2022年6月17日マチネ 劇団四季『ノートルダムの鐘』@横浜




ノートルダムの鐘
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キャストの感想

キャストの感想です!

カジモド:寺元健一郎

寺元さん今回も素晴らしすぎてボロボロに泣いちゃいましたよ~。京都公演のときとは比べものにならないくらい、お芝居が良くなっていってる。本当に細部にまでこだわるようになったし、寺元さんならではのカジモドをしっかり演じられるようになっているしで、凄くオリジナリティに溢れていて観るたびに「好き!」って思っちゃいます。

今回印象的だったのが、Out Thereで下手のほうに座っていたところから立ち上がる瞬間に、ドンッと床を押すようにして立ち上がった姿でした。歌詞で言うと「そうだ今日だけは夢を叶えよう」のところあたりかな?ここ、強く床を押して立ち上がるカジを観たときに、カジの決意と希望が凄く大きいことを感じたんです。まさに、未だ見ぬ外の世界への憧れでキラキラと輝いているようで、すっごく素敵でした。寺元さんカジは、力を入れるところが凄く絶妙で、抑揚や強弱のバランスが上手だなって思います。

あと、久々にオペラグラスで寺元さんカジ観ていたら顔が子犬みたいで可愛いなって思いました(笑)見た目は子犬みたいなんだけど、中身は全然子供ではないの。子供っぽさで言うなら金本泰潤さんのほうが強いと思います。寺元さんカジは見た目は子犬みたいで可愛いけど、凄く成熟した男性だなっていつも観ながら感じています。

でもTOTWは凄く幼さ全開で、エスメを驚かせようと柵でうわああってするときのいたずらな笑みを浮かべる寺元さんカジはマジで少年っぽくて大好きです。本当に可愛すぎる…。柵でエスメと向かい合うところは結構大人びていて、あからさまにはしゃぐんじゃなくて、エスメと一緒に幸せを噛み締めているかのような…そんな佇まいなんです。これが本当に初恋か?と思うくらい、エスメを見つめる表情が愛に溢れていて好きなんですよねぇ…。寺元さんカジのTOTWも大好きです。

飛びますがMOSはロングトーンしっかり声が上がり切っていて素晴らしかったです。寺元さんカジの声の伸びは本当に綺麗で真っ直ぐ。聴いていて心地よさしかないです。しかも伸ばせば伸ばすほどにどんどん歌声にパワフルさが漲るので、カジの感情が増幅しているのが伝わってきました。あんな華奢な体のどこからそんなパワフルな歌声が出てくるのかと不思議で仕方ありません…。

で、エスメが死んだと分かった瞬間にハッとなって腰を抜かしてしまうのも寺元さんカジのオリジナル要素で好きです。ここ、「死」を理解できるカジとすぐには理解できないカジの2パターンがあるんですよね。寺元さんカジはすぐに「死」を理解できて、驚いてしまいます。だからすぐにフロローへ憎しみの感情を向けることにも説得力があって、良いなと思うポイントでした。

あとはいつも言ってるけど、粉骨表現が上手すぎ。泰潤さんカジも本当に凄いけど、寺元さんカジもヤバいですね。粉骨してからの腕の曲げ方、本当に細かくて痛々しくて観ていられないです。なんか寺元さんカジは観るだけで泣けちゃう。存在そのものが涙腺崩壊ポイント(笑)

でも今回の寺元さんカジも本当に素晴らしくて、どんどんお芝居に深みが増していて、素敵でした。ちょうど泰潤さんカジを観た直後だったので、両者の違いなんかも感じながら観られて良かったです!

フロロー:村俊英

今回の村さんフロロー、あまりにも激アツで鳥肌が止まらなかったです。めっちゃ調子が良くて声も出ていたし歌声も伸びやかだったし、最強のフロローでした。今回で村さんフロローは3回目ですが、観れば観るほど好きになっちゃうのでヤバいですね…。個人的に凄く好きなタイプのフロローなので、正直あと100回は観たいです(笑)

カジモドに「あの女のことは考えるな」と諭すシーンの「約束しろ!」や「カジモド聞くんだ!」のセリフは凄く感情的で、心が乱されている様子がしっかりと伝わってきました。それでもなお平常心を保とうといつもの低音で慎重な声と佇まいで押し通そうとしていて、必死に自分の欲を抑えようとしている姿が凄く情けなく映りましたよね。

