2022年3月12日マチネ&ソワレ 劇団四季『ロボット・イン・ザ・ガーデン』@京都




ロボット・イン・ザ・ガーデン
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キャストの感想

キャストの感想です!

ベン:山下啓太

今回、マチネの山下さんベンは凄く幼稚でした。凄く感情を表に出すタイプで過激な一面がありました。これまではわりと温厚なイメージがあったので、とても新鮮なお芝居でした。

たとえば1幕冒頭、エイミーに「そういうところよ!」と大声を出されるシーン。エイミーのそのセリフに被せてくるように「大声出すなよ!」と叫ぶように言っていたのがとても印象的でした。エイミーにとっても相手が傷つくと分かっていながら心を決めて放った一言なのに、そんなふうに遮られてしまったら苦しいだろうに…。エイミーを思うと居たたまれなくなりましたし、ミナミーもめっちゃ切なそうな泣きそうな顔をしていました。

あとは2幕の秋葉原のシーン。タングに「前にも聞いたよな!?」「いいか、大事な話なんだぞ!」と次々と声を荒げて言葉をぶつけます。ここの山下さんベンも、いつになく苛立ちを感じられるお芝居をしていたのが印象的でした。いつもここってタングに怒りをぶつけながらも自分自身を傷つけるように言っている印象があったのですが、今回は完全に八つ当たりのような言い方に感じました。

マチネの山下さんベン、誰かに八つ当たりすることで自分を正当化するような印象を受けたんですよね。だから凄く幼稚だなぁ…って。真実から逃げているような。なので八つ当たりされる側のエイミーやタングの切なさがより一層強く感じられる公演でした。

ソワレはそこまで八つ当たり感はなく、比較的いつもの山下さんベンの雰囲気だったと思います。でも、「自分で貼れ!」の言い方は凄く新鮮だったかも。冷たさしかないような冷酷な言い方に聞こえたのですが、まるで自分に言い聞かせているようにも感じました。できないって分かっているのに手を貸さない。それがどれだけ酷なことか、ベンも分かっているだろうに。

でも、色んな経験をして色んな感情と向き合って成長していく山下さんベンは、どんどん目が輝いていくのが素敵でした。自分がいかにたくさんの人に愛されていたのか、支えられていたのか。考えてみればエイミーと出会った頃、ベンはエイミーに「子供を愛さない親なんて…」と言ってエイミーに「あなたは幸せね」と返されます。ベンにとって、人から愛されることはまるで当たり前のようなことだったのかもしれませんね。そのありがたみを分かっていないというか、気付いていない。

エイミーは愛された経験がないから、ベンのことも愛したいと思っただろうし、愛されたいと感じていたと思います。そういう、人を愛する気持ちの大切さをベンはずっと理解していなかった。だけど旅を通して、その気持ちがどれだけ尊いことなのかを学んだのかもしれません。人を愛することで自分も強くなれる。だからベンは強くなれたんだろうなーって感じました。

相手を想っていないと本気で叱ることはできません。2幕ラストで山下さんベンがタングに本気で叱ることができたのは、タングを愛しているからこそ。秋葉原のシーンのような怒りに任せて言葉をぶつけているのとは全然違う。タングを想って言葉を選びながら叱っている姿が凄くかっこよく、大きく見えました。

どんどん山下さんベンのお芝居の説得力が増していくので、毎回観るのが楽しくて仕方ないです。今回はマチソワ共に噛み噛みでしたけど、まあそれもご愛敬。どちらも熱量が高い、素敵なお芝居でした!

エイミー:岡村美南

マチソワともに凄く良かったです。エイミーの基本的なお芝居に加えて、ちょっとずつ遊び出す余裕も出てきたのが感じられました。わりと岡村さんって余裕あるように見えて余裕ない方なので、この兆しは良い感じです。

今回はマチネの山下さんベンが幼稚だったからか、より一層エイミーのほうが切なさ増し増しで観ているのがつらかったです。まったく向き合ってくれないベンに、手の施しようがないと諦めたときの表情が本当につらそうで…。「この家はあなたが住み続けるべきね」と客席側に顔を向けるときも目が潤んでいて、悔しさや寂しさ、言葉にならない憤りがあるんだろうなと感じました。家を出ていく瞬間も一切ベンのほうを見なかったし、彼と向き合うことが怖くなっちゃったんだと思います。

そのままマチネはずっと寂しそうな表情をしていました。1幕ラストで「遅くなったけど離婚届送るわ」とベンに電話で言う際も俯きつつ言っていたし、2幕でベンが電話をかけてきたときもあまり笑うことができていなかったし。なんなら泣きそうな顔していました。もうねー、本当に強がってばかりなのが余計に居たたまれない。

ミナミーは強がることに慣れちゃってるんですよね。人に甘えるのが下手なんだろうなーって。人に感情を剥き出しにするのも苦手。素直になるのが得意じゃないんだと思います。だから本当に観ていると胸がキュッと締め付けられるような感覚になりました。だからこそ2幕ラストで感情を剥き出しにしてベンに想いを告げることに凄く意味があるというか…。ずっと秘めに秘めてきて強がってきたミナミーだからこそ、最後あんなに子供みたいに泣いちゃうのが可愛いんですよ。ギャップ。ギャップ萌えってやつです。

それこそソワレがボロ泣きでした。「あなたじゃないとダメなの」と言うセリフ以降、ちょっと言葉に詰まる感じで言っていて、もしや…と思ったんですけどこちら側を振り返っている表情を観たら、頬に涙筋ができていました。そのあともタングに妊娠していることを告げられ、心臓の音を聞かせてもらっているときもずっと涙流していて、凄く感受性豊かな回でした。

