キャストの感想
キャストの感想です!
オペラ座の怪人:飯田洋輔
約2ヶ月ぶりの洋輔さんファントムでした。また兄が来たら絶対に行こうと思っていたので、ちょうど連休のタイミングで戻って切れてくれて嬉しかったです。以前観たときは2幕終盤のお芝居にやられてボロボロに泣いて帰ってきたんですけど、今回は1幕からしっかりと引き込まれました。
とにかく前回からのブラッシュアップが凄いです!以前観たときってこんなじゃなかったよな…と思うくらい、凄くお芝居そのものが磨き上げられていました。特に感情表現にかなり幅が利いた気がします。以前観たときよりもさらに脆く弱くなっていて、とても人間味のあるファントムになっていました。かなり私好みのファントムです…。
クリスティーヌに仮面を取られたときや失恋したときなど、心が抉られた瞬間のお芝居が凄く細かくなったと思います。惜しみなく自分の弱さを相手に曝け出して、まるで子供が駄々をこねるようにうずくまって泣きじゃくる姿がとても印象的でした。ファントムが誰からも愛されず、誰にも手を差し伸べてもらえず、歪んだまま、子供の自分をずっと心の奥に置いてきた状態で成長したのかなぁ…と思う佇まいでした。ただただ切なかったです。
特にクリスティーヌに仮面を取られたときや天使像のところで歌うAIAOYリプライズ、そして2幕ラストに歌うナンバーでは、声が掠れそうになるほど弱々しい歌い方をしていて胸がギュッと掴まれたような感覚に陥りました。決して喉が不調とかそういうことじゃなくて、感情が昂りすぎて泣きじゃくって声が出なくなるあの感じに近いです。その感情表現がとてもリアルで、本当に切なすぎました。
そして洋輔さんファントムは前回観たときもそうだったんですけど、ボロボロに涙流すんですよね。ここまで人間らしさが滲み出ると本当にしんどい…。確かに顔も醜いし心も醜いけど、私ら人間と変わらないんだよな…と胸が苦しくなります。気持ちの伝え方が稚拙で、だからこそ歪んだ愛情表現しかできないわけですけど、その弱々しさから一転して憎しみでいっぱいになる1幕ラストの怒号とかは凄く力強くて恐ろしさ満点でした。弱いからこそ内に秘めた強さも持っていて、洋輔さんファントムはそこの強弱のコントラストが本当に凄いんです。歌の厚みと声量も関係していると思いますが、やっぱり若さゆえのエネルギーが凄まじいなと思いました。凄く感情の出し方がナチュラルでした。
あと今回めちゃくちゃ良かったのがPont of No Returnから2幕ラストにかけてのお芝居です。特にPONRはクリスティーヌに対して情熱的な愛の告白をしていて、そのときの歌声の熱のこもり方が凄くてグッと来ました。同時に、まだクリスに正体がバレていない段階でクリスと触れ合うところで、嬉しさゆえなのか動揺ゆえなのか手の先からゾッと痺れるような動きで脳みそまで焼かれそうなほどに彼女に恋い焦がれていることが伝わってきて私までゾッとなりました。あ~~~拗らせてる~~~怖いよぉってなりましたよね…。本当に洋輔さんファントム、こういうところも細かくて大好きです。
そして2幕ラスト。指輪を返しに来たクリスティーヌに「I love you」を言うときに、優しい笑顔を見せる洋輔さんファントムが切なすぎました。それからクリスティーヌが去っていったあと、クリスティーヌが脱ぎ捨てたヴェールを手繰り寄せて、愛しむように顔を埋めながら何度も名前を呼んでいたのがまた切なすぎて、胸が押し潰されそうでした。もう本当に終始洋輔さんファントムは切ない…。以前観たときは歌上手いとかそういう感想が先行してたんですけど、今回はひたすら切なかった…。人間的で弱くて脆くてどうしようもない感じが逆に愛しくも思いました。
もちろん歌の上手さに圧倒されまくりでしたし最高だったんですけど、それ以上にお芝居のブラッシュアップが凄すぎてたまらなかったです。特に海沼さんクリスとの掛け合いは本当に熱量が凄くて、感情と感情のぶつかり合いが凄まじくて濃い人間ドラマを見ているようでした。洋輔さんファントム、マジで素晴らしかったです。さらに大好きなファントムになりました。また観られて良かったですし、兄がいる間にまたもう一度観に行こうと思います!
