ロジャー:鈴本務

土曜日に初めましてだった鈴本さんロジャーは、五十嵐春さんやカイサーさんのロジャーとは違うタイプでした。ロジャーに関しては三者三様でめっちゃ面白いですね。

鈴本さんロジャーはなんか謎に既視感のある雰囲気をまとっているんですよ。「あー、こういう男いるいる!」って思うようなリアリティがあって、女性の扱いには慣れてそうだし、女性を喜ばせるのがめちゃくちゃ上手そうな男性でした。凄く気さくで話しやすくて距離感も近い。爽やかなんだけどグイグイくる感じは否めない(笑)でも嫌な気はしない。これがモテ男だな…って感じですな。

全然人見知りもしないし、なんなら好きな相手には本当にどんどんアプローチしていくタイプ。だからミナミーのことも気に入ったらすぐ近づいていくので、凄いな…と思いました。でもミナミーもそんな鈴本さんロジャー相手に嫌そうな表情をしていないのが不思議で。女性を嫌な気分にさせない天才なのかもしれませんね。スマートにキザなことができるし、下手にかっこつけるんじゃなくて自然とそうなっちゃうタイプ。

五十嵐春さんロジャーのような謙虚さはそこまで持ち合わせていないし、カイサーさんロジャーのような聡明さも実はそこまでなさそうなんだけど、なんか凄く魅力的。で、相手を喜ばせようとする感じは観ていてどことなく山下さんベンに似ているな…とも思いました。だからミナミーも気を許したのかなぁ…なんて。相手を笑わせるために自分がちょっとダサいことを言ってみるのも厭わない。

でも鈴本さんロジャーは一緒にいたら楽しそうだなとは思いました。友達に欲しいタイプかも。あと、今回はやっていなくて土曜日マチネにやっていたことなんですけど、エイミーに「毛布代わりに使ってくれても、慰謝料は請求しない」って両手を広げながら言ったあとに、自分で自分の体を抱き締めていました(笑)そういうユーモアに溢れた部分も嫌いじゃないです。

あれだけニコニコしている鈴本さんロジャーは、本気で相手の幸せを願える人なんだろうなとも思います。2幕ラストではエイミーに「おめでとう」と声をかけていたし、何だかんだいいやつじゃん!となりました。意外とミナミーとも波長が合うみたいだし。ミナミーと一番お似合いだと感じるのは五十嵐春さんのロジャーですが、鈴本さんロジャーも凄く良かったです。観られて大満足でした!

まとめ

今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました!いやー、土曜日分のブログを仕上げるのに睡眠時間削っていたからめちゃくちゃ眠くて観劇前は不安があったのですが、そんな心配いらなかったです。むしろあっという間でした。本当にあっという間…。

京都公演になってからどんどんカンパニーの一体感が強くなっていくし、東京公演デビュー組がどんどん魅力的なお芝居をするようになったしで、マジで楽しくて仕方なかったです。考えてみれば今回の出演者のほとんどは今期デビュー組なんですよね…。信じられないくらいまとまっていました。

なんか、京都公演ってカンパニーの結束力が高まるんですよね。なんでなんだろう。お客さん少ないから?そんなことはないか。地方公演になるとカンパニーの結束力って高まる印象があります。だからカテコで皆さんが楽しそうにしているのを観るとこちらも笑顔になれるし、たくさんの幸せをもらえた気分になれた最高なんです。こんな素敵な時間がずっと続けばいいのに…。

でも時間は有限だからこそ美しい。そろそろ山下さんや岡村さんなど開幕組は抜けちゃうんじゃないかなと覚悟しながら観劇しましたが、正直まだ観足りないですよ。もっと観たい。そう感じるくらい、今回も最高でした。岡村美南さん、素敵な作品、素敵なカンパニーに巡り会えて良かったね。ファンとしても素敵なカンパニーの一員として舞台に立っている贔屓を観られて嬉しかったです。

190回目もしっかり堪能してきたし、改めて岡村美南さんを好きになって良かったと感じられた公演になりました。直近で200回目目指して、引き続き応援していきます!今回も最高に素晴らしいお芝居をありがとうございました!

さて、次回は京都遠征最終日の21日!しっかり見届けてきます!

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