2021年12月22日ソワレ 劇団四季『ロボット・イン・ザ・ガーデン』初日




ロボット・イン・ザ・ガーデン
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キャストの感想

キャストの感想です!

ベン:田邊真也

やっぱり田邊さんのベン大好きです~!久々に観ても田邊さんベンの優しさや温かさを感じられて、凄く安心感でいっぱいになりました。新演出でベンのバックボーンや心情の深掘りがあっさりと描かれるようになってしまったのが非常に残念ですが、田邊さんのお芝居はとても丁寧なのでベンの苦悩や感情の揺れ動きはしっかりと伝わってきました。

程良い程度に疲弊している様子もあって、人生に疲れ切った中年男性らしさもあって良かったです。ベンはまんま田邊さんというか…。このあと山下啓太さんがデビューを控えていますけど、全然想像がつかないくらいベンと言えば田邊さんなんですよね。佇まいも雰囲気もセリフの発し方も表情も全部ベンそのものなので、キャラクターがとても生きていて説得力がありました。

今回特に印象に残ったのはボリンジャーとの対決で、タングが銃を相手に向けたのを咎めるお芝居です。前回公演でも迫力と凄みのあるお芝居をしていましたが、それだけじゃなくて相手を思うからこその真剣さと「これ以上大切なものを失いたくない」というつらさも感じられました。

新演出はベン関連でかなりカットが多かったですけど、田邊さんベンにとっては前回公演からずっとタングとの旅は続いているんだなぁ…って思ったんです。これまでの積み重ねがあったからこそ、こうしてタングと対峙してタングにそんな言葉をかけられるんだろうなというような感じで、田邊さんベンが紡ぐ言葉一つ一つにずっしりした重みを感じました。だからやっぱり田邊さんは凄いです。

そしてゆきみさんエイミーとの並びも絵になるしお似合いだしで凄くほっこりしました。久しぶりに田邊さんベン×ゆきみさんエイミーの推しカプを観られて幸せです。何よりまた田邊さんがベンを演じてくださって感謝しかありません。田邊さんだからこそベンがここまで魅力的になったと思います。大好きなキャスティングだったので、また田邊さんベンを観ることができて嬉しかったです!

タング:生形理菜/渡邊寛仲

久しぶりのうぶちゃん&渡邊さんタングー!とても懐かしさが込み上げましたわ。そして相変わらずうぶちゃんタングは子供っぽくて可愛いです。

先述したように、新演出では冒頭からタングがかなり滑らかに喋っていました。これがうぶちゃんのお芝居がただそうなっただけなのか、あえてそういう意図で演出が変更になったのかは分かりませんが、とても不思議な感覚です。機械的な喋り方がどんどん滑らかになっていくことでタングの成長を描いていたと思うんですけど、どうなんだろうなぁ…。

かなり学習が進んだ段階のロボットっていう印象もありましたが、それでもタングが可愛かったことに変わりはありません。ところどころ小芝居が変わっていて、「フライドエッグ~」の言い方がドラえもんみたいになっていたりと笑いどころもありました。とにかく凄く可愛い。2幕終盤の「ロボット・イン・ザ・ガーデン」ではうぶちゃんが泣きそうになるのを一生懸命こらえながら歌っていた姿も印象的でした。

あとこのペアは声の相性が良いのか、ハモると凄く声が綺麗なんですよね。声の高低差が上手い具合にマッチして、機械っぽさも出せるし、一体感を持たせて1つの音色を完成させることもできる。だから聴いていてとても心地よかったです。かなり久しぶりのうぶちゃん&渡邊さんタングでしたが、キャストも演出も結構変わってしまった中でタングにおいてもオリキャスで観ることができて嬉しかったです!

