2019年2月11日マチネ 劇団四季『パリのアメリカ人』

パリのアメリカ人
この記事は約10分で読めます。
ゆうき
ゆうき

4回目の観劇でございます~

日時:2019年2月11日マチネ公演
場所:東急シアターオーブ
座席:1階S席2列30番

総評

全体の感想です。

演出:★★★★
物語:★★★★
キャスト:★★★★★
座席:★★★★★
全体:★★★★★

今回、1幕のリズとアンリがそれぞれ手紙を書くシーンで映像が若干乱れたような気がした…んですけど、どうだったかな?
パリアメは観れば観るほど演出や物語が好きになるのですが、プロジェクションマッピングだからこそ少しの乱れとかが気になってしまうのはデメリットかなと思いました。
最低限の舞台美術や小道具だけでこれだけ壮大な物語を描けるのは、それこそプロジェクションマッピングの力が大きいとは思うのですが。
やはりまだまだ自分の中では慣れない部分もあるのかなぁ…なんて、ちょっと思ったりもしました。

今回観ていて思ったのが、アダム、アンリ、マイロの3人に焦点を当てて観ていくと、凄く物語が感情的に動くな…と。
上手く説明はできませんが、この3人ってダンスとは違う部分でのストーリーがしっかり描かれていて、愛情表現もダンスではなく別のカタチで描かれるんです。
ダンスで分かり合えるジェリーとリズがまるで別次元を生きているように感じるのは、まさにそういうところから来ているのではないかなぁ…と思いました。

今回で4回目の観劇となりましたが、これまでの中で一番エネルギッシュで素晴らしい公演だったと思います。
本日のキャス変で、俵さんアダムと迪さんアンリが抜けるのもあって2人がより一層気合いも入っていましたし、岡村さんが素晴らしすぎたので今回は凄く感動しまくりの公演でした。
色々と気になる点はありましたが、それ以上にアダム、アンリ、マイロの3人のエネルギーが本当に凄かったので、すべて帳消しに。
パリアメを好きだと感じられる公演になりましたし、自分にとってもかなり特別な公演となりました。

キャストの感想

気になったキャストの感想を書いています。

リズ・ダッサン:石橋杏実

石橋さんのダンスは本当に観ていて引き込まれるし、軽やかで美しいな…と思いました。
何度観てもそれは感じるし、意外と小悪魔みたいな笑顔を見せる瞬間のギャップにもドキドキとしてしまいます。
ただ、やはり観ていて感じるのは歌やお芝居という部分では弱いのかな…と。
周りが迪さんや岡村さんといった歌唱力のある人たちで固められているのもあり、ダンス以外の部分ではかなり食われちゃうような印象がありました。
逆をいえば、そういうか弱そうな部分がリズっぽさもあって悪くないのかな…とも思えますが。
ダンスのシーンになるとリズの魅力が大爆発するので、アダムが「このバレエを観た人はみんな彼女に恋をするだろう」と言うように、つい恋をしてしまいそうになります。
お芝居に関しても、なんというか言葉が鮮明に聞き取れない部分があったり、そこまで喉が強くなさそうな印象を感じたので、もう少しだけ頑張ってほしいかなぁ…というのが正直な感想です。

アダム・ホックバーグ:俵和也

本日で抜けてしまう俵和也さんのアダム、改めてとても良かったです!
何がいいって具体的に上手く言えませんが、凄くアダムらしさがありました…。
2幕で「僕のテーマは腐敗性と死の必然性なんです」みたいなことをアダムが言いますが、それが凄くピッタリなアダムです(失礼)
どこか悲壮感やこの世に対する絶望があるのも所々伝わってきて。
なんか、救ってあげたい、そう思わせてくれるアダムでした。
だからこそ、足を引きずる仕草や彼だけが一歩外から俯瞰するように物語を見つめる立場であることも、より説得力が高まるというか…。
本当に上手く言えないです、凄く手を差し伸べてあげたくなるんです。
ただ、凄く自然体で誰が観てもきっと彼は美しく映ると思いました。
感情的なお芝居も胸に訴えかけてくる何かがありますし、楽しそうに踊る姿も愛しさが募っていきますし、まさにアダムそのもの。
狂言回しだからこそ、お芝居という部分がかなり重要になってくると思うんですけど、本当にお芝居が魅力的なのであっという間に物語の中に引き込んでくれました。
カーテンコールでのクシャッとした笑顔がたまらなく輝いていたのも印象的でした。

