2022年1月22日ソワレ 劇団四季『ロボット・イン・ザ・ガーデン』




ロボット・イン・ザ・ガーデン
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ゆうき
ゆうき

東京公演My楽です!

日時:2022年1月22日ソワレ公演
場所:自由劇場
座席:S席1階6列11番




はじめに

東京公演My楽です!月曜日のキャス変で岡村美南さんが抜けたのはちょっとビックリでしたが、最後に再び田邊真也さんと鳥原ゆきみさんのオリキャス夫婦が観られるのはとても嬉しかったです。Wキャストになったことで、この俳優さんの演技ってこうだったんだなぁ…と再評価できるようになったので、山下さんと岡村さんを経てのオリキャスが自分にとってどんな発見や変化をもたらすのかも凄く楽しみでした。

そんな中、コロナが猛威をふるい『アンマスクド』も『アナと雪の女王』も『アラジン』も公演中止になったり…と四季にも影響が出てきています。この作品がどうか無事に千穐楽を迎えらえることを祈りつつ、いつも以上に感染対策を万全にしながら見届けてまいりました。

今回は配信のカメラも入っていたのでご自宅でご覧になっていた方もいるとは思いますが、私も実際に劇場で観てきた身として感じたことや発見したことをレポしていきたいと思います。まあほぼほぼエイミーのことばかりになりそうですけどね!(いつも)

一応記念に撮ってきた(笑)

そして今回のタングたんはマイクを持っていました~!めっちゃ可愛い~!タングたんも歌うのね…。いっぱい好きな歌歌ってね。タングたん。

あ、1点!ここ最近たくさんのweb拍手をいただくようになり、コメントもたくさんいただくようになりましてむせび泣いております。コメントをくださる方々に向けてなのですが、「定型文」というところを開くと「返信希望/不要」を選択できるようにしてみましたので、返信欲しいな~という方がいましたら「希望」を選択していただけますと嬉しいです!コメント返信は該当記事の下部にあるコメント欄にてお返ししますね!特にいらない場合は空欄のままで大丈夫です◎

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では、東京公演そのものの総括もしつつオリキャスとセカンド組の印象の違いなどにも触れつつ書いていきますので、多分どうせまた長くなるかと思いますが、どうぞ最後までご覧くださいませ~!

総評

全体の感想です!

キャスト:★★★★★
座席:★★★★★
全体:★★★★★

やっぱりオリキャスって凄いな!と再認識しまくりの公演でした。セカンドキャストと全然違うのね。いや、分かっていたつもりだったんですけど、改めて観てみると違いが色濃く出ていて凄く面白かったです。同じ作品なのに全然違うのよ。キャラクターの印象も作品のテーマそのものも。でもオリキャスを観た瞬間の安心感と言いますか、「あ~これだよこれ!」みたいなしっくり来る感じはありました。やっぱり体に馴染んでいるのよ、オリキャスのお芝居って。

私、前回のブログで20,000文字近くセカンドキャストのチェンバーズ夫婦について熱弁したのですが、今回のオリキャス夫婦を観てみると「山下さんベンはこうだったんだ」とか「ミナミーってもっとこうだたのかも」とか気付かされるポイントも多々あって、正直あと10,000文字くらい加筆したいです(笑)

一応、該当のブログはこれです。マジでくそ長いのでお時間あるときにでもよろしければご覧ください。

だからもう田邊鳥原チェンバーズ夫妻と山下岡村チェンバーズ夫妻はまるで違いました。なんなら真逆と言ってもいいんじゃないかってくらい、お芝居のアプローチが全然違っていて新鮮。あとは久々にコーリー役がカイサータティクさんだったり、ロジャーが五十嵐春さんだったり、バイプレイヤー2枠が本城裕二さんだったりしたので、余計に馴染んだ…。懐かしさと同時に新鮮さもあって、先週まで観ていたものとは同じ舞台には見えなかったです。こういうところが複数キャストの醍醐味だなぁ…と思いました。

そして改めて感じたのは田邊さんもゆきみさんも、お芝居が自然体だっていうこと。もちろん役作りをしているとは思うのですが、その日その日のベンとエイミーを演じているなというのがとても伝わってきました。初演の頃から毎度細かいお芝居が変わる、なんてレポをしょっちゅうしていましたけど、まさにそれなんですよ。鮮度が非常に高い。言い方だけは悪いんだけど、毎回行き当たりばったりのお芝居っていう感じで、予測がつかないんです。だから凄くリアルだし「生きている」感じが伝わってきました。これが田邊鳥原ペアの凄いところだと思います。