エイミー:鳥原ゆきみ

大好きなゆきみさんエイミーにまた会えて嬉しかったです~!前回公演でゆきみさんエイミーにゾッコンになってしまったのもあり、今回は贔屓がWキャストとしてキャスティングされているのもあってエイミーの動線をじっくりと観察していました。

以前からゆきみさんは結構やりたい放題でしたけど、新演出版になってそれがさらに加速していました(笑)正直どこまでが演出でどこからがゆきみさんのアドリブなのか分かりません。それくらいエイミーがイキイキしていたので、観ているこっちまで楽しかったです。鼻歌も歌っていたんですけど、気に入ったのか色んな場面で同じメロディを歌っていました(笑)

コミカルな一面もありつつ、女性としての可愛さももちろん持っています。飾らない美しさと可愛さがあって、フェミニンで柔らかい雰囲気を持っていて、相変わらずの泣き虫。つい守ってあげたくなってしまうような庇護欲を掻き立てられました。多分私の贔屓が演じたらこのような感情を抱くことはないんだろうなぁ…と思っているので、ゆきみさんエイミーならではの印象だと思います。

同時に凛々しさも持ち合わせていて、1幕冒頭のベンとまだ険悪な関係だった頃のゆきみさんエイミーは凄く強い瞳をしていました。達観しているって言うんですかね。諦めと決心と自立と、色んなものを見据えて女性として強かに生きていかないといけないと覚悟したような…そんな強い表情をしていました。このカチッとした雰囲気が、物語が進むごとにどんどん柔らかくなっていくのはエイミーの特徴ですね。ゆきみさんエイミーのギャップにはいつも惚れ惚れしています。

あと、新演出によってエイミーも踊るシーンがかなり増えたのでバリバリ踊るゆきみさんを初めて観ることができました!昔はアンサンブルもやられていましたし、そりゃ踊れるか…とは思いますが、なんとなくおしとやかなプリンセス系のイメージが勝手にあったのでここまで踊れるのか…とビックリしました(笑)めっちゃ可愛かったです。色んなゆきみさんを堪能できるからロボットはマジコスパいいですね。

2幕ラストは相変わらずぐずぐずに泣いていたし、何だかんだでベンのことが大好きでたまらないゆきみさんエイミーに愛しさが募りました。この役を贔屓もやるんだなぁ…と思うと感慨深いですが、大好きなゆきみさんエイミーをまた観ることができたので大満足です!

ボリンジャー:野中万寿夫

万寿夫さんボリンジャーの恐ろしさは健在でした。なんなら前回公演よりも凄みと迫力に拍車がかかっていて、よりヴィランとしての存在感を見せつけていました。ボリンジャーとして登場してからの万寿夫さんのお芝居は特に見入ってしまうほどでしたし、言葉一つ一つを重々しく、冷たく言い放つ、人間としての温かさの欠片もないようなお芝居は最高でした!

万寿夫さんほど作中で振れ幅の凄い役を演じている方もいないでしょうし、ボリンジャーとしての一面とベンのパパやパイロットなど温厚な男性としての一面とでのギャップも大きくて驚かされるばかりです。演出変更によってパイロットの見せ場とかちょこちょこ削られちゃったかなーという印象はあったのですが、それでもどこにいても万寿夫さんと分かるくらいのインパクトはあったので観ていて楽しかったです。

あと、個人的に感じたこととしては1幕のベンのソロナンバーがカットされてしまったことでパパとママの回想シーンで万寿夫さんパパが言う「人はいつでも生まれ変われる。心決めたら世界は変わる」みたいなセリフはやっぱり曲ありで聴いたほうがしっくり来ます。曲に乗せられて放たれる言葉だからこそドラマチックさが増すんですけど、なんかもったいないなぁ…って思っちゃいました。

なので万寿夫さんの見せ場が結構削られてしまったのが残念で仕方ないのですが、ボリンジャーとして登場する場面では魅力を存分に発揮されていたし四季を代表するヴィラン俳優(?)としての存在感が凄かったので、圧巻でした。やっぱりオリキャスいいですな…安定感が凄い。久々に万寿夫さんのお芝居をガッツリ観られて楽しかったです!

カトウ:小林唯

デビューの唯くんカトウ!オリキャスが萩原隆匡さんだったので、かなりフレッシュになったというか印象がガラッと変わりました。まさか唯くんがカトウやるとは思っていなかったのでとてもビックリしているし、観てみたら意外といいな…となりました。まずはデビューおめでとうございます!