でもそんな欲が大爆発してしまうのがヘルファイヤーです。もう今回のヘルファイヤーはマジで凄かった…。めっちゃ声が出ていて、大迫力ですよ。ラストに向かうにつれて、どんどん欲望が抑えられなくなっていって、あの無表情で何を考えているか分からないような村さんフロローの目つきがどんどん変わっていったんですよ。目をかっと見開いて血走るかのように怒りに狂っていて、全身が地獄の炎に包まれたかのように震えていて、もはや人間のカタチをまとった怪物そのものでした。

もう村さんフロローのヘルファイヤー、マジでヤバいです。聖職者として清き道を歩もうとしてきた人が地獄の炎に飲み込まれる瞬間をリアルに体現していて、正直鳥肌が止まりませんでした。怖い。ただひたすらに怖いって思っちゃうんですよね…。もうさ、童貞拗らせおじさん()だからどうしようもないんだけど、愛が憎しみに変わった瞬間のおぞましさをあまりにもリアルに出し過ぎなんですよ。エグい…。エグいけど、最高に好きでした。村さんフロローのヘルファイヤー、一生聴いていたいです。

ヘルファイヤー以降のフロローはもうなりふり構わずって感じですが、村さんフロローはあくまでもご清潔な評判を保とうとするところがまた怖いです。でも、これまではあまり見せてこなかったような邪悪な笑みを浮かべるようになるんですよね。完全に地獄の炎で心が焼き付かれて悪魔に飲み込まれたなっていうのが感じられます。人のカタチをした悪魔です、まさに。

奇跡御殿を襲撃してエスメたちを連行したあとにカジに言う「お前にはひどくガッカリしたよ!」の言い方もキツイんですよ。村さんフロローは本当に冷たいの、カジに対して。突き放すような言い方が凄く上手くて、1幕の落ち着いた喋りとの落差が激しいんですよね。凄くメンタルやられるやつです。

そういえば、火炙りのシーンは今回はニヤッと笑ってはいませんでした。あれは毎回やっているわけじゃないのかな?あそこ笑っているとサイコパス感強くて大好きなので、またいつか観れたらいいな~と思うほどの個人的注目ポイントです。

で、あとはカジモドに投げ飛ばされる直前、逃げ回りながらも捕まってホールドされてしまうときの村さんフロローも凄く好きです。必死にもがくんですよね。死ぬことへの恐怖が感じられて、一気に人間味溢れるのがしんどい…。心を完全に蝕まれていたのに、最後の瞬間に人間に戻ろうとする。そんなひどく醜い姿が、フロローの生き様を表していて、ここも個人的に大好きなポイントでした。

今回はあまりにも村さんフロローが絶好調すぎて注目しまくってたらどんどん好きなポイントが増えてしまいました。ヤバいね…。めっちゃ好きなフロローに出会ってしまいましたわ。村さんの貫禄と迫力も凄いし、まさに本物のフロローです。たっぷり堪能できて幸せでした!

エスメラルダ:岡村美南

今回も凄く良かったです。ただひたすら良かった。学生団体さんの何人かはきっと岡村さんエスメに落ちたことでしょう…と思いながら観ていたので、なんだかニヤニヤしてしまいました。

今回はタンバリンの「ねえ」の部分が、京都のときに歌っていた「ね↑え↓」の歌い方になった瞬間があって凄く嬉しかったです(細かすぎて伝わらない)。今期横浜公演では前回の京都公演のときとは結構歌い方をガラッと変えてるのですが、時々懐かしさを感じさせるような歌い方をすることがあるので、それを聴くたびにドキッとします。日々岡村さんエスメは進化し続けているけど、過去の岡村さんエスメに再会できたような嬉しさもあるのよね。でもどんな岡村さんエスメも大好きです。

で、冒頭にも書いたように今回の観劇では岡村さんエスメに対する固定概念をいったん取り払って再評価の意味合いも込めてどんな風にエスメを演じてるのかを観ていました。In a Place of Miraclesに「いつも1人で生きていく覚悟で平気なフリしていたの」という歌詞があるじゃないですか。その歌詞をそのまま体現したようなエスメラルダだなと改めて思ったんです。

以前から「岡村さんエスメは強いように見えて実は脆い」って言い続けてきましたけど、ただ脆いだけではないんだなというのが今回の気付きです。それを強く感じたのがSomedayでした。

前回14日に観たときに、Somedayでは岡村さんエスメの表情に変化が出るという話を書きました。それに通ずることではありますが、今回もSomedayの歌い出しは凄く寂しそうな、虚空を見つめる表情をしていました。まるで瞳に色がないような、セピアの世界とでも言うのかな。そんな表情です。

