2022年6月5日マチネ 劇団四季『ノートルダムの鐘』@横浜




ノートルダムの鐘
この記事は約6分で読めます。
ゆうき
ゆうき

今週分見納めです!

日時:2022年6月5日マチネ公演
場所:KAAT神奈川芸術劇場
座席:S席1階5列14番




はじめに

今週3回目の観劇です。これがもし会社員であれば安定した収入見込めてもっと観られたんですけど、フリーランス初動は見込みが分からないのでひとまず抑えめにしました。3回観るのを抑えめって言ってる時点で相当ヤバい自覚はあります、ええ。

でも岡村美南さんエスメの進化が止まらず、神永東吾さんフィーバスの神がかった解釈のお芝居が好きすぎて、行かない選択肢はありませんでした。今を大事に、はフリーランスになってからも変わりませんので、自分のできる範囲で観劇は続けていきたいです。

早速ではありますがレポを始めていきます。ぜひ最後までご覧くださいまし!

総評

全体の感想です!

キャスト:★★★★★
座席:★★★★★
全体:★★★★★

週末ラスト公演で翌日が休演日ということもあってか、全体的にすべてを出し切るような声の出し方をしていて凄く白熱した公演でした。魂と魂がぶつかり合う激しさや熱量が本当に凄まじくて、涙なくして観られなかったです。

特に今回のカジモドである寺元健一郎さんのお芝居は圧巻で、歌声のパワーが凄すぎました。あんな細い体のどこからそんなパワフルな声が出るのかと思うほどでした。そりゃね、カジモドからしたらフロローに「大聖堂から出るな」とずっと言われ続けてきたのに、ガーゴイルたちに背中を押されて希望を持っていざ外に出たら、民衆にいじめられるし奇跡御殿の場所がバレてエスメを追い詰める結果となってしまうし、自棄になっちゃうのも分かります。

様々な負のフラストレーションが溜まりに溜まって、カジモドの柔らかくて温かい心がどんどん硬く冷たいものに覆われていってしまうのも頷けるし、MOSで絶唱してしまうほどにショックを受けてしまうのも凄く理解できました。そうしたカジモドの葛藤や悔しさや悲しさが伝わってきて、2幕終盤はボロ泣きでした。

この作品は非常に多面的で、どのキャラクターに注目して物語を追うかによって感じ方が大きく変わるし、「何が正義なのか」「何が正しいのか」を凄く考えさせられます。ちょうど開演前にフォロワーさんと「エスメラルダはフィーバスのどこに惚れたのか」について軽く話していたんですけど、なぜカジモドではなく、フィーバスなのか…についてもふわっと考えながら観ていました。そうすると自然とフィーバス視点で物語を追うようになり、いつもとは違った角度で見えてくるものも色々あったんです。

フィーバスにとっての正義ってなんだったんだろう…と考えたときに、「自分の心に従うこと」なのかなと思いました。彼は兵隊として墓標のない墓に仲間の遺体を埋める仕事、やりたくもなかった仕事をしていました。なんなら今でも当時のことを思い出すとトラウマで顔が強張るほどですから。そして今は警備隊の隊長。「はるかにマシだよ」とフィーバスは言うけれど、彼としては命令に絶対服従の意思はないんですよね。

悪を滅することには賛成だし、フィーバス自身やりがいを感じているとは思います。ただ、不条理で理不尽なことはしたくないというのが彼の本音。だからこそ、ジプシーでありながら自分の生きたいように生きるエスメに彼はどんどん惹かれていったんだろうなーと納得しました。

役職がついてしまっている以上、その使命を全うしなければならないフィーバスとは真逆の生き方です。だからエスメは、彼がただその辺にいる警備隊の人たちとは違うことをすぐ理解し、ジプシーである自分に対して彼が対等に向き合おうとしてくれることに少なからず好感を抱いたんだろうなーと思いました。

エスメはフィーバスを試したんでしょうね。「私みたいな汚いジプシーから?」って言うじゃないですか。それに対してフィーバスは「自分で言ったんだぞ。僕じゃない」と答えます。もしここで「その通りだ」とでも言われていたら、きっとエスメはフィーバスのことを好きになることはなかっただろうなーって。フィーバスは自分を「ジプシーのエスメラルダ」として見ているのか、それとも「ありのままのエスメラルダ」として見ているのか、それを知りたかったのかもしれません。

「ところで、君はどこから来た?」という問いに対しても「ジプシーにそんなこと聞くの?」と驚いたような反応をしますし、警戒心は薄れつつも、あくまで自分を「ジプシー」と位置付けて壁を隔てて接するんですよね。

だから、ラポンテに彼が自分を訪問してきてくれたことも人目をはばからずキスをしてきたことも驚いただろうし、嬉しかったんだと思います。こそこそ隠れるように恋愛するのではなく、たとえジプシーだろうと堂々と愛を伝えてくる隊長に、どんどん心を奪われてしまったんでしょうね。「彼は、私をジプシーとしてじゃなく一人の女として見てくれている」って。本質の部分を好いてくれていると。今まできっとそんな経験がなかっただろうから、その気持ちが恋なのかどうかももしかしたらエスメ自身気付いていなかったのかも。

そしてフィーバス自身、エスメの生き方や考え方に触れて、自分の正義がなんなのかを考えるようになっていく。だからフロローの命令にも背いたし、すべてを捨ててでもエスメについていくと決意したんですよね。自分の生きたいように生きること、本当に自分がしたいと思えることをようやく全うできたっていうのがフィーバスの物語であり正義でもあるのかなと考えながら観劇していました。

だからものの考え方や生き方はそもそもエスメとフィーバスは似ているのかもしれませんね。似た者同士だから、惹かれ合った。そして、同じ方向を向いて歩みを進められる2人だからこそ、Somedayに繋がるわけです。岡村さんエスメと神永さんフィーバスの組み合わせは凄くストーリー性と一貫性があって、めっちゃ好きだなと改めて思いました。

この辺はやはりカジモドやフロローとは違う部分だから、エスメがどうしてフィーバスを選ぶのかについては今回の観劇で凄く腑に落ちました。カジモドのこともエスメは好きだったと思うけどね。友達としてだけど。

今期ノートルダムは色んな事を考えて観劇するようになり、正直観たあとの疲れは半端じゃありません。凄く脳みそ使ったし全身で作品の魅力を浴びるのでずっしりしたわだかまりのようなものが胸に残ります。だけどそれすらも、こうして家に帰ってブログに書きながら整理してみると凄くスッキリする要素となるんです。むしろどんどん作品に対する解釈が深まって、もっと観劇したくなりました。

私もエスメに魅せられた1人だから、どうしてもエスメを目で追いがちなんですけども…!こうやってキャラクター1人ひとりに寄り添ってみると違った物語が見えてきて凄く楽しいです。岡村さんもお芝居が変わったことでエスメの雰囲気が以前とは違ったし、どんどん作品そのものもブラッシュアップされていって変わり続けていくんだなーと思うと、今の公演はどうなんだろうっていうことを改めて噛み締めて咀嚼して自分の解釈として取り入れたいなと思いました。

今回は5列センターで凄く距離も近かったのでオペラグラスを使わずに全体を観るようにして、作品への理解を心掛ける観劇をしてみたんです。それもあって凄く有意義な観劇になりました。この作品、観れば観るほど奥深い。改めて素敵な作品だなということを実感できて楽しかったです!

NEXT>>キャストの感想です!

3

コメント

タイトルとURLをコピーしました