2022年6月14日ソワレ 劇団四季『ノートルダムの鐘』@横浜




ノートルダムの鐘
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キャストの感想

キャストの感想です!

カジモド:金本泰潤

今期ようやく2回目の泰潤さんカジです。私の心の琴線に触れてしまうカジモドなんですよ。あまりにも痛々しいというか、そんなに自分を責めなくていいんだよって泣きたくなっちゃうんです。体躯は大きいけど、道端に咲いているであろうちっちゃな花にもきっと優しく微笑みかけるような、そんな優しさと純粋さで溢れているカジモド。まさにアニメからそのまま飛び出したようなカジモドです。

トプシーで民衆がカジを嘲笑っても「バンザーイ!」ってバカにされても、それを素直に誉め言葉として受け取って嬉しそうにする泰潤さんカジを観て涙が出そうになりました。人から褒められたことがあまりなくて、あんな崇められ方だったとしても素直に嬉しかったんだって思うと切なくなります。

村さんフロローの冷たい視線を常に浴びながら、それでもカジにとってはフロローが世界のすべてだっただろうから、人と触れ合うことも誰かに喜んでもらうことも初めてで本当に嬉しかったんだろうなーって考えると残酷ですね。あんなに外の世界に憧れていたのに…と考えずにはいられないほどに、泰潤さんカジの喜怒哀楽の表現が繊細で真っ直ぐで観るのが苦しかったです。

そんな泰潤さんカジがTOTWではすっごく嬉しそうな表情をしていたのも印象的でした。ちょうど柵に乗ってエスメと向き合うところ、私の席からは泰潤さんカジの表情はあまり見えなかったのですが、「二人でいる」とエスメが言ってくれたときに凄く舞い上がって手を必死に動かして、「うん、二人でいる!!」みたいに大興奮してたんです。もうそれで一気に涙腺やられてブワッと涙が溢れました。エスメが柵から手を放すところも、泰潤さんカジの場合はカジが先に手を放して「ほら、やってみて」とでも言わんばかりにエスメをリードするの。これも本当に大好き…。

そしてエスメに頬を撫でられてテンションMAXの泰潤さんカジが、本当に嬉しそうに叫ぶように鐘を鳴らして叫び出すのもたまらなく愛しすぎました。私、TOTWは達郎さんカジ×岡村さんエスメが大好きなんですけど、泰潤さんカジ×岡村さんエスメも泣ける組み合わせで今回観てさらに大好きになりました。この2人の組み合わせをまた観れて本当に幸せです。

だいぶ飛びますが、MOSに行きます。ラストのロングトーンは限界ギリギリのトーンで歌われていて、もうあと少しで声が裏返りそう…というところをしっかり歌い切ったのが観ていて心に響きました。絶唱のような圧巻のMOS、泰潤さんカジの魂の叫びが聞こえてくるようで胸にずっしりとした感覚が残って、凄く良かったです。その後エスメを救出したときの「サンクチュアリー!聖域だー!」も泰潤さんカジの厚みのある大迫力の声で叫ばれていたので、涙腺に来ましたよね。

そして衝撃的すぎたのがフロローを投げ飛ばすシーン。その直前の「悪人は!罰を!受けるんだ!」の粉骨具合はちょっとグロすぎてビビったというか、鳥肌が立ちました。緩急のつけ方が凄くて、一気にボキボキッていくので本当に骨が砕けたような感じがしたんです。凄いというかもはや怖い。衝撃的すぎて、ゾッとしました。それから逃げ回る村さんフロローを後ろからホールドすると、持ち上げたんですよ!村さんフロローの足が完全に浮いた状態で、もがく村さんフロローとびくともしない泰潤さんカジの構図を観て、カジモドの強さを見せつけられたような気がしました。

落下したフロローの遺体を眺めている泰潤さんカジは、もう全身の骨が言うこと利かないかのような佇まいをしていて、そこもちゃんとこだわって演じてるんだ…と感動しちゃいました。骨が折れて全身痛いんだろうな…っていうのも凄く伝わってくるし、泰潤さんカジの細部にまでこだわったお芝居は圧巻でした。今回は泰潤さんカジにひたすら泣かされた観劇でしたね。

ラスト、カジから人間に戻るときに体に巻き付けたコブの衣装?がきつく縛りすぎたためかなかなか解けなくて、観ているこっちも焦りましたがなんとか外すことができたので良かったです。とにかく圧巻のお芝居で、完全に引き込まれてしまいましたね。たっぷりと泰潤さんカジを堪能できて嬉しかったです。

フロロー:村俊英

2回目の村さんフロロー、とても恐ろしくて好きでした。村さんの重厚感のある低音ボイスが本当に良くて、言葉ひとつひとつに重みがあって、落ち着いた佇まいと相まってフロローらしさが凄く感じられました。聖職者らしいっていう言い方は変ですけど、凄く聖職者らしさがありますよね。なんだかとても説得力がある。