クリスティーヌ:海沼千明
初めましての海沼さんクリスティーヌ、ようやく会えました。『アナと雪の女王』に出演されていたからもう観ることはできないのかなぁ…と思っていたので、このチャンスをものにして無事に観ることができて良かったです。実際に海沼さんをご覧になった方々が絶賛していたこともあり、凄く楽しみでした。
まず顔がちっさい!とても華奢ですし細いし、その見た目だけでも儚さが凄いんですけど、その細身の体からは想像できないほどの声量で凄まじく美しい歌声を出すのがマジで凄すぎてビックリしました。紗衣さんも久保さんも凄かったですが、海沼さんも凄い…。クリスティーヌを演じるのって相当パワーいるだろうなと思いました。そして海沼さんも歌声がとても綺麗で澄んでいて、うっとりしてしまいそうでした。素晴らしかったです。
ちなみにあまりにも華奢だからなのか、ファントムに突き飛ばされてステージに倒れる瞬間が何度かあると思うんですけど、軽々と飛んでいくのでその勢いでステージから落ちないかヒヤヒヤしました(笑)兄ファントムの突き飛ばす力が強すぎるんだか、海沼さんクリスがマジで凄い勢いでステージを滑っていくので臨場感も凄かったですわ…。そういう部分も含めて兄ファントムとの熱量のバランスがピッタリで、常に気合いの入ったお芝居でどんどん引き込まれました。
あとはなんとなく感じたこととしては、紗衣さんクリスがベースになってるのかなぁ…なんて。ところどころで紗衣さんクリスっぽいなぁ…と思う部分もあったので、紗衣さんがお稽古つけてたのかな~とも思ったのですがどうなんでしょう。でも同時に久保さんクリスっぽいところもあって、海沼さんはちょうど2人を足して2で割ったような印象でした。
何より私が海沼さんクリスで一番惹かれたポイントが、感情豊かな点でした。とにかく表情がコロコロと変わるのが可愛らしくて人間的で、どちらかというと少女のようなあどけなさも感じました。だけどただ普通の女の子とはちょっと違うかなぁ…。前回観た久保佳那子さんクリスは普通のどこにでもいるような等身大の女の子っていう感じでしたが、海沼さんクリスはなんとなくどこかの良い家のお嬢様っていう印象はなんとなくあったかも。
私が以前『王子とこじき』でお姫様役の海沼さんを観たときのイメージがまだ残っているだけかもしれませんが、ちょっとお嬢様らしさは個人的に感じました。でも別に気高いわけではなくて、ただ外の世界にあまり触れたことがない感じ?過保護にされているとは言わないのですが、エンジェル・オブ・ミュージックに相当心酔していたので、なんか普通の女の子とはちょっと違うな…って思ったんです。
でもだからこそ本当に純粋で、何かを夢見ているというクリスティーヌの設定もとても説得力がありました。外の世界に対する興味や憧れ、未知の世界への期待といったあらゆるものを感じました。とても表情が多彩で、喜怒哀楽がハッキリしているのが良かったです。
特に、先述したようにエンジェル・オブ・ミュージックに心酔しているときの法悦な表情はとても印象的でした。本当にうっとりしていて、目を閉じて笑みを浮かべていて、まるで体が宙に浮いているかのような幸福感を抱いているようでした。まさにメグが「まるで何かに取り憑かれて~」と歌っていますが、本当に何かに取り憑かれているみたいな印象がありました。それこそ1幕終盤で屋上に行ってからも、エンジェルのことを歌うときはやっぱり法悦な表情を浮かべていて、相当海沼さんクリスの中でエンジェルの存在が大きいんだなということがうかがえます。
それだけ心の支えとなっていたエンジェルに対して、想いに応えられないことを伝える2幕ラストのシーン。指輪を返しにファントムの元へやってきた海沼さんクリスが、今にも泣き崩れそうになりながら体を震わせて顔を歪ませて、上半身が支えきれないのか倒れこみそうになりながら「ごめんなさい」とでも言うように頭を下げて首を横に振って去っていったのがとても印象深かったです。本当にエンジェルのことを信じていたし、心を捧げていたんだなぁ…ということが痛いほど伝わってきました。ラストのこのシーンは洋輔さんファントムのお芝居も合わさって、本当にしんどすぎましたね…。