あと今回マチソワともに離婚届を広げて破くということはせず、広げずにそのまま丸めていたんですけど、マチネは分からんけどソワレは開けなかったんじゃなくあえて広げることをしていませんでした。確かに岡村さんは手先が不器用なので紙広げるの苦手かもなんですが、私的にはそうじゃなくて、離婚届を広げるなんてこともしたくない…って思ってそうやっているんじゃないかなーって感じています。ソワレはまさにそれで、わざわざ離婚届を広げる必要もない。そんなものいらない!っていう強い決意の表れで、ミナミーにとってどれだけベンが必要で大切な存在かが伝わってきました。

それにソワレだったかな。家に戻ってきて離婚届探すのに必死になっていて、タングの「べ――ン!!!」に結構本気でビックリしていたのが可愛かったです(笑)毎度体を跳ね上がらせるお芝居するの上手いなって思うんだけど、ソワレは結構ガチで跳ね上がっていたんじゃないかな。可愛い。慌てて隠れようとするのもミナミーのオリジナルですが、凄く細かいですよね。こういうところもリアリティあって可愛い。

岡村さん、先日出演したラジオでもリアリティを持って演じることを凄く大切にされているといったことをお話しされていたので、とてもうんうんと頷けました。確かにそうなのよね。用意されたものをそのまま演じているというより、その場その場の空気や感情をそのままお芝居に反映させている印象があるんです。だから本当に息遣いがリアル。今までの岡村さんのお芝居とはまったく違うアプローチなので、こういうお芝居もできるんだなぁ…ってとても興味深かったです。それにイキイキしているから観ていて楽しい。本当に毎度楽しそうに演じていらっしゃいますわ。可愛い。

エイミーのお芝居としてはそんなところかな。先述したように公演重ねていく中でまちまりさんブライオニーとの掛け合いもよりナチュラルになって遊び心も出てきたし、2人の親友感がちゃんと伝わってくるようになって良かったです。

あとは、リハ見を経て観る秋葉原のスタッフさん超絶愛しさしかないですね(笑)「そっかあの姿勢の悪さは指摘されて研究してああなったのか~」とか「あのメガネ、こだわってんだよなぁ」とか、暴露されたエピソードを思い出しながら観てしまうとニヤニヤが止まりませんでした。それに長手さんにはダサいダンス踊ってるって言われていたし、マジでダサいんだよな~って(笑)本当に可愛すぎました。こんな些細な役でもこだわりが詰め込まれていると考えたらたまらなかったです。ソワレではタングを見つけたときにメガネをごしごしして「!?」って顔してたし、お芝居が細かいよ(笑)

そして「ラストリゾート」の岡村さんも可愛さ満点。下手のほうで本城さんと顔見合わせて踊っているときに目をぎゅ~って閉じてニコッと笑う瞬間があるんですけど、それが死ぬほど可愛い。あんな笑顔見せつけられたら誰だってガチ恋しますよ。本当に可愛いな私の贔屓。

マチネでは上手のほうで自由に踊っているときに、両手でドラムを叩くような仕草をしていたんですが、最後に右から左にバァァアンッと投げ捨てるような動きをしたのが謎でした(笑)ドラムのバチでも投げ捨てたのかな(笑)本当にやることが謎すぎるんですよね。めっちゃ可愛かったです。

本編はこんな感じですかね。マチネでは最前列にちっちゃい子供がいたので、デレデレな表情で手振っていました。本当に子供好きですね。タングに対しても優しい表情向けるし、母性の塊なんでしょうな。可愛い。

とにかく今回は可愛さしかない最高の贔屓をガッツリと堪能できて幸せでした。お芝居も安定していたし、どんどん細かい部分もこだわって演じられるようになっていて、さらに魅力的になっているのを感じます。ゆきみさんが作り上げてきたエイミー像とはまったく違うアプローチで、岡村さんだからこそ演じられるエイミーに仕上がってきています。そして完成度がとても高い。観るたびに色んなことに気付かされて、観ているこっちも楽しかったです。

何より本人が一番楽しそうなのがいいですね。それがすっごく伝わってきます。この作品にかける想いが相当強いんだろうし、その分お芝居もイキイキしているので、観るたびに「良かったね」という気持ちでいっぱいになりました。今回も最高の席で最高の笑顔を見届けられて幸せでした。マチソワともに最高のお芝居をありがとうございました!

まとめ

という感じで盛りだくさんのマチソワでした。本当に楽しかった…。まっじで楽しかった。めっちゃ疲れたんですけど、それ以上に幸福感でいっぱいなんですよね。やっぱり贔屓がいる公演って最高に楽しいですわ!

特にソワレの最前列ドセン。圧巻でした。贅沢にも何度か最前列センターは座りましたけど、やっぱりドセンからの見え方は全然違いました。本当にど真ん中ですよ。迫力が凄い。

すべてが中心から始まるから、本当に物語に没頭しやすかったんですよね。岡村美南さんのこともたっぷり堪能できたし、大満足です。カテコも大盛り上がりであんなに可愛いカテコをこんな最高な席で観られたことが何よりの幸せでございます。

今回ね、こんな良席を「良かったら」と声をかけてくださってお譲りくださった方がいらっしゃったので本当に感謝しかありません。めっちゃ最高の観劇になりました。

今回も素敵なお芝居をありがとうございました。こんな最高の席であんなに幸せそうに微笑む岡村美南さんを観られて、私も凄く幸せでした。本当に本当に大好きです。舞台に立ってくださって、ありがとうございました!

ということでいよいよ8泊9日の京都遠征もラスト!13日の公演を観て東京に帰ります。

皆さん最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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