村さんフロローの恐ろしいところって、あれだけ真面目で慎重で冷静な聖職者だったのに、どんどん頭がおかしくなっていって人を痛めつけることに快感を得だすところなんですよ。特にエスメに対して、バスティーユでスカーフを取り出して首に巻き付けるところだったり、火炙りにするところだったり…。エスメの怯えた表情を見て喜んでるんです。こっわ…って思いました。

ニヤニヤとした笑顔を浮かべていて、しかもその笑顔が単純な喜びとか幸せそうな感じのポジティブなものではないんです。まるで何かに取り憑かれたかのような、不気味で恐ろしい笑みでした。この落差がやっべえな…って。サイコパスなんですよ、村さんフロロー。

いやもうこれは「絶対に愛されたくないフロロー選手権」2位にランクインしました。村さんフロロー、万寿夫さんフロローみたいに破天荒じゃないのに凄く怖い。気性が荒いわけでもないし怒りっぽいわけでもないし勢いがあるわけでもないのに、その静かな佇まいとサイコパス感が怖すぎて無理でした。でもこれぞフロローって感じで、めっちゃ好きです。

カジモドに対しても笑う瞬間が多々ありますが、見下したような笑い方するんですよね。まあ本人も「すまん、笑ったりして」って言いますが、カジモドの言うことに対して誠意を見せないというか真に受けないところ、本当に人を人と思ってないなぁ…っていうのが伝わってきました。村さんフロローってすっごく内に秘めてる腹黒さが滲み出ていて、マジで怖いです。怖いけど、クセになる。

今回はところどころ歌のタイミングがズレたりと心配な部分もありましたが、相変わらずヘルファイヤーは最後の狂気じみた目力にグッと惹きつけられて圧巻でした。村さんフロローの本家の歌声はやっぱり痺れますね。凄くかっこよくてたまりませんでした。今回もたっぷり村さんフロローを堪能できて幸せでした!

エスメラルダ:岡村美南

贔屓は今回も絶好調すぎて訳が分からなかったです。やっぱりエスメラルダという役との相性がいいんでしょうね。本当に伸び伸びと演じていらっしゃって、観ているこっちも楽しいです。

今回は最前列ということでいつも以上にしっかりと岡村さんエスメの表情を堪能していたのですが、岡村さんは相変わらず表情のお芝居が素敵でした。特に目のお芝居が上手いのよ。なので今回は表情のお芝居に特化して感想書いていきたいと思います。

まずはTOTWですよね。冒頭にも書いたけど、本当に凄く優しい目つきをしていて、天性のものだよなぁ…って思いました。カジと一緒に柵から街を見下ろしているとき、岡村さんエスメは本当に尊いものを見つめるような優しい表情をしています。歌詞にもあるように、すべてが美しく違って見えるわけですよ。それが凄く伝わってくる。

だけど、その直後カジが後ろを向いてガーゴイルたちと何かやりとりをしているときに、取り残された(?)岡村さんエスメは少し憂えたような表情をしながら1人で街を見下ろすんですよね。いつもなんでそんな表情するんだろうなぁ…って思いながら観てたんですけど、もしかしたらふと現実を思い出してしまったんでしょう。エスメにとってあの場所は、カジがいるからこそ美しいと思える場所なのかもって思いました。だから、振り返ってやんちゃするカジを見た瞬間にまた笑顔が戻るし、カジといることで嫌なことも全部忘れられるんだろうなぁ…って思ったらなんか泣けちゃいました。

エスメがあんなに心の底から笑ったのって相当久しぶりなのかもしれません。だからね、TOTWで柵に座って見つめ合うあの瞬間の二人って世界中の誰よりもきっとピュアなんですよね。世界の頂上に二人きり。かけがえのない尊い時間。カジにとってもエスメにとっても、幸せに包まれた凄く素敵な時間なんだろうなっていうのが、泰潤さんと岡村さんの表情から伝わってきました。もうマジで泣いたよ…。あんなにピュアで優しくて愛に溢れた笑顔を観て、泣かない人がいるかいな!

そんな笑顔を観たあとだから、1幕ラストの「エスメラルダ」で階段のてっぺんから街を見下ろしてる岡村さんエスメの表情は凄くグッとくるものがありました。果たしてどの場所から見下ろしていたのかは分かりませんけど、TOTWのときとはまるで別世界のように炎に包まれてしまった街を悲痛な表情で見下ろしていたのが凄く印象的でした。この落差が良いですよね。ちゃんとTOTWのときの表情がここに活きてきます。

そして、Somedayの表情が本当に圧巻だったんです。歌い出したときは正直不安そうな表情をしてました。いつか来るであろう人が賢くなる未来に願いを託すかのように、心をまっさらにして歌いますが、やっぱり1人で立ち向かうのはエスメも不安なんだなというのが伝わってきました。