だからね、海沼さんクリスを観ているとファントムと結ばれる未来があっても良かったなぁ…とも思ってしまいましたし、マジでファントムが可哀想になっちゃいました。ファントムにとってはこれ以上ないくらい嬉しかっただろうなって思うくらい、ファントムに対する信仰心が凄いクリスティーヌでした。そういう意味でも本当に海沼さんクリスのお芝居が凄く素敵で、私好みだったので一気に引き込まれました。
他にも素敵!と思うポイントはたくさんあったんですけど、あまりにも多かったので正直書ききれないです(笑)あとは私の脳内キャパも簡単にオーバーしたので、また海沼さんが出演しているときに観に行きたいと思っています。とにかくめちゃくちゃ素敵でキュートなクリスティーヌでした!戻ってきてくださって、ありがとうございました!
メグ・ジリー:松尾優
去年ぶりの松尾さんメグ!直近では五所真理子さんメグしか観ていなかったので、久しぶりに松尾さんメグを観て「こんな感じだったっけ~!」ってなっていました。というか、そもそも以前はメグをしっかり観る余裕もないままだったので、しっかりと松尾さんメグを松尾さんメグとして観たのは今回が初めてです…。
松尾さんも五所さんと同じく凄くキュートで可愛らしいメグでした。松尾さんって女子アナの誰かに凄く顔似てる気がするんですよね、なんか既視感のあるお顔立ちだなって思ってます。上品だけど気さくな印象はあって、五所さんメグよりもかなり現代的なメグって感じ?五所さんは良い意味であの時代に凄くマッチした古風さがあるんですけど、松尾さんメグはアップデートをかけてより現代に親しみやすい要素が加わっている印象がありました。「お稽古ばっかり」の言い方もさっぱりしていて、そのちょっと冷めた感じがめちゃ現代の若者に通じるところあって個人的に凄く好きなポイントでした。
加えて歌い方とかもお芝居そのものも弾けていてとてもフレッシュなので、クリスティーヌと同年代またはちょっと年下な感じに見えるのも良かったです。五所さんメグは完全にお姉さんタイプだから、クリスを気にかけてくれる少し年上のお姉さんっていう印象でした。そういうところもそれぞれの違いがあって面白かったです。
あとは松尾さんメグ、ちょっとボーイッシュな衣装がとても似合っていて可愛すぎました。マスカレードの衣装も似合っていたし、2幕ラストのパンツスタイルも似合っていたし、モデルさんみたいでした。メグの衣装めちゃ好きなので、とても眼福でした…。
マダム・ジリー:戸田愛子
お久しぶりの戸田さんマダム!今年に入ってからは木村智秋さんのマダムしか観ていなかったので、戸田さんマダムってこんな感じだったっけ~と逆に新鮮でした。
改めて観ると、とても冷静沈着ですね。以前観たときは凄く厳格なイメージばかりあったんですけど、木村さんマダムの冷酷で感情的なお芝居を観たあとに戸田さんマダムのお芝居を観ると、以前観たときとは全然感じ方が変わりました。確かに厳格だしミステリアスな一面はあるんですけど、でも節々に優しさと温かさが感じられてとても良かったです。ちゃんと教え子1人1人を見てくれていて、しっかり向き合ってくれている印象でした。
あとは映画版を見てマダムとファントムの関係性を知ることができたので、マダムのあらゆる謎も解消されて、違和感なく観られたのが大きな変化かもしれないです。ファントムのことを理解したうえで、クリスティーヌのことを凄く気にかけているのが本当に優しくて、いてくれると心強い感じがしました。このタイミングでまた戸田さんマダムを観られて、自分の感じ方をアップデートできて良かったです!