私、今までSomedayは歌い出しから真っ直ぐ前を見据えてただ祈りを込めて歌うだけなんだって思っていたんです。憎しみとか悔しさとかそういう負の感情は一切捨てて。だけど、決してそんなことはなかった。歌い始めの岡村さんエスメは凄く孤独な佇まいをしていました。そっか、死ぬのは怖いんだ、この人も…って思いました。

憎しみとか悔しさっていう感情は確かにこのときはもうどこかに置いているんだと思います。だけど、勇敢だなんて言われてきた彼女も、自分の命を無償で差し出してまで平和な未来への祈りを素直に捧げられるほど人間出来ていないっていうのを今回強く感じました。確かにSomedayで歌い始めるんです、祈りの歌を。だけど、祈りを捧げているはずなのに、彼女の心は空っぽで瞳には色も光もない。どこか寂しそうな虚しさを感じさせるような、そんな表情をしていました。

言葉では強がってみるものの、凄く寂しくて心細くて孤独を感じて切なくなって、そんな中1人で死んでいくことに耐えられないような表情を隠せずにいました。強がっているけど本当は弱くて脆いというのが、まさにこのSomedayの歌い出しの表情や佇まいに凝縮されています。

でも、途中からフィーバスが一緒に歌い出してくれるわけですよ。一緒に祈りを捧げてくれるの。そんなフィーバスにハッとなって振り返って歌う岡村さんエスメは、凄く幸せそうな表情をするんです。瞳に色と光が戻ってきて、安堵の表情を浮かべるんです。「そっか、私は1人じゃないんだ…」って感じたのかな。いつも1人で生きていく覚悟をしていた彼女は、死ぬときも1人だって覚悟していたんだと思います。でも違った。もちろんフィーバスを道連れにするつもりはないけど、自分と一緒に未来へ想いを託してくれる人がいることが何よりも嬉しかったんだろうなって思いました。

だから、フィーバスと向き合った途端に泣き出しちゃうのは、これまでの我慢が溢れ出したと共に、かつてないほどに「生きたい」って強く思ったのかもしれません。誰かといることの心地よさや喜びを、愛を、こんなときに実感してしまうわけよ。でも同時に、本当の意味で祈りを捧げるための心が出来上がったんだとも思います。さっきまでの、虚空な心の状態で祈りを捧げるのではなく、しっかりと自分の心を持った状態で。今回のSomedayでは、そんなことを感じながら観ていました。

ただこれは神永さんフィーバスとのお芝居の掛け合いの中で生まれたものだと思うんですよ。岡村さんエスメだけではきっとここまで私も感じることはできなかったから、やっぱり岡村さんエスメと神永さんフィーバスのSomedayは神だってことです。本当にねぇ…観るたびにいいなってしみじみと感じてしまいます。今期ノートルダムは解釈が一致しすぎててヤバいです。

まあ、そんなわけでこれまでは岡村美南さんエスメに対して聖母とか女神とか、もはや人間を超えた存在のようなものを感じ取っていたわけなんだけども、今回観ていて彼女もちゃんと1人の人間なんだということを再認識できました。死ぬのは怖いし、1人が好きなわけじゃない。自分を犠牲にしてまで未来の平和を願えるほど強くもないし、本当は凄く弱くて脆い。それでも勇敢に立ち振る舞わないといけない。常に現実と理想との狭間で葛藤しながら生きている少女なんだなと思いました。30回目にしてようやく本質の部分をちゃんと理解できた気がします…。

あとは終盤の息を引き取るシーンのお芝居も印象的でした。憑き物が落ちたようなすっきりとした笑顔というよりは、体が痛いのかな…息が苦しいのかな…と思わせるような引きつった笑みを浮かべて息を引き取っていきました。八の字眉毛で今にも泣き出しそうな表情をしていて、なんかそれがめっちゃリアルだなって…。幸せに満ちた表情で亡くなっていくのもアリっちゃアリだけど、最後はやっぱり苦しいっていう気持ちがどこか拭えないまま死んじゃうほうがなんかリアルじゃない…?あの場合だと。だから、そんな苦しそうな笑みを浮かべて息を引き取った岡村美南さんエスメの表情を観て、私も泣きました。凄く秀逸な表情でした。

今回もひたすら岡村さんの表情のお芝居にやられました。本当に表情のお芝居が上手いんよ。エスメがどんなことを考えているのか、凄く伝わってくる。でもそれを悟られないように生きているのも分かる。そのさじ加減が凄く絶妙だなって思います。

オペラグラス越しに観ていたシーンもたくさんあったので、そのときは「顔がイイ…」と余計なことまで思いながら観てしまいましたけど、本当に素晴らしいお芝居でした。今期のお芝居、やっぱりこれまでとは深みが違いますね。観るのが凄く楽しいです。今回も素敵な思い出をありがとうございました!