冒頭のセールスマン?は唯くんのキレの良さが存分に発揮されていてとても良かったです。胡散臭さは萩原さんのほうがありますけど、唯くんのエリート感もさすがでした。そしてやっぱり唯くんは歌うめえ…。

個人的にはマッスルカーの金髪の兄ちゃんがあまりにもチャラさ全開でピッタリ似合っていて笑いました。唯くんこういう役上手ですな(笑)萩原さんが逆に違和感ありありだったのかもしれませんけど(笑)ベンが必死に助けを求めているのに聞く耳持たずでノリノリで踊っていた萩原さんとは違って、唯くんは上手側の階段に寝そべってスマホいじっていました。そういうとこめっちゃ若者ー!!!

「ラブ・ダイバー」はやっぱり萩原さんのセクシーでダイナミックなダンスを観てしまうとやや物足りなさはあるものの、唯くんのかっこよさと鍛えられた筋肉から感じられる男らしさが全面に出ていたので思わずドキッとしてしまいました。こんなにガッツリ踊る唯くんもそこまで観てこなかったので新鮮で観ていて楽しかったです。

そしてカトウ。若返ったのもあって、人生の経験とか重みとか貫禄という部分では少し青さがあるのもの、若くしてエリートの道を歩んでいったんだろうなぁ…と思わせる苦労はそれなりに感じられました。真面目すぎるほど真面目でどこか可愛らしい不器用な萩原さんカトウとは違い、唯くんカトウは器用な印象です。デビュー間もないからか、ちょっとお堅い印象があったので、演じていく中でどんどん柔らかくなっていくといいなぁ…と思います。

でもデビューとは思えないほどの完成度でしたし、萩原さんとは違ったカトウのアプローチだったので凄く新鮮で観るのが楽しかったです。あ、あとやっぱりスマホをシュッシュッてやる仕草は唯くんのほうがしっくり来ますね(笑)両者のカトウ、どちらも愛しいですなぁ。今後の唯くんカトウのお芝居の変化も楽しみにしたいと思います!

リジー:相原萌

萌さんリジーの愛くるしさは健在でした。リジーのときのお芝居と、マイクロンシステムズのアンドロイドの女性のときのお芝居とで声色を大きく変えてきているの今更ながらじわじわ来ています。マイクロンシステムズの女性のお芝居がめちゃくちゃ好きで、声色も特徴的だし動きもキレッキレで面白いし、ついつい観てしまうんですよね。

下手側で低姿勢になってパソコンをタイピングする動きもするんですけど、その瞬間にカタカタいうだけじゃなくてちゃんとパソコンが動いているかのような音も聞こえてきたんですよ…幻聴かな…(笑)とにかくキレッキレの萌さんの動きはいつ観ても面白いし凄いしで大満足でした。

そしてリジーのお芝居ですが、くしゃっとした笑顔が似合う明るい女性で相変わらず素敵でした。個人的に今回の新演出で好きだなーと感じたのが、上手側にベンとリジー、下手側にエイミーとロジャーがいてそれぞれ物語が同軸で展開していくシーンでのハグの瞬間。ちょうど2階席で引いて観ていたからこそ、今回の新演出でハグのタイミングが両者同じだったのがグッと来ました。ベンとエイミー、それぞれ離れた場所で違う人とのひとときを過ごしているんだけど、やっぱり2人はどこか繋がっているかのような…運命的な演出がたまらなかったです。その後、萌さんリジーがベンにキスしようとしてハッとなって照れ隠しをするような「カイル!」の言い方がめちゃんこ好きでした。

あとは「砂の街のカイル」で泣きそうになりながらカイルとタングを見つめていた萌さんリジーの表情にグッと来ました。萌さん、本当に表情が良い…。表情のお芝居が最高に好きです。等身大で飾らないオリキャスの萌さんリジーを再び観ることができて嬉しかったです!