ムッシュー・フィルマン:村俊英
初めましての村さんフィルマン!村さん自体かなり久しぶりに拝見したような気もするんだけど、相変わらず素敵なお声ですね…。と思いつつ、「なんかCDのフィルマンの人に声すげえ似てるな…」ってなりながら観ていたんですけど、ロングランキャスト版のCDのフィルマンも村さんだったんですね!?ビックリだよ!!(全然知らなかった)
どうりで村さんフィルマンの声と歌い方がすげえしっくり来たわけだわ…。そりゃ、観劇前も家から劇場に向かうまでの道中でCDを聴いていましたからね。私なぜか勝手にCDのフィルマンは光枝明彦さんだと思っていました。ごめんなさい(笑)
で、聴き馴染みのあったまさかのCDキャストだったこともあって本当にすんなりと観ていました。そしてあれから30年近く経とうとしているのに全然声が衰えていなくて凄いですね。村さんの低音で厚みのある歌声が増田さんアンドレの高めの声と対照的で、とても映えていました。
平良交一さんのフィルマンは不愛想っていうイメージでしたけど、村さんのフィルマンは不器用って感じがしました。不愛想でもあるし無礼でもあるんだけど、それらをすべてひっくるめてとても不器用だなぁ…って。平坦な喋り方もこのキャラクターには凄く合っていたし、ちょっと性格ひん曲がっているし、実際にこういうおじさんいるいるって思うようなリアリティもあるし、変に親近感が湧きました(笑)
なのに凄く可愛いってのがずるいです。平良さんフィルマンも可愛いけど可愛いよりダンディさのが勝るイメージだったので、村さんフィルマンはひたすら可愛いに振り切っていてキュンとなっていました。個人的に凄く好きなキャスティングだったので、観られて良かったです!
まとめ
ということで、まだまだ知識が浅いなりに自分でもよく分からん熱量の高さでレポを書いていました。とにかく洋輔さんファントムと海沼さんクリスが凄かったです…ということが伝われば十分です。他にも色々と印象に残ったポイントはたくさんあったし、アンサンブルも高井治さんをはじめ、歌うまさんであったり気になった人とかたくさんいたし、レポ書きたいことはいっぱいあったんですけど、もう全部ラストでかき消されましたよね…。
いやもう、オペラ座は観るたびにどんどん好きなポイントが増えていくんですよ。そしてどんどん作品の深みにハマっていくんですよね。以前フォロワーさんに「ゆうきさんは絶対にオペラ座ハマると思います」って言われたんですけど、本当にその通りになりました。あとからじわじわと来る中毒性にやられています。ALWの美しく不気味なナンバーにも中毒でやられていますし、キャラクターの関係性にもやられました。
本当に奥が深い作品なので、知識が増えていけばいくほどどんどん魅力に気付いていって、引き込まれてしまいます。そしてキャストの組み合わせで全然違う印象を抱くから、それもたまらないですね。オペラ座はマジで実力者しかいないのでどんな組み合わせで観ても凄い化学反応が起きて、歌唱力でぶん殴られるので、いつ観ても満足度が凄いです。今回も本当に大満足でした!
次はまだ未定ですけど、もう千穐楽まで半年くらいなので悔いのないように観に行こうと思います。まずは兄と海沼さんが連投であれば来週も行こうかな。チケットさえ取れれば!凄い組み合わせだったので、ぜひ皆さんも観てみてください!マジでオススメです!
拙いレポでしたが、最後までご覧いただきありがとうございました!
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