でも、そんなエスメの表情を見てフィーバスも一緒に歌い始めます。すると、岡村さんエスメがそんな彼に気付いて少しだけ目を見開いたんです。あからさまに表情が変わったわけではないけど、驚いたような顔をしていました。それからフィーバスを振り返って、どんどん優しい穏やかな目つきに変わっていったんです。彼が自分についてきてくれたというか、彼も自分と同じ道をたどってくれることの嬉しさだったり、1人じゃないことの安心感だったり…色んな感情が込み上げたんだろうなって思いました。

彼を好きになって良かったと心から思った瞬間なんだろうなというのが伝わってきた表情の変化で、今回はこの表情の変遷を観られたことが一番の収穫です。エスメは今まできっとずっと孤独だったんだろうし、強がってはいたけど「独り」でいることが寂しかったんだと思います。そんな自分と共に人生を歩もうとしてくれる人がいることに、こんな瞬間であれ幸せを抱いたのかもしれません。見せかけの愛ではなく、本当の愛を感じられたんだろうなって。それを感じさせてくれる神永さんフィーバスも最高だったわけですよ…。だから本当に岡村さんエスメと神永さんフィーバスの組み合わせは沼なんです。とても良いものを観させてもらいました。

火炙りのシーンも必死に強がってはいるものの、火を見た瞬間に一気に目がうるうるして泣き出しちゃうのが可愛いし、表情のお芝居が本当に上手いなって再認識した観劇でした。丁寧すぎるほどにお芝居が丁寧で、こんなにもエスメの心情が伝わってくるのは凄いことです。

改めて岡村さんのお芝居の素晴らしさを感じられたし、私自身やっぱり岡村さんのお芝居が好きだなと思えた観劇でもありました。2019年に観たときとはまた違う、さらに魅力的なエスメです。今回も素晴らしいお芝居をありがとうございました!

クロパン:髙橋基史

今回がデビューとは思えないほどの完成度の高さでした。そして何より声がイケボすぎてかっこいい…!髙橋さんがクロパンを演じる時点で絶対にかっこいいだろうなと思っていましたけど、想像の倍以上のかっこよさでした。阿部よしつぐさんクロパンのようなカリスマ性とはまた違うリーダー気質があって、自分を盾にしてでも仲間を守ろうとする義理堅い兄貴という印象です。

お顔も濃いめなのでヒゲが似合うし、髙橋さんってこんなに動くんだ!?と驚くくらい、トプシーではハチャメチャに踊っていました。多分よしつぐさんやワイスさんよりも動くんじゃないかな…?凄く鋭い動きで隙はなく、でもその場にいる人たちを楽しませようとするエンターテイメント性も持ち合わせていて、こっちまでワクワクしてきて観るのが楽しかったです。

1幕のお芝居ももちろん素敵でしたが、個人的に凄く良かったのは2幕のお芝居。奇跡御殿のシーンの冒頭はまるでヴィランのような佇まいで迫力がありました。そういえばスカーやガストンも演じてたっけ?って考えたら納得の悪役っぷりです。私、こんなにこのシーンのクロパンがヴィランに見えたのは正直初めての体験でした。だから髙橋さん凄いな!って思って。

とことん悪役のように立ち回りながらも、奇跡御殿が危険に晒されていると知ってからはシリアスなお芝居に変わり、一気に頼れる兄貴の雰囲気に戻るんです。ここの変化が凄く素敵だなって思いました。「何年かは落ち着けると思ったのに…」というセリフの言い方もわざとらしくなく、本当に悔しさを込めながらも静かに言う言い方で、めっちゃ好きー!ってなりました。髙橋さんクロパンのお芝居すべてが好きすぎました…。

間の取り方も含めて完璧なんですよ。このタイミングで言ってほしい…というところを全部押さえてきて、お芝居で魅せてくるクロパンでした。もちろん歌も素敵でしたが、私としては髙橋さんクロパンはお芝居が圧巻でした。というかこれでデビュー初日なのかと思うと今後が楽しみで仕方ないです。とても素敵なクロパンがデビューしたと思います。デビューおめでとうございました!

まとめ

今回はとても良い公演を観られたと思います。もちろん毎回素晴らしいお芝居を繰り広げられているのですが、観るたびにベストを更新しているような気がして、今期ノートルダムはマジでヤバいです。岡村さんも日々お芝居がイキイキとしていて、観ているこっちまで幸せな気持ちに浸ることができました。岡村さんが思い入れのある役に名前を挙げてるだけあって、エスメのお芝居は本当にしっくり来ます。

とはいえそろそろ岡村さんも抜けるんじゃないか…とヒヤヒヤしているので、観に行けるうちに観に行きたいです。今回で通算196回目の岡村美南さんなので、あと4回観たら200回だよ…!いよいよだわ。

そんなわけで今週も無事に見届けられて大満足。いや、まだまだ見届けるつもりだけど、今回は表情をたっぷりと堪能できたので、改めて岡村さんの細かいお芝居の良さに気付けた観劇でした!

次は17日です。推しは推せるときに推す!ということで、今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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