2022年6月18日マチネ&ソワレ 劇団四季『ノートルダムの鐘』@横浜




ノートルダムの鐘
この記事は約10分で読めます。

キャストの感想

キャストの感想です!

カジモド:金本泰潤(マチネ)

火曜日ぶりの泰潤さんカジモド、本当にお芝居が細かくて大好きでした。声の皺がらせ方も自傷行為も、なんか本当に虐待を受けているかのようなか弱さも持ち合わせつつ、それでも根っからの優しさは失われなくてとってもピュアで。まさに子供のような佇まいは、観ているだけでこちらも思わず笑顔になってしまいそうでした。

今回はMOSが圧巻で、途中少し声が裏返りそうになる瞬間もあったものの、ラストのロングトーンは力強く伸び続け、最後はクレッシェンドしていくようにトドメを刺しに来ていました。カジモドの石のように硬くなった心をまさに表現しているかのような、ずっしりとした歌声は迫力があって素晴らしかったです。

2幕終盤に向かうにつれてどんどんお芝居が熱くなってくるのがたまんないんですよね。カジモドの生命力を感じる瞬間で、エスメを救い出す瞬間の叫びは聞くだけでブワッと涙が溢れ出してしまいました。

その勢いのままフロローのことも投げ飛ばすから、逃げ回る村さんフロローを捕まえて、足が地につかないようにマジで持ち上げちゃうのもすっごくリアル。ここには嘘が一切ないように感じるほど、緊迫した掛け合いが続いていて凄く息を飲みました。カジが本当に怪物になってしまったかのような、そんなおぞましさすら感じさせました。泰潤さんカジモドの本気はマジでヤバいです。ずっと優しくて子供みたいにピュアだったからこそ、終盤との落差が大きすぎて本当に本当にヤバいです。

今回は座席的にもしっかり表情を観られる瞬間は少なかったのですが、その分全体像を追いながら改めて泰潤さんカジのリアルさと迫力を感じることができました。素晴らしい熱演で凄く胸を打たれました!

カジモド:寺元健一郎(ソワレ)

寺元さんカジ、めっちゃ絶好調でした。声の伸びが凄かったです。今週これで出演終わりだから出し切ったのかな。とにかくOTもMOSも圧巻で、ロングトーンも綺麗に伸びていて迫力もあってカジの想いがビシバシと伝わってきました。

寺元さんの歌声は濁りがなくて綺麗で真っ直ぐでクセもないので、すっごく聴き心地が良いんですよね。まるでカジモドの心をそのまま表しているみたいな歌声には、いっつもうっとりさせられます。

寺元さんカジに関してはやっぱり一番好きなのは、エスメの亡骸に縋りつくフィーバスの元へと向かうときの歩き方。これいつ観ても好きというか、泣けるんですよね…。全身の骨が折れた状態で歩くことのつらさやぎこちなさを見事に表現していて、確かにこれまでの歩き方とどこか違うっていうのが分かります。よたよたした歩き方も痛々しければ、フィーバスの頭を優しく撫でる姿も泣けます。そしてそんな華奢な体で、かつ全身の骨が折れた状態でエスメの亡骸を持ち上げる逞しさ。寺元さんカジの良さはこの一連の部分だけでもぎゅうぎゅうに詰まっていると思いました。

マチネで泰潤さんカジを観たあとだから余計に寺元さんカジが華奢に見えたんだけど、内に秘める強さは2人とも変わらないし、こんなに華奢な寺元さんカジが実はすげえ強いっていうギャップは毎回驚かされるわけよ。怪物というより小動物みたいな可愛らしさがあるカジだけど、「綺麗なものには棘がある」じゃないですけどそんな感じなのよ。小動物だと見くびっていたら実は肉食動物だったみたいな衝撃ですよ。2幕終盤で一気に畳みかける力強さの描写はたまらないです。そしてそれをしっかりと感じさせるほどの声量とパワフルさに、いつも強く胸打たれていました。

改めて寺元さんカジの魅力をしっかりと感じられた観劇になりました。公演を重ねるごとにどんどんヒートアップしていくお芝居の数々。今回もさらにレベルアップしていて素晴らしかったです!