ブライオニー:町真理子

デビューのまちまりさんブライオニー!オリキャスのあゆ美さんブライオニーが大好きだったので今回公演であゆ美さんがキャスティングされていないのが残念で仕方ないのですが、まちまりさんのブライオニーも凄くかっこよくて歌が上手くてしっくり来たので、とても良い人がデビューしたなぁ…と思いました。

正直なことを言うとね、まちまりさんブライオニーと田邊さんベンだと姉と弟っていうより妹と兄っていう感じはするんですけども…!でもまちまりさんの姉御肌な感じや頼れる佇まい、ずっしりと構えた貫禄がその違和感を緩和していたのでさすがでした。とにかくかっこいいです。姉御肌なお姉ちゃんって感じなので、すっごく好きでした!

ダンスのキレも抜群でしたし、長手さんデイブとの絡みも面白かったです。確か最初はお互い離れたところから投げキッスしたんだか手でハートを作ったんだかで愛情アピールして、そこから近づいてハグしてたんですよ。バカップルっぷり全開すぎて笑いました(笑)やっぱりブライオニー&デイブ夫妻の絡みはいつ観ても大好きです。

あと「サンフランシスコAM4:00」と「ラブ・ダイバー」もキレッキレでかっこよかったです。女性としての色っぽさとか気だるさの表現はやはりあゆ美さんブライオニーが忘れられないんですけどねぇ。でもまちまりさんブライオニーもお芝居が新鮮でオリジナリティもあって、好感度だだ上がりでした。

個人的にめっちゃ好きだったのは「Free Free」でのゆきみさんエイミーとのハモリ。めっちゃ声の重なりが綺麗だったんですよねー。あゆ美さんのときも綺麗だったけど、それ以上に声の一体感があってずっと聴いていたいと思ってしまいました!ゆきみさんエイミーとの格闘(?)も面白かったし、ここの2人のやりとりは今後も注目していきたいところです。

そもそもブライオニーというキャラクターが大大大好きマンなので、そんな思い入れがある役をまちまりさんが素敵に演じてくださって安心しました。オリキャスのあゆ美さんがとにかく大好きだったから受け入れられなかったらどうしよう…という不安もあったんですけど、その不安は必要なかったです。本当に素敵なブライオニーでした。皆さんにもぜひ観ていただきたいです!これから演じていくにあたってどんどんナチュラルかつ柔軟になっていくでしょうし、今後のブラッシュアップに期待です!

まとめ

満を持していざ初日を迎えてみたら新演出に衝撃を受けまくりな観劇となりました。まさかここまで変わるとは~って感じなのですが、他の作品も演出の変更を繰り返して今のカタチになったものもありますし、こうやって変わっていって受け継がれていくんだなぁ…と複雑な気持ちを抱いています。

変化を好む人と安定を好む人がいて、私は後者なんですけど、でも変化も悪いことだけじゃないしどんどん良い方向に進むなら変わるべきなんですよね。ただ、今回はどうしても初演の思い出があってそのときの想いが強く残った状態で観てしまったのもあったからか、自分の中で未だに受け止めきれない部分があります。でもこれは観ていくうちに受け入れられるようになっていきたいし、慣れていきたいなとも思います。

『ロボット・イン・ザ・ガーデン』という作品そのものはとても素敵だし、私自身色々と考えさせられたし泣かされてきて感情を突き動かされてきたので、これからも観続けていきたいなと思っています。それこそ贔屓のデビューが控えていますから、通うつもりですし(笑)

そんな中でオリキャスもいて新キャストもいて、懐かしさと新鮮さとが入り混じったような新生ロボットカンパニーの初日を見届けられたことは私にとっても大きな思い出となりました。観劇しているとお客さんたちの戸惑いとか興奮とかもなんとなく感じ取れるんですよ。みんながみんな同じ思いを抱いているわけではないでしょうけど、観客の皆さんもこの日を待っていたかのように拍手にその想いが込められていたのでとても心がほっこりしました。

やっぱりね、観ているとオリキャスいいなーってなったからオリキャスが出演しているうちに何度でも観たいなと思います。もちろん岡村美南さんのデビューも待ち遠しいですから、いつデビューしてもいいように心の準備だけはしておきたいです。チケットは全然持ってないんだけどね(笑)

ということで、次は年明けになるかと思いますが東京公演も通いたいと思います!岡村美南さんがデビューされたら見届けるつもりではいますので、どうか皆様温かく見守っていてください。

今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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