2021年9月26日マチネ 劇団四季『オペラ座の怪人』




オペラ座の怪人
この記事は約11分で読めます。

キャストの感想

キャストの感想です!

オペラ座の怪人:飯田洋輔

3週目ですけど今回も絶好調でした。喉が潰れたり掠れたりしないもんかね…と思うくらい安定感抜群でしたし、やっぱり洋輔さんはプロだなーっていうのを強く感じた観劇でした。本当にお芝居が上手。そしてやっぱり儚い。

先述したように、クリスティーヌを初めて地下室に連れていったときは、ただただ自分の歌声を聴かせるだけではなく相手の心の隙間に入り込んでどんどん支配していく様子が見て取れました。洋輔さんファントムって、自分の思い通りにならないと気が済まない人なんだろうなーって思います。それはきっと小さい頃から誰からも愛情を受けずに育ってきたから、その反動なのかな?それとも自分も周りからこうしろああしろと指図されるように生きてきたから、そうすることでしか人とのコミュニケーションを図れなかったのかもしれません。どちらにしても凄く寂しい人。

だからクリスティーヌが自分の意のままに動いてくれることに悦びを感じていて、心なしか嬉しそうに口角を上げている瞬間が多かったです。でもふとクリスティーヌが仮面を触れてこようとしたり剥ぎ取ってしまったりと、予想外のことをしてきたときのブチギレ感は異常でした。人に裏切られることを酷く嫌っていて、悲痛な叫びをあげながら崩れ落ちる姿はとても観ていて心が痛かったです。

自分がこんなにも尽くしてやったのに、と見返りを求めているからそうなっちゃうんですよねきっと。洋輔さんファントムは見返りを求めちゃう系オタク。これも無償の愛を受けてこなかったからこその反動だと思います。とにかく自分が何かをしてあげること以上に、相手が自分を愛してくれることをひたすら望み続けるので凄く歪んでいるのが観て取れました。こういうところが洋輔さんファントムの醜さであり、ある意味魅力でもあります。

稚拙で子供っぽいところが、結局は子供であれば許されるけど大人なら許されず、人間としては醜く映ってしまうという残酷さ…。洋輔さんファントムは確かに愛しいんだけど、醜さの体現だなぁ…とも思いました。今回は冷静になって観れたから余計に感情移入しすぎず、客観的にファントムという人間を観察できた気がします。でも醜さの中にも美しいものに対する憧れや純粋さはあって、目を輝かせる姿はとても愛しさを感じました。

少し飛びますが、今回のPONRも良かったです。AIAOYを歌い始めるときの洋輔さんファントムの歌声が、凄くぎこちなくて喉の奥のほうから絞り出すような感じでとても細々としていて、聴きながら胸がキュッとなりました。懇願するようなしわがれた声でありながらも、クリスティーヌの薬指に指輪をはめて、「共にどこまでも2人で」と歌うところは一気に歌声がクレッシェンドして想いが昂っているのが伝わってきました。

だけどやはりここでもクリスティーヌに裏切られ、ヅラを剥ぎ取られたときに物凄く悔しそうな表情を浮かべていました。洋輔さんファントム、ブチギレ案件。それもあって地下室へ連れていくボートで歌うナンバーは、ひたすら怒りに任せて乱暴に歌っていて、もう感情の乗せ方が本当に上手いなと思いました。声量もあるから迫力がめっちゃあって、ファントムが怒りに狂ったときの歌声の迫力が凄まじくて凄く大好きです。

力づくでなら相手をねじ伏せられるとでも思ったのか、クリスティーヌがキッと睨みつけながら「悲しみの涙今憎しみに変わる」と歌い出したときは驚いたような戸惑いの表情を浮かべていました。愛する人にあんな顔を向けられて、きっと心臓が一気にバクバクしたんじゃないかなぁ…。取り返しのつかないことをしてしまったと瞬時に理解するも、もはや引けない状態なので立ち向かうしかできず、クリスティーヌに迫るも彼女の真っ直ぐな瞳に怯え震えて後退せざるを得なくてどうしようもない洋輔さんファントムがとても切なく映りました。