フロロー:村俊英

今回も村さんフロローが良すぎて、観るたびにどんどん好きになっちゃいます。村さんフロローのサイコパス感がクセになってるんですよ、完全に。ガツンと聴かせてくるようなパワフルな歌声ということでもなく勢いのあるお芝居というわけでもなく、凄く静かな佇まいなのに、その内に秘められたドス黒い感情が溢れるたびに「好き!」となってしまいます。こんなにフロローに対して「好き!」となったことはないので不思議な感覚で仕方ありません(笑)

ソワレももちろん良かったけど、マチネの村さんフロローが本当に良かった…。言わずもがなヘルファイヤーです。どんどん曲が盛り上がるにつれて村さんフロローの瞳に地獄の炎が浮かび上がっていく様子が本当にたまらない…。目がイカれ始めて、全身が震え出すあの姿は何度観ても鳥肌が立ちますね。凄く好き…。

ソワレのヘルファイヤーは最初のほう、ちょっとリズムに乗り遅れたのかなんなのか心配になる瞬間がありましたが、すぐに持ち直したので安心しました。もちろんソワレもめっちゃ良かったです。ドセン付近で観る村さんフロローのヘルファイヤーの迫力たるや…!カッと目を開くところ、恐ろしかったです。

あと、行ったり来たりでアレですが冒頭のオーリムね。赤子のカジモドを投げ捨てようとしてできなかった瞬間、両手を振り上げて村さんフロローは静かに目を閉じているんですね。泣いているわけでもなく驚いているわけでもなく、凄くただ静かに目を閉じていたのが印象的でした。多分思いとどまった表情だとは思うのですが、村さんフロローらしいなぁって思いました。本当ね、根は凄く真面目なんでしょうね。凄く全うな道を生きようとしていた人。だから道を外したくなかったし、人からバカにされたり指を差されたりすることも怖い。権力に鎮座しながらも凄くちっぽけな人間だなと思いました。

実際村さんフロローって凄く小さいんですよね。器が、という部分ももちろんだけど、華奢って意味かな。泰潤さんカジに持ち上げられて足が浮く瞬間を観ると、「フロローってこんなにちっちゃいんだ…」と思っちゃうわけですよ。万寿夫さんフロローのときはどうだったか覚えてないけど、村さん簡単に持ち上がっちゃうんだもの。なんかそれが凄く儚いというか切ないというか…。人を殺せるだけの権力を持っているわけですが、そんな彼もまた人に簡単に殺されるだけの弱さを持っているんだなと。その皮肉さになんだか泣きそうになってしまいました。村さんフロロー可哀想可愛い。

そして村さんフロローの童貞拗らせ限界オジっぷりがヤバい(ヤバい)。こういう物静かで真面目な人ほど童貞感というか拗らせ感というか限界オジらしさが溢れていてヤバいもんですね。エスメのことが気になって仕方なくて、トプシーで道化の王様を決めようとしているときも遠くからエスメのことをチラチラと見ていて、童貞っぷりが半端なかったです。その後彼女と直接話す機会が何度かありますけど、やっぱり反応がいちいち童貞拗らせオジなんですよね…。リアルすぎてヤバい。

そんなエスメ限界オジこと村さんフロローは、バスティーユでエスメに迫るときにニヤニヤすることに定評がありますが(定評…?)、襲い掛かって押し倒して迫るところもずーっとニヤニヤしてるんですね!気持ち悪かった!!ヤバい!もう完全にこれまでのフロローとは別人のようになってしまって、悪魔に取り憑かれたような表情をしていたのが印象的でした。やっぱりこういう二面性を持つフロローが大好きです。凄く分かりやすいくらいに怖くてたまらなかったわ…。今回は火炙りのシーンもニヤニヤ笑っていたし、怖さと気持ち悪さでいっぱいになって最高に好きでした。

マチソワでたっぷりと村さんフロローのお芝居を堪能できて凄く嬉しかったです。村さんフロロー、さらに好きになりました(*‘ω‘ *)

エスメラルダ:岡村美南

マチソワ共に絶好調でした…。私の贔屓本当に可愛い。顔がイイ…。今回は周辺で「エスメラルダの人歌上手いね~」とか「エスメラルダ可愛いね」とか色んな声が聞こえてきて、誇らしい気持ちでした。うん、分かるよ~~~あれ私の贔屓だからよろしくね~~~~!!!って感じでした。

で、今回はTOTWでの一瞬憂いる表情について改めて気付いた点がありました。以前、TOTWで一瞬憂いた表情をするけどそれは世界の頂上にいながらも非道な現実を思い出してしまうからではないか…とレポで書いたんですが、そうじゃないなと気付きました。要は、エスメがあの場に来たのってカジモドに謝りたいっていうのが理由ですよね。で、謝ることは謝ったけど、カジモドには恐らく届いていなかった。だから多分彼女の中で彼に許してもらえたとはまだ思っていないんですよね、きっと。

でも彼はそんなことよりも自分の友達を紹介してくれたり綺麗な景色を見せてくれたりします。そんなカジに絆されるようにエスメも笑顔になり、世界の頂上から見下ろす景色の美しさにうっとりします。だけどふとカジが自分から離れて背中を向けたり、自分から目を逸らしたり…となんだか避けられているのを感じて、やっぱりまだ許してもらえていないんだと落ち込む。アンジャッシュかな?カジは照れてつい避けるような行動を取ってしまうわけだけど、エスメからするとトプシーでのことをまだ怒っていて許してもらえていないから避けられてるって思ってる。それがまさにTOTWで一瞬憂いた表情をするところに繋がるんだと今回気付きました。