フィーバス:神永東吾

神永さんフィーバス、あまりにも好きすぎてヤバいな!?本当に今期デビューしたんですかこの人は!?めちゃくちゃお芝居の解釈が好きすぎる…。というか、今までフィーバスに対して腑に落ちなかったところがちゃんと腑に落ちるようになったんですよ。1幕ラスト、ベンチに寝そべりながら歌う「僕は彼女のために大事な仕事を捨てた~」のところとかもね。

神永さんフィーバスは本当にエスメに対して全身全霊なんです。とにかく彼女にすべてを捧げる覚悟が全身から伝わってくるの。心身ともに彼女に捧げるというか、彼女のために生きようという決意が凄く固いし、漲りまくってる(笑)そしてその気持ちが最後の最後までブレないんですよ…。かっこよすぎません…?

それこそ奇跡御殿でエスメについていくと決意するシーンなんかは、心の鎧も脱ぎ捨てて真っ裸というか…まっさらな心で彼女に向き合うんですよね。憑き物が取れたように、ある意味スッキリしてるというか。それでもいい、彼女といられるならっていう気持ちがビシバシ伝わってきて、凄く好きでした。どこまでもエスメのために生きようとしてくれるフィーバスなんです。本当に好きすぎる。

そして真骨頂はバスティーユですよ。神永さん、もうずーっと泣きそうな顔してるんですもん。観てるこっちまで泣きそうになっちゃいます。振り返ってみれば1幕あんな陽気に颯爽と登場してきた人ですよ。同じ人とは思えないくらいのギャップです。でも、エスメを想うがこその悲痛な表情なんですよね。

エスメが助かることだけを考えてくれてる。「僕のことはどうだっていい」っていうのも本心というか、神永さんフィーバスの言葉には凄く説得力があって、それは1幕からずっと感じられるエスメへの真っ直ぐな愛があってこそです。

でね、Somedayでは最初泣きそうな顔をしているのに、エスメが未来への祈りを歌えば、エスメにどこまでもついていこうとして笑顔を見せて歌ってくれるわけですよ。エスメを肯定してくれるの。止めないの。ついてきてくれるの。もうたまんないでしょ…。エスメはもう1人じゃないんだっていうことの説得力に繋がるんです、ここの神永さんフィーバスの佇まいが。崩れ落ちて泣いてしまうエスメを優しく抱き締めて、安心させるように歌うのも本当に好き。もう全部好き。つらいのは自分だって同じはずなのに、どこまでも神永さんフィーバスの心の中はエスメのことだけなんです。それが本当に嘘偽りなく伝わってくるので、めっちゃくちゃ好きなんです…。

そして戦いを終えてエスメの亡骸と再会したときに、嗚咽を漏らして泣くんですよ…。もうやめてよぉ…って思っちゃいました。本当にずるい。エスメのことを心から愛していたフィーバスなので、非痛感は半端ないだろうなっていうのが痛いほど伝わってきて、毎回号泣ポイントです。

とにかく神永さんフィーバスはエスメラルダへの愛に溢れたフィーバスでした。ここまでエスメへの愛を表現できるのって凄いです。だからフィーバスに対しても嫌悪感一切ないし、むしろめっちゃ好きになりました。エスメがフィーバスを選ぶのも納得。本当に素晴らしい男ですよ…。改めて神永さんフィーバスの良さを再認識できた観劇になって大満足です!

まとめ

毎度のことながら最高の舞台を観られて幸せでした。本当に今回がベストなんじゃないかってくらい、素晴らしい公演でした。マジで激アツだったし、私の情緒もどうかしてしまったわ。涙がこんなに溢れて止まらなかったのは相当久しぶりです。いやもう本当に良いものを観た…。ただそれだけです。

私自身も前回の京都公演から色んな経験を経て今に至るわけなので、あのときとはまた景色も違って見えますね。キャストも私好みのお芝居をする方々なので、観れば観るほど解釈が深まってどんどん沼落ちしてしまいそうです。この作品のファンが多いのも凄く納得できました。

とにかく今期は本当にチケット取れないので毎回必死にチケット確保している状況ですが、今回も無事に見届けることができて良かったです。今回で岡村美南さんを観るのは通算197回目。あと3回でいよいよ200回です…。今月中に達成できるかな、どうかな…。頑張ります…!

そして私の贔屓。本当に最高でした。今回も舞台に立ってくれてありがとうございました!

次は18日です!久々のマチソワです!笑

ということで今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

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