アンリ・ボーレル:加藤迪

俵さん同様、本日で抜けることになった加藤迪さんのアンリ。
背の高さや声の質などから、勝手に育ちの良さが感じられる正統派おぼっちゃまタイプ。
本当に生真面目で道から外れたことや間違ったことは一切してこなかったであろう、優等生な迪さんアンリです。
そんな窮屈そうな彼が、唯一ミュージカルスターを目指して密かに輝ける場所を見つけている姿は、凄くキラキラしているしアンリ自身も楽しそうで観ていてつい応援したくなりました。
華がある、という点では迪さんよりも唯くんのほうが正直あります。
だからこそ、そういう素質的な部分では迪さんアンリってスター性をそこまで感じられなかったりもするんです。
でも、夢を見て一生懸命努力していたり楽しそうに踊って歌っていたりする姿、そして何より真っ直ぐなリズへの愛は凄く好感を持てるし好きにならざるを得ません。
唯くんよりもさらに年の離れたお兄さんに見える迪さんアンリは、やっぱりどちらかといえば岡村さんマイロとお似合いでした。
2幕でアンリとマイロが並ぶところはお互いを引き立たせますし、より華があります。
マイロへも紳士的な振る舞いを自然にできる、それが迪さんアンリのいいところです。
優しそうで誠実、一生懸命、でも不器用…迪さんアンリの可愛らしいところです。
観れば観るほど迪さんアンリが好きになりましたし、カーテンコールですっごく楽しそうに笑っている姿を観て心を射抜かれそうになりました。
本当に素晴らしかったです、大好きなアンリでした!

マイロ・ダヴェンポート:岡村美南

いつになくパワーアップしていて、今回完全に主役を食いました、この人…。
岡村美南さんの舞台上でのエネルギーはどこから発されているんだろうと思うくらいにみなぎっていて、そのパワーやエネルギーを全身に浴びてきてしまいました。
何がどうパワーアップしたのか、正直言葉では表せません。
ただただ、それを体感した自分がそう思った…ただそれだけなんです。
んー、なんなんだろう、別に細かいお芝居や仕草を変えてきたわけじゃないんだけど。
マイロがいつもより自信たっぷりに見えたし、強く見えたし、愛しく見えました。
彼女がどうしてパリにやってきて、ジェリーに惹かれ、どう変わっていったのか。
それを再認識しながら観ていたからなのかもしれませんが…とにかく凄かったです。
気高く美しい女性でありながら、溢れる優しさと弱さが彼女を包んで、最後にはつい抱き締めたくなる。
恋をせずとも恋人を作らずとも1人で生きていけるであろう岡村さんのマイロ。
1人で生きていけそうな女性像というのは、これまで岡村さんが演じてきたすべての役に共通する部分ですね。
そんな彼女が、突き放され恋に破れ、涙を流す姿には凄く胸が苦しくなりました。
その落差を演じるのが本当に上手で、1幕で強い女性であることを示せたからこその落差だと思います。
マイロ自身が裕福な家庭で育ち、人生の勝者であること、そして岡村さん自身歌もお芝居も完璧であること。
これらが合わさって、よりマイロという女性がいかに完璧すぎる女性であるかがヒシヒシと伝わってきました。
だからこそ、マイロだけ飛び抜けて孤立してしまう感じというのも凄く伝わってくるというか。
ここはもう役者さんの力量的なものになるのでアレですが、本当に完璧すぎるんです、岡村さんのマイロ。
ジェリーがそんな彼女に惹かれないのもある意味で分かるし、マイロが完璧すぎる故に周りがついていけないような、その距離感もなんか分かるんです。
表現力が乏しすぎて伝えたいことが上手く伝えられないです……。
そのために、仮面舞踏会でハメを外す彼女を見た時には安心感も覚えました。
こんな完璧な人も自分たちと同じようにハメを外したり、子供みたいな表情したりするんだ…って。
岡村美南さんが本当に表現力豊かで、繊細で丁寧で、かつ大胆なお芝居をするから、ここまでマイロについて考えられるんだと思いました。
結局何が言いたかったのか自分でもよく分かりませんが、岡村美南さんは凄いぞってことを言いたかったんです…。
もう好きが溢れて、それ以上の感情が出てきません…もう枯渇しました…。