そういう意味では山下さんと岡村さんはしっかり考えて考えて作り込んでお芝居していたんだなぁ…と。前回のブログにもそうやって書いたけど、改めてそうだったんだなと気付いたんです。田邊さんは田邊さんの自然な感じでベンを演じていたし、ゆきみさんはもうそのままゆきみさんがまんまエイミーになった印象でした。特にゆきみさんのエイミーなんかは節々にゆきみさんだなぁと思わせるポイントがあって、その狙っていない感じが逆に面白くてたまらなかったです。

そして初演からずっとシングルで演じ続けてきたのもあって、2人の息がピッタリ。熟年夫婦と表現してもいいんじゃないかってくらいの風貌でした。結婚10年目は迎えてそう。逆に山下岡村ペアはまだ結婚3年目くらいの初々しい夫婦って感じですね。

雰囲気もディテールも何もかもが両ペア違うので、観ながら「人の数だけ家族や愛のカタチがあるんだなぁ…」と思いました。お芝居ですから正解はないですし、人それぞれに個性があっていいと思うんですよ。夫婦という関係性を演じるにあたって、全員が全員同じよりも俳優さんによって異なっていたほうがむしろ良い。だって、人と人が出会って夫婦になりますから、色んなカタチがあって当然なんです。なので今回の田邊鳥原ペアを観て改めてこのペアが大好きだと感じたし、山下岡村ペアも大好きだなぁ…って再認識できました。

なかなかWキャストって両方を同じくらい好きになれることがあまりなくて、どうしても比較して優劣をつけてしまいがちなのですが、こんなにも「両者違ってどちらも良い」と思えたことはないかもしれません。それくらい本当にどちらも大好きです。魅力がこんなにもそれぞれ異なるからこそ、どちらも凄く愛しいなと思いました。

で、今回の東京公演初日に観たときとはまたお芝居の雰囲気もところどころ変わっていて、田邊さんベンもゆきみさんエイミーもどんどん進化し続けていっているのを感じます。この2人の場合だと、田邊さんベンは「時が止まってしまった無気力な男性が人生を再起動させる旅に出かける物語」、ゆきみさんエイミーは「もう一度ベンに恋をする物語」というテーマに沿ってお芝居している印象がありました。かなり原作寄りな夫婦です。

元々自分の体にオリキャスのお芝居が染み込んでいるのもあって、いざ終演してみるとちゃんと一緒にベンやタングと旅をしたなぁ…という感覚になりました。やっぱり田邊さんベンは凄いです。いい歳した中年男性が無気力で時が止まったままになってしまっている様を見事に表現していたし、旅をしたことで人生が再起動したっていう説得力もありました。もちろん山下さんベンのアプローチも大好きですが、田邊さんベンはまさにベンだな…という感じでした。ベンの人生を生きている人でした。

1幕冒頭の倦怠期を迎えているシーンもオリキャスとセカンドとで全然印象が違います。オリキャスの田邊さんベンとゆきみさんエイミーはお互いに遠慮がないんですよね。思ったことをズバズバ言い合える関係性だなぁって思ったし、とにかくゆきみさんエイミーが強いので田邊さんベンが尻に敷かれている状態。ミナミーのときみたいに「ベンの面倒を見てあげている」という感じはまったくありませんでした(笑)

でもこの遠慮のなさが熟年夫婦らしさを強調していて、お芝居のテンポを良くしてくれている気はします。もう長年連れ添っているからお互いの嫌な部分も分かり切っているでしょうし、ゆきみさんエイミーはベンに対して愛想を尽かしているのがとにかく伝わってきました。ベンに対して容赦なさすぎてむしろ笑ってしまいます(笑)だから険悪な雰囲気という意味では田邊鳥原ペアのほうが断然強いです。エイミーが家出ていくのも「だよねー」みたいな感じで受け止められるというか。

山下岡村ペアはミナミーがあまりにも寂しそうなお芝居するので観ていると心臓が引き裂かれそうになるくらい切なくなってしまう。田邊鳥原ペアよりもマイルドですが、エイミーが離婚を決断してからのズドーンとした重い空気はこちらのが圧倒的に強いです。ミナミーがベンに愛想を尽かしきることなく、まだ彼を好きなまま家を出ていってしまうから余計に。

なので1幕冒頭のシーンだけでも田邊鳥原ペアのお芝居の雰囲気がセカンドと全然違うんだなぁ…というのを再認識して、凄く楽しく観られました。田邊さんもゆきみさんも細かな変化や現象を見逃さずに拾ってお芝居するのが本当に凄いんですよね。オフマイクの多さもそういうところに影響していると思います。