「こいつを選ぶか!」と歌いながらラウルを指さした手が、クリスティーヌに睨まれたことで震えて下ろさざるを得なくなった表現も、ファントムの動揺がヒシヒシと伝わってきて良かったです。もう自分に勝ち目もないし彼女は絶対に自分を選ばないと分かっているにも関わらず、悲痛の表情で「選べ!」と叫ぶ姿も凄く切なかったです。そしてこのときの悲痛に顔を歪めていた洋輔さんが、カジモドを演じていたときの達郎さんそっくりでビックリしました。さすが兄弟ですね、本当に瓜二つですよ…。

そしてクリスティーヌにキスをされて優しく触れられて、初めて人の温かさと柔らかさに触れた洋輔さんファントムは呆然として動揺してまるで時が止まったかのように立ち尽くしていました。そこから沸々と感情が戻ってきて、再び感情をぶつけるよに叫んで、クリスティーヌもラウルも追い払ってしまって独りぼっちになる洋輔さんファントム。猿ゴールが動き出したときに、ボロボロの顔でぎこちなく微笑んだ洋輔さんファントムの切なさはエグかったです。胸を抉られそうでした。

ラストのファントムは本当に何度観ても切ないですし、洋輔さんファントムのボロボロに泣いた表情はいつ観てもたまらないです。今回も圧巻のお芝居と歌声で最後まで魅了してくださって、相変わらず大好きだなぁ…と思わせてくれるポイントがたくさんありました。観れば観るほどお兄ちゃんのファントムが大好きになっていったので、今回もたっぷり堪能できて嬉しかったです。

ちなみに今回は前方席にちっちゃな子供がいたので、カテコでその子たちを見つけて優しそうに微笑んでいたお兄ちゃんを観ることができました。本編では絶対に観られないような優しいお兄ちゃんだったのでとても貴重…と思いました。むしろ音楽の天使というより歌のお兄さんって感じでした(笑)

そんな感じで、今回もお兄ちゃんは素晴らしかったです。キャス変で抜けられてしまったのでこの日が今回分最後の出演でしたが、どんどん進化していてさらに魅力の増したファントムになっていました。最後を見届けることができて良かったです。ゆっくり休んでまた戻ってきてください!お疲れ様でした!

クリスティーヌ・ダーエ:久保佳那子

今回観てかなり印象が変わった久保さんクリス!冒頭でも書きましたが、久保さんクリスはファントムに対して特別な感情を抱いているわけではなく、完全に支配されてそうなってしまっていただけなんだなぁ…というのを強く感じた観劇でした。

でも歌うことはとても好きなのが伝わってきて、特にTOMはだんだんと笑顔が増えてきて歌声がイキイキしてきて歌うことへの喜びを全身で感じているのが伝わってきました。久保さんクリスはクセのない歌い方をされるので、綺麗に伸びて聴いていてとても気持ちが良いです。そりゃファントムも惚れ込むわぁ…と納得できますね。

前のブログでも書いたと思うのですが、TOMを聴いているとやはり紗衣さんクリスのプリマドンナ感は圧巻です。瞬発力と爆発力が凄くて、一気に才能が開花して圧倒的なオーラですべての人を魅了してくるクリスティーヌです。一方の久保さんクリスは磨けば磨くほどどんどん輝きを増していく、静かなタイプのクリスティーヌ。だけどそれゆえにダイヤの原石のような可能性を秘めているというのを、今回改めて実感しました。

だから普段は良い意味で普通の女の子なんですよね。紗衣さんクリスのようにふわふわとしていて掴みどころがないなんてこともないですし、それこそAIAOYでは恋に目覚めて少女のような輝きに満ちた明るい笑顔を見せるので、本当にとっても魅力的な人だなーとも思いました。とっても普通の女性だからこそ、ファントムに愛されることの特別感がより一層強調されて良かったです。しかも完全に支配されるタイプのお芝居だったし、色々と久保さんクリスのお芝居や佇まいには合点が行きました。

