2021年3月21日マチネ 劇団四季『ロボット・イン・ザ・ガーデン』千秋楽




ロボット・イン・ザ・ガーデン
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観劇の感想・考察

気になったポイントについて書いていきます。

身近にある小さな幸せの描き方

この作品では「小さな幸せ」「近くにある幸せ」「日常の中にある幸せ」といった普遍的なものをテーマとして扱っているそうです。今回それを意識しながら観ていて、改めてこの作品のメッセージ性であったり幸せの描き方であったりを強く感じることができました。

たとえばエイミーが抱く「家族になりたかった」という願いも、エイミーにとっては家族という存在の温かさを知らずに育ってきたから、家族という存在に対して憧れを抱いていたし幸せを見出していたと思います。でもベンは逆に温かな家庭の中で育ってきたから、幸せを感じていたはずなのにきっといつしかそれが当たり前になっていたのかな…と思いました。誰かにとっては当たり前のことでも、誰かにとってはそれが幸せなんだなって。だから、人の価値観によって幸せって全然変わってくるんだろうなっていうことを感じました。

でもふと目を向けてみれば世界はこんなにもキラキラと輝いていて、人と人との繋がりが奇跡を生んで、幸せを作り出すということに2幕中盤でベンも気付きます。そしてそれを名も知れぬ青年がメインとなって歌います。だから幸せって特定の人だけが得られるものではなく、誰しもが得られるものなんだよっていうことをこのナンバーで伝えているんだろうなと再認識しました。人との交流を通してベンも家族の温かさを改めて知って、最後はエイミーと同じ方向を見て、同じ幸せを手に入れていきます。

だから幸せって大きさは関係ないし、実は近くに幸せが潜んでいるかもしれないし、もしかしたらもう幸せを掴んでいるかもしれないっていうことをメッセージとして受け取りました。人の考え方次第なんだと思います。それこそタングが雨に反射する傘を見て、「キラキラ」と表現して喜びます。これもタングにとっては幸せの1つだったんだろうなぁ…って感じました。

タングは薄暗い部屋にずっといたんだろうし、ゴミの中に隠れていました。だからこんなキラキラした世界を見るのって多分初めてだったと思うんです。だから凄く感動していたんだなって。だって人間にとっては雨も、雨に反射する傘のキラキラも普通の光景でしたから、誰もが気にも止めていなかったですもんね。そういう意味でも、生き方や育ってきた環境、そして考え方次第で何を幸せと感じるかは違ってくるし、「この世界が美しい」と知ることができればきっと身近な小さな幸せに気付けるんですよね。そういうのを今回この作品から学びました。キラキラにあんなにはしゃぐように喜ぶタングを観て泣きそうにもなりました。

こういうメッセージがたくさん散りばめられていて、本当に凄く素敵な作品だったなぁ…って思います。ふとした瞬間にそういうメッセージを受け取って、心に響いて、涙する。観劇しながらその体験を何度もしてきました。何度観ても感動しましたし、きっと私が気付けていないだけでまだまだたくさんのメッセージが込められているんだろうなと思います。でもそういう作り手さんの想いが本当にすっごくすっごく込められていたからこそ、本当に感動する素敵なお話になったんだなと感じました。私もこんな素敵な作品と出会えたことを、心から「幸せ」だと思えました。

まとめ

無事に幕を閉じられて本当に良かったです。『ロボット・イン・ザ・ガーデン』は10月・11月の公演も含め、何度も公演中止になってきて悔しい想いをたくさんしてきただけあって、こうしてようやく幕を閉じられたことが本当に奇跡のようでした。

カテコで特に挨拶とかはありませんでしたが、何度も拍手が鳴りやまず、本当にこの作品がたくさんの人に愛されていたことを実感できました。何度も出てきて拍手に応えてくださったロボットカンパニーの皆さんには感謝してもしきれません。

最後の最後には、田邊さんがタングを先に行かせようとして促していたんですけど、タングがずっと待ってて田邊さんに向かって手を差し出して、2人で手を繋いでいた田邊さんとゆきみさんが笑って、仕方なく田邊さんがタングの手を取って3人で仲良く手を繋ぎながら捌けていきました。そんなほっこりする場面もあって、改めて家族の温かさを感じられた素敵な観劇になりました。

涙なしでは観られませんでしたけど、最後は笑顔で終わることができて本当に良かったです。改めて、ロボットカンパニー千秋楽おめでとうございました!!

次は福岡公演!どうか福岡でもこの作品がたくさんの人に愛されますように!

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