で、早速笑っちゃったのがタングがエイミーが持っているテイクアウトのコーヒーをぶちまけるシーン。ここ、毎度田邊さんとゆきみさんのアドリブのような掛け合いが面白くて大好きだったんですけど、今回はコーヒーをぶちまけられたことでゆきみさんエイミーが「あああああああ!」って断末魔のような叫びをあげたんですよ。それがもうまんまゆきみさんで笑っちゃいました(笑)

ゆきみさんって素がめちゃくちゃ面白い人なので、改めてエイミーのお芝居を観てみると至るところにゆきみさんらしさが表れていてついつい笑っちゃう瞬間が多くて。エイミーがこんなにもコミカルな女性だと思ったことはないので、ミナミーを経て再評価できたポイントかなとも思います。

そしてエイミーが家を出て行ってからの2人の関係性も山下岡村ペアとは全然違ったので凄く興味深かったです。田邊さんベンはタングを直すという目的と同時に、人生を再起動させてもう一度エイミーとやり直すという目的も合わせて持ちながら旅をしている印象がありました。だから1幕ラストでエイミーと電話をするときに、エイミーに「旅を続けてるのね」と褒められたときにパァッと嬉しそうな表情を浮かべるんです。彼女に褒めてもらえたことの嬉しさと、彼女とまたやり直せる可能性があるかもしれないっていう淡い期待を抱いてのこの表情だと思います。

ベンにとっていかにエイミーが愛しい女性だったかを、田邊さんの表情を通して感じられるのがオリキャスの大好きなポイント。久々にこの田邊さんベンの表情を観られて幸せでした。

一方でゆきみさんエイミーは、ちゃんと一度愛想を尽かしているのが良いなと思いました。もちろん後ろ髪を引かれる思いはあっただろうし、ブライオニーの家で「ベンが迎えに来てくれるんじゃないかって」なんて言いますけど、それでも顔を上げちゃえば前を向ける人だなっていう印象を強く抱きました。なのでロジャーと出会ってからも新しい恋に踏み出してみようと前向きになるし、自分のために明るい未来のために前に進み続けようとしていました。

ベンと別れてからのエイミーのアプローチもゆきみさんと岡村さんとで全然違って、ミナミーは「前を向いて歩きたいから!」なんて言って家を出ていきましたけど、ベンのことが好きなままだし彼を忘れるなんてことは到底できなくて、いざ前に進もうとするとそのたびに寂しさが込み上げてしまう人です。その点はまさにゆきみさんエイミーとは真逆なので、この違いも観ていて面白かったです。

このアプローチが違うから、もちろんロジャーとの掛け合いも全然印象違いました。ゆきみさんエイミーはベンとのことは過去のこととして笑い話に昇華できていたので、新しい恋ができる予感を抱いていたけど、いざロジャーにキスされそうになって最初は受け入れようとするけど直前で「やめて」と彼に告げたのが印象的でした。ここで初めて、ベンへの想いを再認識させられたのかなぁ…って思いました。

ミナミーはもう未練たらたらなのでロジャーと話していても彼のことばっかり考えちゃってる感じがビシバシ伝わってくるから、ロジャーがあまりにも可哀想(笑)でも、ベンへの想いに気付かされるというプロセスも両者全然違うので凄く面白かったです。

そのあとのベンとの電話のシーンで「あなたは前を向いているんだ」とベンに告げるエイミーのセリフ。「あなた”は”」ということは、エイミーはどうなの?といつも気になっていたのですが、両者のエイミーを観てみてようやく「エイミーは前を向けていないんだね」と理解できました。ベンと別れたことでむしろ立ち止まってしまったのはエイミーのほうだったんだと。

先述したようにゆきみさんエイミーはベンとのことを過去のものとしてどんどん前に進み続けますが、ロジャーと関係を進めていく中でハッと自覚させられて立ち止まってしまう。ミナミーは最初からもう彼への想いを断ち切ることなんてできなかったから、ずっと立ち止まったまま。エイミーの寂しさが1幕ラストのベンとの電話の中で凄く伝わってくるし、改めてエイミーって魅力的な女性だなと感じた瞬間でした。