マダム・ボーレル:佐和由梨

今回初見の佐和さんマダムですが、秋本みな子さんのマダム・ボーレルとは全然違う系統でした。
秋本さんのマダムは結構感情の起伏が激しい感じでそれが顔にも出やすいタイプ。
だからこそ、本当は芸術を愛していることもアンリを愛していることも凄く伝わってきました。
一方、佐和さんのマダムは感情の起伏があまりなく、正直何を考えているのか分からない感じ。
そのため怖さが若干感じられて、本当に厳格なお母さんっていう印象がありました。
マダム・ボーレルは世間体をやたら気にして、芸術を本当は愛しているのにそれを隠している人間。
ですが、佐和さんのマダムは世間体を気にしているというよりは、人の目は気にしないタイプのような気がします。
淡々なお芝居が特徴的だったので、そういう印象を抱いたのかなぁと思いました。
秋本さんのマダムのほうが人間的で愛に溢れたマダムで、個人的には好きでした。

観劇の感想・考察

気になったポイントの感想などを書いています。

上手寄り席

今回座ったのは30番でセンターの上手通路から3番目の席でした。
ここはアンリ堪能席でして、正直なことを言うとマイロ堪能席ではありません。
そんな中で、マイロを上手で楽しめるのは1幕のバレエオーディションシーン。
ここはマイロが上手で椅子に座ってバレエのオーディションを見ています。
私は基本このシーンはマイロしか見ていないので、今回の席は最高のポジションでした。
続いては1幕最後のほうのナンバー「Second Rhapsody」の途中で行われる、ジェリーとマイロのやりとり。
ジェリーにインスピレーションを与えるマイロが、ジェリーの周りで舞ってます(舞ってはいない)
そのあと、マイロのタバコをジェリーが咥えるというかなりアダルティなシーン。
もうえっちすぎて最高に興奮しましたね(殴)
一方で、2幕はマイロはほとんど下手にいるので距離が遠いんですよね。
アンリを堪能したい人は上手寄りの席に座るといいと思います!

引っ掛かるマイロの表情

ずっと引っ掛かっているマイロの表情があって。
2幕冒頭で、マダム・ボーレルがマイロを紹介する時に「愛好家」という言葉を使うのですが、その時のマイロの表情が凄く引っ掛かっているんです。
なんか、その「愛好家」という言葉を素直に受け取れないのか何なのか、一瞬笑顔が固まるんですよね…。
そのあと、「……なんと申し上げればいいか…」と言葉を濁すんですよ。
それって、マイロにとっては誉め言葉ではない…ってことなのかな。
マイロは芸術においてどうなりたかったか、それを考える必要があると感じました。
マイロがパリに来た理由って、この愛に溢れた街を芸術で席巻したかったから、でした。
芸術において居場所が欲しかったとマイロは言っています。
そのことを踏まえると、マイロにとっては「愛好家」という表現は正しくないのかなぁ…と。
マイロが本当になりたかったものって何なんだろう。
愛好家って結局は、「芸術を好むファン」ということになるわけですもんね。
ファンである限りは、芸術の中にいる人間ではなく芸術の外で支援をすることになるわけですから、それは芸術において居場所を手に入れたとは言い難いですし。
そういうことなのかなぁ…と思いましたが、なんだかモヤモヤしています。
もしこの表情について何かしら考察した方がいれば、ぜひ教えてください~。

まとめ

今回は元々行くつもりはなかったのですが、フォロワーさんがお声がけくださって急遽行くことになりました。
キャス変で岡村さん続投なら今日は行かなくてもいいかな…と思いましたが、結果行って良かったです。

岡村さんが素晴らしいのはもちろんのこと、全体的の完成度もかなり高かったし、まとまりもありました。
冒頭でも書きましたが、これまでの公演の中で一番心に来た公演でした。

これまでは戦争が絡むしマイロが幸せになれないからあまり好きになれない、と思っていましたが、今回観劇してその思いは消えていきました。
ああ、私結構好きかもしれない…。
そう感じさせてくれる公演でした。

岡村美南さんをこうして生で拝見できることのありがたみを実感できたと同時に、改めて舞台のエネルギーや楽しさを感じられました。
本当に今日の公演、行って良かったです。
そして、俵和也さん、加藤迪さん短い間ではありましたがお疲れ様でした。
またパリアメで拝見できる日を楽しみにしています!

ありがとう、パリのアメリカ人。
ありがとう、劇団四季。

0

コメント

タイトルとURLをコピーしました