ちゃんと謝らなきゃという気持ちでもう一度振り返ったら、カジが柵に身を乗り出して危険なことをするからハッとして…。泰潤さんカジの場合は柵に乗ってから手を放してワッてやるまでに時間があるので、岡村さんエスメもオフマイクで「落っこちるから!」みたいなことを言っていました。そうやってカジはエスメのことをからかいつつ、ありのままに接してくれる。

だからそんなカジにエスメも身を委ねようと決めたんでしょうね。「もうしょうがないなぁ…」って顔をしながらも、カジのことを否定せずに彼に委ねる。これも一種の愛ですよね。彼に名前を呼ばれたときの岡村さんエスメの「何?」の言い方は凄く慈愛に満ちているし優しいけど、ちゃんとカジを1人の人間として扱ってくれているようにも感じて大好きです。

ひとまず今回の収穫としては、TOTWの憂いた表情の理由をあくまで自分なりにですけどしっかりと正解を導き出せたことですかね。すっごく今更って感じなんですけど。ちゃんと岡村さんもエスメを演じるうえで色々と表情の変化には気を付けているだろうし、しっかりとエスメの心情が伝わってくるような表情のお芝居はいつ観ても本当に凄いと思っています。

ソワレのTOTWでは、向き合って歌う「二人でいる」の部分で寺元さんカジが柵を見ながら指トントンってやったんですけど、そしたら岡村さんエスメもまったく同じように柵に目線を向けながら指トントンってやっていました。もうね…こういうとこよ。仕草も重ねてくるところが、まさにカジとエスメの心が今ピッタリと重なって一つになっていることを表しているようで凄く素敵でした。とってもピュア。こんな素敵なTOTWを正面から観られて幸せでした。

あと特筆すべきはSomeday。マチネは歌い始めの段階からすでに一筋の涙が流れていました。なんか凄く感情的になっていて、流した涙も美しかったです。ここ最近はSomedayの表情の変化についてずっと書いてきているので、自分の解釈が間違っていないかなというのを確認しながら観ていたのですが、1点凄く印象的だった表情が…。

フィーバスがあとを追うように歌い出してくれて、そんな彼を振り返るときに岡村さんエスメがすっごく穏やかな笑顔を浮かべたのが印象的でした。正面を向いて歌うときはずっと強張った表情で歌っていたけど、振り返るときにまるで緊張感が解けたような柔らかくて温かい笑みをね、浮かべて彼に微笑みかけたの。その表情が凄く印象に残りました。あぁ、この瞬間岡村さんエスメの心は救われたんだなって思いました。

ほら、ずっと1人で生きてきた孤独な少女だったわけだし。死ぬことに対しても色々と覚悟を決めようとしていたタイミングだっただろうし、そんなときにフィーバスがそばにいてくれるということを再認識して、彼への愛で溢れて幸せだったのかもしれません。あんな死ぬ直前に穏やかな笑顔を見せられるって凄いことだなって…。あの笑顔を的確に表現できる語彙力が今ない状態なので、ただひたすら劇場で観てくださいとしか言えないんだけど、本当にすっごく良い表情をしていました。あぁ、この人はフィーバスを愛しているんだなっていうのが凄く伝わる表情です。マジで最高でした。この笑顔を観られただけでも、チケット代を払った価値がありました。

今回も表情に注目して観劇していたのですが、本当にこの人は表情のお芝居が丁寧…。昔から変わりません。凄く素敵。なんかね、通算200回を前にして色んなことを思い出しながら観ていたんですよ。感慨深いなって思うこともたくさんあったけど、今も舞台に立ち続ける岡村美南さんは進化はしているけど軸は一切ブレてない。ずっと変わらないお芝居のスタンス。凄く好きだなって思って、胸がいっぱいになっちゃいました。とっても素晴らしいお芝居でした。素敵な時間をありがとうございました!

まとめ

久々のマチソワ、懸念することも心配もなく存分に楽しめて良かったです。連日の寝不足やら体調不良やらでマチソワできるだけの体力が自分に残っているのか不安でしたけど、贔屓が出てればそんなの関係なかったです。むしろ贔屓が活力!たくさんの元気をもらいました。

そしてソワレで2022年30回目の岡村美南さん観劇となったのですが、次はいよいよ通算200回目の岡村美南さんになります。なんだかんだ一途に応援してきたなぁ…って感じですね。そんな回数を重ねられるほど、舞台に立ち続けてくれているんだと思うと、感謝しかありません。

今も元気に舞台に立ち続けてくれて、本当にありがとうございます!今回2公演とも素晴らしいお芝居で魅せられました。これからもどうか客席から見守らせてくださいね。

ということで、次は19日!見納めのつもりでしっかり観てきます。今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました!

2

コメント

タイトルとURLをコピーしました