とにかく久保さんクリスのAIAOYはめちゃくちゃ大好きで、どの瞬間を切り取ってもすっごく可愛いんですよね。ラウルの一挙一動にパァッと表情を綻ばせて、この瞬間だけは嫌なこともすべて忘れて2人だけの甘いひとときを満喫しようとする…というか、完全にファントムのことなんか忘れちゃうくらい目の前のラウルのことで頭がいっぱいな感じが伝わってきて最高に良かったです。恋をしている人の顔をしていました。だから、「大変!もう時間だわっ」も凄く弾んだ歌声で歌われていて、聴いているこっちが恥ずかしくなりそうでした(笑)それくらい久保さんクリスのAIAOYは至高です…。

そんなラウルLOVEの久保さんクリスでも、愛しのラウルがどんなに説得を試みようとも2幕のマネージャーシーンで不安そうな表情を変えることもなく首を静かに横に振り続けて拒絶してしまうほど、ファントムに対する恐怖や嫌悪が強いのが伝わってきました。ここの怖がり方も凄くナチュラルで、久保さんクリスは佇まいが本当に自然。久保佳那子さんではなく、クリスティーヌがそこに存在しているという説得力がありました。

どんどんと久保さんクリスの中でファントムに対する怒りが沸々と湧き上がってきて、PONRでは大爆発。布越しにファントムだと分かった瞬間の「やーきーつ……つ、くーすッッ!」という驚きと恐怖が入り混じった歌い方も相変わらず最高でしたし、ファントムに強引に腕を引っ張られているときも首を横に振りながら逃げようと試みていて、キッと睨みながら布を剥がし、ヅラを剥がすという容赦のなさも最高でした…。久保さんクリスはヅラを取ったときに驚いたように口元に手を当てるんですよね。ここで初めてファントムの本当の正体を知ったのかな?ここはクリスティーヌを演じる俳優さんによって反応が違うので、観ていて面白いポイントです。

そしてラスト。ここはもうほぼ冒頭でも書いたので極力割愛しますが、蓄積されていった怒りを爆発させて惜しみなくファントムにぶつけるのが良かったです。でも紗衣さんクリスみたいにブチギレした表情ではなくて、静かに怒る感じの表情なんですよねー。キッと睨みつけるわけじゃないんだけど、静かに静かーに怒っていて、ファントムが思わず後ずさりしてしまうやつ。

静かな人ほど怒らせると怖いっていうやつですね。基本久保さんクリスって穏やかなんですけど、怒ったときの恐ろしさは凄かったです。その凄みとアツさでファントムと真っ向からぶつかって、最後愛しいラウルを守るために自分が犠牲になることを覚悟したときの表情は圧巻でした。

ファントムにキスをして抱き着くときには、覚悟を決め切って苦痛さとかを感じさせない比較的穏やかな顔つきをしていました。この人はもう覚悟を決めたんだな…っていうのが伝わる表情でした。だからこそ、ファントムがラウルを逃がしたときに覚悟が揺らいでどうしたらいいのか分からないとでも言うように戸惑いの表情を浮かべていて、最後まで表情のお芝居や佇まいがナチュラルで良かったです。

そして今回はファントムからの「I love you」を受け入れるように頷きはせず、今にも泣き崩れそうになりながら耐え切れずに去って行ってしまうパターンだったので、水曜日に観たあれはなんだったんだ…と未だに答えが分からずにいます。もう一度再生したい(笑)

でもこうして観ている限り、ファントムざまあみろ!とでも言うようなタイプのクリスティーヌではありませんし、あの日は心からファントムの幸せを願ってああいう表情をしたんだろうなーと思います。そう思いたいです。久保さんクリスは内側から生まれる感情をきっとそのまま表に出しているだろうから、日によってファントムへの感情も異なると思うんですよ。