結構長く書いちゃいましたけど、こういうプロセスが田邊鳥原ペアと山下岡村ペアの大きな違いでもあります。別れてからもエイミーを想い続ける田邊さんベンと、他の人と付き合おうとしたことでベンへの想いを自覚するゆきみさんエイミー。旅を通して大きく成長したことでエイミーともう一度やり直そうと決意する山下さんベンと、彼のことがずっと忘れられずにいたミナミー。なんかね、この想いの大きさのバランスとかもそれぞれ違うし、凄くニヤニヤしてしまいました。

これ以上細かいことを挙げていくとキリがないので、あとはキャストの感想の中で書いていきたいと思います。セカンドキャストを経てもう一度オリキャスを観られて本当に良かったです。両者の魅力や違いをたっぷり堪能できて面白かったし、どちらも違ってどちらも良い!と思えるくらいに両者とも素敵なので、この作品をより一層好きになれました。

そしてチェンバーズ夫妻だけでなく作品を彩るキャストの方々も本当に素敵な人たちばかりで、チェンバーズ夫妻以外はセカンドキャストで観られなかった人たちも結構いるので再評価できない部分もありますが、やっぱりオリキャスは凄いな…と。カトウ役の小林唯くんやブライオニー役の町真理子さんなど今回から新しく加わった方もいますけど、皆さんすっかり馴染んでいました。

今回はちょこちょこミスやハプニングがありましたけど、そこも含めて上手く立ち回れる人たちばかり。作品の雰囲気を壊すことなく、キャラクターに没頭してお芝居しているからこそ、どんな瞬間であれリアルな世界観が表現されていました。こんな贅沢すぎる舞台を観られるなんて、やっぱり幸せなことですね。2022年に生きていて良かったです。

あとは新演出についても改めて色々と思うところはありましたが、作品を作り上げる俳優さんたちのお芝居だけでも十分にストーリーは掴めるし、何だかんだ田邊さんが歌うRIGを聴くだけで涙が込み上げてしまったので、最終的に受け入れられた気がしました。何かしらの意図があっての演出変更でしょうし、失ってしまったものもあれば新しく得たものもたくさんあります。

「生きること」や「誰かを愛すること」の大切さを教えてくれることには変わりありません。この作品のテーマは以前からずっと変わっていないので、ベンとタングを通してたくさんの人と出会い、人と人との繋がりの大切さを学び、人が生きることの美しさを教わりました。キャストが変わっても作品の持つ美しさや魅力は不変だったので、改めて『ロボット・イン・ザ・ガーデン』という作品が大好きだと感じられた観劇になりました。最後にオリキャスで観られたこと、感謝しています。

カテコは千穐楽も近いためか、拍手が全然鳴り止みませんでした。配信でどこまで放送されたのか分からないので、一応ここにレポしておきます。カテコで再登場してくださったのは計8回くらいかな。全員登場verとタング締めverが各4回。

で、全員登場してのカテコで俳優さんたちが上下に捌けていくんですけど、前田さん&小原さんタングがベンたちを待たずして勝手に帰っていっちゃうので、田邊さんが「あれっ?」って驚いて指差して笑いながらゆきみさんと仲良く帰っていきました。これが3回くらいずっと続いたわけですよ(笑)回を増すごとに田邊さんのジェスチャーが激しくなって、ラストではタングに対して「もうっ!」って腕ぶんと振り下ろしてぷんすかしていました(笑)ベンとタングの息の合わない感じがまさに凸凹感満載でめちゃくちゃ面白かったです。

そんな自分勝手なタングたんに田邊さんも呆れ…、タングが1人で登場してきて踊り出すカテコの3回目のときには舞台袖にぴたっとくっついてジト目でタングを見ていました(笑)それからじーっと見たままタングに近づいていって、顔を覗き込むようにして見たらようやくタングがハッとしたようにベンに気付いていました。

そして4回目のタング締めカテコ。前田さん&小原さんタングは志村けんさんの変なおじさんダンスをやるのが恒例なのですが、4回目もそのダンスをしていて、そしたら田邊さんも同じダンスをして登場(笑)しばらく2人で変なおじさんダンスをしていて客席大爆笑でした。いやー、新鮮な組み合わせだったので観られて良かったです。本当に大満足!

最後は笑って終われる素敵な作品でした。本当に本当に心温まる素敵な作品だからずーっと上演し続けてほしいんですけど、限られた公演期間でしか観られないので大千穐楽を迎える日まで悔いなく通いたいなと思いました。東京は今感染者数も爆発的に増えていますし、最後まで駆け抜けられたことが奇跡だと思っています。最後はやっぱり安定のオリキャスで。無事に私もMy楽を観劇できて大満足でした。本当に本当に、素敵な時間をありがとうございました!

NEXT>>次のページからはキャストの感想です!

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