今回はファントムの想いを受け取れるほどの余裕もなく、胸が張り裂けそうになってしまったのかなーなんて…。だから決して「演じている」感もなかったし、凄くナチュラルな佇まいだったと思います。最後まで久保さんクリスは自然体でした。すっごく惹きつけられました。

ということで、今回ガラッと久保さんクリスに対する印象が変わったのですが、今のところ自分としては結構しっくり来ている解釈になったなーと思っています。また次回観たらきっと変わる部分があるだろうし、今回感じたものはそのときの思い出として大切にしておきたいです。

改めて久保さんクリスをたっぷり堪能できたことが幸せでしたし、やっぱり久保さんクリスはお芝居も歌もめちゃくちゃ素敵でした。観れば観るほど魅力に憑りつかれてしまう…。本当に凄く不思議な魅力を放った方です。と言いつつまだまだ私の中で久保さんクリスについて解釈が固まり切っていないところもあるので、また観に行ける機会があれば観に行きたいと思います!

ラウル・シャニュイ子爵:光田健一

今回も大人びた落ち着きのあるラウルで素敵でした。迪さんラウルのように感情的になりすぎず、熱くなりすぎず、冷静に状況を分析して静かに振る舞う姿は本当にかっこよくて、情熱的な久保さんクリスともお似合いでした。

そんな光田さんラウルですが、今回はかなり感情的になって一生懸命クリスティーヌを宥めたり説得したりしていたのが印象深かったです。屋上でクリスティーヌが「あの声がすべてを包み~」とラウルそっちのけで歌い出したシーンでは、光田さんラウルが困ったような表情を浮かべながらなんとか説得を試みて、それでも現実に戻ってこないクリスティーヌをガシッと掴んで強く声をかけていました。

また、2幕のマネージャーシーンでファントムを誘き出すためにクリスティーヌに要求を呑むよう説得するときも、声も仕草も力んでいたのが伝わってきてかなり見入っちゃいました(笑)クリスティーヌの手を握る光田さんラウルの手に凄く力がこもっていて、夢から醒めてほしいと願う気持ちだったり僕を信じてほしいと思う気持ちだったりが強く感じられて良かったです。

普段とても落ち着いていて優しくて余裕のある光田さんラウルだからこそ、今回こんなにも必死になっている光田さんラウルにギャップを感じてしまってキュンとなりました。観れば観るほどかっこいいポイントもたくさん見つかるので、どんどん光田さんラウルに夢中になりそうです。ラストももちろん激アツなお芝居をしていましたが、今回はマネ2(2幕マネージャーシーン)の光田さんラウルに凄く引き込まれたのでそこで全部の意識を持っていかれました。とても熱演だった光田さんラウルを観られて良かったです!

まとめ

絶対に兄久保ファンクリをもう一度観たいと思っていたので、今回最高の席でリピートすることができて良かったです。今のところファントム3人、クリスティーヌ3人のローテーションで組んでいるのでタイミングさえ合えば揃うのですが、今後も観られるか分からないですし、久保さんクリスも恐らく作品契約だろうし、いつまでいてくださるのかも分からないので無事に観られて幸せでした。

何だかんだで今月も4回観に行ってしまい、我ながら結構ハイペースで観劇回数を重ねております。スタンプラリーもあと1回観劇すれば5個貯まってサイン入りカードがもらえるところまで来てしまいましたし、早めにプレゼントもらっちゃおうと思います。そしてあわよくばスタンプ2週目まで達成したい…。

そんな感じで引き続き来月以降もオペラ座中毒からは抜け出せそうにありません(笑)まだ岩城さんファントムには出会えていないし、観られていない組み合わせもたくさんあるので、自分がまだ出会っていない組み合わせが揃ったときには観に行きたいと思います!

今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました!

0

コメント

タイトルとURLをコピーしました